東方創想録   作:Mrコッコ

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Stage3【兎と月の姫と鬼】

水鏡の中では、異変解決組が妖怪の山の麓に近づき、最終的な対面へと近づいていた——だがその道の途中、彼らは霧の湖を抜けた後、予期せぬ場所にたどり着いていた。

「…ここは… 迷いの竹林の付近?」伊万里は周囲を見回し、眉をひそめた。地面に生える草の形、竹の並び方… 何かが違うように感じられた。

「妙だな、地形が… 前に来た時とは違う気がするんだ」魔理沙もミニ八卦炉を構えながら周囲を確認した。

「そうだな… 竹の間隔が狭すぎるし、太陽の光がなぜか届いてない。何かが空間を歪めてるんじゃないか?」

レミリアは体を浮かべて高い位置から見下ろし、「フフン、紫が広げてる境界の影響かしら。幻想のエネルギーが流れ込むことで、地形まで変わってしまったのね」その瞬間、竹の間から白い影が一閃し、長い耳を持つ兎が悠然と現れた。彼女は赤い眼を伊万里たちに向け、少し冷たい声で言った。

「ここはここまでだ。智代子さんの命令で、あなたたちを止めることになっているわ」是れ、月の兎・鈴仙・優曇華院・イナバだった。彼女の周囲には、竹の葉が突然舞い上がり、ほのかな紫の光を放っていた——それは境界の歪みと同調するような光だった。

伊万里は一歩前に出て鈴仙を見つめ、「鈴仙さん? 君も智代子さんの側にいるのか… この地形の歪みは、君の能力のせいなのか?」

鈴仙は頭を少し振り、「境界の影響と私の“狂気の眼”が混ざったのよ。ここには迷いの迷路が生まれているから、誰も先に進めない。あなたたちはここで止まって、幻想の世界が完成するのを待つんだわ」竹の音が風に乗って響き、迷いの竹林は一層深く、抜け出せないような雰囲気を醸し出し始めた。異変解決組の前には、兎の姿をした新たな壁が立ちはだかった——その時、竹の間からまた一つの影が現れ、長い髪をなびかせてハキハキと言った。「鈴仙、分かってるんだよね、私たちの目的はあくまでも時間稼ぎだよ」

是れ、永遠亭の主・蓬莱山輝夜だった。伊万里は目を丸くし、ハキハキと言った。「輝夜さんまで…」

「時間稼ぎですか…」妖夢と早苗は互いに目を合わせ、前に出た。早苗はカガミモチを高く掲げ、「霊夢さん、魔理沙さん、伊万里さんは先に進んでください! ここは私たちが守ります!」

妖夢は楼観剣を手に取り、「この二人の相手は…」と途中まで言うと、突然強い炎の風が吹き荒れ、誰かが割って入ってきた。

「おっと、輝夜の相手は私に任せてもらおう」

赤い羽織をまとった藤原妹紅だ。彼女は炎を手のひらに宿し、輝夜に向かって笑った。「久しぶりだな、輝夜。時間稼ぎなんてのはつまらないぜ。俺たちで一発勝負しようじゃないか」

妖夢は妹紅の姿を見て、すぐに決意を固めた。「鈴仙さんの相手は魂魄妖夢が請け負います。早苗さんは伊万里くんたちと先に行ってください!」

早苗は少し迷ったが、周囲の空間が一層歪み始めたのを見て頷いた

「…了解しました。妖夢さん、妹紅さん、お願いします!」

輝夜は妹紅の炎を見つめ、ハキハキと笑った。

「フフン、妹紅が来るとは思わなかったわ。でもいい、時間稼ぎも楽しくできるじゃないか。永遠符“蓬莱の玉の枝”!」鈴仙も狂気の眼を輝かせ、竹の葉を舞い上がらせた。

「妖夢さん、失礼します。狂符“幻覚の竹林”!」瞬く間に、竹林には炎と刃、狂気の光が交わり始めた。妹紅の炎が輝夜の永遠の弾幕を焼き払い、妖夢の楼観剣が鈴仙の幻覚弾幕をはじき返す——二人の戦いが空間の歪みを更に激しくさせながら、白熱していった。

伊万里は二人の背中を見つめ、「早苗、霊夢さん、魔理沙さん、行こう! 妹紅さんたちが買ってくれた時間を無駄にしちゃいけない!」彼らは竹林の迷いをかき分けるように、先の道へと足取りを速めた。背後には炎と刃の光が輝き、竹の音が戦いの鼓動のように響いていた——彼らは竹林の迷いをかき分けるように先の道へと足取りを速め、背後には炎と刃の光が戦いの鼓動のように響いていた——やがて、道は一気にひらけ、予期せぬ光景が目の前に広がった。暗い空の下、赤い石畳が延々と続き、煙を吐く熔接炉のような建物が立ち並んでいた。熱気が肌を刺し、遠くには赤い炎の山が見える——これは明らかに旧地獄の町中を連想させる景色だった。伊万里は周囲を見回し、ハキハキと言った。

「幻想が入り混じってる… 紫さんが広げた境界の影響で、過去の記憶や他の場所の姿が幻想として現れているんだろう。霧が突然立ち昇り、その中から二つの大きな影が緩やかに近づいてきた。一つは巨体に大きな鉄球を担ぐ鬼姫、星熊勇儀。もう一つは小さな体に大きな德利を抱える鬼、伊吹萃香だ。

「ふふっ、やっと来たな、伊万里っちたち」萃香は德利を口元に近づけ、にっこり笑った。

「智代子さんの命令で、ここで君たちを止めることになったんだ。旧地獄の幻想の中で、俺たちと遊んでいこうじゃないか」

勇儀は拳をを地面に叩きつけ、「ドドン」と音を立てさせた。「この旧地獄の景色は、俺たち鬼が昔住んでいた場所の記憶だ。智代子さんが“幻想だけを残す”と言うのは、こういうものを意味しているのかもしれない。でも… 君たちの言葉も聞いてみたいから、全力で戦ってくれ」熱気が一層強まり、赤い石畳から火の粉が舞い上がり始めた。旧地獄の幻想の中で、二匹の鬼が伊万里たちの前に立ちはだかり、力強い弾幕が徐々に展開され始めた——

「鬼たちか…」魔理沙はミニ八卦炉を構え、笑った。

「おお、これは楽しい! 前回の宴会の時から、弾幕合戦したかったんだ!」

伊万里は弾幕発生機を前に出し、胸を張って言った。

「勇儀さん、萃香さん! 幻想は美しいけど、今の世界にも貴方たちの居場所はあるんだ! この戦いでそれを伝えるから!」

赤い炎と金色の光が旧地獄の空で交わり、異変解決組にとって新たな試練が始まった——伊万里は勇儀の鉄球弾幕を避けながら、彼女の眼をしっかりと見つめた。その瞳には虹色の操りの光がなく、昔の宴会で見たような率直な輝きが宿っていた。それを見て彼は確信し、声を上げた。

「萃香さんは操られてるけど、勇儀さんあなたは操られてませんよね!」

勇儀は鉄球を空中で回し、ハキハキと笑った。

「そうだけど、アタシは智代子に勝負で負けたからね。だから、従ってるのさ! 鬼の約束は絶対だよ」その時、萃香が德利を振り上げ、「鬼符“ミッシングパワー”!」と叫び、体を巨大化させて岩などを荒々しく投げ放つ。彼女の眼には明らかに虹色の光が輝いており、動作もいつも以上に荒々しかった。

「萃香! 君は智代子の操りにかかってるんだ!」魔理沙は光弾を連射して岩を撃ち抜き、叫んだ。

「前に一緒に酒を飲んだ時の君は、こんなにキツくなかったぞ!」

勇儀は拳で周囲の火の粉をはじき飛ばし、「アタシは約束を守るから、君たちを止めるけど… 萃香のことは気にかけてる」と低く呟いた。

「智代子の勝負は“一発の弾幕合戦”だった。アタシは負けたから従うけど、君たちがアタシに勝てたら… 約束は解けるはずだ」伊万里は弾幕発生機を調整し、金色の光を一層強く輝かせた。

「勝負か! 了解だ、勇儀さん! 今度は俺が勝って、萃香さんを取り戻し、智代子さんのもとへ行くんだ! 弾符“ゴールデンブラストバースト”!」

彼の声と共に、無数の金色の爆弾弾幕が勇儀に向けて飛び出し、旧地獄の赤い炎と混ざり合って鮮やかな光を放った。勇儀は拳で爆弾を一つ一つはじき返しながら笑った。

「いいぞ、その気概! 鬼の勝負は本気同士だ! 鬼符“怪力乱神”!」伊万里に迫り、空には金色と赤い光が激しく交わり始めた。一方、霊夢と早苗は萃香の投げたものに応戦し、御札と神風で彼女の動きを封じ込もうとしていた——旧地獄の幻想の中で、勝負の約束が繰り広げられていた。

勇儀の拳が炎を纏って迫る中、伊万里は弾幕発生機を一時的に置き去りにし、両腕を前に出してハキハキと言った。

「剛力“来たる乱神の力”!」その瞬間、彼の腕はかなり硬化し、鉄のような光沢を放ち始めた。勇儀は鉄球を地面に叩きつけ、突然体を前に蹴り出し——弾丸のような速さで拳を伊万里に向けて打ち出した。

「ほう、格闘技か! 気に入ったぞ!」伊万里は硬化した腕でその拳を迎え撃ち、「ガシャン!」という驚くべき音と共に、両者の拳がぶっつかり合った。衝撃波が周囲に広がり、赤い石畳がひび割れ、火の粉が四方に飛び散った。

「クハッ… 速い! 力も強い!」伊万里は一歩後ろに引かれながら、再び拳を握り締めた。硬化した腕には少し擦り傷が残ったが、目には輝きが増していた。勇儀も一歩後退し、大きな体を震わせながら笑った。

「おお、これが“乱神の力”か! アタシの拳に遅れない剛力だ! 再来だ!」

彼女はまた弾丸の速さで拳を打ち出し、伊万里も即座に応酬する。「バチバチバチ!」と拳と拳が交わる音が旧地獄の空に響き、衝撃波が竹林の方向まで届きそうな勢いだった

一方、霊夢と早苗は萃香の弾幕を徐々に抑え込み始めていた。 

「萃香さん、勇儀さんと伊万里くんが本気で勝負してるのを見て! 君も本当の自分に戻って!」早苗が神風を起こし、竜巻を吹き返すように叫んだ。伊万里と勇儀の拳は再びぶっつかり合い、今度は両者が足を動かさずに力比べになった。

「伊万里、この力は… 君自身の力なのか!」勇儀の目には驚きと賞賛の光が宿った。

「そうだ! 君たちの言葉や、仲間たちの存在がこの力を生んでるんだ!」伊万里は歯を食いしばり、一層力を込めた。

「今度は俺が勝つ! そして、約束を解き放つ!」

金色と赤い光が拳の接点から一気に広がり、旧地獄の幻想が一時的に歪み始めた——拳と拳の真骨頂が繰り広げられていた。

「勇儀さん、君は強いが俺も負けない!」伊万里は歯を食いしばり、力比べを続ける勇儀の注意を拳の接点に集中させながら、体を一瞬だけ横に滑らせた。硬化したもう一方の拳を腰元に引き寄せ、全身の力を込めて勇儀の腹に一気に打ち込んだ。

「グハッ!」勇儀は大きな体を前に屈め、衝撃で声を漏らした。その瞬間、彼女の拳の力が緩み、伊万里は勢いに乗じてさらに一歩進み、拳を押し込むようにした。

「クハ… なるほど… ここに仕掛けが…!」勇儀は苦しそうな表情を浮かべながらも、すぐに笑い声を上げた。

「おお! それは良い手だ! アタシは勝負に集中しすぎて、周りを見落としちゃったな彼女は手を離し、一歩後ろに引いて体を立て直した。腹に受けたパンチの跡は残っているが、目には以前と同じ率直な輝きが戻っていた。

「アタシは負けた。約束通り、従うのはやめるよ」伊万里も硬化した腕を元に戻し、ほっとため息をついた。「よかった… 勇儀さん、ありがとう。君の強さは本当にすごかった!」

その時、霊夢と早苗が萃香を抑え込み、御札を彼女の周囲に張り巡らせた。

「萃香さん、醒めてください!」霊夢が叫ぶと、御札から紫の光が広がり、萃香の眼にあった虹色の光が徐々に消えた。

「…うわっ… 頭が痛い…」萃香は德利を地面に置き、頭を掻きながら呟いた。

「アタシ… なんでここで戦ってたんだっけ? 伊万里くんたちと… ああ、智代子さんの操りだったのか…」

勇儀は萃香の肩を叩き、「大丈夫か? アタシは伊万里に負けたから、これからは彼らと一緒になるよ」萃香は周囲を見回し、にっこり笑った。

「ふふっ、それならアタシも一緒だ! 智代子さんのことは、みんなで話し合えばいいじゃないか!」旧地獄の幻想は徐々に薄れ、元の地形が見え始めた。異変解決組には鬼たちが新たな仲間として加わり、彼らはいよいよ智代子の本拠地へと、最後の一歩を踏み出す準備ができた——旧地獄の幻想が薄れ、元の地形が見え始める中、妖怪の山の麓にある智代子の本拠地では、彼女が水鏡の前に立ち、鬼たちが伊万里たちと手をつなぐ姿を見つめていた。

「鬼2人が伊万里の味方になったか…」

彼女の声には悲しみはなく、ただ一層の決意が宿っていた。その時、背後から紫の姿が現れ、ハキハキと言った。「どうもこれ以上は拡張はできないね。私の境界を操る力を使ってもここまでのようね」

智代子は水鏡に映る伊万里たちの足取りを見つめ、ハキハキと応えた。「それでも十分だわ。彼らが来るまでに、最後の準備はできる。管狐達は信用ならない、ラルバは扇動役… 使えるのは紫とさとりとお空とアリスのみだな」水鏡には突然、さとり、雲の上のお空、人形使いのアリスの姿が映し出された。彼らは本拠地の入口付近に立ち、智代子のために最後の壁を作る準備をしていた。

「さとりは心を読む力で彼らの動きを見抜き、お空は風の弾幕で包み込み、アリスは人形で絡みつかせる… 紫は最後に境界で一度だけ足を止めさせる」智代子は虹色の結晶を手に取り、その輝きを強めた。

「私はその間に、最後の“幻想の結界”を完成させるわ」紫は隙間から手を伸ばし、水鏡の光を撫でるようにした。「智代子さん、本当にこれでいいの? 伊万里くんたちの言葉は、一度も聞かないの?」智代子は少しだけ顔を向け、虹色の眼に柔らかな光が一閃した。

「聞く時間はないのよ。幻想のみが残る世界が、私たちにとって真の自由だと確信しているから… 紫、お願いするわ。最後まで付いていて」紫は頷き、隙間に消えていった。水鏡の中では、伊万里たちが既に本拠地の入口に近づき、さとりたちの姿が見え始めていた。虹色の陣の光が一層強まり、最終的な対面が刻一刻と近づいていた——

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