「ここか」
華扇の言っていた寺とはここのことだろう。…正直言って、神社仏閣の類というのは知らない。特に力のある寺などは、生まで行った時は来るなと断られた。なんなら力がないところは坊さんが苦しみ出したり。まあぶっちゃけ理由は幾重にも積み重なりゴミのような瘴気となった呪いのせいだとは分かっている。マジで本人に言ってみようかな。狐だけで半分くらいの呪いがあるんだよな。…あいつが大概悪くね?華扇に解いてもらう予定の呪い、内訳は半分あいつだぞ。
「こんちわす」
「…変な人が来ました!!」
「えっ」
「変な人!!変な人です!!」
「なんですって」
「であえ、であえー!」
なんだかよくわからないが、さっさと構えられた。…なに?俺、何かした?この子犬にみたいなやつになんかした?困惑していると住職らしき人が出てきて、素性を聞かれた。全部正直に答える。坊さんに嘘ついたら面倒だし、バレた時が何より面倒だから。…正直言って、一番最初にであえとか抜かした奴に勝てる気がしないだけだが。そして、どうやら俺が変に見えたのは腕のせいだったらしい。なにがなにやら。不貞腐れて良い?良くない?あ、そう。
「…それで、どうされました?」
「あの、体を払われる理由は?」
「先ずは御用件ですね。」
「ちょ、塩、やめて」
「やっぱ海水が好みですかね」
「誰お前」
とりあえず、いじめられている。華扇助けて、助けて華扇。泣きそう。しかしどうやら訳のわからん洗礼が終わったらしい。帰って寝てればよかった。というわけで、用件を伝える。今から見せる死体の呪いを解けたりしないかというだけ。呪いは解けるらしい。どうにかして見せたいが、…んー。呪いに耐性のない奴らが何人かいる。そいつらを結界で包み、仙界への道を二つ開く。…上下セットで、落下したら直ぐに戻せるように。いや、一応だ。本当に一応。マジで。何か起きても知らんぞ。
「…よっ」
「っ!?」
「どう?」
「えっと…今の、は?」
「用件を聞いたのはそっちだ。で、解ける?」
「…私だけでは、無理かと。博麗の巫女や、守矢神社…後は、憎き豊郷耳という方にも手伝ってもらうことになるかと」
「殴るぞお前…正直言って豊郷耳が気に食わない」
「同じです」
そう言った途端、後ろから嫌な声がした。開けていた仙界への道を少し移動。落ちるように移動し、さっさと住職の背後へ。申し訳なく思うことはないのだが、とにかく無視する。こいつに物事を噛ませると、なにやら過大な解釈をして、尚且つそれがさも規定事実かのように振る舞う気がしてならない。というかするだろう。一時期は里の指導者にもなろうかと考えていたナルシストだ。煮詰まって崩した脳みそでもそのような自認はしないはずだ。角煮のように触れればボロボロの脳を持つのかもしれんな。
「酷いじゃないか。私の師匠とは仲が良いんだろう?」
「すまん、名前は?」
「白蓮です」
「そうか。」
「なんの話をしているのかな」
「ゔぇっ」
「えっ」
煙幕。また来る時に白蓮の力を借りやすいように、一つ借りを作っておこう。煙幕のマジックアイテムは腕の中に移動したので、それとは別にもう一つ腹に積んだマジックアイテムがある。マジックアイテムを豊郷耳の腹に当て、魔力を流す。このマジックアイテム、なにができるのか。答えは簡単衝撃波を出すだけ。変換された魔力のほとんどを流し込み、起爆。こちらの腕も補強しなければ耐えられないが、流石にこれは豊郷耳も飛ぶだろう。斜め方向に飛ばしたので、多分大丈夫。…多分。
「お、やっぱ火力は正義だな」
「…な、何を…?」
「豊郷耳をぶっ飛ばしてやった。じゃ、呪い解いたらその時の俺をヨロシク」
「あ、はぁ。」
「じゃあな」
仙界に帰る。が、ふと忘れていた。結界解いてない。…まあ、そこら辺はあいつらが勝手になんとかするでしょ。仙界に入って布団を敷き、寝ようとすると布団から手が生える。え、何。怖い。華扇ではない。あいつは呼びかけたら直ぐに返事をする。…この手、まさかな。いや確かに握ったことも触ったこともない腕だ。が、よくよく考えたら。そもそも俺の仙界に入って来れるやつはとんでもないやつなわけだ。青蛾もああ見えて強い方だし。鍛錬も欠かしてはいない。つまり、こいつはおそらく豊郷耳だ。つーか出てきた。耳で存在をアピールするな。気持ち悪い。
「よっ」
「もしもし死神?」
「それは自爆技だろう?」
「…何」
「私があそこにいた理由、わからないかな」
「知りたくない。失せろ」
「…ただならぬ瘴気に近い何かを感じたんだけども。」
成る程それは俺が悪い。じゃあ帰れ。どうやら豊郷耳は俺の心の声(笑)を聞き、もしや呪いから解放されたがっているのではないかと疑ったそうな。事実俺は解放されたがっているし、なんならその為に色々と話を回してきた。生身の俺が解放されたのなら、今度は寿命で死ぬことを目標に終活をする手筈だ。俺の意志はそのまま生身に行くはずだから、多分そのはず。まあ価値観が変わったのなら知らん。そして、少なくとも俺の計画に豊郷耳は入っていない。失せろ。
「…失敗した時の話をしたい。」
「は?」
「失敗した時。私たちのもとに来てくれないか。布都もなんとかして見せる」
「おい」
「勿論、こちらに来る時は私たちも全力で歓迎する。どうだろう、悪くはないと思うが」
「…ウチの華扇が失敗るわけがないだろ。お前みたいな能無しとは違うんだ。」
柏は華扇の腕に絶対的な信頼を置いています。
そして呪いが解けるなら何を犠牲にしても構わないと思っています。殺されること以外は。