超次元なサッカーでドライブシュートを打つ 作:イノウエ・ミウ
何なら、サッカーと決別する覚悟で負傷させたガルシアと違って、オリオン連中は罪悪感など持たず、悪意しかない状態で反則しまくるから、ガルシアと比べると圧倒的にクズ度が高いんだよな。
前置きはこのくらいにして、第4章開幕です!最初は北陽との合併から始まります。
個人技選手権
ここは日本サッカー協会の本部。
その一室で一人の男が衝撃的な報告を聞いた。
「北陽が敗れただと!?」
サングラスを掛けた男は、驚きを隠せない様子で報告してきた部下に問う。
「それは本当なのか?」
「はい、フットボールフロンティア地区予選九州・沖縄ブロックの準決勝で・・・」
「相手はどこだ?東風異国館か?」
「いえ、相手チームは南雲原中。3対1で北陽学園に勝利しました」
南雲原中という聞いたこともない学校の名前を聞いて、男は南雲原中について聞く。
「南雲原中・・・聞いたことないな。どういう学校か分かるか?」
「はい、長崎県の南雲原町にある中学校です。学業とスポーツ両方に力を入れており、近年では野球部が好成績を残しています。サッカー部に関しましては、5年前にサッカー部が問題行動を起こして、一時期活動を停止してたようです」
「それが今年になって、活動を再開したということか・・・」
「しかも、今度準決勝で勝った北陽学園と合併されると聞いております」
「なんだと!あの北陽と・・・!」
男は更に衝撃を受ける。
ただでさえ、強豪である北陽を無名の学校が破っただけでも衝撃なのに、その強豪と合併するということは、その戦力を取り込むということだ。
そうなれば、南雲原は更なる実力を持つチームになるだろう。それこそ、あの王者雷門を脅かすくらいに・・・
「・・・君、九州・沖縄ブロックの決勝がいつ行われるか分かるか?」
「えーと、来週の土曜日に行われる予定ですが・・・まさか」
決勝の予定を聞いてきた男が、その日に何をするのか察する部下。
その反応を見て、サングラスの男・・・
「この日は少し空けさせてもらう。この目で直接見ようと思う。期待の新生、南雲原中を」
準決勝の試合から数日後、学校の合併で北陽学園という強豪の戦力を手にした南雲原は、決勝に向けて張り切って――
「さぁて、練習するんで場所を譲ってもらおうか」
「抜かせ。公式試合では俺たちが勝ったんだ」
「それは笹波雲明の戦術と青空翼の力があったからだろ」
「品乃さんの言う通りだね。もし、同じ監督の指示を受けて、同じチームのエースを中心にして、上手く立ち回れるのはどっちでしょうかね」
「こいつ・・・!」
――はおらず、その北陽の選手たちと睨み合っていた。
北陽学園と合併はしたが、北陽と南雲原の選手でどちらがレギュラーになるかは決めておらず、そのレギュラー争いで揉めていた。ちなみに、元北陽選手は全員南雲原のセカンドユニフォームを着ている。
桜咲を初めとした南雲原の選手が北陽選手と対峙する中、翼は一部の選手たちと一緒に彼らの様子を眺めていた。
「向こうはいきなり喧嘩腰だな・・・ん?どうした翼。そんな悩んだ顔をして」
「え?う、うん・・・これから同じチームとして一緒に戦っていくのに、どうして向こうは喧嘩腰になっているのかなって」
「そりゃまぁ、ついこの間まで敵同士だったし、いきなり仲良くやりましょうってのは無理だろ。それに、レギュラーが限られている以上、向こうもレギュラーの座を奪い取ろうと考えているし、俺たちだって奪われないよう必死になるだろ」
「そういうものなのかな・・・」
木曽路の説明を聞いても、翼は納得してない様子だった。レギュラー争いとはまた違う、もっと根本的な何かが原因だと翼は感じていた。
そんな感じで見守っていると、空宮が提案した。
「ここで一つ提案です。サッカー部全員で個人技選手権をするのはどうでしょうか?」
「ハァ、個人技選手権・・・?」
桜咲たちが疑問符を浮かべる中、一人の男が話に入ってきた。
「面白いんじゃないかな」
「下鶴監督!」
その男は元北陽学園サッカー部の監督、下鶴改だった。
「北陽のメンバーは特段個人技で勝負するタイプでもない。南雲原と競い合っても特別に有利というわけでも無いだろう。公平な勝負に見えるが、どうだろう?」
下鶴は雲明に提案を受けるか聞いてきた。
雲明は少し悩んでから答えた。
「分かりました。やりましょう。ただし、一つ条件があります」
「条件?」
「実質的なチームの指揮権を賭けて、同時に監督勝負もしませんか?」
「良いだろう」
勝負が成立したところで、チーム決めに関して雲明が提案する。
「それで、チームに関しては・・・下鶴監督が優秀だと思う選手を選んでください。僕は監督が選ばなかった選手を使って試合を挑みます」
「・・・面白い。試合は明日で構わないな」
「問題ありません」
こうして、突如レギュラーと監督を決める個人技選手権が開催されるのであった。
そして翌日、グラウンドに集まった南雲原と元北陽の選手たち。
「それでは、私が率いるメンバーを発表する」
彼らの前で下鶴がチームのメンバーを発表するが、それは選手たちにとって予想外のものだった。
「まさか、南雲原の選手を選ぶなんて・・・」
下鶴は慣れ親しんでいるはずの元北陽の選手ではなく、真逆の南雲原の選手を選んだのだ。
この勝負はレギュラーを掛けた戦いであると同時に、監督の指揮権を掛けた戦いでもある。故に、北陽選手を選んで、準決勝の再戦が行われると誰もが思っていた。
しかし、そんな彼らの予想を覆して、下鶴は南雲原の選手を選んだ。
「よろしく頼むぞ」
声を掛けてくる下鶴に、南雲原の選手たちは困ったように顔を合わせる。
予想外ではあるが、選手たちは不安を見せる様子はない。先の試合で下鶴の指揮能力が高いことは十分理解していた。何より、これはレギュラーの座を掛けた戦い。監督がいつも違うから手を抜いて良いなんてことはない。
選手たちが気を引き締める中、下鶴は南雲原イレブンに指示を出す。
「俺からの指示はただ一つ・・・青空翼、君にこのチームの指揮を委ねたい」
「え?」
下鶴が指名されて、翼は呆けた声を出した。
そんな翼に、下鶴は指示の意図を話す。
「先の準決勝の試合で、チームを動かす君のゲームメイクの能力は凄まじいものだった。その力をこの個人技選手権でも最大限に活かして貰いたい。これは、このチームが勝利する上で、最も効率的に勝てる方法だと俺は思っている・・・頼めるか?」
「は、はい!」
多少の困惑はありつつも、翼は下鶴の指示を受け入れた。
「では、臨時ではあるが頼んだぞ。キャプテン」
そう言われて、下鶴からキャプテンマークを渡される翼。
翼は手に持つキャプテンマークを見つめる。
「(キャプテンマーク・・・ロベルトもこれを付けてピッチに立っていた)」
今自分が憧れの選手と同じキャプテンの立場になったことに興奮する翼。
高ぶる気持ちを胸に、その腕にキャプテンマークを付けた翼は、チームを鼓舞する。
「よーし、皆!必ず勝って、全員でレギュラーの座を勝ち取るぞ!」
『おー!』
気合いの入った一言を入れてから、南雲原の選手は各ポジションにつく。
同時に雲明率いる元北陽の選手もそれぞれ配置につく。
【チーム下鶴】
FW:桜咲、来夏
MF:妖士乃、木曽路、翼、柳生
DF:古手打、幕下、未理科、亀雄
GK:四川堂
【チーム雲明】
FW:友部、空宮
MF:騎士部、屯田、品乃、保平、新狩
DF:矢倉、城壁、槍崎
GK:陣内
いつもと違う南雲原の配置を見て、来夏が疑問の声を上げる。
「あれ?未理科ちゃんと亀雄の位置が前と変わってる?」
「はい、俺が指示しました。今回は彼女をゴール前に置いてます」
「何にせよ、今はお前がキャプテンだ。俺たちはそれに従うだけだ」
準備万端を言わんばかりに桜咲が呟く。
試合開始の笛が鳴り、チーム雲明からのボールでスタートされる。
「初っ端から行かせて貰うぜ!タクティクス・ストリーム!『トライダイブ』、『ザ・グレイモア』、『サイドラインスピア』」
準決勝で見せた複数のタクティクスを切り替える戦法で攻めてくる空宮たち。
「各自相手に付いてください!パスコースを塞いで、攻めの手を封じていきます!」
対する翼は、選手たちに指示を出して、相手の攻め手を限らせていく。
指示を受けて選手たちは、それぞれ元北陽の選手に付くが、エースの空宮は彼らのマークやディフェンスをドリブルで振り切りながら、ゴール前まで迫る。
「ますは1点、決めてやるよ!サンシャインブレード!」
空宮の必殺シュート『サンシャインブレード』がゴールに迫る。
「(打ってきた!)――雨道さん!」
「任せてください!グラビテーション!」
翼の掛け声に合わせて、ゴール前にいた未理科がディフェンス技『グラビテーション』を発動してシュートブロックを試みる。
シュート自体は止まらなかったが、強い重力に押し潰されたことでボールの威力は弱まった。
「これなら止めれる!氷結の舞!」
四川堂の手刀がボールを弾いた瞬間、ボールは完全に凍り、四川堂の手に収まった。
「なにぃ!?」
「空宮のシュートが止められただと!」
その光景を見て、空宮と品乃が驚愕の表情になる。
エースである空宮の必殺シュートが止められた。それが表すことは、現時点で元北陽側にゴールを決める手段が無くなったということだ。
「さぁ、反撃だ!」
四川堂が力強くボールを蹴って、センターサークルにいた翼に渡る。
「くっ!戻れ!」
空宮を初め、元北陽選手が慌てて戻ろうとするが、ボールを受け取った翼は最前線にいるFW陣にパスを出した。
「決めろ2人共!」
翼のロングパスを受け取った来夏は、そのまま桜咲と共に『春雷』を打ち出した。
「行くよ桜咲!」
「任せろ!春雷!」
「グラビティデザート!」
陣内が『グラビティデザート』で対抗したが、準決勝の時と同様紫電の一閃が砂嵐を吹き飛ばし、ゴールネットを貫いた。
「よっしゃー!ますは1点!」
「この調子でどんどん点を取っていくよ!」
先制点を決めて喜ぶ桜咲と来夏。
対する元北陽側も、1点取られたが焦りはまだ見せない。
「やるじゃん。でも、勝負はこれからだぜ」
「空宮、あれを使うか?」
「はい、試合が再開したらお願いします」
何かしらの作戦を立てており、頷き合う品乃と空宮。
試合が再開した瞬間、元北陽選手は一斉に動き出した。
「こ、これって・・・!?」
「こいつら、俺たちのブロック・ザ・キーマンを翼に使ってやがる・・・!」
翼の周りに3人の選手がマークに付き、彼を封じる。
エース封じ。準決勝の時にこちらが使用した戦法をやり返されて、焦る南雲原イレブン。
「エースを封じた今、ここが攻め時だ!行くぜ!」
勢いのまま空宮を中心に攻める。
思わずたじろぐ南雲原イレブンに、翼が大声で喝を入れる。
「慌てるな!俺にマークが付いている今、数ではこっちが有利だ!相手の動きをよく見て止めるんだ!」
翼の喝に我に返った選手たちは、相手を止めようと奮闘する。
しかし、僅かの間生まれた隙をついて、空宮たちは次々と突破していき、ゴール前まで辿り着いた。
「サンシャインブレード!」
またもや『サンシャインブレード』を打つ空宮。未理科を上手くゴール前から引き離したので、今度はシュートブロックできる選手はいない・・・そう思っていた。
「幕下!」
「任せろ!オラオラ四股踏み!」
未理科の代わりに幕下がゴール前におり、彼のディフェンス技『オラオラ四股踏み』でまたもやブロックされる。
巨大な足がシュートを押し潰し、それでも止まらなかったが、先程同様威力が弱まったので、四川堂に楽々キャッチされた。
「うっ!こいつもシュートブロック技を持ってるのかよ・・・!」
シュートブロック技持ちが2人もいた事実に、苦い顔を浮かべる空宮。
「・・・幕下君と雨道さんをゴール前に置いたのは、シュートブロックで空宮君のサンシャインブレードのパワーを減らすため。威力が弱まった状態なら四川堂先輩の氷結の舞で止められる」
その光景を向こうチームのベンチで見てた雲明が翼の戦術を理解した様子で頷いていた。
その後、試合は南雲原のペースで進んでいた。
「ソジ君!相手を突破して、柳生先輩にパスを出すんだ!」
「よし!分身フェイント!」
木曽路はドリブル技で相手を突破して柳生にパスを出す。
パスを受けた柳生がドリブルで攻めるが、騎士部が柳生を止めようとする。
「行かせません!」
「悪いがそれは無理だ。スーパーエラシコ!」
「なっ!?」
柳生もドリブル技を使用して、騎士部を突破した。
「こいつら、準決勝の時よりも実力が上がってるのか・・・!?」
南雲原の成長に戸惑いながらも、空宮が柳生からボールを奪う。
「このまま一気に攻めて――」
「させないよ!」
「うわっ!」
しかし、直後に妖士乃のスライディングでボールを奪われてしまう。
転んでしまい、どうにか立ち上がろうとする空宮の前に翼がやって来た。
「信じられないかい?自分たちが今、押されていることに?」
「お前・・・!」
翼の言葉に悔しさを滲ませる空宮。
格下だと思っていた相手に追い詰められ、空宮のプライドは傷をつけられていた。
そんな空宮に、翼は真剣な表情で伝える。
「君たちは昨日、南雲原が北陽に勝てたのは、雲明君の指示や俺の力のおかげだと言った。でも、今彼らは雲明君の戦術に頼らず、俺が封じられた状態でも、俺のゲームメイク通りのプレイをして、君たちを追い詰めている」
「・・・何が言いたいんだよ?」
「準決勝で君たちが負けたのは、雲明君や俺の力のせいじゃない。単純に、実力の差だ」
「なにぃ・・・!?」
翼の言葉が空宮の胸を突いた。
彼は怒りとも屈辱ともつかない感情に襲われたが、その間にも南雲原は攻めており、空宮は気持ちを落ち着かせてチームに指示を出す。
「くっ、あの2人をフリーにさせるな!」
現状向こうのチームが点を決めれるのは、桜咲と来夏の連携必殺技『春雷』のみであり、彼らに『春雷』を打たせまいと仲間に指示を出す。
しかし、その思惑とは裏腹に、現在ボールを持っている柳生に向けて、翼が出した指示はシュートだった。
「そのままシュートしてください!」
「任せろ!天空サンダー!」
翼の指示に従い、柳生はボールを蹴り上げて『天空サンダー』を打つ。
雷を纏ったボールがゴールに迫る。
「舐めるな!この程度、グラビティデザートで止めて――」
陣内が『グラビティデザート』を発動しようとした瞬間、ボールは軌道を変えてゴールから左の方に寄った。
「外した!」
「違う!これは・・・!」
品乃を言葉を否定しながら空宮はその光景を見て驚愕する。
軌道を変えたボールの先には、マークされていた翼が彼らの身長を超えるほどの飛躍を見せた。
彼の凄まじいジャンプに、マークしてた選手たちは見上げることしかできない。
「いっけー!」
『天空サンダー』の軌道に合わせて、タイミング良く蹴られたオーバーヘッドのシュートが放たれる。
咄嗟のことで陣内は『グラビティデザート』を出す暇も無く、慌てて伸ばした手も虚しくボールはゴールの右隅に入った。
「よし!」
「ナイスシュートだ翼!」
「柳生先輩の咄嗟の判断のおかげです」
「フッ、ゴール前に翼が走ってたのが見えたからな。それに、お前なら決めてくれるって信じてたぜ」
そう言って、2人が笑顔でハイタッチしたところで前半が終わった。
2対0、準決勝の時とは違い、南雲原が2点リードした状態で前半を終えるのであった。
今日の『燃えてヒーロー』:青空翼、空宮征
最初の方にロベルトに並ぶ有名なグラサンが登場しました。この世界でも彼は日本サッカーのため日々選手たちを裏から支えております。
今後の展開のため、元北陽が一方的に押される展開になりました。北陽ファンの皆さん、申し訳ございません。前半は雲明の指示を受けてない状態で戦ってたので、後半一矢報いる予定です。
アンケートを更新しました。内容は「南雲原
※アンケート前のままでした。改めて更新したのでご回答頂けると幸いです。
南雲原黄金コンビと言えば?
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翼×桜咲
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翼×来夏
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翼×木曽路
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翼×四川堂
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翼×亀雄
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翼×柳生
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翼×空宮