超次元なサッカーでドライブシュートを打つ 作:イノウエ・ミウ
結果こそベスト32で終わりましたが、サッカー王国ブラジル相手に奮闘したと思います。
ところで、イナイレの世界にもワールドカップはあるんでしょうかね?FFIなど少年サッカーの世界一を決める大会はありましたが、イナイレだとワールドカップも別の名前の大会になってるんですかね?
ちなみに、この世界だとワールドカップは存在し、日本は未だに優勝していない設定になっています。
二年前、全国少年サッカー大会決勝戦。
ピー!
審判の試合終了の笛が鳴り響く。
その瞬間、日向たち埼玉代表のチームは、対戦相手の東京代表のチームを下し、優勝の栄光を手に入れたのだ。
「やりましたよ日向さん!」
「あぁ!優勝だぁー!!」
喜ぶチームメイトのタケルの横で、日向もまた大声を上げて喜んだ。
チームメイト達も声を上げながら喜び、監督の喜多も嬉しそう笑い、観客たちは日向たちの優勝を歓声で祝福した。
そんな中、日向は負けて悔しがっている相手チームの方を見る。
「(それにしても、決勝だってのに、張り合いのない試合だったな・・・)」
試合のスコアを見ると、6対1と日向のチームが圧勝。決勝だというのに一方的な試合である。
相手チームの実力は確かにあった。しかし、全国大会で通用するレベルかと言われたら微妙であり、よく決勝まで勝ち残れたなと疑問に思うくらいだった。
これならまだ、準決勝で戦った'北海道代表'との試合の方がマシだったと日向は思う。一人一人の実力はそこそこだが、チームワークがこの大会一と言っていいほど優れており、彼らのチーム全員で攻めて、全員で守るサッカーに、日向たちは苦戦させられた。加えて、彼らのチームのキャプテンは、チームを率いるカリスマ性だけでなく、ボールのキープ力も優れていて、彼からボールを奪うのは苦労した。
試合の結果も3対2と接戦で終わっている。もしも、日向が試合途中に熱を出したり、試合前に日向と相手チームのキャプテンとの間に因縁が起こり、そのキャプテンが打倒日向のモチベーションを上げるなど、何らかの歯車が狂っていれば負けていたのはこちらだと思った。
そんな風に準決勝での試合を思い返してると、ふと相手チームの呟きが日向に耳に入った。
「クソー・・・お前らなんか、翼がいれば・・・!」
その呟きを聞いて、日向は目を丸くした。
'翼'、詳しくは知らないが、その存在がこのチームが決勝まで勝ち残れた強さの秘密なのだろうか。
気になった日向は、その翼という人物について聞いた。
「誰なんだ?その翼って奴は・・・」
試合に負かされたチームのキャプテンから突然翼のことを聞かれて、戸惑う一同。
すると、一人の少年が前に出てきた。日向はこの少年の事は印象に残っていた。この試合で唯一、日向のチームから1点ゴールを奪ったのが、この少年だったからだ。
「僕たちのチームのエースストライカーだよ。チームの中で一番強くて、準決勝までこのチームを引っ張って来たんだ。だけど、決勝当日に突然来れなくなって・・・」
そう言って、少年は顔を俯かせると、後は何も喋らなかった。
最初は負けたチームの負け惜しみだと思った。しかし、彼らが残した翼という名前は、雷門に入学してからも日向の心の奥底に残り続けるのであった。
「(まさか、あいつがあの時の翼なのか?いや、あの時決勝で戦ったのは東京代表のチームで、今いるここは長崎だ。偶然の可能性もあるが・・・)」
「幸太郎さん?」
「!?・・・あぁ、ハルか」
思考の波に呑まれていた日向は、ハルに声を掛けられたことで現実に戻ってきた。
「どうしたんですか?結構考え込んでたみたいですけど・・・」
「いや、何でもねぇ・・・もう1点だ」
「え?」
「前半残り5分、あいつらからもう1点決めるぞ・・・!」
静かに闘志を燃え上がらせる日向を見て、ハルは彼の闘志に火を付けた原因を探る。
「(見せて貰うぜ。お前が本当に、あの時の翼だったのか・・・!)」
日向の視線の先には翼がいた。理由は分からないが、日向の闘志の着火剤は彼なのだとハルは理解した。
その間にも試合は続き、木曽路にボールが渡る。
次の瞬間、日向は桜咲と柳生の隙をついて彼らのマークを抜いた。
「なにぃ!?」
「いつの間に・・・!」
一瞬の隙を付かれてしまい、驚きながらもすぐに日向を追う桜咲と柳生。
しかし、既に日向は木曽路に狙いを定めていた。
「多少調子付いたからって、いい気になってんじゃねぇぞ!」
「うわっ!」
そして、獲物を狙う猛獣のような勢いで木曽路に迫り、『キラースライド』で彼からボールを奪った。
「しまった!」
「追うぞ桜咲!」
桜咲と柳生が慌てて彼を追い掛けるが、日向はハルにパスを出して、ワンツーで南雲原の面々を抜き去っていく。
「くっ、なんて息の合ったイリュージョンだ・・・!」
「早すぎて反応できないよ!」
「どうだ!これが本当の連携だ!数が多ければ、いいってもんじゃねぇ!」
抜き去った妖士乃と古手打に向けて言いながら、日向は走り続ける。
そのままゴール前まで辿り着くと、シュートの体勢に入る。
「よく見ていろ!俺のサッカーは、お前らのお遊びサッカーとは違うんだよ!」
叫び声と共に、日向は渾身の『タイガードライブ』を放つ。
「くらえ!タイガードライブ!」
『日向!全力のタイガードライブを放った!南雲原、絶体絶命です!』
ボールが猛スピードでゴールに迫る中、幕下と亀雄が意を決した顔で前に出た。
「止めるぞ!気合い入れろよ古道飼!」
「うん!」
幕下と亀雄の二人が体を張って止めようとする。
しかし、日向の強力なシュートは二人の巨体を容易くふっとばした。
「「うわっ!」」
「これ以上、点はやらせない!」
巨体DF二人が体を張ったことでボールの勢いが弱まり、どうにかボールに反応できた四川堂。
「ぐっ、パワーが強すぎて、止めきれ――ぐわぁぁぁぁぁぁ!!」
それでもシュートを止めるには至らず、ボールを抑えていた両手は弾かれ、その衝撃で飛ばされる四川堂。
ボールはそのままゴールへ入ると思ったその時、二つの人影が前に現れた。
「「うおおおおおお!!」」
日向を追っていた桜咲と柳生が雄叫びを上げながら、桜咲は右足で、柳生は左足でボールを受け止めた。
「俺たちのサッカーはお遊びなんかじゃねぇ!」
「サッカーは、腐ってた俺を救ってくれた!お遊びだなんて言わせるかよ!」
片方の足で必死に踏ん張り、ゴールを決めさせまいと全力で止める桜咲と柳生。その想いに応えるかのように、ボールの勢いは徐々に弱まっていく。
そして、ボールがゴールラインを超える僅か数ミリ手前で、二人の足がボールを弾き返した。
「なにぃ!?」
自分の自慢の必殺シュートが打ち返されるとは思っておらず、日向は驚きながら空中に打ち返されたボールを見つめる。
そのボールに一つの人影が飛び込んだ。
「そうだ!サッカーは、俺たちの夢だ!皆で一緒にてっぺんを目指すと誓った、俺たちの夢なんだ!」
空中でボールを受け取った翼は、そのまま地面に着地すると同時にドリブルしようとし――その正面にハルが立ちはだかる。
「円堂ハル・・・!」
「ボールは友達か・・・君、めちゃくちゃ面白い奴だね」
闘志を燃やす翼に対して、ハルは余裕の態度を見せる。
またもや1対1の対決になり、翼はハルを抜こうとドリブルやフェイントを仕掛けて、ハルは翼の動きに食らいついていく。
その状態がしばらく続き、先程と同様に勝負が決まらないかと思いきや、ハルは翼のドリブルに僅かな隙ができたことに気づいた。
「(見えた!決定的な隙・・・!)」
ほんの僅かにできた隙を逃さず、ハルは右足でボールを弾いた。
『円堂!青空のボールを弾きました!』
「駄目じゃないか。友達と言うからには、隙なんて見せちゃ」
「・・・フッ」
「?」
ボールを取られたのに笑みを浮かべた翼が目に映り、疑問符を浮かべるハル。その答えは、弾いたボールが地面に着いたことで明らかになった。
ハルが弾いたボールは地面に着いた瞬間、鋭いスピンを掛けながら翼の下に戻ってきたのだ。
「なにぃ!?」
「ボールは俺の友達!絶対に離したりはしない!」
翼はわざと隙を見せて、ボールが弾かれる直前に、ボールに強力なスピンを掛けていたのだ。弾かれたボールが自分の下に戻るよう調整して。
流石のハルもこれには驚き、翼はその隙をついてハルを抜いた。
『なんと!青空翼、あの『サッカーモンスター』円堂ハルを突破したー!』
ワー!!
観客の歓声がスタジアムに響き渡る。それほどまでに、円堂ハルが抜かれたという事実は彼らにとって衝撃的なことであった。
翼はそのままドリブルでただひたすら真っ直ぐ突き進む。西ノ宮の選手が翼からボールを奪おうとするも、翼は巧みなドリブルテクニックで次々と突破していく。
『青空!勢いのまま次々と西ノ宮の選手を突破していきます!』
『これほどの高レベルなプレイを予選で見れるとは!私、感動しています!』
『勢いに乗る青空選手!遂に最後の選手を抜いて、ゴール前まで来ました!これは絶好のチャンスです!』
遂にゴール前まで辿り着き、正面にはGK一人だけ。翼にとっては絶好のシュートチャンスである。
「行かせるかよ!お前らなんかに、1点もやらせるかよ!」
その翼の前に、南雲原のゴールからここまで戻ってきた日向が最後の砦と言わんばかりに立ちはだかる。
「このままシュートだ!ここで決める!」
こちらを食らう勢いで迫る日向を前にしても、翼は臆することなく、シュートの体勢に入る。
日向もまた、闘志を燃やしながら全力で翼を迎え撃とうとする。
「お前だけは、絶対に止める!」
「行くぞ日向幸太郎!これが俺の、俺たち南雲原の、サッカーだ!!」
お互い足を振り上げて、全力の一撃をボールに叩き込む。
「「うおおおおおお!!」」
二人の魂のこもった咆哮が、フィールド全体に響き渡る。
ボールはぶつかり合い、激しい攻防を繰り広げる。
力を込めて押しては、力を込めて押し返す。どちらも譲らず、押し合いは膠着状態に陥っていた。
しかし、日向の表情に若干の変化があった。
「(うっ、押されてる!?この俺が、押し負けているのか・・・!?)」
日向が力を入れれば入れるほど、その力を上回る力で翼は押し返してきた。それによって、徐々にだが、日向は押され始めているのだ。
そして、遂にこの勝負に決着が着いた。
「いっけー!!」
日向の力が弱った瞬間、翼が叫び声と共に全力で足に力を入れて、日向を足を弾いた。
「なにっ!?」
『なんと!青空翼のシュートが日向幸太郎の強靱な足を破りました!』
日向を破った翼のシュートは、真っ直ぐに西ノ宮のゴールへ突き進む。
突然のことにGKも反応できず、ボールはゴールの左側に入るかと思われた。
'カンッ!'
しかし、ボールは左側のゴールポストに当たり、ゴールすることはなかった。
『あー!惜しい!青空が放った執念のシュートは、ゴールポストに当たり、惜しくもゴールならず!』
『押し合いに勝ったとは言え、ぶつかり合った衝撃で、僅かにボールの軌道がズレたみたいですね』
「クソッ!」
翼が悔しそうな顔をすると同時に、審判が笛を鳴らした。
ピー!
『ここで前半終了!得点は0対5で西ノ宮が圧倒的にリードしています!』
『試合だけ見れば、西ノ宮の圧勝ですが、南雲原もかなり粘りましたね。特に最後の青空選手のプレイは、プロの選手にすら引けを取らない素晴らしいものでした』
『これは後半も見逃せません!この絶望的な状況の中、南雲原はどう動くのでしょうか!?』
田辺と角馬の声がスタジアムに響き渡る中、日向は呆然と呟いた。
「俺が・・・負けた・・・?」
シュートこそ入らなかったが、最後の最後で押し合いで負けた。それも、自分よりも体格が小さい選手にだ。
結果こそ大差でリードしているが、日向の心には今まで感じたことのない敗北感が刻まれるのであった。
キャプ翼を知っている人なら察しがついていると思いますが、北海道代表のキャプテンは努力の天才と呼ばれているあの彼です。勿論、彼も後に本編に登場する予定です。
ちなみに、この世界だと食堂でのイベントは発生してません。もしも発生したら、日向のチームは確実に失格になります。
もしも日向にヒロインを付けるなら
-
星村ナオ
-
赤袖茉莉
-
有海崎玲亜
-
梅雨咲多恵
-
木下まつの(シグドママ)