東方創想録   作:Mrコッコ

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Stage5【信仰と境界】

空に虹色の光が強まり、最終的な戦いの舞台が広がる中、伊万里たちは智代子の本拠地前まですぐそばに来ていた。

「神の気配1、妖怪1、魔法使い1、そして、智代子がいる」伊万里は周囲の空気を嗅ぐようにして、ハキハキと言った霊夢は御札を手に取り、周囲を警戒しながら答えた。

「しかし、ここまで手札を失っても相手は何も動じないわよね。なんか、保険をかけてるかもね」その瞬間、地面がゴロゴロと鳴り始め、目の前に大きな御柱を担いだ姿が現れた——是れ、守矢神社の神様・八坂神奈子だ。伊万里は神奈子の眼をしっかりと見つめ、すぐに確信した。

「神奈子さん、あなた、少しは操られてるが半分以上は自我を保ってますね」早苗は驚いて伊万里の側に寄りかかり、「伊万里さん、なんでわかるんですか?」と問いかけた

伊万里はハキハキと笑い、答えた。

「だって、目の色が完全に虹色ではないから! 虹色の光が混じってるけど、元の青い眼の色がまだ残ってるんだよ」

神奈子は御柱を地面に叩きつけ、「ドドン」と音を立てさせた。彼女の眼には確かに、虹色の光と青い光が混ざり合って揺れていた。

「…見抜かれたな、伊万里くん。智代子さんの力に少しはかかられているけど、自分の意志でここに立っている」

「なぜですか、神奈子さん!」早苗は祓串を高く掲げ、「守矢神社の信仰を守るために、智代子さんの計画に加わる必要があったのですか?」神奈子は少し頷き、空を見つめた。

「智代子さんは“幻想のみが残る世界”で、守矢神社の信仰が永遠に続くと言ってくれた。半分はその言葉に惑わされ、半分は自分でもその可能性を試してみたかった… 神として、信仰の未来を見つけたかったのだ」伊万里は前に一歩進み、「神奈子さん、信仰は幻想だけで続くものじゃない! 人々の心に根付いてはじめて、真の力になるんだよ。今の幻想郷にも、守矢神社を信じてくれる人はいるじゃないか!」その時、御柱から小さな電光が舞い上がり、神奈子の眼の虹色の光が少し揺れ始めた——神の試練が、今ここに始まった。早苗は祓串を胸元に抱き締め、神奈子に向かってハキハキと言った。

「神奈子様が信仰を重んじるのは分かります、それは大切なことですけど…」

伊万里は彼女の側に並び、続けてハキハキと答えた。

「だからといってすべてが幻想にのみ込ませた世界でそれが成立とは思えない! 信仰ってのは、信じる人が“今ここにいる”からこそ生まれるものだよ」神奈子は御柱を手に取り、電光を纏わせながら低く呟いた。 

「…今ここにいる… それがどれだけ長続きすると言えるのか? 幻想郷も外の世界も、いつかは消えてしまうのだ。その時、信仰も一緒に消えてしまうのでは…」

「消えるからこそ、今の時が大切なんだ!」早苗は一歩前に出て、声を大きくした。

「神奈子様が教えてくれたように、信仰は“つなぐ力”なのです! 私が神奈子様や诹訪子様を信じ、霊夢さんや魔理沙さんが時々神社に来てくれる… そうした小さなつながりが、信仰を支えているのです!」

伊万里は弾幕発生機から柔らかな金色の光を放ち、電光と混ざり合わせた。

「そうだ。幻想だけの世界には、そうしたつながりが生まれない。神奈子さんが求めてるのは、永遠の幻想じゃなくて、そのつながりで育っていく信仰の未来だろう?」神奈子の眼の青い光が徐々に強まり、虹色の光が薄れ始めた。御柱からの電光も穏やかな光に変わり、周囲の空気が柔らかくなっていった。

「…つながり… 育っていく未来… 智代子さんはそんなことを言ってくれなかった…」

「神奈子様、私たちと一緒にその未来を作り上げましょう!」早苗は笑顔を浮かべ、手を伸ばした。

「守矢神社の信仰は、今の幻想郷の中で、確かに生きているのです!」神奈子は御柱を地面に置き、少し猶予した後、早苗の手に向かって手を伸ばし始めた——神の心が、ついに揺れ動き出した。その瞬間、神奈子は手をしっかりと早苗の手に握り、ハキハキと笑い声を上げた。

「そうか、繋がりと信じる心か。確かにな、伊万里、早苗、私の試練は合格だな!」御柱から纏わっていた電光が完全に消え、柔らかな青い光が周囲に広がった。神奈子は御柱を肩に担ぎ直し、伊万里たちに向かって言った。

「智代子さんの言葉に惑わされて、見落としていたことがあった。信仰は“永遠”を求めるものじゃなく、“今”を紡いでいくものだと…」早苗は嬉しそうに目を輝かせ、「神奈子様!」と呼びかけた。

「でもね」神奈子は少し顔を曇らせ、「紫とアリスはまだ智代子さんの側にいる。紫は境界の妖怪だけに、彼女の手は厄介だ。アリスも人形たちを使って本気で阻もうとしてるだろう」伊万里は弾幕発生機を構え、胸を張って言った。

「大丈夫だ! 神奈子さんが仲間になってくれたなら、どんな壁でも越えられる! 紫さんとアリスさんにも、きっと伝わるよ」

その時、空から隙間が開き、紫の姿が浮かび上がった。彼女はハキハキと声を上げた。

「神奈子さんも裏切ったのね。智代子さんの計画を知っているのに…」

「紫さん、智代子さんの想いは分かるけど、幻想だけの世界には自由はない!」伊万里は上を向いて紫に叫んだ。

「境界を広げることで幻想を増やすのはいいけど、外の世界とのつながりを断てば、幻想もただの虚構になってしまうんだ!」空の隙間から浮かび上がった紫の眼に揺れが見え始め、彼女は伊万里の言葉を咀嚼していた——その時、伊万里は上を向き、ハキハキと声を上げた。

「それに紫さん、あなた、本当はそんなに操られてないですね! 目の色が若干虹色だけど、70%は自我保ってますよね!」紫は細長い眼を少し開き、一瞬だけ驚いたような表情を浮かべた。それからすぐに彼女はにっこり笑い、「ふふっ、見抜くのは早いわね、伊万里くん。神奈子さんの時もそうだったけど」彼女は隙間から手を伸ばし、周囲の空気を撫でるようにした。

「智代子さんの力は強いけど、境界の妖怪を完全に操るのはそんなに簡単じゃない。私は自分の意志で、彼女の計画に加わっていたのよ」

「なぜですか、紫さん!」霊夢は御札を手に取り、「幻想郷の境界を守るのは紫の役目じゃないの? なんでそれを広げて幻想に埋め尽くそうとするんだ?」紫は体を隙間から出し、地面に足をつけた。彼女の眼には虹色の光が残っているが、確かに強い自我の輝きが宿っていた。「幻想郷が外の世界に侵されるのを見てきたの。境界を広げて幻想を増やせば、それを防げるのかもしれない… そう思ったのよ」

伊万里は前に一歩進み、「紫さん、境界は“分ける力”だけじゃなく“つなぐ力”でもあるんじゃないか! 幻想郷と外の世界を分けつつも、時にはつなげることで、両方が育っていくんだよ!」

その時、本拠地の入口から小さな影が現れた——アリスが無数の人形を巡らせながら歩み出てきた。彼女の眼には虹色の光が強く輝き、「紫さん、智代子さんの命令は忘れていないでしょ? ここで彼らを止めなければ…」紫はアリスの姿を見つめ、再び伊万里の言葉を思い出した。彼女の手が少し震え、境界の力が揺れ始めていた——境界の妖怪の真の選択が、今、迫ってきた。紫の手が震え、境界の力が揺れ始めていた——その時、伊万里はさらに前に進み、ハキハキと声を上げた。

「それに俺、紫さんのことは信じてるんですよ! だって、貴方は俺のことを観察対象みたいに見てるけど、それでも気にかけてくれるのは嬉しいんですよ。それに…」最後の言葉ははっきりと口にしなかった。声が少しかすれ、頬にもほんのり赤みが広がって——おそらく好意に近い言葉が、そこで途切れてしまった。紫は細長い眼を驚いたように大きく開け、その後すぐに唇をかすかに上げて笑った。虹色の光が混じった眼に、以前にはない柔らかな輝きが宿ってきた。

「…観察対象だけじゃないわ、伊万里くん。そんなこと、今まで気づかなかったの?」彼女は手を胸に当て、境界の力の揺れが一層大きくなった。「外の世界を防ぐために境界を広げるなんて… 自分でもバカげてると思うわ。君が信じてくれるのなら… 私も一度、違う選択をしてみようかしら」その時、アリスが人形たちを前に進め、声を荒げて叫んだ。

「紫さん! 智代子さんは私たちに“幻想の自由”を約束してくれたのでしょ! なぜ彼らの言葉に惑わされるのか!」アリスの眼の虹色の光が一気に強まり、無数の人形から刃の弾幕が一斉に打ち出された。神奈子は御柱を振り、弾幕をはじき返しながら言った。

「アリスちゃん、智代子さんの操りから解き放たれなさい! 真の自由はそんなものじゃない!」伊万里は弾幕発生機から金色の光を放ち、アリスの弾幕と交わらせながら、はっきりと言葉を補った。

「それに… 紫さんは、俺にとって特別な人だから!」その言葉が空に響くと、紫の眼の虹色の光が完全に消え、元の澄んだ紫の色に戻った。彼女は隙間を開け、風を起こしてアリスの人形たちを吹き飛ばした。

「アリスちゃん、君にも、この言葉が届くように…」本拠地の入口がすぐそばにあり、最終的な対面まであと一歩——今、残された壁は、ただアリスだけだった。紫の眼が元の澄んだ紫に戻り、彼女が風を起こしてアリスの人形たちを吹き飛ばした瞬間——だが、アリスの足元には紫が開く隙間と同じものがぱっと開いた。

「えっ!?」伊万里以外の味方一同は口を開けて驚いた。

「これは智代子の仕業か。彼女の能力は操りと模倣する程度の能力だろう」伊万里は周囲を見つめながら、ハキハキと言った。その隙にアリスは人形を抱え込み、すぐに足元の隙間に落ちるようにしてその場から撤退していった。隙間は瞬く間に閉じ、アリスの姿は跡形もなく消えた。紫は細長い眼をつぶって空を見つめ、それからハキハキと声を上げた。

「一度、私の屋敷にいきましょう。智代子さんが突然模倣能力を使ってアリスを連れ去ったということは… 彼女の“幻想の結界”がもうすぐ完成している証拠だわ」

「紫さんの屋敷? 今この時に?」霊夢は驚いて問いかけた。

「本拠地まですぐそばなのに…」

「智代子さんはアリスを連れ去って最後の準備をするだろう。その間に、彼らが何を企んでいるのかを確認する必要がある」神奈子は御柱を肩に担ぎ、頷いて言った。

「紫さんの屋敷には、境界を通して様々な情報が集まっているはずだ」伊万里は弾幕発生機をしまい、紫の姿を見つめて笑った。「了解だ、紫さん。君の言う通りにしよう。それに… 君の屋敷には初めて行くから、ちょっとワクワクするんだ」紫はにっこり笑い、手を伸ばして新たな隙間を開けた。

「ふふっ、楽しみにしてて。私の屋敷には、君たちに聞かせたい話もあるのよ」彼らは一斉に隙間に入り、紫の屋敷へと向かった。最終的な対面が近づく中、突然の撤退が新たな謎を生み出す一方で、彼らには智代子の真の企みを知るための時間が、今、与えられたのだ——紫の屋敷へと向かう伊万里たちとは別に、智代子の本拠地最奥では、アリスが隙間から落ちてくると同時に、智代子の声がハキハキと響いた。

「ごめんね、アリスちゃん、急なことをしてしまって。最後の札をまだ失うわけにはいかないからね」

彼女のそばには、九十九弁々、八橋、雷鼓が立っていた。雷鼓は大きな太鼓を手に取り、ハキハキと笑った。

「札?それってまるで利用してるみたいな言い方だね」

弁々も扇子を振り、冷たい目で智代子を見つめた。「やはり、君は利用するだけ利用する。それも自分がわざわざ引き入れたメンバーの能力を模倣するためのね」

智代子は虹色の結晶を手に取り、その輝きを見つめながら、少しくすり笑いをした。

「ここまでバレたかぁ〜。でも、アリス以外は用済みよ。君たちはどこへでもいきな」

「用済み… それが君の真の考えだったのね」八橋は琴を抱え、少し悲しげに言った

「幻想の結界を作るために、私たちの能力を盗み取るだけだったの?」

「盗み取りじゃないわ。模倣するだけよ」智代子は結晶を高く掲げ、そこから紫の境界、神奈子の電光、お空の核の光が一気に溢れ出した。

「彼女の能力を模倣して、幻想の結界を完全に閉じるの。そうすれば、外の世界とのつながりは永遠に断たれ、幻想だけが残る世界が完成するの」雷鼓は太鼓を地面に叩き、「そんな世界に俺たちには何の意味があるんだ!」と叫んだ。

「君は最初から、私たちを“道具”にしてたんだな!」

「道具でもいいじゃない。結界が完成すれば、君たちも幻想の中で永遠に生き続けられるわ」智代子は眼を鋭くし、「さあ、早く行きなさい。もう君たちには何も必要ないから」弁々たちは互いに目を合わせ、智代子の無情な言葉に呆れていた。やがて雷鼓が太鼓を肩に担ぎ、「いいよ、こんな所にはもういたくない。ただし、君の計画が必ず叶うとは思わないぞ」と言って、最初に本拠地の外へと歩み出した。弁々と八橋も続いていき、最後にはアリスだけが智代子のそばに残された。アリスは人形を抱き締め、低く呟いた。「智代子さん… 私も最後は道具になるのですか?」

智代子は彼女に向かって微笑み、「いいえ、アリスちゃんは特別よ。結界完成の最後の鍵になるのだから」虹色の光が本拠地全体を包み込み、幻想の結界が完成する瞬間が刻一刻と近づいていた—智代子の本拠地で真実が明らかになる一方、紫の隙間を抜けて到着した伊万里たちの前には、八雲藍が静かに立って待っていた。

「紫様、行方を急にくらました時は心配しましたよ。しかし、こんなに多くの客人を連れてくるなんて、ただごとではありませんね」藍は尾をそっと振り、丁寧に頭を下げた。

紫は隙間を閉じて藍の側に立ち、ハキハキと笑い声を上げた。「さてと、伊万里、君はどこまで覚悟してる! この異変はいつものように弾幕ごっこで決闘つけては終わりとは行かなくなったわ」

その言葉の重みに、周囲の空気が一気に重くなった。伊万里は弾幕発生機を手に取り、少し考えた後、ハキハキと答えた。

「つまり、智代子を討伐しなくてはいけないってことですね」

紫は細長い眼をつぶって伊万里を見つめ、「討伐… そう言うならそうだけど、君は彼女を殺せるの?」と問いかけた。

「彼女が求めてるのは、誰も傷つかない世界だったんだよ。ただ、方法が間違っているだけ」霊夢は御札を胸に抱き、「でも、幻想の結界が完成したら外の世界とのつながりが断たれる。それでは幻想郷もやがて枯れてしまうわ」

「それが問題なのよ」紫は屋敷の奥へと歩み出し、後ろを振り返って言った。

「藍、お茶を準備して。ここでは智代子さんの真の経緯を話そう。伊万里くんが覚悟を固めるためには、それが必要だから」

伊万里たちは紫に続いて屋敷の中に入り、広々とした座敷に着席した。藍が静かにお茶を運んでくる間、伊万里は手の中の弾幕発生機を握り締め、「討伐か… 俺は誰も傷つけたくないけど…」と低く呟いた。

紫はお茶を口につけ、「君の選択が、最後の結末を決めるのよ」と言った。その声には以前にない厳しさと、ほんのりの悲しみが混ざっていた——紫の屋敷の座敷で、お茶の湯気が細かく舞い上がる中、伊万里は手の弾幕発生機をしっかり握り締め、覚悟を決めた。

「俺は幻想郷が好き! 幻想郷を守る! だったら智代子を討伐する!」その声は力強く、座敷全体に響いた。霊夢は御札を手に取り、ハキハキと笑った。

「本当にその覚悟あるね」

「当然! 俺は幻想郷で存在したいから、だから、幻想郷が壊れる原因は——絶対に許さない!」最後の言葉ははっきりと口にし、伊万里の目には以前にない澄んだ輝きと決意が宿っていた。紫は細長い眼を開いて彼を見つめ、少し頷いた。

「それが君の答えか… 良いわ。それなら、智代子さんの経緯を話そう」彼女はお茶を一口飲み、続けて言った。

「智代子さんは外の世界から来た妖怪だったの。外の世界では“幻想”が消え続け、自分も存在が薄れていった。それで彼女は“幻想だけが残る世界”を作りたいと思ったのよ… それが最初の思いだったのに」神奈子は御柱を立てかけ、「だからと言って、他人の自由を奪う方法は間違ってる。幻想郷は“存在する人々が守り続ける”ものだ」伊万里はその話を聞きながら、過去に智代子と会った記憶(もしかしたら幻想の中だったのかもしれない)を思い出した。

「…智代子さんも、悲しい思いをしたんだね。でも、守るためには、討伐するしかないんだ」その時、藍が急いで座敷に入ってきた。「紫様! 本拠地から虹色の光が天まで届いています! 幻想の結界が、もうすぐ完成するようです!」紫は立ち上がり、隙間を開ける準備をした。「時間がないわ。伊万里くん、君の覚悟で、最後の戦いに挑もう。智代子さんのもとへ——」彼らは一斉に立ち上がり、最終的な対面へと向かう準備をした。幻想郷の命運をかけた戦いが、今、真に始まろうとしていた——

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