東方創想録   作:Mrコッコ

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【妖怪の山】

紅魔館メンバーと出会って三日。伊万里は紅魔館で知った「4つの力が混じっている」「死なない可能性がある」という事実を、時折頭の中に浮かべながらも、普段通り神社での生活を続けていた。フランドールからは毎日「いつ来るの?」と飛んできて誘われ、時々紅魔館に遊びに行くこともあった。その日、伊万里が境内で光の花を咲かせて妖精たちと遊んでいると、空から強い風が吹き付けてきた。その風と一緒に、青い衣装を着た女性が降りてきて——黒い髪が風になびき、鋭い視線で伊万里を見つめる。

「外の世界から来た八方伊万里か? 私は射命丸文。新聞『文々。新聞』の記者だ」文は黒い羽根のようなものを背中から広げ、手に筆と紙を持っていた。伊万里は慌てて頭を下げると、文が早口で言い始める。

「聞いてるか? 最近、妖怪の山で『外の世界から来た特殊な力を持つ人間』の噂が広がってるんだ。早苗から話を聞いて、パチュリーに調べられたことも知ってるよ。これは大ネタだ! インタビューさせてくれないか?」

「え? インタビュー… 俺ですか?」その時、霊夢が縁側から出てきて、「文? またこんな所に来て大騒ぎするの? 伊万里は噂の種にされるのが嫌がるよ」

「だからこそ直接聞くんだよ! それに… 妖怪の山のサマたちも伊万里に会いたがってるんだ。八坂神奈子様と洩矢諏訪子様が『その4つの力を持つ者を呼んでみよう』って言っているんだ」

「神奈子さんと諏訪子さん… 早苗の上司たちですよね?」

伊万里が尋ねると、文は頷きながら手を招く。

「そうだ! 今日は妖怪の山に行って、インタビューしつつ会ってくれないか? 山の景色も綺麗だし、早苗も待ってるよ!」妖精たちは伊万里の肩に止まって「妖怪の山って何? 行ってみようよ!」とせがむ。魔理沙もほうきを肩に担いで走ってきて、

「おお、妖怪の山か! 私も久しぶりに行きたかったな。伊万里、一緒に行こう! 山には外の世界にない鉱石があって、道具作りに使えるかもしれない!」魔理沙がほうきに跨がって「いくぞ!」と叫ぶと、ほうきはスピードを上げて空中に飛び上がる。文は羽根を広げて並んで飛び、妖精たちも後ろについて飛び始める。上空から見下ろすと、魔法の森を越えて、緑豊かで高い山々が広がっていた——それが幻想郷でも最も神聖で神秘的な場所、妖怪の山だ。

「見てみろ、伊万里! あの山の頂上に神奈子様の神社があるんだ!」文が指さす方向には、白い鳥居が木々の中から突き出ていて、太陽の光を反射して輝いていた。風が強くなり、山のにおいが鼻を突いてくる。伊万里は心臓がドキドキしながら、これから会う神奈子さんたちへの期待を抱き始めた。少し飛ぶと、山の頂上にある守矢神社の鳥居がすぐそばまで近づいてきた。魔理沙はほうきをゆっくりと減速させ、神社の境内に着地させる。文も羽根を閉じて一緒に着地し、妖精たちは伊万里の肩に跳び移って周りを見回していた。その時、鳥居の先から緑色の髪を風になびかせた人物が歩いてきて——早苗が明るい笑顔で出迎えてくれた。

「久しぶりですね、伊万里さん! 飛んでくる途中、山の景色は見えましたか?」

「早苗さん! 久しぶりです! はい、すごく広くて綺麗でした! 外の世界にはこんな山はないです…」伊万里が嬉しそうに頭を下げると、早苗は手を招きながら言う。

「それは嬉しいです! でもさっそくですが、諏訪子さまと加奈子様が奥の本殿で待っていますよ。4つの力を持つ者が来ると聞いて、大変興味を持っていらっしゃるんです」

「え? 諏訪子さんと神奈子さんが… 俺を待っているんですか?」少し緊張して声が震える伊万里を見て、早苗は柔らかく笑いかける。

「大丈夫ですよ! 二人とも意外とフレンドリーなので。ただ… 諏訪子さまは時々子供っぽく暴れたりするけど、気にしないでくださいね」その時、文が筆と紙を取り出して早口で言い始める。

「やった! 本殿で会うんだね! インタビューもそこでしようか? 神奈子様と諏訪子様のコメントも取れれば、これは大ネタになる!」

「文さん、そんなに急いでちょっと…」早苗が苦笑いすると、魔理沙は手を腰にかけて言う。

「まあ、インタビューは後でもいいけど、まずは二人に会おうぜ。伊万里、一緒に行こう! 私も神奈子様から山の鉱石について聞きたいんだ」

「はい! でも… 少し緊張しますけど…」伊万里は深く深呼吸をし、早苗に続いて本殿へと向かう。境内には山の木々が生い茂り、鳥の鳴き声が響いていて、非常に落ち着いた雰囲気だった。少し歩くと、大きな本殿が見えてきて、その前に二人の人物が立っているのが見えた。一人は大きな鏡を持ち、赤い衣装に金の装飾が光る堂々とした女性——八坂神奈子。もう一人は小さな体で、紫の衣装に蛙の模様がついた可愛らしい女性——洩矢諏訪子。伊万里は心臓をドキドキさせながら、二人の前に立ち止まる。神奈子は伊万里をしっかりと見据え、力強い声で言う。

「はじめてだな。私は八坂神奈子、守矢神社に祀られる神の一柱だ」その視線に伊万里は少し後ろに引くが、すぐに頭を下げて答える。

「は… はい! 八方伊万里です! 外の世界から来ました。神奈子さんにお会いできて嬉しく思います!」次に諏訪子が前に一歩出て、ハキハキと言う。

「私は洩矢諏訪子だよ。以前、早苗が『人間以外の気配を感じた』って話してきたね。それで4つの力が混じってるってパチュリーが調べたんだろ? 興味深いね!」

「え? 早苗さんが話していたんですか…」伊万里が早苗を見ると、彼女は少し照れたように頷く。

「すみません… 二人に相談に乗ってもらおうと思って…」

「大丈夫だよ、早苗。それは良かったんだ」神奈子が手を振って早苗を安心させ、再び伊万里に視線を戻す。

「4つの力… 霊力、魔力、神力、妖力。それらが均衡を保って混じっているというのは、幻想郷史上初めて聞く話だ。その力を見せてもらえるか? ただし、ここは神社だから、弾幕ごっこはせずに、静かに力を感じさせてくれ」伊万里は少しためらった後、手の先に小さな光の花を咲かせる。すると、花からは淡い白い光が漏れ、その中には赤い魔力の輝き、緑の神力の波紋、黒っぽい妖力の気配が混ざり合っているのが見えた。

「おお… 確かに4つの力が混じってる… しかも均衡が取れているなんて…」神奈子が鏡を近づけて観察し、目を細める。諏訪子も跳び跳びで伊万里の手元に近づき、指で空をなでるようにする。

「へー、触っても痛くないんだね。普通はこんな力が混じってると、暴走しちゃうのに… 君はすごいね! 外の世界でこんな力を持ってたの?」

「え? 外の世界では… ただ『変わってる』と言われるだけで、こんな力があるとは全然気付いてなかったです…」その時、文が筆を走らせて紙に書き込みながら早口で言う。

「『外の世界では気付かず、幻想郷に来て初めて力が覚醒?』 これは大ネタだ! 伊万里くん、この力が覚醒したのはいつからなんだ?」伊万里は少し考え込んだ後、緩やかに笑顔を浮かべる。

「… 妖精たちと初めて弾幕ごっこをした時から、だと思います。その時、心から嬉しくなって… 自然に花が咲いたんです」諏訪子は伊万里の話を聞いて、さらに近くまで跳び寄ってハキハキと言う。

「普通はあり得ないけど、おそらく妖魔神の力を宿してるわよ。妖、魔、神… その三つの力が混ざって人間の霊力と一体化しちゃったんだろう。何か心当たりとかある? 外の世界で何か特別なことがあったの?」妖魔神の力… その言葉を聞いた瞬間、伊万里は頭の中にふっと遠い記憶が蘇ってくる。眉をひそめて目を閉じると、幼い自分の姿が浮かび上がる。

「… そういや、幼少の頃に母親や父親に虐待された時に… 変な札を貼られたりしたような気がするんです」その言葉に周りの空気が一時的に静まる。早苗は驚いたように口をぽかんと開け、神奈子も鏡を抱える手を少し締める。

「虐待… 札?」諏訪子も少し顔色を変えて、静かに聞き返す。伊万里は目を開けて自分の手を見つめ、さらに思い返す。

「今思えばその札は… 外の世界の普通のお札じゃなかったような気がします。赤い紙に黒い文字が書かれていて、見てるだけで頭が痛くなるような… 怖い気配がしたんです。その後、虐待は止んだんですけど… それからずっと『変わってる』と言われ続けて…」文も筆を止めて、少し悲しそうな顔で伊万里を見つめる。魔理沙は手を肩に置いて、静かに応援するように言う。

「伊万里… そんなことがあったんだ…」

「その札が鍵だったのかもしれないわ」神奈子が力強い声で言い、伊万里の視線を引き寄せる。

「妖魔神の力を宿すための呪いの札… 外の世界にはそういった力を使う者が隠れていることはある。虐待を止めるために、あるいは何か別の目的で… 君の体に力を封じ込めたのかもしれない」諏訪子も再びハキハキとした声に戻り、言う。

「だから幻想郷に来て、ここの空気や力がきっかけになって、札に封じられていた力が覚醒したんだね! 普通はそんな力が混ざっても暴走しちゃうのに、君は均衡を保って使えるんだから… 君自身の心が強い証拠だよ!」伊万里は二人の言葉を聞いて、少し安心したように息を吐く。幼い時の怖い記憶だったけど、それが今の自分の力の源だと知ることで、その力を嫌いになるのではなく、受け入れる気持ちが生まれてくる。

「… そうなんですか… 札が鍵だったんですか… 今まで悩んでいた『変わりよう』が、こんな形で生まれたんだと知ると… 少しはホッとします」早苗は伊万里の側に近づいて、柔らかく笑いかける。

「伊万里さんの心が強かったから、力が暴走しなかったんですよ。今後もその心で、この力を使っていけばいいんです」伊万里は大きく頷き、手の先に光の花を再び咲かせる。今度はその花には、以前よりも明るく強い輝きが宿っていた——妖魔神の力と、自分自身の心が一体化した証だった。伊万里は大きく頷き、手の先に光の花を再び咲かせる。今度はその花には、以前よりも明るく強い輝きが宿っていた——妖魔神の力と、自分自身の心が一体化した証だった。その光景を見た神奈子が、いつもの堂々とした声とは違い、ハキハキと言い出す。

「お前の心はもしかしたら、外の世界にいたら壊れてたかもしれない。虐待を受け、『変わってる』と言われ続ける中で… それでも、お前自身が一縷の希望をかけて、自分を受け入れてくれるところを願っていたんだろ? その結果、自身の力で幻想郷に入ったわけか」伊万里は神奈子の言葉に驚いて目を大きく見開く。自分が幻想郷に来たのは「偶然」だと一直線に思っていたのだが、そうではなかったのか——。

「自分の力で… 入ったんですか? 俺はただ、暗い路地裏を歩いていたら、突然光が射して… ここに来たんですけど…」

「その『光』がお前自身の希望と力だったんだよ」諏訪子が跳び上がって言う。

「幻想郷は『希望を持つ者』や『特殊な力を持つ者』を自然に引き寄せる場所だから。お前が願っていた『自分を受け入れてくれる場所』が、幻想郷を呼び寄せたんだね! それってすごくカッコ良いじゃん!」文が筆をガシガシ走らせながら、早口でつぶやく。

「『自身の希望の力で幻想郷に到着——外の世界の暗闇から逃れた奇跡』… これは読者に泣かせるネタだ! 伊万里くん、その時の気持ちをもう少し詳しく話してくれるか?」

伊万里は少し考え込んだ後、緩やかに笑顔を浮かべる。

「… 暗い路地裏を歩いていた時、心の中で『誰かに認めてもらいたい』『こんな世界じゃない、別の場所に行きたい』って思っていました。その瞬間、目の前が突然明るくなって… 次に気がついたら神社の境内にいたんです」

「それだ! それがお前自身の力だったんだ」神奈子が鏡を向けて伊万里の花を照らす。鏡に映った花は、4つの力が混ざり合って虹色に輝いていた。

「外の世界では発揮できなかった力が、ここで覚醒したのは、お前がここで自分を受け入れ始めたからだ。早苗も霊夢も魔理沙も、紅魔館の人たちも… みんながお前を認めてくれているから、力が安定するんだ」早苗は頷きながら言う。

「そうですよ! 伊万里さんがここに来てくれて、私たちも嬉しいです。幻想郷には伊万里さんのような人がいて、良かったです」伊万里は周りの人々の笑顔を見つめ、心から温かく満たされた気持ちになる。幼い時の暗い記憶も、今では自分をこの場所に導いた「きっかけ」に過ぎないと感じられるようになった。

「… ありがとうございます。俺は今、ここにいて良かったと思います。自分の力も、自分自身も、受け入れられるようになりました」その時、山の上から強い風が吹き付けてきて、伊万里の光の花が風に乗って境内中に舞い散る。妖精たちは花を追いかけて飛び回り、文はその光景を見て大きく声を上げる。

「わあ… これは絶対に写真に撮るんだ! 『妖魔神の力が宿った花が舞う守矢神社』… これが次号の見出しになるぞ!」伊万里はその文の声を聞いて、突然目を輝かせてハキハキと言い出す。

「決めた! 俺、幻想郷にいる者の役に立ちたいなぁー! そうだな、何でも屋と開発研究所と雑貨店みたいなのを営みたい! 名前は決めてる、『八方屋』って!」その言葉に周りの人たちが一斉に驚いて目を大きく見開く。早苗は嬉しそうに手を合わせて、

「八方屋! 名前がかっこ良いですね! 何でも屋って、どんなことをする店なんですか?」

「うん! 例えば妖精たちに花を作ってあげたり、魔理沙さんの道具作りに鉱石を探してあげたり、紅魔館に外の世界のような小物を作ってあげたり… 誰かが困っていたら何でも手伝うような店だよ! 開発は、自分の力を使って新しい花や小物を作ることも含むんだ」魔理沙は手を腰にかけて大きく頷き、「おお、それは便利だね! 俺も道具作りに困った時は頼むぞ! 八方屋、期待してるよ!」

神奈子も鏡を抱えて笑顔を浮かべ、「幻想郷にそんな店があれば、多くの者が喜ぶだろう。お前の4つの力を使って、外の世界の知識と組み合わせれば、他にない特殊な店になるだろう」諏訪子は跳び跳びで伊万里の前に来て、「それなら、私もお客さんになるよ! 外の世界のおもちゃみたいなもの作ってくれるの? 早苗にも新しいお守り作ってあげてよ!」

「もちろんだ! 諏訪子さんも早苗さんも、みんなのために何か作るよ!」伊万里が力強く頷くと、文は筆をガシガシ走らせながら早口で言う。

「『妖魔神の力を持つ者、幻想郷に新規店舗「八方屋」を開業予定——何でも手伝う夢のお店誕生!』 これは次号の特集にしちゃうぞ! 伊万里くん、店をどこに作るのか? 開業日は決まったのか?」

「店の場所は… まだ決まってないけど、神社の近くか魔法の森の中か… みんなが来やすい場所にしたいな。開業日もまだだけど、早く準備して、できるだけ早く開けるように頑張る!」その時、山の下から小鳥の鳴き声が響き、風に乗って新緑の香りが漂ってくる。伊万里は境内に舞い散る光の花を見つめ、自分が決めた新しい目標に胸が高鳴る。

「俺、これからが楽しみだな! 八方屋でみんなの役に立って、幻想郷をもっと楽しい場所にしたい!」周りの人々は伊万里の明るい声に合わせて笑い、妖精たちは「八方屋! 八方屋!」と声を上げて飛び回る。守矢神社の境内は、以前よりもさらに明るく、希望に満ちた雰囲気に包まれていた。文は筆を止めて頷き、言う。

「そういうことなら河童たちの協力は欠かせませんね。なんせ、彼女たちは建築やライフラインを作るプロですから」伊万里は驚いたように目を大きく見開き、言う。

「河童さんたち? 妖怪などの伝承とかは昔よく調べてたから知ってますけど、川辺に住んでる妖怪だから機械とか作れるイメージはないけど… 」その時、早苗が前に出てハキハキと言い出す。

「幻想郷の河童は凄いですよ! 外の世界から入り込んだ機械を直せるくらいはできるんですね。その影響で妖怪の山のインフラは物凄いことになってるんですよ——川の水を使った発電機があったり、山の中には隠れている通路が整備されてたり…」

「へー、そんなにすごいんですか! 建築もできるんですね… それだったら、八方屋の店舗を建てる時に協力してもらえたら、超助かるんですけど…」

伊万里がうれしそうに手を合わせると、文が早口で言う。

「包むよ! 俺が河童のリーダー、河城にとりちゃんに紹介してあげる! にとりちゃんは外の世界の技術に興味津々だから、外の世界から来た伊万里くんの話を聞いたら、喜んで協力してくれると思う!」

「河城にとりちゃん… 名前を聞いたことがあります! 伝承には『川の恵みを守る妖怪』って書いてあったけど、幻想郷では機械オタクさんなんですか?」

「そうそう! 山の川の中に隠れた工房で、いつも何か新しい機械を作っているんです」早苗が笑いながら続ける。

「前ににとりちゃんが作った『水風船で飛ぶ機械』ってのを見たんですけど、すごく巧妙でしたよ。伊万里さんの八方屋が河童さんたちに建ててもらえれば、きっと丈夫で便利な店になるでしょう!」魔理沙も手を腰にかけて言う。

「おお、それはいいね! 私もにとりちゃんから機械のヒントをもらったことがあるよ。確かにプロだから、安心して任せられる!」伊万里は胸を張って大きく頷く。

「わっ… すごい! 河童さんたちに協力してもらえるなんて、夢みたいです! 文さん、紹介してくれてありがとうございます! 早速会いに行きたいです!」

「いいよ! にとりちゃんの工房は山の中腹の川の近くにあるから、今から行っても大丈夫だよ。風が良いから飛んで行くとすぐ着くよ!」

文が羽根を広げて空中に少し浮かぶ。伊万里は魔理沙に向けて「行こうか?」と目配せすると、魔理沙はほうきを地面に立てかけて言う。

「当然だろ! 私もにとりちゃんに新しい鉱石の話を聞きたいし! いくぞ、伊万里!」伊万里は早苗と神奈子、諏訪子に手を振りながら言う。

「早苗さん、神奈子さん、諏訪子さん! 河童さんに会いに行ってきます! 八方屋の準備が進んだら、また来て報告しますね!」

「いいわよ。楽しんできてね」神奈子が笑顔で手を振り、諏訪子は跳び跳びで言う。

「お店が出来たら最初に私におもちゃ作ってね! 待ってるよ!」伊万里は照れながら頷き、魔理沙の背中に抱きついてほうきに跨る。文も羽根を広げて並んで飛び始め、妖精たちは後ろについて空を舞う。妖怪の山の緑豊かな風景を抜けて、川の音が近づいてくる——河童の工房がそこにあるのを感じ、伊万里の胸は新しい期待で高鳴っていた。伊万里は照れながら頷き、魔理沙の背中に抱きついてほうきに跨る。文も羽根を広げて並んで飛び始め、妖精たちは後ろについて空を舞う。妖怪の山の緑豊かな風景を抜けて、川の音が近づいてくる——河童の工房がそこにあるのを感じ、伊万里の胸は新しい期待で高鳴っていた。少し飛ぶと、山の中腹にある川のせせらぎが大きく聞こえてくる。川岸には大きな岩が立ち並び、その裏には木で作られた隠れ家のような建物が見えてきた。伊万里は期待のあまり声が弾んで、 「ここが河童の工房があるのか! すごい… 川のせせらぎも綺麗ですし…」魔理沙はほうきをゆっくり減速させ、川岸の空き地に着地させる。文も羽根を閉じて一緒に着地すると、岩の陰から誰かが出てきた。緑色の帽子をかぶり、水色の服に水色のツインテールが左右に揺れる——背中には水色のリュックを負って、手には小さなスクリュードライバーを持っている。彼女こそが河童のリーダー、河城にとりだ。

「おや、文ちゃんと魔理沙ちゃん、それに… 外の世界から来た伊万里くんだね? 文ちゃんが『八方屋を建てるから協力して』って先に言ってきたよ」にとりはツインテールを振りながら、機械っぽい目つきで伊万里を見つめる。伊万里は慌てて頭を下げ、「はい! 八方伊万里です! にとりさんにお会いできて嬉しく思います! お店を建てるのに、どうか協力していただけませんか?」

「うん、いいよ! 外の世界から来た人の店、興味深いね! 何でも屋と開発と雑貨店って話だったけど、具体的にどんな店にしたいの? 建物の大きさや仕様は考えてるの?」にとりは早口で質問を続け、手のスクリュードライバーを回しながら伊万里の周りを歩き回る。伊万里は少し戸惑いながらも、ハキハキと答える。

「ええ! まずはみんなが集まれる大きさの店舗にしたいです! 一階は雑貨と何でも屋のカウンター、二階は開発用の工房みたいなスペースにしたいです。それに、外の世界のような『窓辺のテーブル』を作って、みんながお茶を飲みながら話せるスペースも欲しいです! あと… 場所については、魔法の森と博麗神社、人間の里いずれからも近いところに建てる予定なんです!」

「へー、三つの場所から近いところ? それは考えられてるね! そうすれば神社にいる霊夢ちゃんも、人間の里の人たちも、魔法の森の妖精たちや魔理沙ちゃんも、誰でも来やすいじゃん!」にとりはリュックから紙と鉛筆を取り出し、すぐに地図のようなものを描き始める。

「それじゃあ、魔法の森の入口の近く、博麗神社から少し歩いたところ… あの川が流れてる谷間の空き地が良いと思う! そこだと三つの場所から何分かで着くし、川の水も使えるから換気装置や発電機も設置しやすいんだ」伊万里は大きく頷き、心が期待で膨らんでいく。魔法の森、博麗神社、人間の里——三つの場所から近い場所に建つ八方屋。その夢が、ここ妖怪の山の川辺から、ついに具体的な形を取り始めたのだ。その時、伊万里は突然手を上げて「あっ!」と声を上げ、付け加えるようにハキハキと言う。

「あっそれと、八方屋のすぐ隣に俺の住居も作ってほしい! 出来れば二階建ての一軒家を!」にとりは鉛筆を止めて、伊万里を見つめながら頷く。

「住居も? そうだね、店のすぐ隣に住んでれば、夜中に何かあった時や、早朝から準備する時に便利だよ。二階建ての一軒家って、どんな感じにしたいの?」

「うん! 二人以上暮らせる広さで一階は居間とキッチンと風呂場、二階は寝室と小さな書斎みたいなスペースにしたいです。店とはつながっているけど、それぞれ独立しているような設計にしたいです。あと… 庭も少し作って、自分の力で花を咲かせたり、野菜を植えたりしたいです!」

「庭まで考えてるんだね! 良いね! 店と住居を隣に建てて、中には小さな通路を作ってつなげれば、便利だし使いやすいよ。庭には川の水を引いて潤しやすいように、配管も考えておくね」にとりは地図に住居の位置を書き加え、すぐに設計図を描き始める。魔理沙は笑いながら言う、

「おお、二階建ての家か! 私は魔法の森の小さな家に住んでるから、そんな立派な家は羨ましいよ! 完成したら絶対に遊びに来るぞ!」

「もちろんです! 魔理沙さんや霊夢さん、紅魔館の人たちも、いつでも遊びに来てください! 庭にはみんなの好きな花を咲かせるよ!」文は筆を走らせながら早口でつぶやく、

「『八方屋と隣接する二階建て住居——外の世界風の生活空間も誕生!』 これも大ネタだね! 読者たちには絶対に伝えるよ!」伊万里はにとりが描く設計図を見つめ、目には期待の光が輝いていた。店も住居も庭も——自分だけの空間が、三つの場所から近い谷間に建つことを想像すると、胸が高鳴り続ける。

「にとりさん… 本当にありがとうございます。俺が描いていた理想の場所が、こんなに具体的になってるんです… これからもよろしくお願いします!」

「うん、包むよ! 河童たちと一緒に、伊万里くんが満足できるような店と家を建てるから! 明日から現場を確認して始工するぞ!」その言葉を聞いて、伊万里は大きく頷く。妖怪の山の川のせせらぎが、今まで以上に明るく響いて聞こえてくる。八方屋と自分の家——幻想郷での新しい「居場所」が、ついに始まるのだ。

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