東方創想録   作:Mrコッコ

22 / 40
【最終調整】

八方屋の窓から差し込む太陽の光が、写真と布を柔らかく照らしていた。伊万里の心は今までになく安らかで確かだった——その頃、妖怪の山の麓の智代子の拠点では、多くの面々が集まり、最終的な準備が進められていた。

虹色の壁で囲まれた陣の中心には、智代子が立っていた。彼女の周りには、紫、星熊勇儀、蓬莱山輝夜、鈴仙・優曇華院・イナバ、チルノ、レミリア・スカーレット、フランドール・スカーレット、パチュリー・ノーレッジ、アリス・マーガトロイド、伊吹萃香がそれぞれの場所に立ち、陣の装置を調整していた。

「弾幕発射装置の出力、もう少し上げるわ」智代子は手に虹色の結晶を握り、陣の地面に埋められた石を照らした。「明後日には、この陣から幻想郷全体に虹色の光を広げるの。均衡を崩して、新しい世界を作り上げるの」勇儀は拳を打ち付けて、ハキハキと言った。「俺はお前の決意を信じてる。もし霊夢たちが来たら、一気に打ち破ってしまえばいいんだ」

「それはそうだけど、伊万里くんが来る可能性も考えておかなきゃ」

紫は扇子を開けて微笑み、「彼は今、お前に伝える言葉を確かめてるんだよ。少しは耳を傾ける気はないの?」智代子の表情が一瞬柔らかくなったが、すぐに元に戻った。「耳は傾ける。だけど、計画は変えない。これが私の『自由』だから」その時、チルノが氷の弾幕を打ち出して装置を確認し、「智代子さん! 氷の弾幕がスムーズに流れるよ! 明後日には大きな氷壁で敵を食い止めちゃうぞ!」と叫んだ。

レミリアは城のような眼差しで周囲を見渡し、「紅魔館のメンバーは全員、ここに集まってる。お前の計画が成功すれば、紅魔館も新しい世界で輝ける。失敗すれば… それも運命だ」アリスは人形を操って装置の細かい部分を調整し、「私は人形たちと一緒に戦う。だけど… 伊万里くんには傷つけたくないの。彼は本気でお前を救いたいんだよ」

智代子はアリスの言葉を聞いて、虹色のリボンを撫でた。「…私も知ってる。だからこそ、最後まで話し合わせる。けれど… 結論は変わらない」

輝夜は鈴仙の隣に立ち、「蓬莱の人間は永遠を見つめてる。お前の計画は永遠を変える可能性がある。それが気になって来たんだ」

一日中、拠点では最終調整が続いた。虹色の光が陣全体を包み、各々の力が一つにまとまっていくのを感じさせた。5日後の決着に向けて、智代子たちの準備もまもなく完成しようとしていた——

その晩、智代子は陣の外に出て、八方屋の方向を見つめた。低く呟いた言葉は、風に消されて誰にも届かなかったが、その中には伊万里への想いと、自分の決意が混ざり合っていた。

「あの子に… 最後まで話してもらうわ」少しして、智代子は唇を動かし、ハキハキと言った。その声には悲しみが混ざっていたが、それよりも一層強い意志が貫かれていた。

「自由な幻想郷をつくる、ただそれだけ」

「自由… それは何だと思ってるの?」紫は扇子で口元を隠し、問いかけた

。「幻想郷は既に、外界にはない自由を持ってるんじゃないの?」

「それはお前たちの自由だけよ」智代子は空を見上げ、虹色の眼に月の光が映った。

「人間も妖怪も、種族の壁を越えて、誰もが自分のままで生きられる世界… それが私の求める自由なの。今の幻想郷には、まだそれがない」勇儀は大きな声で言った。

「お前の想いは分かる。俺たち鬼族も、昔は人間と戦い続けてた。その壁を壊す世界が来るのなら、俺は全力で支える!」

チルノが智代子の後ろに回り、氷の杖を振って言った。

「アタイも助ける! 自由な世界で、いつでも氷を作って遊べるんだもん!

智代子は周囲の者たちの声を聞いて、一瞬だけ微笑んだ。その微笑みには悲しみも意志も混ざっていた。

「ありがとう。この計画が成功すれば、みんながそんな世界で生きられる… ただそれだけのために」妖怪の山の風が彼女の髪をなびかせ、虹色の光が陣の壁から広がっていた。智代子の悲しげな顔と強い意志が、明後日の決着に向けて、幻想郷の空に一層重い空気を生み出していた——

場面が変わり、八方屋の工作場では伊万里が小型弾幕発生機の最終調整に没頭していた。工具の音がカタカタと響く中、幻子がドアをノックして入ってきた。

「伊万里くん、お忙しいのにすみません」幻子は工作場の片隅に立ち、ハキハキと言った。

「君が決めたことにはとやかく言うことじゃないのは分かってる。だけど、討伐視野って非常に穏やかではない方法と思うの」伊万里はレバーを少し動かし、発射口から金色の弾幕を細く打ち出して軌道を確認しながら答えた。「そうだな。だが、俺は俺なりにやらなくてはならないことをするまで、智代子はおそらく考えは改める気は無さそう。このままなら…」その言葉の裏には、八方屋で蘇った幼い記憶が影を落としていた。幻子は彼の姿を見つめ、少し柔らかい声で言った。

「君の『俺なりにやること』… それは、彼女の心に届けることだよね? 討伐は最後の最後の手段でしょ?」

伊万里は弾幕発生機を置き、手に陰陽玉を握りしめた。「そうだ。絶対にそうだ。だから今、この武器を調整してるのは、彼女を傷つけるためじゃなく、彼女を守るためにも使えるようにするためだ。均衡の力で彼女の波動を抑え、言葉を届けられるように…」

その時、魔理沙が窓から頭を出して叫んだ。

「おー、伊万里! 準備はどうだ? 私もミニ八卦炉の最終調整が終わったよ。明後日は、お前を全力で支えるから!」伊万里は魔理沙に向かって少し微笑み、再び弾幕発生機に手をかけた。

「分かった。ありがとう」工作場の明かりが金色の弾幕と陰陽玉の光を混ぜ合わせ、伊万里の決意は一層確かなものになっていた。明後日、妖怪の山の麓で智代子に向かって踏み出す瞬間を見据え、彼は最後の調整に没頭し続けた——

「それに今回は操られた者だけじゃなそうだな。おそらく自分の意思で智代子側についてるやつ、或いは智代子の能力の影響は多少受けてるが敢えて完全に操られてるフリをしてるものも多分いるな」

幻子は目を少し見開き、「そ、そうなの?」と尋ねた。「智代子さんの能力で誰もが操られてると思ってたんだけど…」

「均衡の石を通して彼女の波動を感じ取ったら分かるんだ」伊万里は発射機の螺子を締めながら続けた。

「彼女の波動には『自由を求める思い』が強く含まれている。それが同じ想いを持つ者たちの心に響いて、自発的についていくんだろう。あとは… 例えば紫さんみたいなやつは、きっと能力の影響なんて受けてないで、ただ智代子の決意を見守りたいからそばにいるんだろうな」魔理沙が窓から完全に入ってきて、ミニ八卦炉を机に置いた。「おお、それは鋭い察しだな! 俺も紅魔館のパチュリーが『智代子の想いに共感する部分がある』って話してたよ。完全に操られてるわけじゃないんだ」

「だからこそ、単に打ち破るだけじゃ解決しないんだ」伊万里は弾幕発生機を立てかけ、胸を張った。「彼らの想いも聞かなければ。智代子の計画の裏には、みんなの『自由』への願いが隠れているんだ。それを見抜いて、初めて真の解決につながるんだ」工作場の空気が一層明るくなり、単なる「討伐」ではなく「理解」を目指す決意が満ち始めた。明後日の決着に向けて、伊万里は智代子だけでなく、彼女の側に立つ全ての者たちの心に届ける準備をしていた——彼は工作場の机に並べられた道具を手に取り、霊夢から教えてもらった陰陽玉の模倣品と複製封魔針の手入れを始めた。指先で細かい螺子を締め、輝きを失っていた部分を布で丁寧に拭き上げる——それぞれの道具には、「守る」と「届ける」という二つの思いが込められていた。

「模倣品だけど、霊夢さんの教え方通りに使えば、本物と同じように力を発揮するはずだ」伊万里は陰陽玉を手に上げ、光を確かめながらハキハキと言った。

「2日後は必ず智代子の計画を止める。何としてでも勝つ… 勝つってのは、戦いに勝つことじゃなく、彼女の心に勝つことだけど」

魔理沙が彼の横に座り、ミニ八卦炉の手入れをしながら言う。「おお、それが男前だな! 俺も君と一緒に勝つよ——君が言葉で届けるまで、絶対に弾幕で守ってるから!」幻子は工作場の角から覗き込み、柔らかい声で応援した。「伊万里くん、きっとできると思います。智代子さんにも、君の思いが届くと…」伊万里は陰陽玉を胸に抱え、明後日の妖怪の山の麓を想像した。虹色の陣の中に立つ智代子の姿、彼女の悲しげだった顔と強い意志… その全てを受け止め、言葉で結びつけるために——

「準備は、もう全部終わった」彼は背中の弾幕発生機、胸の陰陽玉、腰の封魔針を確認し、立ち上がった。八方屋の外には夕暮れの光が広がっており、明日の集結、そして明後日の決着へと、時間は刻一刻と迫っていた。それでも伊万里の歩みは安定しており、その足取りには誰にも動かせない確信が宿っていた。場面が変わり、妖怪の山の麓の智代子の拠点では、虹色の陣の調整が最終段階に入っていた。その時、陣の入口から新たな面々が歩み入ってきて、周囲の者たちの視線を集めた。

「智代子さん、遅れました!」声を上げたのは、緑のボブヘアをして白い服を着た虫妖怪のリグル・ナイトバグ。彼女の隣には、赤紫い羽根を持つ鳥妖怪のミスティア・ローレライが立っていた。

智代子は虹色の結晶を手に取り、二人に向かって微笑んだ。

「リグルちゃん、ミスティアちゃん? なんでここまで来てくれたの?」

「人里で智代子さんの計画を聞いたの!」リグルは羽を軽く羽ばたかせ、ハキハキと言った。

「誰もが自由に生きられる世界… それは虫たちにもいい世界だと思うの! 私たちも力を貸したいです!」ミスティアは口ぶえを少し鳴らし、続けた。

「私も同じ。歌を自由に歌える世界が来るのなら、何でもするよ。智代子さんの側で戦うよ!」

紫が扇子を開けて笑い、「おや、新しい仲間が増えたわね。これで陣の守りも一層強くなるわ」勇儀は大きな声で言った。

「いいぞ! 虫も鳥も、みんなの力が合わせれば、どんな敵にも勝てる!」智代子は二人の姿を見つめ、虹色の眼に温もりが浮かんだ。

「ありがとう。本当にありがとう。この計画が成功すれば、みんなが自由に羽ばたける世界を作るから… 一緒に頑張ろうね」リグルとミスティアは頷き、陣の壁の近くに立って守りの準備を始めた。リグルは細かい虫たちを放ち、陣の周囲を監視させる。ミスティアは歌を口ずさみ、弾幕の軌道を調整する力を与え始めた。夕暮れの光が妖怪の山を染め、虹色の陣は新たな仲間の力を受けて一層輝き始めた。明後日の決着に向けて、智代子たちの力はますます強まっていき、幻想郷全体に迫る空気は一層重くなっていた——夕暮れの光が妖怪の山を染め、虹色の陣はリグルとミスティアの力を受けて一層輝き始めた。その時、陣の入口からまた新たな足音が聞こえてきて——

「智代子さん、許可を得ずに来ちゃいましたが…」

先頭に立つのは、大きな琵琶を抱えた九十九弁々。彼女の後ろには、光の弦で作られた琴を持つ九十九八橋、太鼓を肩に担いだ堀川雷鼓が続いていた。三人の姿が現れると、陣の中には清らかな音の波動が広がった。

智代子は驚いたように目を見開き、「弁々さん、八橋さん、雷鼓さん… なぜここに?」

弁々は琵琶の弦を軽く弾き、柔らかな声で言った。

「人里で流れていた歌から、智代子さんの想いを感じました。『自由な世界』… 音楽は誰の心にも届くはずですが、今の幻想郷には、そんな自由な音がまだ足りないと思いました」

八橋が光の琴を撫で、続けた。

「私たちの音楽は、心をつなぎ、力を合わせる力があります。智代子さんの計画を支えるために、この音を捧げます」

 

雷鼓は太鼓を手に取り、カタッと音を立てるとハキハキと笑った。

「そうだよ! 太鼓の音でみんなの気持ちを一つにしちゃおう! 明後日の決着まで、全力で音を鳴らすから!」

紫は扇子で頬を打ち、「おやおや、音楽の妖怪たちも集まったわね。これで陣には視覚だけでなく、聴覚まで支配する力が生まれるわ」智代子は三人を見つめ、虹色のリボンが風になびいているのにも気づかず。悲しげな顔が少し緩み、真剣な表情で答えた。

「ありがとう… 本当に、ありがとうございます。この陣に君たちの音が満ちるなら… みんなの想いが一層強く伝わるはずだ」

その瞬間、弁々が琵琶を弾き始め、八橋が琴の音を重ね、雷鼓が太鼓を鳴らした。清らかで力強い音楽が虹色の陣全体に包まれ、周囲の妖怪たちの気持ちが一つにまとまり始めた。リグルの虫たちが音に合わせて舞い、ミスティアの歌が音楽に溶け込んで——夕暮れの空は虹色と音の光で満たされ、明後日の決着に向けて智代子たちの力はかつてないほど強まっていた。幻想郷の均衡は、その音楽と光によって一層揺るがされ、誰にも予測できない展開が近づいているのを感じさせた——まずは蝶の羽が背中に生えた妖精のエタニティ・ラルバが舞い降りてきた。彼女の羽は七色に輝き、陣の空に美しい軌道を描きながら智代子の前に止まった。

「智代子さん、私も来ちゃいました!」ラルバは羽を軽く羽ばたかせ、笑顔で言った。「蝶は変化の象徴だよね? 新しい世界になるなら、私の蝶たちも一緒に変わるのを見たいの! 力は小さいけど、蝶たちで敵の視界を遮ったり、メッセージを運んだりできるから!」

智代子はラルバの羽を見つめ、柔らかく頷いた。「蝶の変化… それは私の計画に似てるわね。ありがとう、ラルバくん」

その時、陣の入口から金髪のロングヘアをなびかせながら、摩多羅隠岐奈が悠然と入ってきた。彼女の姿が現れると、周囲の音楽が一時的に静まり、重い空気が広がった——誰もが彼女の存在を知っていたからだ。

「隠岐奈さん… なぜここに?」紫も扇子の動きを止め、少し驚いた声で問いかけた。隠岐奈は杖を地面に突きつけ、優雅な笑顔を浮かべた。

「幻想郷の『裏』から、ここの波動が強く伝わってきたのよ。『自由な世界』を作る計画… それは裏の世界からも興味深い話だわ。私はただ、この『変化』がどうなるか見守りたいの。もちろん… 必要があれば少しだけ力を貸すことも考えてるわ」智代子は隠岐奈の強大な力を感じながら、真っ直ぐに目を合わせた。

「見守っていてくれるだけでも… ありがとうございます。この計画は、私たち全員の想いで成り立っているのです」隠岐奈は頷き、陣の奥の方に立ち止まった。その瞬間、ラルバの蝶たちが彼女の周りに舞い始め、音楽が再び鳴り始めると、陣の光はさらに鮮やかに輝き出した。

夕暮れが夜に変わり始める中、虹色の陣には妖精から強力な妖怪まで、多様な力が集い続けていた。明後日の決着に向けて、智代子たちの陣は既に幻想郷で最も強力な存在の一つとなり、伊万里たち異変解決組に向けて、かつてない挑戦状を突きつけるように輝いていた——夕暮れが夜に変わり始める中、虹色の陣には妖精から強力な妖怪まで、多様な力が集い続けていた。その時、陣の入口から軽快な足音が聞こえてきて——

面白そうなことをしようとしてると聞いてねぇー、私も混ぜてもらおう!」声を上げたのは、狐耳が生えて微妙に片目を髪で隠した少女、管牧典。彼女は尻尾を軽く左右に振りながら、くすくす笑いながら智代子の前に立った。

智代子は狐耳に目をやり、少し驚きながらも微笑んだ。

「典ちゃん? 前ときはお世話になったね。なんでこんな場所まで来てくれたの?」

「店の客から『妖怪の山で大きな計画が進んでる』って話を聞いちゃったの!」典は狐耳をピクリと動かし、ハキハキと続けた。「面白そうだったから来ちゃったんだよ。何より『自由な世界』って言葉、狐たちにも合ってるし~ 今の幻想郷は、ちょっと面白くないからさ」

紫は扇子で口元を隠し、「おや、人里の狐妖怪まで集まってきたわね。これで陣の情報網も一層広がるわ」

隠岐奈も杖を軽く動かし、「狐は情報を得るのが得意だと聞くわ。明後日のこと、伊万里くんたちの動きも把握できるかもね」典は尻尾を高く上げ、「そうそう! 私、人里中の情報を手に入れられるよ! 伊万里くんたちが何を準備してるか、ちゃんと探り出してきてあげるから~ それで智代子さんの計画が成功するように!」

智代子は典の活発な姿を見つめ、心の中に少しの安心感が湧いた。これまで集まった者たちはそれぞれに強みがあり、典の情報力は明後日の決着にとって大きな助けになるだろう。

「ありがとう、典ちゃん。情報をお願いするわ」

典は大きく頷き、すぐに陣の外に飛び出して情報収集に向かった。その後、ラルバの蝶たちが典の後を追いかけ、音楽の音が再び陣全体を包み始めた。夜の妖怪の山は虹色の光と清らかな音楽で満たされ、智代子たちの力は既に限りなく強まっていた。明後日、伊万里たちがこの陣に挑む時、彼らは想像を絶するほどの力と、多様な想いが集まった壁に直面することになる——典は大きく頷き、すぐに陣の外に飛び出して情報収集に向かった——その時、彼女は一旦足を止め、肩を竦めて腹黒い笑顔を浮かべた。

「もしも、不利になったら逃げるか、或いは伊万里たちに助けを求めればいいし~」

その声は小さく、風に乗せて誰にもはっきりと聞こえないように囁いた。尻尾を軽く巻き上げ、片目を髪から少し覗かせると、彼女はくすくす笑いながら再び足を速めた。

遠くから智代子の姿を見つめた紫は、扇子を少し閉じて低く呟いた。「おや… その管狐の子、思惑が深いわね」隠岐奈は奥の方からその言葉を聞き、優雅な笑顔を浮かべた。「幻想郷の住人は誰しも、自分自身の思いを持って行動するのよ。『自由』ってのは、そういう選択も許すものだからね」

智代子は典の飛び去った方向を見つめ、虹色の眼に少し複雑な光が宿ったが、すぐに元に戻って陣の調整にかかった。「誰が何を思っていようと、この計画は続ける。みんなが集まってくれたことだけは、嬉しいわ」その時、弁々の琵琶の音が一層力強くなり、雷鼓の太鼓が地鳴りのように響いた。ラルバの蝶たちが夜空に舞い、七色の光を撒き散らしていた。典は人里の方向に向かって走り続け、腹黒い笑顔を残しながら心の中で囁いた。

「面白いことが待ってるんだね~ 伊万里くん、智代子さん… どっちが勝つのか、楽しみだわ」

夜が更に深まる中、虹色の陣は依然として輝き続け、明後日の決着に向けて、それぞれの者たちの思惑が交差し始めていた——

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。