「…レ級――――レ級――――!!!」
暗い暗い深海を進んでくレ級の背をワタシは必死に追いかける。
だがその背がワタシの手に触れることはなく、さらに深く沈んでいく
―ダメだ。その先に行ってしまっては。
必死に必死にその背を、その手を掴もうとしても。ワタシは進むことができない。
「レ級!!!!」
ワタシは勢いよく目覚め、手が空を切る
洞穴の冷たい天井から滴る水滴がワタシの頬に落ちてきた
レ級がこの手を離れてからというもの、この夢を毎晩見る。いや深海棲艦が夢を見ること自体異常なのだが、ワタシは普通では無い。だからこれも受け入れてしまった
今から3日前―彼女が任務に行ってから既に1週間程のことだった。
未だ彼女は帰ってこない。普通、警戒任務などは数日のうちに燃料補給等で帰ってくるものだ。不安で不安で仕方ない。まさかの場合など考えたくもない
無事に帰ってくる。帰ってきてその笑顔を見せて。早く帰ってこなければ、レ級の干物が腐ってしまう
その時、どこかの艦隊が帰投することを告げる音が外から聞こえてきた
現在任務で帰投してないのは、レ級の艦隊の南方警備隊だけ
ワタシは急いで立ち上がり、港の方へと急ぐ。不安を感じる心を浮足立つ足で追い越す
「レ級!!!」
ガラッと舞台が揃う部屋の扉を開け、レ級を探した
だが、そこにレ級の姿はなかった。旗艦のチ級に聞いても、レ級は轟沈したというだけ。納得いかないワタシは、飛行場姫に探索の願いを進言するも、「アキラメロ。レ級ハゴウチンシタノダ」と取り合ってくれない
普通ならば轟沈したとしても、探索はするはず。最初は行方不明として処理され、その後の調査で轟沈認定。しかし今回の件はその調査がない。納得のいかないまま、ワタシは秘密基地でモヤモヤする心を抑えながら海を眺めていた
出撃しようにも、飛行場姫から一時的に休めとの命令がでた。あまりにもレ級のことを関わりすぎたからだろうか
またぼんやりと日が沈み、やがて夜になってしまった
海風が干物を揺らし、ワタシの涙を乾かす
(レ級ハ…ホントウニ…?)
ー悲しくなる。
涙で心が溢れそうな程に
深海棲艦が感じることのないキモチは、誰にも明かせない。否、明かしても理解されないのだ
そんな時、声が聞こえてきた。ついこの間―出撃中に聞こえた声と同じ声が
『大丈夫。貴女の気持ちはわかるよ』
背中から包み込むかのようなその声にワタシは安心する
誰かも分からないこえだが、その声はワタシにとって暖かいものだった
「ワカラナイ…ワタシハ…ドウシタライイノカ…」
『大切なんだよね。なら、探しに行こう?今なら誰にも見つからずに行ける』
「デモヤセンハ…ニガテ」
すると声はワタシが先導するから。とワタシはその声に手を引かれるように秘密基地から港の方へ。そして一応の装甲と艦載機を揃え、水面に足をつけた。
ワタシは少し緊張していたが、声が大丈夫だよ。と励ましてくれる。
基本的に深海棲艦は夜夜戦部隊以外活動をしない。大きな音さえ出さなければバレないはずだと、ゆっくりと抜錨した
F島近海 南部警備隊警戒地域
声に従いながらワタシは進んでいくと、見事に誰にも会わずにレ級が活動していた場所まで来ることができた
声には感謝しかない。だが、ここに来た途端、彼女は何も話さなくなってしまった。ここからは自分で見つけろということだろうか
「スゥ…――レ級〜!!レ級〜〜?!」
声は虚しく水平線の向こう側へと消えていく。
艦載機を飛ばすのはどうだろうかと。考えては見たものの、ここは彼女たち艦娘の警戒地域でもある。部隊編成されている彼女たちに見つかれば、ワタシに勝ち目はない
だが…目視で見つけるのは無理そう。やむを得ない。最低限の艦載機で四方に散らばせよう
「…タノンダヨ」
ワタシは目を瞑り、艦載機からの情報を得ることに集中する。
…北側―反応なし
…西側―も反応なし
…東側はどうだろうか―残念ながら反応なし
…と、南側の艦載機に反応があった。とうやら何かを見つけたみたい。ワタシは他の艦載機を回収要請を出し、南側にいる艦載機の目でその情報をみる
くらい夜の海
明かりは月の光程度。波はそんなに高くない。だけどそんな海の中に、ひとつの白い異物が浮かんでいた
「―!コレハ―!!!」
ワタシは全速力でその異物があるポイントまで進む。
それは、真っ白なワタシの艦載機だった。しかし妙だ。ワタシは出撃時、艦載機を落とされたことはない。上手く戦闘を回避していたから
1つの可能性として、ワタシ以外の真っ白な深海棲艦の艦載機の可能性。だが、それはすぐに否定できる。
この海域は、F島深海棲艦の管理区域。他の島の深海棲艦が来るはずがないし、それにこれより南は艦娘の支配領域。他島深海棲艦はこの海域にすることはないだろうから
「…アッタ。コレダ…」
ワタシはゆらゆらと浮かぶ白い艦載機を拾い上げ、艦載機とリンクを始める。ワタシ由来の艦載機であれば、艦載機とリンクし、見た記憶や聞いた事がわかるのだ
もしそうなのであれば…
しかし妙なかんじだ。傷がない。炎上した形跡もない…
―ものの数秒でワタシと艦載機はリンクした。それが意味するのはワタシが唯一ワタシの手元になかった艦載機。そう。レ級に渡したものだった
傷のない艦載機が落ちているということは、つまりは…
「レ級ハ…ホントウニ―――」
群れている蜂の女王が死ぬと、統率を失う働き蜂のように、艦載機も墜落する。それはレ級が轟沈してしまったことを暗示しているのだ
「レ級…ソンナ…」
冷たく悲しい事実がワタシの心を蝕み、思わず涙が溢れ出てしまう
ワタシは胸にその艦載機を抱きしめながら崩れ落ちてしまった
理想とは遠い現実。レ級はもう戻ってこない。再びレ級が現れてもそれは別のレ級だから
くらい月夜の海の中心に1人すすり泣く
しかし突如声がかけられた
「なんで泣いてるの?」
振り返れば、そこに居たのは灯りを灯す以前艦載機で見た金髪の駆逐艦がいた
話が進んできました。
艦これアーケードやりたいなーとか思うけど、まだやってます??ゲーセン行かないので情報ないんですよね