超次元なサッカーでドライブシュートを打つ 作:イノウエ・ミウ
イナイレと同じサッカーを題材にした作品『キャプテン翼』とのクロスオーバー小説です。クロスオーバー要素はあらすじで記載してある通りで、基本的に英雄たちのヴィクトリーロードの物語を中心に進めます。
ちなみに、私の両作品の知識は以下の通りです。
『キャプテン翼』
リメイク版キャプ翼アニメ全話視聴(ジュニアユース編含めて)&さくらみこ、大空スバル(どちらもVTuberです)のキャプ翼ゲーム(キャプテン翼RISE OF NEW CHAMPIONS)配信視聴
『イナズマイレブン』
無印及びGOシリーズのアニメ全話視聴(アレオリ?何のことだよ・・・)&各シリーズのゲーム全てプレイ(無印、ファイア、ボンバー、ジオーガ、ダーク、ライメイ、ビッグバン)
どちらも面白いので興味があれば是非原作やアニメ、ゲームをプレイしてみてください。
青空の出会い
長崎県南雲原町。
この町に一つの家族が引っ越してきた。
「翼ー!どこにいるのー!こっち手伝ってちょうだーい!」
引っ越し業者のトラックから荷物を家に運んでいた母親は、息子の姿が見当たらず大声で呼び掛ける。
すると、家の中からサッカーボールと一人の少年が勢いよく飛び出してきた。
「お母さん!ちょっと町を見に行ってくるね!」
「翼!!」
母親の制止を無視し、翼と言われた少年は
「全く!まだ荷物を全部運んでないのに手伝いもしないで出歩くなんて・・・」
呆れた様子で言うと、業者の人が話し掛けてきた。
「息子さん、サッカーお上手ですね」
「えぇ、翼をここまで大きくしてくれたのはサッカーボールなんです・・・」
そう答えながら、あっという間に見えなくなった息子を母親は笑顔で見送った。
「ここが南雲原町・・・あ!あれが路面電車か。本当に道路を走ってる」
町歩く人々を上手く躱していきながら翼は町を見渡す。
住宅街、海がよく見える大きな公園、商店街の中、歩道橋の上、路面電車の線路までありとあらゆる場所を見て回っていた。
その間もボールが翼の下から離れることは一切なく、まるでボールと一つになったかのようにドリブルする翼。
そうして町を探索していると、見ただけでも百段以上はあるであろう階段の前に着いた。普通の人なら上るのにも苦労しそうだが、翼は疲れを見せる様子もなくボールをリフティングでキープしながら上っていく。
全ての段を登り切ると、町で見た建物よりもひときわ大きい建物が目に映った。
南雲原中学校。それがこの中学校の名だ。学業とスポーツ共に力を入れており、大会などでは実績を残すほどの有名な学校だ。
「凄い大きな学校だ。来週からこの学校に通うのかな・・・」
そんなことは知りもしない翼は、興味津々に南雲原中の校舎を眺めていると、校内の敷地で人が集まっている場所を見つけた。
「ん?あそこに人がいっぱい集まってる。何してるんだろう・・・行ってみよう!」
気になった翼はドリブルしながら人が集まっている場所に向かう(さらっと不法侵入してるが、翼は気づかない)。
近づいてみると、グラウンドで複数人がサッカーボールを蹴ったり、ドリブルやパスを回していた。
「これは・・・サッカーの試合だ!」
思いがけないサッカーの試合に、サッカー小僧の翼は嬉しそうに笑う。
グラウンドにいる人数が少ないので、ミニゲームみたいなものだと思われるが、これだけの人が集まっているとなるとかなり注目されている試合なのだろうか。
そんなことを思いながら、翼は試合を眺める。
「(あの紫色の髪の人の足、かなり鍛えられているな。あっちの女の子はドリブルのスピードが他の人と比べて速い。小柄な男の子は
冷静に分析しながら、今度は相手チームも分析する。
「(逆にあっちのチームは・・・あの金髪の人を中心に動いている感じだ。だけど、皆あの人に頼りすぎて、全体のバランスが取れてない)」
先程のチームと違って、翼の評価はやや低かった。
分析をしてる間にも、試合は進んでいく。点は1対0で金髪の男のチームがリードしていたが、この男しか点を取れる人がいないのか、向こうのチームはこの男にボールが渡らないよう徹底的にマークしていた。
そのため、仲間たちは金髪の男にパスを送ることができず、向こうもマークに徹底しているため、両者拮抗した状況が続いていた。
しかし、その状況も突然崩れることになった。
茶髪の少年のパスを丸っこい体型の少年が貰った瞬間、その隙をついて相手チームのスライディングタックルがその少年の足に当たろうとしていた。
「危ない!」
思わず叫んでしまう翼だが、観客側の声など聞こえるはずもなく、スライディングを足に受けた丸っこい体型の選手は倒れてしまう。
そして、そのまま当てられた足を押さえながら苦しそうな顔をした。恐らくまともに受けてしまい、立つことすら困難な状態なのだろう。
「(結構深くいったな。怪我が酷く無ければいいんだけど・・・でも、これで向こうのチームはかなり不利になったぞ)」
怪我の状態を心配しながら、翼は他のチームメイトの様子を見る
チームメイト達は先程まで試合を間近で観戦してた緑色の髪の少年の下に集まっており、何やら深刻な顔で話し合っていた。
しばらくして、緑色の髪の少年がグラウンドの外で試合を見物している観客に向かって叫んだ。
「すみません!この中で代わりに試合に出てくれる人はいませんか!?」
そう呼び掛ける少年の言葉に応えてくれる者はいない。皆気まずそうに顔を逸らし、中には哀れんでいる者もいた。
しかし、翼だけは違った。
「(・・・凄い必死だ。選手じゃないのに、この場にいる誰よりもサッカーに対する情熱を感じる)」
そして、その情熱は翼もまた持っている物でもあった。
だからこそ、翼は理解した。この少年もまた、自分と同じサッカー馬鹿なのだと。
「(そうか・・・君も好きなんだね。サッカーが・・・!)」
ならば、同じサッカー馬鹿として、その想いに応えないわけにはいかない。
導かれるように、翼は一歩前へ踏み出した。
笹波雲明は大いに困っていた。
ふとした出来事がきっかけで、キャプテンの柳生駿河率いる野球部とサッカーの試合をすることになった雲明。
幼い頃心臓の病にかかり、サッカーが満足にできない体になった雲明は、一度絶望し、サッカーが嫌いになった。
しかし、学校一の不良桜咲丈二との出会いにより、彼の運命は大きく変化した。桜咲もまた、一度はサッカーを諦めていたが、雲明の言葉と決意を聞いて、彼と共にサッカーを侮辱した野球部と対立した。
そして、騒ぎを聞いて彼らに興味を持った木曽路兵太の3人でサッカー部を作り上げた。
その後、雲明たちは数多の試練の乗り越えながら部員を増やしていき、サッカーができない雲明を除いて丁度5人というギリギリの人数で野球部に挑むのだった。
5対5の試合は順調に進み、ある程度進んだら予め用意してた作戦を発動させようとしていた。
しかし、試合途中に予期せぬ事態が起こった。
「大丈夫?亀雄」
「うぅ、すみません・・・」
チームの紅一点、忍原来夏の心配する声を受けながら、丸っこい体型の少年古道飼亀雄は足の痛みに耐えながら返事する。
グラウンドの外で見守っていた雲明が亀雄の足の怪我を見ていたが、やがて首を横に振った。
「この怪我でこれ以上のプレイは無理ですね。古道飼君を下がらせます」
「そんな!僕はまだ行けるよ!怪我だって少し我慢すれば――」
「駄目だ。この程度の怪我でも、無理をすれば今後に響く。今は安静にしておいた方がいい」
雲明にそう言われて、亀雄は顔を下げて申し訳なさそうにしてた。
「そう落ち込むなよ」
「こんなのスポーツでよくある事故みたいなものだから」
木曽路や来夏が落ち込んでいる亀雄をフォローしてる中、雲明は内心焦っていた。
このアクシデントは予想外だ。これでは予め立てた作戦が発動できなくなる。その上、一人減ることでこちらが圧倒的不利になる。
「へっ、ザマーないですね柳生さん」
「あ、あぁ、そうだな・・・」
相手チームの野球部員はこちらの不幸を見て笑っていたが、柳生だけは何処か複雑な様子で見守っていた。
「どうする雲明?控えの選手がいない今、かなりマズい状況だぞ」
桜咲がそう聞くが、雲明は手を顎に当てたまま難しい顔をする。
しばらく考えて、顔を上げた雲明はこのピンチを打開する策を伝える。
「代わりに出てくれる選手を探します」
「うえ!?」
「お前、何言って――」
木曽路と桜咲が驚いた顔をするが、そんなの知ったことではないと雲明はすぐさま行動に移す。
「すみません!この中で代わりに試合に出てくれる人はいませんか!?」
雲明の奇行に唖然とするサッカー部員。
観客たちも驚いているが、その懇願に応えてくれる者はいない。
当然だ。この学校では元々サッカー自体がタブーみたいな存在であり、皆サッカーとは無関係の生徒ばかり。加えて、相手は有名人の柳生率いる野球部でこっちは無名のサッカー部。いきなりサッカーの試合に出てくれと言われて、首を縦に振る生徒なんているはずがない。
いくら呼び掛けても応じる者が一向に現れず、見かねた四川堂と来夏が雲明を制止しようとする。
「笹波君、もう諦めよう・・・」
「そうよ。サッカーボールじゃないんだし、そこら辺に転がっているサッカー選手なんて見つかるわけ――「いるよ!ここに!」――え?」
突如聞こえた声に、来夏は言葉を止める。
雲明を始め、このグラウンドにいる者達、観客たちが一斉に振り向くと、観客の中に手を上げている少年がいた。
「俺が代わりに出るよ」
制服を着ておらず、Tシャツにズボンと普通の格好した少年は、サッカーボールでドリブルしながらこっちに近づいてきた。
「ちょっと足見せて」
突如現れた謎の少年に誰もが呆然とする中、少年は倒れている亀雄の近くに寄ると、怪我をした亀雄の足を見る。
「深く入ってるけど、このくらいならきちんと冷やして、一日安静にしてるとすぐ治るよ。それにしても、君凄いスピードとガッツだったね。ナイスプレイ!」
「え?う、うん、ありがとう・・・」
少年に褒められて、戸惑いながらもお礼を言う亀雄。
他の仲間たちも、突然現れて亀雄を手当てしてくれた少年を前に、どうすればいいのか困っている様子だ。
「っ!?」
しかし、雲明だけは目を見開き、震えながら少年を凝視してた。
雲明の様子がおかしいことに気づいた桜咲が彼に声を掛ける。
「どうした雲明?」
「・・・あいつ、かなりヤバいです」
「は?マジかよ」
桜咲の言葉に「マジです」と返しながら、雲明は興奮気味に喋る。
「足から上半身、全てにおいてバランスの良い完璧な体をしています。ここまでサッカープレイヤーとして完成されている人間は見たことないです。恐らく、100万人・・・いや、1000万人に一人と言って良い程の逸材です」
「嘘!?そんなに凄いのあいつ」
来夏が信じられないといった目を翼に向ける。
「・・・正直、見ただけでは何も分かりません。ですが、少なくともサッカーをやる上ではパーフェクト。100点を超える肉体です」
深刻な顔で語る雲明を見て、何も言えなくなる桜咲と来夏。
そのやり取りを横から見てた木曽路が雲明に聞く。
「でもよぉ、あんな奴学校で見たことないぞ。雲明は?」
「ここの生徒は一通り調べたけど、僕も知らないな。生徒会はどうですか?」
「いや、あんな生徒、生徒会でも確認したことがない」
生徒会副会長の立場にいる四川堂我流も、この生徒については知らない様子だった。
ひとまず雲明は少年の前に出て話す。
「君、サッカーの経験は?」
「大ありさ!ここに来る時も、これでドリブルしながら町を回ってたんだ」
そう言って、サッカーボールを見せる翼。
「(ドリブルで町を回る?僕でも流石にそんなことしたことないな)・・・ポジションは?どこならやれる」
「普段は
「よし」
正直、少年の素性が分からないため不安もあるが、サッカーができるのなら今はそれでいい。
「選手交代!古道飼君に代わって、彼を選手として出します!」
「マジかよ・・・」
「本当に見つかっちゃったよ。転がるサッカーボールならぬサッカー選手」
桜咲と来夏が呆然とした様子で呟く。
「いいですよね?柳生先輩」
「・・・好きにしろよ。雑魚が何人増えようと俺たちの勝ちは変わらねぇよ」
柳生からの許可も貰えたところで、雲明は早速少年に指示を出そうとするが、その前に一つ大事なことを聞き忘れていた。
「それじゃあ、早速だけど・・・そう言えば、まだ君の名前を聞いてなかったか。君の名前は?」
雲明に名前を聞かれた少年は、元気よく言った。
「俺は翼!
今日の『燃えてヒーロー』:青空翼
リメイク版キャプ翼アニメで毎回EDの『燃えてヒーロー』を歌う人が変わるの好きです。
こっちの翼のイメージボイスはリメイク版の大空翼と同じです。