カエンジシみたいな父を探しております。ついでにミアレも救います。 作:幽
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どうしてと問うた。
何がきみをそうさせる?
そう、問うた。
それに、美しい二匹の生き物は、あーあと困ったような笑みで。
写真の中のあの人とよく似た笑みで微笑んだ。
暴走したメガシンカポケモンを鎮圧した後、ランクアップ戦の報せが届いた。
丁度、セイカとキョウヤの両方に。
それに二人は顔を見合わせた。
「・・・・姉さんの相手はグリーズ。」
「・・・・お兄ちゃんの相手はグリ。」
「グリーズ?」
「ヌーヴォカフェのお姉さんじゃん!」
「あの人、そんなにランク高かったんだ!」
「セイカの相手はすぐに分かりましたけど。グリって誰なんですかね?」
それが誰か、二人は知っている。黙り込んだ二人に、気を利かせたタウニーが拳を高く上げた。
「マチエールさんに聞きに行こう!」
軽やかに走って行くタウニーの後を、二人は子どものように手を繋いで追いかけた。
変わらず迎え入れてくれたもこおにセイカは力なく微笑んだ。
「久しぶりだね。」
「そうだね、セイカ、またもこおにポフレ作ってくれない?気に入ったみたいで時々催促されるんだ。」
「はい、それは、かまいませんよ。」
セイカが頷くとマチエールはそれに礼を言い、要件を問うた。それにタウニーが元気よく、キョウヤの対戦相手であるグリについてのことを聞く。
「・・・グリ、名前は知ってるよ。ZAロワイヤルの上位ランカーだね。」
重々しい顔でそういったマチエールは二人に、その人物について知れば危険が及ぶかも知れない旨を話す。
それにキョウヤは、繋いでいたセイカの手を強く握った。それに、セイカは不安そうな顔をする。キョウヤはそれを無視して、マチエールに静かに聞いた。
「それは、グリという人物がフレア団に関係しているからですか?」
「・・・どうして、そう思うの?」
「キョウヤ、それ、どういうこと?」
その言葉に、キョウヤは隣に立つ姉を見た。その顔は、驚愕に染まっていた。
「お兄ちゃん、どういうこと!?」
キョウヤはそれに息をついた。
「・・・・マチエールさんがそこまで言う存在なら、その辺りでしょう。」
「・・・・そうだとしても、この街には他に危険な存在はいるかもしれないでしょう?」
「この街の裏側はサビ組が締め上げていますから。外部組織でそんなことを言う可能性はないでしょう。」
「そう言えば、君達ってサビ組と仲が良いんだっけ?」
そうか、とマチエールは悩んだように額に手を当てた。それを見つつ、キョウヤは事務所内に飾られたとある写真に目を向けた。
「それに、あの、赤い服の男性。クセロシキ博士でしょう?あそこまで親しそうな写真がある時点で交流があったことを考えれば、五年前の騒動の後もある程度フレア団のことは知っていると思ったので。」
「・・・驚いたな、おじさんのこと、知ってるなんて。」
「俺は元々、工学を学んでいましたから。やったことは置いておいても、あの人は今でも有名ですよ。」
「・・・そうだね、元々、君達ってフレア団の関係者、だもんね。それぐらい知ってるか。」
小さく息をついた後、キョウヤは己の腕を掴むセイカのことを見下ろした。その顔に、キョウヤは、自分がたどり着いた答えに姉もたどり着いていることを理解した。
「・・・姉さん。」
「お兄ちゃんは、分かってるの?」
その問いに、自分たちが、特に、セイカが親しくしていたヌーヴォカフェの彼らが何であるのか気づいてしまったのだろう。
彼らが何故、ロワイヤルに参加しているのか。
分からない、分からないけれど。
そこには、五年前に父のなした罪があるのだろうと、その程度の予想がついた。
「姉さん、俺たちは・・・」
「・・・・出来ることを、ただ、やればいい。」
いつも通り姉を落ち着かせようとしたとき、姉は何か、覚悟を決めたような顔でキョウヤを見上げた。
「・・・分かってる。分かってるよ。」
「二人とも?」
マチエールがいぶかしげに二人を見つめる。それにタウニーが二人を庇うように背に隠した。
「なんでもないんです!気にしないでください!」
「でも・・・・」
「タウニー。」
そこでセイカがタウニーに声をかけた。
「いいよ、マチエールさんには話したいから。」
それにタウニーはこらえるような顔をした後、こくりとうなずき、そっとセイカの開いている方の手を握った。
それにセイカはちらりとキョウヤを見た。
話してもいいかというそれに、キョウヤが受け取るように口を開いた。
「・・・マチエールさん、俺たちの父親が元フレア団って話しましたよね?」
「うん、聞いたけど。」
「フラダリ。」
ぽつりと、キョウヤは父の名前を呟いた。それにマチエールの目がゆっくりと見開かれた。それにセイカはポーチから、母と父の写った写真が入ったケースを取り出し、マチエールに差し出した。
マチエールは差し出された写真に目を通す。
そこには、彼女が知るよりもずっと若いけれど、当時を知る人間としては想像がつかないような穏やかで優しい、眉尻をぐっと下げて困ったように笑うフラダリの姿と。
マチエールは思わずセイカを見た。
セイカによく似た女が、快活な笑みを浮かべて、仲睦まじい様子で写っていた。
「俺たちは、フレア団の創設者、フラダリの子どもたちです。」
「・・・・フラダリ、さんには、子どもはいなかったはず。」
「籍は入れていないです。母と父は、何かの事情で仲違いし、その後母は俺たちを一人で産んで育てました。」
「・・・多分、それが正解なんだろうね。」
マチエールは頭痛をこらえるような仕草をして、そうして、息をついた。
「・・・・グリのことはある程度知ってる。私もフレア団に関わったから。でも、聞きたい?」
「聞きます。」
「辛いよ?」
「・・・・聞かないと、先に進めません。」
セイカの言葉に、マチエールはフレア団が当時、組織の次世代に教育を施していたという話を聞かせた。
「その一人の名前がグリ。」
言葉を切った後、マチエールは二人に問うた。
「・・・グリはどうして、ZAロワイヤルに参加しているんだと思う?」
「願いが、あるんだと思います。」
「きっと、どうしても叶えたい願いが。」
戦うことの無い奴には永遠に勝利は訪れない。
それを言ったのは、いつかの母だったはずだ。
「・・・・ともかく、私が知っているのはそれだけだよ。ポケモン研究所のモミジさんならもう少し知ってるかもだけれど。」
「モミジさんが?」
「まあ、今言えるのはそれぐらいかな?」
「そうですか。」
息をついた二人に、マチエールは不安そうな顔をする。
「・・・・二人は、F、さんには?」
「とっくに会って、記憶が無いことも知ってます。」
「そう、か。」
「そんな顔をしないでください。」
セイカはぎゅっとタウニーの手を握った。それに彼女はセイカの事を見る。
「まだ、生きてるなら。これからも、なんだって、どうにだってできます。」
「・・・・そう言ってくれた人がいたから。」
俺たちは大丈夫です。
その言葉にタウニーはぐっと、こらえるように唇を噛みしめた。
「そう、そっか。それなら、大丈夫かな?」
「あの、マチエールさん。」
「うん?どうしたの?」
「あの、バトルしてくれませんか?」
「え、どうして?」
「ちょっと、勇気が欲しくて。」
それにマチエールは少しだけ考えるような顔をした後、にっこりと微笑んだ。
「いいよ!」
それにその場にいた皆は事務所の外に足を勧めた。
「ああ、セイカとキョウヤ。二人とも、モミジリサーチは順調ですか?」
ポケモン研究所にやってきた二人にモミジは先ほどまでの苛立ちなど忘れたようににこやかにそう言った。
それに二人は自然とまた、手を繋いでモミジに問いかける。
「グリについてお聞きしたいんです。」
タウニーはいなかった。それは、自分たちだけで向き合いたいことだと頼み、一旦は別れたのだ。
「グリ?」
「元フレア団の、グリという人のことです。」
それにモミジは少し、苦みの走った顔をした。
「そう、あなたたち、結構知ってるんだね。」
彼女はそれに、グリが元フレア団の、二世でありバトルの実力があった存在だと話した。
「彼が何を考えてるのか、私には分からないけど。」
「・・・・きっとフレア団のことでしょう。」
「へえ、どうしてわかるの?」
「そうでないのなら、わざわざその名前なんて使わないから。」
短い言葉にモミジは少しだけ考えるような仕草をして、そうかもしれないと頷いた。
「まあ、ともかくヌーヴォカフェに行ってみるといい。」
「あの・・・」
「ん、なに?」
モミジは疲れたようにそう言えば、セイカはポーチからマチエールに見せた写真を撮りだした。
「これを・・・・・」
差し出されたそれにモミジはゆっくりと目を見開き、そうして、セイカと写真の中の女を幾度も見比べる。
それにセイカは苦笑を浮かべて、静かに告げた。
「・・・・改めて、挨拶します。私たちは、フレア団創始者、フラダリの娘でセイカと。」
「息子のキョウヤです。」
その言葉に、モミジは顔をのけぞらせて叫んだ。
「ふ、ふらだり様の、お子さん!!??」
がたりと机に体を預けながら、目をまん丸にした。そうして、その後に、あーと叫んだ。
「き、既視感の理由、それか!」
モミジはキョウヤのする、拳を額に当てるそれに奇妙な既視感をずっと感じていたのだ。そうして、それがなんであるのか。
頭の中で合致して、頭の中で大量のはてなマークが産まれていた。
「ふ、ふらだりさまに、奥様なんていなかったのに!?」
「父は、俺たちが産まれたことを知りませんし、籍も入れていなかったので。本当に古くからの付き合いなら、母のことは知ってるでしょうけど。」
「お母さん曰く、もう、お母さんのことを知っていそうな人は亡くなっているか、それとも、カロスから離れてると思います。」
フラダリの家に仕えていた使用人なら知っているだろう。が、いくら罪を犯したと言えども、仕えていた家のことをべらべら喋るような三流なんてフラダリは雇ってさえいないだろう。故に、皆、口をつぐんでいるだろう。
「・・・・で、なんで、今更、その。」
「父と、母のことを知りたくて。」
キョウヤのそれの後に、セイカはモミジをじっと見つめた。
「・・・・・モミジさんの知っている父は、フラダリという人は、どんな人でしたか?」
セイカのそれに、モミジは、どこか苦みの走った顔をした。顔をして、それでも口を開いた。
「頭が良くて、それで、優しい人だった。」
彼女は何か、思い入れのある古びた絵本を眺めているような顔をする。
「・・・・いつも、誰かに何かを与えて、与えて、与えて、それで、全部はじけちゃったけど。でも、ずっと優しい人だった。理性的で、研究者として尊敬の出来る、そーいう人。」
満足したかと二人の子どもたちを見た。それに、彼らは穏やかに微笑んでいた。
けれど、それと同時に、モミジは理解した。
彼らは、きっと、とても悲しいのだと思った。
何が、そうなのか、わからなくても。
何か、強烈に、泣きたくなった。今、泣いて、何か、喚き散らしたくなった。
遠い過去が、汚れて、煤けて、砕け散ったはずの過去が。
今更、残光となって、ここにある。
あの日の、閃光のようなものではない、もっと、柔らかくて、けれど、きらきらしていて。
その、蒼炎を、これ以上見つめていたくなかった。ないのに、懐かしさと、悲しさが胸で渦巻く。
「・・・・・ありがとうございます。」
「ええ、それじゃあ、俺たち、行ってきます。」
彼らは背を向けてその場を去ろうとする。それに、モミジはとっさに手を伸ばした。
「ねえ!その、ついていこうか!?」
付いていってどうするのだ。
何も出来ないくせに。
ただ、彼らをそのまま行かせていいのか疑問があった。彼らはそれに静かに微笑んだ。
「大丈夫です。」
「ちゃん、分かってます。」
そう、分かっているのだ。
血と生まれに呪われた子どもたち。
それがきっと、自分たちだったから。
ヌーヴォカフェにやってきたセイカとキョウヤはまた、幼い子どものように手を繋いでキッチンカーに近づいた。
「なんだよ、またまずいコーヒーを飲み来たのか?つーか、子どもみたいに手まで繋いでどうしたんだよ?」
「・・・・注文でしたら彼女にお願いします。」
セイカとキョウヤはそれに、少しだけ顔を見合わせて、そうして、キョウヤが冗談でも言うように微笑んだ。
「・・・注文はグリでお願い。」
「なら、私はグリーズが注文かな。」
「・・・・ああ、なんだよ。」
「面白いですね・・・!ランクアップ戦の相手であるおれたちにたどり着きましたか!」
楽しそうに笑った後、彼は、静かに告げる。
己こそが、フレア団ヌーヴォのボスと、そうして、同志のグリーズであると。
それにセイカとキョウヤは淡く微笑んだ。
「うん、知ってる。」
「分かってる。」
そう言った後に、二人は自分たちの胸に手を当てて、静かに告げた。
「なら、俺たちも名乗らないと。」
「そうだね、名乗らないと。」
「私はセイカ。」
「俺は、キョウヤ。」
フレア団創設者、フラダリの子どもたち、そうだと。
それにグリとグリーズは何か、燃えるようなものを宿した瞳で二人を見つめる。
「・・・・知ってます。」
「そっか・・・」
「分かってたのか。」
セイカとキョウヤは、それに対してさほどの感慨を持たずにそう言った。彼らが自分たちになにを思っても、それに対して負の感情を持てなかった。いいや、持たなかった。
事実を告げられても平然とした彼らに、グリは鋭く言った。
「・・・おれも大事な目的があってZAロワイヤルに参加しています。だから、負けられない。」
グリは一瞬だけ、視線を下に向けた。
「そうですね、君達には、何を話せばいいのか。」
「やめろよ!グリ!こいつらは、よりにもよってAZと連んだぞ!?よりにも、よって!!」
叫んだ後、彼女はなにか、憎悪を込めて、けれど、それと同時に悲しそうに吐き捨てた。
(私たちが!私たちが、先に、見つけていれば!!)
この、憎らしく、けれど、輝かしい、美しい生き物たちは自分たちのものであるはずだったのに。
手の中からこぼれ落ちていくような、もの悲しさにグリーズはのたうち回りたくなる。
美しい生き物。軽やかで、強く、優しく、慈愛深い。
あの人の、生き様を思い出す生き物。
もしかしたら、自分たちと同じ側に立っていたのかも知れないのに。
同志として、手を取り合えたのかも知れないのに!
彼らを、これ以上無いほど愛せたかも知れないのに!
その愛を、享受出来たのかも知れないのに!!
けれど、彼らの手を取ったのは、一人の少女だ。
ただ、先に彼らを見つけた、それだけで。
「・・・・グリーズ、さん。」
セイカが悲しそうに自分を見つめる。
グリーズはそれに怒り狂う。そんな顔をして、自分たちを愛しているような目で見るのに。彼らはきっとMZ団を辞めもしないのだ。
自分たちと同じ所に来てくれない。いいや、来ない方がいいのだ。いいのに、それでも。
狂おしいほどの、激情が腹の中でわめき立てる。
それに、グリーズはグリを見た。
「・・・・教えるんだろ。」
「・・・・そうですね。」
グリのそれにグリーズは二人のロトムにフラダリカフェの座標を送った。
「来いよ、話を聞きたいならな。」
それに彼らは何を話されるのか理解したのか、静かに頷いた。
「・・・お兄ちゃん。」
「うん、ここは。」
彼らは座標が送られたときから理解していた、その、カフェ。ミアレシティに来てから、自由になったときにすぐに訪れたそこ。
フラダリカフェ。
父が経営していたとネットの記事で知り、そうして、母が元々ビストロを営んでいた場所。
握りあった手の力を強めていると、ヌーヴォカフェの二人がやってくる。
「ここはフラダリカフェです。」
「うん、知ってるよ。」
「ミアレに来てから、すぐに来たから。」
それに、彼らは全てを察して、黙り込む。
「・・・・フレア団については?」
「伝聞でしか。」
「お母さんは、お父さんがフレア団を作る前に離れちゃったから。」
その言葉にグリーズは叫ぶ。
もう、日も暮れた暗闇の中、彼女の悲痛な声が。
「そうだろうな!フラダリ様がああなっても会いにも来ない!止めもできないんだからな!知ってるわけがない!知るはずなんて!」
「うん、だからね、グリーズさん。」
セイカは兄の手をきつく握った。それに、キョウヤも頷いた。
「知りたいんだ。」
「知りたくて、私たち、ここまで来たの。」
全てが遠い、母でもさえも知らない、歪んでしまった、それでも優しいかった男の話を。
「私たちに。」
「俺たちに。」
教えて欲しいんだ。
真っ直ぐに、二人は彼らを見る。
その、蒼炎と、アイリスの瞳が、自分たちを、貫いて。
ちかちかと、脳の裏側で何かが瞬く気がした。
ああ、だめだと。
グリは頭を振る。だめだ、違う、そうじゃない。彼はそのちかちかする感覚に襲われてフラダリカフェに視線を向ける。
「なら、中で話しましょうか。」
「・・・・かつて、フレア団は人々が手を取り合い、助け合う美しい世界を目指していました。」
赤い、焔色の店の中、グリは語り出す。それに、セイカは無意識のように己の髪に混ざる赤を撫でた。
グリの語るそれは、なんとなく、母から聞いていた話をよく似ていた。
お母さん、お父さんはどうして、あんなことをしたの?
・・・・ごめんな、母ちゃんは、お父さんと話したのはずっと昔だから本当はどうか分からないんだ。でも、もしかしたら。
全部、嫌になったのかも知れない。好きだったはずなのに、嫌いなことばかりで、好きだったはずのものが、とても、汚いものに思えて。
だから、壊したくなったのかも知れない。綺麗なものが、汚れていくことに耐えられなかったから。
そんな母の悲しみに満ちた顔を、セイカは思い出す。
「・・・・あの人は、生きるべき人と、そうでない人たちを選択し、カロスを焼き尽くすほどの古代兵器を起動させた。」
「・・・それが、AZのおじいちゃんが、作ったもの。」
「そうだよ!」
グリのそれに引き受けるようにグリーズが叫んだ。
「あいつは、セイカ達に優しく接したとしても!あいつが、あんなもの作らなきゃ、フラダリ様がああならなくてよかった!フレア団の私たちが、後ろ指をさされなくてよかった!セイカ達、とだって。こんなふうに・・・・」
こらえるように拳を握りしめるグリーズは、なんだか痛々しい。
傷ついて、悲しそうに、それでも彼女は歯を食いしばって立っている。
「・・・・おれは、少なくとも、AZがMZ団を頼りにしているのは懐疑的ですが。いいえ、それよりも、おれたちの話だけでは真実かもあやしいでしょう。」
「信じるよ。」
「うん、嘘なんて、付く人じゃないし。今更、付く必要だって・・・」
「・・・・いいえ、真実を、確かめてください。それが、公平です。」
彼はそう言って、後ろにあった本棚に振り返る。そうして、叫んだ。
「ひらけ、ゴマ!!」
それと同時に、がらがらと本棚が横にズレて通路があらわれた。
「この先にあるのは、フラダリラボです。」
「・・・・父さんの研究施設?」
「ええ、そこで、おれたちはAZの秘密を知りました。」
グリはそっと本棚の前から除けた。セイカとキョウヤは真っ暗な通路の中をじっと見つめる。
「・・・ラボの中は、迷路みたいになってるし、野生のポケモンだってたくさんいるからな。」
「心配してくれるの?」
キョウヤの言葉に、グリーズは顔をしかめて、叫んだ。
「そんなんじゃない!そんなんじゃ、ない、けど。行くのか?」
それにセイカとキョウヤは静かに頷いた。
「うん。」
「知りたいから。」
彼らは静かに頷いて、二人に行ってきますと続けて、通路へと駆けだした。