東方創想録   作:Mrコッコ

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【紅魔館】

弾幕ごっこの日から一週間。伊万里は神社の掃除や魔理沙との道具作りをしながら、早苗の言った「人間以外の気配」のことを時折思い出す。だけど、みんなが受け入れてくれていること、毎日が楽しいことが大きくて、深く考え込む余裕はなかった。

その日、伊万里が境内で光の花を咲かせていると、空から赤い洋服を着た少女が降りてきた。水色の髪が風になびき、赤い瞳が鋭く伊万里を見つめる。

「お前が外の世界から来た八方伊万里か?」

突然の声に伊万里は驚いて頭を上げると、少女が手に赤い傘を持ち、堂々と立っていた。その姿はゲームで見たことがある——紅魔館の館主、レミリア・スカーレットだ。

「は… はい! そうです! レミリアさんですか?」

「なるほど。私はレミリア・スカーレット。紅魔館の館主よ。お前の弾幕が美しいと聞いたから、遊びに来てみたのよ」

その時、霊夢が縁側から出てきて、「レミリア? 久しぶりね。紅魔館から何か用事があるの?」

「用事じゃない。単にお前たちが賑やかだと聞いて、見に来ただけ。あと… お前の能力を見てみたいと思った、伊万里」レミリアが伊万里に向けて手を伸ばすと、小さな赤い光弾が浮かび上がる。

「弾幕で一騎打ちしようじゃない。もし勝てたら、紅魔館に招待するよ」

「え? 一騎打ち… 俺がレミリアさんに?」伊万里は慌てるが、魔理沙が後ろから背中を押す。

「大丈夫だよ! 君の花の弾幕は強いから。試してみな!」

深呼吸をして、伊万里は手の先から光の花を咲かせる。心に「レミリアさんの赤い弾幕に合う花」を思い描くと、真っ白な花の中に赤い芯が咲き、空中を舞い始める。レミリアの赤い光弾と伊万里の花の弾幕が空中で交わり、赤と白の模様が神社の上空を彩る。レミリアは少し驚いたように目を細め、「へえ、これは… 私の弾幕のエネルギーを吸収して花を大きくするのか? 面白い能力だ」伊万里は初めて自分の能力にそんな働きがあることに気づき、さらに集中する。花たちがレミリアの周りを舞い、赤い光弾を包み込むようになる。

「まあまあ、こんなに強いのか。でも私はこれからだ!」

レミリアが指を鳴らすと、空中に大きな赤い月の形の弾幕が現れる。伊万里は慌てて体を動かし、同時に心に「月を包む花園」を思い描く——瞬く間に、無数の光の花が大きな輪を作り、赤い月を包み込む。

「わっ… すごい… 花が月を隠しちゃった!」遠くから見ていた妖精たちの声が聞こえてくる。レミリアは笑い声を上げ、

「フフン、お見事だ! 私が負けたよ。約束通り、紅魔館に招待する。明日の昼から来ていい。パチェもお前の能力に興味を持つと思うし」

レミリアが赤い傘を開いて空中に浮かぶと、後ろからメイド服の女性が現れる——十六夜咲夜だ。

「レミリア様、時間が少し経ちました。お帰りにしましょうか?」

「うん、いいわ。伊万里、明日待ってるぞ。紅魔館の料理は美味しいから、空腹を持って来い」

そう言って、二人は空に向かって飛び去った。伊万里は境内に残った花を見つめ、「明日… 紅魔館に行くんですね…」

「うん。紅魔館は幻想郷でもちょっと変わった所だけど、悪い人たちじゃないから大丈夫。パチュリーは図書館に住んでる魔法使いだから、君の能力について何か知ってるかもしれないわ」霊夢の言葉に伊万里は少し安心し、明日の紅魔館訪問を心待ちにする。外の世界では想像もできなかったような冒険が、幻想郷では毎日のように訪れてくるのだと、彼は再び感じた。霊夢の言葉に伊万里は少し安心し、明日の紅魔館訪問を心待ちにする。外の世界では想像もできなかったような冒険が、幻想郷では毎日のように訪れてくるのだと、彼は再び感じた。そして、翌日——伊万里は楽しみのあまりに、夜明け前から起きてしまった。空き部屋の窓から見ると、東の空はまだ薄い靄に包まれていて、星が残っていた。

「早起きすぎちゃった…」小声で呟き、伊万里はバックパックを準備し始める。外の世界の技術書や、昨日作った小さな光の花のお守りを入れ、鏡の前で姿を整える。気が散りやすいせいで、何度もバックパックの中身を確認してしまう。

「伊万里? こんな早く起きてどうしたの? 夜明けもしてないわよ」縁側から霊夢の声が聞こえてくる。伊万里は慌てて窓から顔を出すと、霊夢が茶碗を持って座っていた。

「あ、霊夢さん! すみません… 紅魔館のことが楽しみで… 眠れなくて…」

「ふふん、可愛いわね。でも昼まで時間があるから、ゆっくり朝ごはんを食べて待とうよ。私が作ったお粥を食べる?」

「はい! ありがとうございます!」伊万里はすぐに部屋を出て縁側に座り、お粥を食べながら東の空を見つめる。少しずつ明るくなり、太陽が森の上から顔を出すと、妖精たちが飛び来てきた。

「伊万里! 今日は紅魔館に行くんだよね! 早く行こうよ!」

サニーミルクが伊万里の肩に止まり、ルナチャイルドとスターサファイアも一緒に頷く。

「でもレミリアさんは昼からって言ったから、ちょっと待たないと…」

「待てないよ! 紅魔館の庭には珍しい花が咲いてるって聞いたから、早く見たいんだ!」妖精たちのせがまれて、伊万里は少し困ったように霊夢を見る。霊夢は笑いながら手を振る、

「いいわよ。早く行っても大丈夫だと思う。美鈴が門番をしてるし、咲夜も対応してくれるから。魔理沙も一緒に行くんだし、大丈夫だわ」

「魔理沙さんも?」

「うん! 私も紅魔館の図書館にある外の世界の本が見たいから、一緒に行くよ! 準備はできたか?」後ろから魔理沙の声が聞こえてくる。伊万里は立ち上がり、バックパックを背負う。

「はい! 準備万端です!」

「よし、それじゃあ出発だ! 紅魔館は魔法の森の奥にあるから、飛んで行くほうが早いよ。伊万里、私が抱っこしてくれるから大丈夫だよ!」

魔理沙が手を伸ばすと、伊万里は少し照れながら彼女の手を取る。妖精たちも後ろについて飛び始める。

「さあ、行こうぜ! 紅魔館、いくぞー!」魔理沙が空中に飛び上がると、風が耳元を過ぎる。伊万里は下を見ると、緑豊かな魔法の森が広がっていて、時々珍しい鳥や妖精たちが見える。気が散りやすいけど、紅魔館に早く着きたいと思う気持ちが強くて、視線は前に向けられる。

少し飛ぶと、森の奥の湖の真ん中に大きな赤い屋根の館が見えてきた。壁は白く、庭には赤い花が咲き誇っていて、まるで絵の中のような姿だ。館の前には大きな門があり、そこに緑色の中華服を着た女性が立って門番をしていた——紅美鈴だ。

「おお、美鈴! 久しぶりだな! 今日は伊万里を連れて来たよ! レミリアが招待してくれたんだ」魔理沙が着地して声をかけると、美鈴は明るく笑いかける。

「魔理沙さん、伊万里さん、こんにちは! レミリア様が『外の世界から来た子が来るから気をつけて』って言ってたわ。妖精たちも一緒だね。どうぞ、中にお入りください」美鈴が門を大きく開けると、豪華な庭園が広がっていた。赤いバラや、見たことのない珍しい花々が咲いていて、妖精たちはすぐに花の上に飛び降りて喜んでいる。

「わっ… 庭もすごく美しいです! こんな花、外の世界にはないです…」伊万里が花を見つめ入ると、玄関からメイド衣装の女性が出てきて——十六夜咲夜が丁寧に挨拶をする。

「レミリア様が待っていました。早速お入りください。伊万里さん、魔理沙さん、妖精たちも、どうぞ」伊万里は心臓がドキドキしながら、玄関の扉を開ける。その瞬間、豪華な大広間が広がっていて、水色の髪を風になびかせたレミリアがソファに座って待っていた。レミリアは見つめるように伊万里を見て、すぐに笑顔を浮かべて言う。

「伊万里、来たわね、待ってたわよ。早く来てくれてよかったわ」

「は… はい! レミリアさんを待たせてすみません! 楽しみで早起きしちゃって…」

伊万里が慌てて頭を下げると、レミリアは指を鳴らして少し困ったような表情を浮かべる。

「それと、ねえ… 普段は地下室にいるけど、妹も出てきちゃったみたいなんだよね。伊万里のことを聞いたら興味持ったらしくね」

「妹? レミリアさんに妹がいるんですか?」伊万里が驚いて目を大きく見開くと、大広間の奥からゆっくりと人影が現れる。金髪のショートカットが太陽の光をほのかに反射し、赤い瞳が伊万里を見つめる——その姿はレミリアに似ているけど、もっと大柄で、少し物静かな雰囲気だ。

「フランドール・スカーレット。私はレミリア姉様の妹だよ」

少女が小さな声で自己紹介し、伊万里の前に近づく。手には小さな傘を持っていて、衣装は赤い服で白い帽子。

「あ… フランドールさんですね! よろしくお願いします!」

伊万里が頭を下げると、フランドールは少し頷き、視線を伊万里の手元に落とす。

「お前の能力で花を咲かせるんだね。レミリアが『美しい弾幕を打つ』って言ってたから… 見てみたかった」

「え? もしよければ… 一緒に弾幕ごっこをしませんか? フランドールさんの弾幕も見てみたいです!」伊万里が誘うと、フランドールの瞳が少し輝く。レミリアは笑い声を上げる、

「フフン、フランもそうだったのね。でも地下室から出てくるのは久しぶりだわ。それじゃあ、大広間は狭いから庭に出て弾幕を見せ合おうじゃないか。咲夜、お菓子とお茶を庭に運んでちょうだい」

「了解です、レミリア様」

咲夜が丁寧に礼をして退室すると、魔理沙が手を腰にかけて言う。

「へえ、フランも弾幕を打つのか! 私も見てみたいよ! 伊万里、今度はフランと一騎打ちしよう!」

妖精たちも一緒に頷き、「見たい見たい!」と声を上げる。フランドールは少し照れたように顔を赤らめ、「… うん。でも私の弾幕は少し… 荒っぽいかもしれないよ。大丈夫かな?」

「大丈夫です! 俺の花で包んでみます!」伊万里が力強く頷くと、フランドールは初めて微かな笑みを浮かべる。みんなで庭に出ると、咲夜が既にテーブルを敷いてお菓子とお茶を運んでいた。庭の赤い花々の中にテーブルが置かれ、まるでお茶会のような雰囲気になっていた。

「さあ、始めようか? フラン、先に打ってみなさい」ミリアの言葉に応えて、フランドールは空中に飛び上がり、手の先から黒い光弾を浮かべる。光弾はゆっくりと空中を舞い、少し鋭い雰囲気を持っていた。

伊万里も続いて空中に飛び上がり、心に「金髪のショートに合う花」を思い描く——瞬く間に、金色の粉を撒くような黄白色の花が無数に咲き、フランドールの黒い光弾を包み込むように舞い始めた。フランドールはその光景を見て、瞳を大きく見開いて驚いたように言う。

「そう、そんな感じなんだ! すごいねぇ~! でも、弾幕ごっこはなにも弾幕だけじゃないよ。使うのは、能力も使うことあるんだよ」

そう言って、フランドールは伊万里の花の弾幕に手を向け、ゆっくりと握るような動作をする。すると、その手の先から黒い気配が広がり、包んでいた黄白色の花がパッと崩れて金色の粉になって散っていった。

伊万里は少し驚いて体を後ろに引くが、すぐに目を輝かせて言う。

「なるほどねぇー! 能力併用は初めて見たよ! フランドールさんの能力って確か、ありとあらゆるものを破壊する程度の能力って感じでしたっけ?」

「うん、大体そんな感じだよ。だから普段は地下室にいるんだ… 触ったら壊れちゃうから、誰にも近づけないように」フランドールの声が少し小さくなるが、次の瞬間には再び手を伸ばして、今度は自分の黒い光弾に能力を込める。光弾は徐々に大きくなり、周りに小さな破壊の気配を撒き散らす。

「でも、今は大丈夫! 伊万里の花は壊れても粉になって綺麗だから、気にしないよ! さあ、もう一回打ってみよう!」伊万里はフランドールの笑顔を見て、心から嬉しくなる。手の先から再び黄白色の花を咲かせ、破壊の気配を持つ黒い光弾に向けて舞い込ませる——空中には黒い光と金色の粉が混ざり合い、まるで夜空に星が輝くような、珍しい弾幕の光景が広がった。伊万里はフランドールの笑顔を見て、心から嬉しくなる。手の先から再び黄白色の花を咲かせ、破壊の気配を持つ黒い光弾に向けて舞い込ませる——空中には黒い光と金色の粉が混ざり合い、まるで夜空に星が輝くような、珍しい弾幕の光景が広がった。その時、伊万里は周りに大きな花の壁を作るように弾幕を張り巡らせ、小さな声で呟く。

「凄いですねぇ〜、幻想郷の方々は… 弾幕だけじゃなく能力まで使って、こんなにカッコ良く戦うんですね」フランドールはその花の壁を見て、金髪のショートカットを振りながらハキハキと言う。

「そうだよ! 弾幕ごっこではスペルカードってのも使うよ! それが本番だよ! 行くよ〜、禁忌『レーヴァテイン』!」その瞬間、フランドールの手から小さな傘が消え、代わりに赤い炎に包まれた大きな剣のようなものが現れる。彼女はそれを振り回すと、空中に無数の赤いレーザーが広がり、それぞれのレーザーからさらに小さな赤い光弾が雨のように降り注いでくる。

「わっ… スペルカード! ゲームで見たことがあるけど、現実はこんなに大きくて迫力があるんですね!」伊万里は慌てて体を動かし、花の壁を前に出してレーザーを遮る。だけど赤いレーザーは花を一つ一つ貫いていき、花の壁が徐々に崩れ始める。

「伊万里、気をつけろ! そのレーザーは破壊力が強いから!」魔理沙が声をかけると、伊万里は心に「炎に耐える花」を思い描く。すると、黄白色の花の中に赤い芯が咲き、それらが一斉に開いてレーザーを包み込む——赤い炎と赤い芯の花が混ざり合い、空中に大きな赤い輪を作る。

「おお、これは! 花がレーザーのエネルギーを吸収して、自分自身が輝いてるんだね!」フランドールは驚いて声を上げ、さらに力強くレーヴァテインを振り回す。赤いレーザーが増え、弾幕の密度が一気に高まる。伊万里は気が散ることなく、レーザーの軌道を瞬時に感じ取り、花を咲かせる場所を切り替えていく。妖精たちは安全な場所から見守り、「すごいすごい!」と声を上げて応援している。レミリアはテーブルに座ってお茶を飲みながら、微笑んで見守っている。

「フフン、フランも本気を出してるわ。伊万里も負けてないね」咲夜もそばに立って、ティーカップを持ちながら静かに光景を見つめていた。伊万里は最後に大きな深呼吸をし、手の先から無数の赤い芯の花を一気に放つ。それらがフランドールの周りを舞い、赤いレーザーを全部包み込んで大きな花束のようになる。フランドールはそれを見て、レーヴァテインを消して笑い出す。

「やっぱりすごい! 私のスペルカードを全部包んでちゃったんだ! 負けちゃったね〜」

「え? そ… それで俺が勝ったんですか?」

「うん! 弾幕ごっこは『相手を倒す』より『お互いに楽しむ』ことが大事だけど、今回は伊万里の花が強かったよ!」フランドールが空中から着地し、伊万里に近づいて手を伸ばす。伊万里は少しためらった後、彼女の手を握る——今度は何も壊れなかった。

「へ? 壊れないんですか?」

「だって、今は弾幕ごっこが終わったから。私、ちゃんと力を抑えられるよ! 今後も一緒に弾幕ごっこしようね、伊万里!」伊万里はフランドールの明るい笑顔を見て、大きく頷く。こんなに近くにいても何も壊れないということは、フランドールが自分に対して信頼している証拠だと感じた。その時、テーブルのそばに座っていたレミリアがお茶碗を置き、目を大きく見開いて驚いたように言う。

「フランが力を抑えられてる? 今までは加減とか出来ずに手当たり次第に壊してたのに…」

レミリアの言葉に、フランドールは少し照れたように金髪のショートカットを掻く。

「うん… 伊万里の花が綺麗だから、壊しちゃいけないと思ったら、自然に力を抑えられちゃったんだよ」

「それに、今回の弾幕ごっこではいつものように感情の波が少なかったわ。普段は弾幕を打ってる時、怒りや不安が溢れてしまって…」レミリアはフランドールを見つめた後、再び伊万里の方に視線を移す。その瞳には驚きだけでなく、少しの感動も含まれていた。

「伊万里と他の人では何か違うわ。やはり伊万里を招待して正解だわ」

「え? そ… そんなこと… 俺は何も特別なことをしてないんですけど…」伊万里が慌てて頭を下げると、魔理沙が肩を組んで笑いかける。

「そんなことないよ! 君の花の弾幕は心を和ませる力があるんだよ。フランがそんなに落ち着いているのを見るのは初めてだね!」

「そうですよ! 伊万里の花はみんなを嬉しくさせる魔法みたいだよ!」サニーミルクが伊万里の肩に止まり、他の妖精たちも一緒に頷く。咲夜も微かな笑みを浮かべ、

「レミリア様の言う通りです。フランドール様がこんなに穏やかなのは稀です。伊万里さんの存在が良い影響を与えているのでしょう」フランドールは伊万里の手をしっかり握り締め、ハキハキと言う。

「そうだよ! 伊万里がいると気持ちが落ち着くんだ。今後もよく来てね! 地下室には私が集めたおもちゃがいっぱいあるから、一緒に遊ぼうよ! 今度は力を抑えながらおもちゃで遊べるから!」

「はい! 絶対によく来ます! フランドールさんのおもちゃも見てみたいです!」伊万里が力強く頷くと、レミリアは笑い声を上げる。

「フフン、それじゃあ今度は紅魔館でお祭りをする時に、伊万里も来て弾幕を打ってくれるわね。その花の弾幕があれば、みんなが楽しくなるに違いない」太陽が西に傾き始め、庭の花々が夕暮れの光を浴びて赤く輝き始める。伊万里はフランドールの手を握りながら、紅魔館の人たちの笑顔を見つめる。外の世界では誰にも近づけなかったような、こんなに温かい絆がここにはあるのだと、再び深く感じた。

「魔理沙さん、そろそろ帰る時間かな? 霊夢さんが待っているかもしれないです」

「ああ、そうだね。でも伊万里、今度は紅魔館の図書館にも行こうよ! パチュリーが今外出してるけど、外の世界の本がたくさんあるから君にも合った本があると思う!」

「はい! 楽しみです!」

伊万里はフランドールと手を分け、魔理沙と妖精たちと一緒に玄関に向かう。門番の美鈴が再び門を開けてくれ、「伊万里さん、また来てね! 次回は私も一緒に弾幕ごっこしようよ!」

「はい! 美鈴さんも一緒にしましょう!」そう言って、伊万里は魔理沙に抱っこされて空中に飛び上がる。紅魔館の赤い屋根が夕暮れの光に輝き、フランドールとレミリアが玄関から手を振ってくれているのが見えた。

「また来るよ! フランドールさん、レミリアさん!」伊万里が大きく手を振ると、フランドールも明るく笑って手を振り返してくれた。風が耳元を過ぎる中、伊万里は今回の紅魔館の訪問を心に刻み、次に来る日を心待ちにしていた

伊万里が大きく手を振ると、フランドールも明るく笑って手を振り返してくれた。風が耳元を過ぎる中、伊万里は今回の紅魔館の訪問を心に刻み、次に来る日を心待ちにしていた。そして、翌日——伊万里はいつもの時間にベッドから起き上がった。空き部屋の窓からは朝陽が差し込み、森の鳥の鳴き声が聞こえてくる。

「今日も紅魔館に行こう… 主な目的はパチュリーさんに会うことだな」小声で呟き、伊万里はバックパックを準備し始める。昨日買ったお菓子(フランドールが好きそうだったチョコレートケーキ)と、外の世界の植物図鑑を入れる。早苗の言った「人間以外の気配」のことが頭に浮かび、パチュリーが図書館にたくさんの知識を持っているから、何かわかるかもしれないと思ったのだ。

「伊万里、朝ごはんの準備ができたよ! 今日も紅魔館に行くの?」縁側から霊夢の声が聞こえてくる。伊万里は窓から顔を出すと、霊夢がおにぎりと味噌汁をテーブルに置いていた。

「はい! パチュリーさんに会って、自分の能力や… 気配のことについて聞いてみたいです」

「ふふん、そうなのね。パチュリーは魔法については幻想郷一だから、きっと何か教えてくれると思うわ。魔理沙も今日は図書館に行きたがってたから、一緒に行けるよ」

「魔理沙さんも? 嬉しいです!」伊万里は部屋を出て朝ごはんを食べると、すぐに準備を終えて門口に立つ。少し待つと、魔理沙がブラックミストを乗せて飛んできて、

「おい伊万里! 準備はできたか? 今日はパチュリーに外の世界の魔法の本を見せてもらうつもりだ! 君のことも話してくれると思うよ」

「はい! 準備万端です!」伊万里が魔理沙の後ろに乗ると、魔理沙は空中に飛び上がる。昨日と同じように魔法の森を越え、赤い屋根の紅魔館が徐々に近づいてくる。門番の美鈴がすでに門の前に立っていて、見つけると明るく手を振ってくれた。

「伊万里さん、魔理沙さん! 今日も来てくれて嬉しいわ! フランドール様は朝から『伊万里が来るかな』って待っていたよ!」

「え? そうなんですか!」 伊万里は驚いて顔を明るくする。玄関に入ると、フランドールが金髪のショートカットを振りながら飛び出してきて、

「伊万里! 来たね! 今日は一緒におもちゃで遊ぶ約束だよ! あと… パチュリーの所にも一緒に行く?」

「うん! パチュリーさんに会って聞きたいことがあるんだ。フランちゃんも一緒に来ない?」魔理沙が誘うと、フランドールは少しためらった後に頷く。

「うん… パチュリーの図書館は暗いけど、伊万里がいれば大丈夫だよ!」そう言って、三人は大広間を通って館の奥にある図書館へと向かう。長い廊下の壁には古い絵画が掛かっていて、足音がカタカタと響く。やがて大きな扉の前に着くと、フランドールがそっと扉を開ける——暗い図書館の中に、紫の髪をした魔法使いが大きな机に座って本を読んでいた。

「パチュリー、来客が来てるよ」フランドールの声で魔法使いが頭を上げると、紫の瞳が伊万里たちを見つめて緩やかに笑顔を浮かべる。

「あら、外の世界から来た伊万里くんと魔理沙、フランちゃんまで。何か用事でしょう?」伊万里は一歩前に出て、少し緊張しながら言う。

「パチュリーさん… はじめまして! 俺、八方伊万里です! 自分の能力や… 人間以外の気配がすることについて、聞いてみたいことがあります… よろしくお願いします!」

パチュリーは伊万里を見つめて少し頷き、指で本のページを閉じる。

「ふむ… 人間以外の気配ね。それは興味深いですね。座って話しましょう。ゆっくり聞かせてください」伊万里はパチュリーの前に座り、心臓をドキドキさせながら、自分が抱えている疑問を一つ一つ話し始めた。図書館の暗がりの中、明かりの灯る机の周りには、新しい発見が待っているような空気が満ちていた。パチュリーは伊万里の話を静かに聞き終え、紫の瞳を細めて彼を見つめる。指先に小さな紫の光を浮かべながら、ゆっくりと言う。

「君からは人とは別の力を感じるわ。人間は普通霊力を使うんだよ——霊夢のように、神社の巫女が使う力だし、一般の人間でも少しは持っている。魔理沙のような例外や魔法使いは魔力、神の類いは神力、そして、妖怪の妖力… 君は4つとも混じってるのよ」その言葉に、伊万里は口を開いたまま動けなくなる。フランドールも金髪のショートカットを鳴らすように振り、驚いたように言う

「え? 4つも混じってるの? そんなの聞いたことないよ!」

「私も初めてだわ。普通は一つか二つが主になるのが常識。4つが均衡を保って混ざっているなんて… 幻想郷には他にいないだろう」

魔理沙も手を腰にかけて目を大きく見開き、「なるほど! だから君の弾幕がそんなに特殊なのか! 霊力で形を作り、魔力で輝かせ、神力で人を和ませ、妖力でエネルギーを吸収… それぞれの力が組み合わさって花になってるんだね!」伊万里は自分の手を見つめ、小さな声で呟く。

「4つ… 混じってるんですか… だから早苗さんが『人間以外の気配』と言ってたのは…」

「そうね。君が人間だけでない、という意味じゃなくて… 君の力が人間だけの範囲を超えている、ということよ。どうしてそんな力を持っているのか… 図書館の本にも記載がないわ」パチュリーは机の上の古い本たちを見つめ、少し考え込んだ後に伊万里に視線を戻す。

「でも、それは悪いことじゃないわ。逆に、そんな特殊な力があるから、フランちゃんの心を和ませられたのかもしれない。4つの力が均衡を保っているから、周りの人の感情にも敏感になっているのでしょう」伊万里はフランドールを見ると、彼女が明るく頷いている。

「そうだよ! 伊万里がいると気持ちが落ち着くんだから、力が混じってるのは超カッコ良いよ!」

「そうね。君は君自身だけど、その力が幻想郷にとって新しい可能性を生むかもしれないわ。今後もこの力を使って、みんなと楽しく弾幕ごっこをしていけばいいのよ」パチュリーの言葉に、伊万里は心が温かくなる。外の世界で「変わってる」と言われて悩んでいたことが、ここ幻想郷では自分だけの強みになっているのだと感じた。

「… ありがとうございます、パチュリーさん! 俺も、この力を使ってみんなを楽しませたり、フランドールさんと一緒に遊んだりしたいです!」

「それはいいわね。いつでも図書館に来て、力について調べたり話したりしてね。外の世界の図鑑も持ってきたんでしょ? 後で一緒に見よう」パチュリーが柔らかく笑うと、伊万里は大きく頷く。図書館の暗がりが以前よりも優しく感じられ、新しく知った自分の力に対して、怖さよりも期待の方が大きくなっていた。パチュリーが柔らかく笑うと、伊万里は大きく頷く。図書館の暗がりが以前よりも優しく感じられ、新しく知った自分の力に対して、怖さよりも期待の方が大きくなっていた。魔理沙はその話を聞いて、突然膝を叩いて驚いたように叫ぶ。

「伊万里ってやはり只者ではないとは思ってたぜ! だが、まさか、4つの力を宿してたとはね… ん!? 待てよ、伊万里って体の作りとかはどうなってんだ? 普通の人間と同じなのか?」伊万里は自分の腕を押さえて、少し戸惑ったように言う。

「え? 体の作りは… 普通だと思うんですけど… 外の世界で病気になったこともかなり少ないし…」その時、パチュリーは紫の瞳を輝かせて、ハキハキと言う。

「おそらく、構造は人間そっくりでしょう。皮膚も骨も筋肉も、見た目や触りは人間と何も変わらないはずだわ。でも… 彼は死ぬこともないし、その気になれば飲まず食わず寝ずも可能でしょう」

「えええ!? 死なないの? それって吸血鬼みたいじゃん!」フランドールが驚いて飛び上がり、伊万里の肩に止まる。伊万里自身も目を大きく見開き、

「死なないんですか… そんなこと… 俺は全然気付いてなかったです…」

「だが、彼は気付いててもそれをまだ行わないでしょう。何故なら彼はまだその世界——外の世界の常識を持ってるから」パチュリーは机の上のコップに指を向け、小さな魔法でお茶を注ぎながら続ける。

「外の世界では『人は食べて寝て、いつか死ぬ』が当たり前だから、君は自然とそうしているのよ。力があっても、その世界の習慣や心が残っているんだわ」魔理沙は頬杖をついて伊万里を見つめ、

「なるほど… だから君は普通の人間のように生活してるのか。でも死なないって… それは長い時間を生きていくことになるんだね。幻想郷にはそんな存在も多いけど、外の世界から来た君には少しショックだろ?」伊万里は少し考え込んだ後、緩やかに笑顔を浮かべる。

「ショックは… ちょっとありますけど… でも、それだからこそ、長い時間をみんなと一緒に過ごせるんですよね? フランドールさんやレミリアさん、霊夢さん、魔理沙さん… みんなと弾幕ごっこをしたり、お茶を飲んだりできる時間が長くなるんだから、それは嬉しいことだと思います」

フランドールは伊万里の頭を軽く叩いて、明るく笑う。

「うん! そうだよ! 伊万里が永遠にいてくれるなら、いつまでも一緒に遊べるんだ! 超嬉しい!」

「フフン、君の心の広さは素晴らしいわ。やはり4つの力が混じっているからだろうね——それぞれの力が君の心を支えているのよ」

パチュリーも微笑み、伊万里に向けて言う。

「今後もどんどん力を使ってみて、自分自身のことを知っていってね。図書館には君の力についての手がかりがあるかもしれないし、いつでも聞いてきてほしいわ」

伊万里はみんなの笑顔を見つめ、心から満たされた気持ちになる。外の世界で「変わってる」と言われて悩んでいた自分だけど、ここ幻想郷ではその「変わりよう」が、誰よりも豊かな絆を作る力になっていた。

「ありがとうございます! 俺は今後も、この力を使ってみんなと楽しく過ごしたいです! パチュリーさん、今日は本当にありがとうございました!」

その時、図書館の扉がそっと開き、咲夜が頭を出して言う。

「レミリア様がお昼の準備ができたと言っています。伊万里さん、魔理沙さん、フランドール様、お食事に移りましょうか?」

「おいしいものが食べられるぞ! 伊万里、早く行こう!」

魔理沙が立ち上がると、伊万里もフランドールと一緒に立ち上がる。図書館の暗がりから外に出ると、紅魔館の廊下は朝陽で明るく輝いていた。伊万里はこの瞬間を心に刻み、幻想郷での新しい日々が、今ここから始まっていくのだと感じた——そして、その日々は、誰よりも輝かしいものになることを確信した。

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