深海で生まれたココロ   作:ほがみ(Hogami)⛩

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参 平和ナ時

心地の良い波の音と風がワタシの肌を触ってどこかへ流れて行く。

本日の天気は快晴。F島北方は遠くの島まで見えそうなくらい綺麗だ

今日のワタシはレ級に色々教えようと思う。ワタシが任務に行ってもお腹が空かないように

人ではない深海棲艦はお腹が空かないのでは?いや、深海棲艦とて人の形をしている。エンジンに燃料が必要なようにワタシタチにも食べ物は必須。大型艦になればなるほどその必要量は増えていく

戦艦であるレ級は、ワタシよりも食べる。それも倍近く

 

「レ!レ〜〜♪」

 

両手に零れそうなほど採取してきた貝を抱えて走ってくるレ級

目を輝かせながら子供のように見つめてきた

ワタシはレ級の頭を感謝を込めて撫でてあげる。どうやらレ級は褒められて伸びるタイプらしい

 

「シワケ…ヨクミテテ」

 

ワタシはレ級が持ってきた貝を食べられるものとそうでは無いものに捌く。毒性のものを食べてはお腹を壊してしまう。何故そんなことがわかるのかと?…経験者は語るというものだ

ガソリンエンジンに軽油を入れると壊れるように、体に合わないものを摂取すると小破する。

ただ、食べられないものでも使い道はある。魚がその貝を食べるのだ。つまりは餌として使うことができる。それも含めてレ級には教えてあげたい

 

「コレ…タベルトオイシイ。コッチハ、ゴウチン」

「レレレ……」

「タベルニハ…チョウリシナキャ。コノキハ、トテモモエル」

 

火がついたら細い木を入れつつ、大きい木を焚べて消えないように火を入れる。火が安定してきたら、次は調理の番だ

漂流物から空き缶や鍋に代用できるようなものを探し出して水を入れる。最悪代用できるものがなくとも、木の樹皮を剥いで鍋みたいに形作れば代用できる

 

「ホントウハ、マミズガイイ…コンカイハショウリャク」

 

海水を入れた鍋を火にかけ、食べられる貝を煮ておく。レ級は今の状態でも美味しそう…とヨダレを垂らすが、まだ食べられないよと教えると、少しガッカリそうな顔を浮かべた

貝は砂などを溜め込む種類もいる。砂を吐き出させないと、ジャリジャリするのだ。ただ、煮込みすぎは味を悪くしてしまう。程々で辞めること

貝を煮込みながら、今度は釣りのことを教えよう

 

基地の中にある釣竿を持ってきてレ級にレクチャーを始める

釣り針に取ってきた食べられない貝を付け、重りを糸に結ぶ。そして海に投げ込む!

 

「レ〜〜〜♪」

 

楽しそうに投げ込むレ級だったが、少し経つと頭に?の文字が浮かぶ

 

「ソンナ二…スグニハツレナイ。マツコトガダイジ」

「レー…」

 

だがその時はすぐに来た

レ級が持つ竿がいきなりしなり始めた。糸がピンと張り海面へと一直線に結ばれた。だが魚もただ釣られる訳には行かない。あっちへ行きこっちへ行きと暴れ狂うのだ。

レ級も負けじと格闘を始めるも、少し厳しそう。ワタシはレ級の後ろへと周り、レ級を包むように後ろから竿を持った

 

「イッショニ…ツロウ。レ級」

「レ!!!!」

 

共に力を合わせ、竿を上げるとみるみるうちに魚が水面へと上がって、やがて宙へと舞った。ワタシタチは、釣り上げた衝撃でそのまま後ろに倒れ、魚は近くに落ちてピチピチと音を立てていた

ーなんだか心がポカポカすると同時に、笑いが込み上げてくる。ワタシタチは青い空と向かい合い大の字で笑い合った。やはり一人でいるより、誰かと居た方が楽しい

さて…釣り上げたのは約40cm程の黒鯛だ。黒鯛の食べ方は様々。半身は干物に、もう半身は刺身でも貝鍋に入れるのもいい

レ級は自らがとった黒鯛の頭と尾を持ち、天に掲げて喜んでいた

ワタシは処理をした後、鍋に半身を入れ、もう半身を干物にと下処理をして海水に付けておく。あとで水気を取って1晩吊るしておけば干物が出来上がる

鍋に入れた半身に火が通ったことを確認した後、ふたりでご飯を食べた

 

「レ~~♪」

 

その後、眠くなったのかレ級は欠伸をしながらワタシにもたれかかってきたため、そのままレ級に添い寝をしてあげる。

幸せそうな顔をしながらヨダレを垂らすレ級は、実に平和そのものだった。深海棲艦は戦うために生まれてきている。だが、このような平和な道があっても良いとワタシは考えている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤城side

A島鎮守府 作戦会議室

 

私は作戦会議室にてF島の地図を広げながら一人で考えていた

あの一件以来、例の艦載機は目撃されていない。

単なるまぐれなのか、それとも既に轟沈したのか

複数の調査隊の結果を合わせて絞ってみるものの、私が調査したF島南方以外見当たらない。もしかしたらそこを警戒している部隊がいて、そこに属しているのかもー

―とその時、突然扉が開き、加賀が呆れたような顔で入室してきた

 

「…またここに居たんですか。例の艦載機が気になるのは分かりますが、敵はあくまでも敵です。F島奪還のために余計な感情は入れない方が良いかと」

「私も分かってます。ですが、気になるんです。何故見逃してくれたのか…あの深海棲艦だけは別なんじゃないかって」

「…赤城さん」

 

加賀は相変わらずの表情でこちらを見ている

彼女の言いたいことはわかる。そして、彼女がその意見を簡単には変えないこともわかっている。彼女にとって敵は敵。倒すべき敵は話し合いで何とかできることではない。これまでもそうだったから

 

「…この群生諸島の要であるF島は必ず"私たち"の手で奪還しなくてはなりません。そうしなければ、彼女に顔を向けることは…」

「えぇ―私達がやらなければならないこと…ですからね…」

 

瞳を閉じればあの光景が目に浮かんでくる

深海棲艦の襲撃によって燃える大地。空は艦載機が飛び交い、急襲された私たちは最低限の武器しか持ち出せなかった

私は怪我を負った提督を背負い、加賀と共に必死に逃げていた時―私は迫り来る艦載機に追いつかれそうになった。だけどそんな時に彼女がかばって助けてくれた。そして被弾した体を隠しながら「ここは任せてください」と笑顔で言う

―それが彼女の最後の姿だった。F島は群生諸島攻略の要であるだけでなく、私たちにとって絶対に取り返さなくてはならない悲願の地

 

「だけど…今決戦を決行するには、準備が足りない。全艦隊の訓練と再編成を考える必要がありそうですね…」

 

F島本島にいる深海棲艦の総数と艦種が判らない以上、むやみに手が出せない。

せめて…あの艦載機と再び出会えたのなら――――




艦これ本家のとある海域で永遠にボスマスに行けないなーってこの間萎えてたんですけど、初めて攻略サイトみたら「空母がいるとボスマスいけないよ。」って初見でわかるかぁ?!?!?!
あと戦艦と空母系を育てすぎて駆逐艦やら重巡全然育たないんだがぁぁぁ!!!
という愚痴(?)でした。今のA島鎮守府はこういう状態なのかもしれません。
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