転生したら「ワルプルギスの夜」だった件   作:十二夜

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ぜつ‐ぼう【絶望】
望みや期待がまったく絶たれること。



狂なる絶望

 

「いくらなんでも早すぎるだろうが……ッ!」

 

かつて、世界は全てギィの掌にあった。

 

この世界は巨大な盤面、人も魔物も()とのゲームに用いる手駒。

だと言うのに、四百年前から何かがおかしい。

 

『ワルプルギスの夜』の復活。

 

千年保つ封印は、僅か三百年でその役割を放棄した。

 

魔女は嗤う。

 

世界という盤面にてゲームに興じるギィを、更に上から見下ろす『夜』のように。

 

最強の上位者であるギィを、嘲笑うかのように。

 

「クソ……ッたれえええええええええ!!」

 

荒ぶるギィの手から一粒の極光が飛び出す。

 

それは上空にて炸裂し、一瞬で白氷宮を除く氷土の大陸の氷を溶かし尽くした。

放つ超高温は、ヴェルザードの魔力に覆われた大地を、一時ながらも常温にまで戻す。

核撃魔法とは比較にすらならない超絶威力。

 

明星よ墜ちよ(ティロ・アレステレ)」。

 

その一撃は既に、模倣と呼べる域を大きく超えていた。

 

だが、それでもギィは僅かにも満足していなかった。

 

その生涯にて、未だかつて感じたことが無いほどの屈辱。

憤怒にも似たその感情はしかし、ワルプルギスへと向けられてはいなかった。

 

ひたすらにどこまでも、己が腹立たしい。

 

この三百年、ギィは己の全霊を以て「魔女の罰」への対策に挑んだ。

 

理解し、解明し、解析し、対策しようと努めた。

 

そうして得られた結果は、『火』から飛び散った火の粉の一つを焼滅せずに振り払うという、ただそれだけ。

 

小さな火の粉を振り払うために、三百年。

 

もちろん、今のこの世界で『火』の火の粉を振り払える存在はギィの他には在り得ない。

しかしそれでも、ギィにとっては余りにも納得しかねる結果だった。

 

果てすら見えない万里の道を踏破しなければならぬというのに、未だ一歩しか踏み出せない事の何を誇れるというのか。

 

ギィは生まれて初めて、屈辱と共に自らの無力を痛感した。

 

ギィに出来る事はただ、封印から解かれたワルプルギスの頭が冷えていて、変な気を起こさないようにと、この白氷宮にて祈ることだけ。

 

きつく嚙み締められた唇から、鮮血が垂れ落ちた。

 

足りない、何もかも。

 

もっと「上」へ行かなければ。もっと力を、究極の、その最上を行かなければ。

 

渦巻く激情は、究極能力(アルティメットスキル)に一つの種を落とす。

 

発芽の時は、きっと近い。

 

 

 

 

 

 

×××

 

 

 

 

 

 

「魔女様、生憎ではございますがリムル様は現在留守でございまして……」

 

大量の発汗を抱えながらも、リグルドが勇敢にワルプルギスの応対を務める。

 

一つ、発言を間違えれば死ぬ。

 

そんな謎の確信が、リグルドにはあった。

 

『ふ~ン。なら、イングラシアかしラ?』

「ッ!? それには、お答えできませぬ。して、『ワルプルギスの夜』様。リムル様へは何用ですかな?」

 

内心の動揺を悟られないよう、リグルドは来訪の目的を訪ねる。

 

リムルがここに居ないという事を知っていれば、リムルを出せなんて言わない。

つまり、魔女はリムルの居場所を把握しているという訳では無いはずだ。

だと言うのに、リムルが居ないことを知った瞬間、当然のように一切の手掛かり無く目的地を特定した。

 

目の前の魔女は、我々には見えない何かを見ている。

それが、リグルドには恐ろしかった。

 

『ヨ……ワルプルギス』

「なんと?」

『ワルプルギスとお呼びなさい。ワタクシの名ですワ』

 

リグルドの問いにそれだけを返すと、ワルプルギスはリグルド達の背後へと視線を向けた。

 

『アラ。お出ましですワネ』

「全員退避ッッ!!!!」

「ここは私たちが食い止めます!!」

 

その声を聞いた住民が蜘蛛の子を散らすように一目散に走り去る。

 

それと同時に、全速力で駆けるベニマルとシオンの姿が暗闇より現れた。

 

ミリムのことを忘れたわけでは無い。

友好的な可能性はある。

これが悪手であることも理解している。

だが、それら全ての考えが霞むほどに、魔女の放つ雰囲気は悍ましく、禍々しく、邪悪だった。

 

「ハアアアアアアッ!!」

 

あの日よりも遥かに力強く、駆ける勢いそのままにシオンが跳ぶ。

ベニマルは刀に黒炎を纏わせ、下から斜めに斬り上げる。

 

棒立ちのまま嗤うワルプルギスの脳天を目掛けて大太刀が、胴体へは炎の刃が直撃した。

 

()()()()()()()()

 

「「………ッッ!」」

 

目の前の結果が受け入れられず、ベニマルが思わず目を瞑る。

 

力量差が分からぬほど愚かではない。

本気で殺せるなど思ってもいない、ただリムルが戻ってくるまで時間を稼ぐことが出来ればそれで良かった。

その為に死んだって良かった。

 

それなのに、()()はあんまりだ。

 

避けてくれたならば、どれほど良かったか。

ミリムのように力で受け止めてくれたならば、どれほど良かったか。

 

『……? マァ、ゴメンナサイ。気付けませんでしたワ』

 

そこに、言外の意は無かった。

 

ワルプルギスは事実をそのままに述べたのだと、二人は嫌でも理解させられた。

 

シオンの「剛力丸」は、ワルプルギスの顔で止まっていた。

その白い肌に一筋の傷も、皺も、それどころか被る魔女帽の繊維一つ千切ることも叶わないまま「剛力丸」は攻撃を終えた。

それはベニマルも同様だった。纏う黒炎は、本体は言わずもがなドレスの端すら焼き焦がせない。

 

さすがのワルプルギスも、バツが悪そうに顔を少し伏せる。

本当に少しも気付けなかったのだ。

攻撃が既に終わっていたことに。

 

彼らの敵として立ちはだかるには、余りにも役不足。

 

『モウ、気は済みまして? ベニマルもシオンも、とりあえず武器を納めなさいナ』

 

ようやくベニマルは察した。

 

目の前の存在は、天災だ。

 

相討ちなど虚数の彼方。

挑むことさえも無限に遠く。

命を懸けて敗走しなければならないような相手。

 

立ち向かうには、余りにも力不足。

 

そう判断してからのベニマルの行動は速かった。

 

一切の躊躇なく、ベニマルは頭を下げた。

 

「突然攻撃した無礼をお許しいただきたい、ワルプルギス殿。この国を守ることがオレ達の務め、どうかご容赦願いたい……ほら、シオンも」

「くっ………私からも、謝ります」

『気にしませんワ。ほらソウエイも出て来ていらっしゃいナ。アナタ達を害するつもりはありませんワ』

 

その声で観念したのか、気配を消していたソウエイが姿を現す。

 

なぜ自分たちの名前を知っているのか、そんなことはどうでも良かった。

ワルプルギスがリムルを害する存在なのかどうか、それだけが重要だった。

 

ベニマルが口を開く前に、ワルプルギスが声を被せるように言った。

 

『安心しなさい。リムルを害するつもりもありませんワ。むしろ、力になりたいのヨ? この、ワタクシが』

「……本当ですか?」

『エエ、エエ! でも、アナタ達にその理由を教えたくはありませんノ。また来ますワ。それまで、ワタクシのことはリムルには内緒でお願いネ? ビックリさせたくって』

 

茶目っ気たっぷりに両手を合わせて、ワルプルギスはお願いをする。

 

その言葉はどこまで信用出来るのか。

判断は難しいが、それは後でリムルも交えて相談を重ねればいい。

今はまず、下手に刺激して戦闘にならないようにすべきだ。

 

ベニマル達が頷いたのを見て、ワルプルギスは笑った。

 

嗤って、ソウエイを見た。

 

『ネ? ソウエイ?』

「うっ……? ぐあああああああああああああああああああああああああああああ!!!???」

 

そして、「絶望覇気」を叩き付けた。

 

『おかしいですワネ。強者に従うのが魔物の本能では無かったのカシラ?』

「ぐギィャ、がああああああああああああああああああああ!!!」

『アナタ今、分身を使ってリムルに教えようとしたでしょう? ワタクシは教えるなと言ったのヨ?』

「ああ、あああぎぃぁぁああがあああああああああああああああ!!!」

『不遜ではなくっテ? 無礼ではなくっテ?』

「ソウエイッ!?」

 

シオンの悲鳴が響く。

 

絶望。

 

人々は実に軽々しくその言葉を使うが、本来絶望とは決してそんな軽いものでは無い。

 

絶望とは、一切の希望を喪うこと。望みなく、期待なく、願望なく所望なく祈りなく庶幾なく志望なく本望なく宿望なく大望なく野望なく野心なく望蜀なく悲願なく切望なく目的なく興味なく熱望なく渇望なく希求なく追求なく待望なく嘱望なく理由なく、そして一切の終わりなく。

 

真の絶望とは、一種の狂気に他ならない。

 

死に至る狂気、その最たる空虚。

 

それが、絶望。

 

生命は、絶望の中で生き永らえるようには出来ていない。

 

ワルプルギスの覇気は、真の絶望を魂に刻み付ける。

念入りに丁寧に、魂を削るように深く深く。

 

「アアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」

 

割れんばかりの頭を押さえ、ソウエイが地面を転げ回る。

その魂からは、今まさに全ての希望が死に絶えようとしていた。

 

「貴様ッ! 今すぐそれを止めろ!!」

 

それを黙って見ていられる二人ではない。

ベニマルとシオンは同時に武器を構え、再度ワルプルギスへ向ける。

 

ワルプルギスが嗤う。

 

『アラ! アラ!! ここにいる全員、リムルの前に愉快な死体(オブジェ)として並べられたいようネ!!』

 

一触即発。

 

誰か一人でも動いた瞬間、テンペストが地図から消えるのは目に見えていた。

だがそれでも、二人の中にソウエイを見殺しにするという選択肢は無かった。

 

(申し訳ございません。リムル様)

 

心の中でリムルに赦しを請い、シオンが一歩を踏み出す。

 

まさにその瞬間だった。

 

「やめんか!!!」

 

ハクロウの一喝が、場に響き渡った。

 

ベニマルの背後の暗がりから進み出たハクロウは、ワルプルギスとソウエイを交互に一瞥すると、その場で正座し地に額を付けた。

 

斬れるという確信がハクロウにはあった。

だが同時に、斬ってはならないという確信もハクロウは持っていた。

 

「っ!? じぃや……!」

「ワルプルギス様、そこなソウエイが大変な失礼を(つかまつ)った。重ね重ね、お詫びを申し上げますじゃ。どうか、この老いぼれの頸一つで容赦していただけますまいか?」

 

そう言ってハクロウは、首を差し出すように再び地面に頭を付ける。

 

それを見たベニマルとシオンは逡巡した。

今もソウエイは苦しんでおり、すぐにでも斬りかかりたいのだがハクロウが頭を下げている手前ここで下手に動くこともできない。

もっとも、ワルプルギスが本気でハクロウの首を取ろうとするならば、容赦なく斬りかかる準備は出来ていた。

 

だが、それは不要だった。

 

『……マァ、良いでしょう。元々アナタ達を殺しに来たのではありませんし。ワタクシってば優しいですワネ』

 

そう、ワルプルギスは気の抜けたように言うと覇気を収めた。

 

ソウエイが苦しむのを止めて、ぐったりと地面に横たわる。

 

「……ッ! ソウエイ!」

 

ベニマルが慌てて駆け寄り、ソウエイの上体を起こす。

気絶をしているが、命に別状は無さそうだった。

 

『また来ますワ。くれぐれも、リムルには内緒ネ?』

「勿論ですじゃ。そのように」

『ワタクシ、アナタ達の事が大好きなんですのヨ? ウフフフ!』

 

そう言い残すと、来た時と同じくワルプルギスはその場から消えた。

 

後に残された四人は暫く誰も言葉を発しなかったが、やがてハクロウが立ち上がると端的に指示を飛ばした。

 

「今すぐ会議室に幹部を集めるのじゃ。ソウエイには目覚め次第、リムル様に連絡をさせよ。さぁ、急ぐのじゃ!」

 

 

 

 

 

 

×××

 

 

 

 

 

 

月の光に浴するように浸りながら、ワルプルギスは森の中をゆっくりと進む。

 

身体を白く浮かび上がらせ、ワルプルギスは愉快そうに口端を吊り上げた。

 

(いやぁ~、みんな私の記憶の中のまんまだ。嬉しいねぇ)

《どいつもこいつも生意気でしたワ。ワタクシ、舐められてますわヨ!》

 

背後の魔法陣が不機嫌を示すかのようにチカチカと点滅する。

 

《いつか全員罰してやりますワ! フン!》

(まぁ、落ち着けよ。少なくともそれは今じゃない。それに――)

 

ワルプルギスが足元を見る。

 

先程から、虹色のプードルが後ろに付いてきていた。

嬉しそうに舌を出してワルプルギスを見上げている。

 

(……使い魔、なんだろうけど。出したっけ?)

《サァ? いつの間にか付いてきてましたけど》

 

『夜』の落とし子、月喰彩妖狼(マナガルム)

 

フールを除く最後の一体にして、落とし子の中で最多の被害者を出した災厄。

 

その姿はどこをどう見ても、毛並みを整えられた可愛らしいプードルにしか見えない。

故に人々は油断し、そして死ぬ。

その腹の中には、今でも大量の死体が詰まっている。

 

しかし、そんな話は露ほども知らないワルプルギスである。

 

「ワンッ」

(そうだ! どうせなら名付けをしてみよう!)

《名付け? どうしてですノ?》

(ほら、この世界に来てからまだしたことが無かったろ? この機にどうかなーって)

「ワンワンッ」

 

何かを察したのか、月喰彩妖狼(マナガルム)はワルプルギスの足元をぐるぐると回り始める。

それを見て、ワルプルギスは閃いた。

 

『……ステラ』

「わふ?」

『お前はステラだ。夜に寄り添うのは、月か星だと昔から相場が決まっている』

「ワン! ワオーーーン!!」

 

ワルプルギスの体内から大量の魔素がゴッソリと持っていかれる。

量にして覚醒魔王三体分、洒落にならない程の魔素量が消失するが、それでもワルプルギスにとっては全体の十分の一にも満たない減少だった。

 

ステラは一度、長い遠吠えをするとそのままワルプルギスの背負う魔法陣の中へ消えていく。

眠っているのであろうか、それっきり音沙汰は無かった。

 

(……なんか、あっさり終わったな。ていうか魔法陣に入れるのか)

《結果はステラが次に目覚めた時に分かりますワヨ。それよりも、時間を有意義に使ってはいかが?》

(ま、それもそうだ)

 

ワルプルギスが再び前へと進み始める。

 

(リムルがテンペストに居ないのは嬉しい誤算だ。これで少しの間、自由に動ける。今のうちに下地を準備しておこう)

《その前に少しよろしいかしラ? 試したい能力があるの、()()を大幅に簡略化出来ると思うし、付き合って下さる?》

(そりゃあ、もちろん。どこへ行けば良い?)

《帝国へ》

 

 

 

 

 

 

ナスカ・ナムリウム・ウルメリア東方連合統一帝国。

ジュラの大森林の東方に位置する大陸北東の一帯を支配する帝政国家。

 

その第二都市、シュリス。

臣民人口8000万人を抱える、都市というよりは国規模の巨大都市。

 

その入り口となる大門に向かって、ワルプルギスは悠々と進んでいた。

 

《自らを名付けたことによって幾つか能力が増えましたノ。今からその内の一つを紹介しますワ》

(へぇ。強いのか? その能力)

《ウフフ。それは使ってからのお楽しみですワ》

 

ヨルと気軽に会話しながら、ワルプルギスは大門に近付く。

 

ただでさえ見晴らしの良い場所に、魔法陣を輝かせながら進んでくる存在が居れば、気付かれるのは当たり前だった。

門を守る兵士がワルプルギスを止める。

 

「おいっ! なんだ貴様は! シュリスに何か用か!」

 

その問いを気にも留めず、ワルプルギスはヨルに話しかける。

 

(で、私は何をすれば良いんだ?)

《覇気をぶつけてご覧なさい》

 

ヨルの言う通りに、ワルプルギスが覇気を解放する。

 

真の絶望が魂に刻まれる。

 

「っあ……あ、ああ、ばアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア嗚呼アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア嗚呼ああああああああ!!!!!」

 

その兵士は武器を取り落とすと、絶叫を上げながら両手で顔を覆う。

そしてワルプルギスが次の行動を起こすよりも早く、自らの眼窩に両腕を刺し入れた。

 

「ギィアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

(うわぁ……)

《アラアラ……》

 

己の両手によって自らの眼球を潰すと、更に奥へ奥へと腕を差し入れる。

やがて頭蓋の中から水っぽい破裂音が響き、男はそのまま地面に倒れて息絶えた。

 

(……グロ。え、能力使う前に死んだけど?)

《こんなに意志が弱いとは思いませんでしたワ。幸い、人が集まって来ましたワヨ? チャンス継続!ってヤツですワ》

 

自分の脳を握り潰したその死体から視線を上げると、絶叫を聞いた他の兵士が続々とワルプルギスの周りに集まって来ていた。

それを見たワルプルギスはもう一度覇気を解放する。

途端に苦しみだした兵士達が何かをするよりも早く、今度こそヨルが能力を使用した。

 

絶望(それ)はワタクシのものですワ。『希亡(きぼう)』》

 

その瞬間、悲鳴が止んだ。

 

抵抗なく、例外なく、動く余地すら無く、その場の兵士達は一人残らず死んでいた。

 

希亡(きぼう)」。

 

それは、絶望した者の魂を掌握する能力。

魂を掌握し、思いのままに弄ぶ能力。

(のぞみ)無き者を(ほろ)ぼすその力は、皮肉にも「希望」と同じ発音を持っていた。

 

(とすると、あれか、リムルの『魂喰』と同じような能力なのか)

《エエ。ですが、それよりは使い勝手が良いと思いますわヨ? なにせ――》

(私には絶望覇気がある、だろう?)

 

十三個の死体を前に、ワルプルギスが嗤う。

 

楽しそうに、堪え切れないように、愉快極まりないように。

 

「あっはは! アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

両腕を広げ、半月を仰ぎ。

 

(つまり、()()()()()()か!?)

《エエ! エエ!!》

(素敵だ! コイツは最高だ! あは、あはははははは!)

《ウフフ! 素敵でしょう? ワタクシに相応しい能力でしょう!?》

 

ワルプルギスが全力の「絶望覇気」を解放する。

 

真の絶望が広大なシュリスを覆う。

死に至る狂気が、8000万人の魂に刻み付けられる。

 

(これを以て、私の復活の祝いとしようじゃないか!)

 

ワルプルギスが魔女に成ると決意した時、あらゆる略奪は肯定された。

神自身がそうであるように。

 

『絶望は、私のものだ!』

 

一秒。

 

帝国の第二都市、シュリスから生命が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ステータス

 

 名前:ワルプルギス

 

 種族:魔女

 

 加護:円環の残光

 

 称号:『ワルプルギスの夜』,『廻天せし魔』

 

 魔法:無し

 

 技能:『究極能力(アルティメットスキル)

      …「戯曲之神(シェイクスピア)

      …「月に嘆く最後の魔女(マギカ)

 

     常用スキル…『絶望覇気』,『号哭の闇』   

     戦闘スキル…『廻天』,『希亡』,『月下狂宴』

 

 耐性:全環境影響無効,全攻撃無効,状態異常無効

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございます。

連休明けの初日ではなく、連休最終日に更新を滑り込ませるこの判断力、練り上げられている。至高の領域に近い。

それはそうと、自分で耐性を付けておきながら自分で頭を抱えております。
究極能力による攻撃以外がまず通りすらしない化け物が生まれてしまった。
えぇ……(諦観)
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