足りないよな。まだ付けれる因縁あるよな。
そう思うよねぬえちゃん。
また命蓮寺を訪れようとしたところ、懐かしいやつを見かけた。妖ガチ勢、鵺である。ちなみにあいつは俺に呪いをかけたことがある。さらについでで言えばその呪いはもう解いてある。舐めんなよと。俺が呪いをかけられて参ったのは狐の妖怪以降だ。鵺自体の呪いは今でも解ける。…がその前に。何であいつが幻想郷にいるのかを知りたい。一時期俺のことを正体不明にして遊んでた奴だぞ。仙人じゃなかったら多分一生正体不明だった。いや多分死んでたから死体が正体不明か。
「よう」
「うわっ…え、あれ!?」
「久しぶりだな鵺」
「…え、何で生きてるの!?」
「仙人だから」
「へぇ」
久しぶりに出会ったので話をしてみる。と、何やら変な話が出た。人里にワーハクタクなる妖怪がいるらしい。…半人半妖、更には後天的なもの。…なんだろう、自画自賛というわけではないのだが。俺が関わった人間にしか思えない。何だろう。俺がやったかな。何体かそれっぽいのやったし…でもワーハクタク?って何?…何?な、何?…え、知らないよそんな種族。俺がやった記憶もなければそもそもワーハクタクって何状態。言い訳はない。そもそもわかんねーから。
「…ここか」
鵺はそれを伝えたらそそくさと逃げた。呪いを一つプレゼントしてやったが、いつ気付くだろうか。そうしてワーハクタクを尋ねると出てきたのは普通の人だった。が、顔を合わせて少ししたところでキッと睨まれた。人外だからか、と思っていたら出てきた人間が周りを確認して俺を家の中に押し込めた。…何、そういうのは求めてないんだけど。どうやらそういうのではなかったらしいが。とにかく何が何だかわからんと構えていたところ、茶を出された。…何が何だか。
「な、何?」
「忘れたとは言わせない。あの夜のことを。」
「………んー………え………思い出すまで待つ………?」
「馬鹿にしてるのか?」
「いや、でもな……なんか、ある?」
「家の縁側で歩いていたところを攫ったのはお前だろう。忘れたことはない。お前だ。お前なんだ。」
「時間帯は?」
「夜。満月の夜だぞ。覚えていないのか?」
…何で俺は、こんな小さい人間に責められなければ。しかし満月の夜か。家の縁側…あー。あれか。…割と最近だな。華扇を仙人にした後の話だ。あの時は解呪のために必死だったからなぁ。いやでも、やったのは俺じゃない。選ばせたのは俺だけど。あの日は確か、月が…いや、そうだな。俺がやったことにするか。八雲紫伝ではあるのだが、月に住む奴らと関わると碌なことがないらしいから。知らんぷりだ。そうだよ俺だよ。俺がやった。…確かに、良く思えば月の奴らが地上に何をするというんだ。
「俺がやったぞ。あの頃は可愛い子が多かったからな。長生きさせたくて。…でも意外だな。生きてるなんて」
「ふざけるな。お前のせいで私は、満月の夜が近付けば眠れなくなっているんだ。」
「じゃあ、直してやろうか。眠れないところだけ。」
「…は?」
「お前も元は人間。それなら脳みその作りも同じだ。脳みその錯覚で満月を見ることを失くす。」
どうだ、と思い出してみたのだが、どうやら一言気に入らないと言われた。なんなら満月には仕事が出来ているから、どちらかというと満月時に変化する痛みをどうにかしろと言われた。…まあ、言いたいことはわかる。ので、ここは一つ楽な方法を取る。痛みの出る場所を聞くと、頭と尻。満月というのは妖が活発になる力が出ている。それを俺の力で弄り回してしまおうというだけだ。頭と尾てい骨に紋様を描く。これだけだ。月の力を魔力に変換、その魔力で痛みの出る部分の痛覚だけを麻痺させるだけ。良し。
「…ただ、満月の夜にはちゃんと外に出ろ。そうじゃないと麻痺が足りんかもしれん。」
「成程」
「後、簡単に尻を見せるな」
「なっ」
「次に満月の夜になったらここに来る。悪いがここら辺に物を置くなよ。ここに来るからな。」
「…巫女を呼ぶぞ」
「じゃあどうやって連絡を取る。痛みが出ても俺は来れんぞ」
「…。」
渋々、といった感じで置かせてもらった。ついでに鵺の呪いを完全に発動させておいた。今頃あいつは腹痛と尻の痛みで強烈な死を連想していることだろう。そうであれ。内臓が軋む痛みよりはマシだろう。まあ内臓が軋む呪いは九尾だけど。まあそれはさておき、次の満月。早くも来たその日に家を訪れてみた。なんか、身長が少し小さくなり、服の色は個人の自由だが緑、尻尾も生える。…でも、それだけだった。犬歯も少し伸びたのだろうか。あ、あとはツノも生えてる。…俺、こんなの作って放ってたのか。
「随分と可愛らしいな」
「黙れ。」
「どうだ、紋様の心地は」
「…痛みはなくなっていた。」
「なら良し。帰るわ」
「まあ待て。毒入りの茶がある」
「無駄だ。俺はもう魂ごと殺さん限り死なない」
さよならして天界の土地に座り、空を眺める。綺麗な月だ。良いね。…今度、どこかのタイミングで月にでも行こうか。いや、八雲紫が理由抜きでやめろと言う奴らだ。やめとく。浮島の縁に座り、下を見る。うん、深い。深くはないんだけどもな。ただ、ワーハクタク以外にも同じようなことをされ、尚且つ今も生きている奴がいるのだろうか。そいつと出会ったらまず死ぬかな…死ぬかも…
「おい盗人」
「何だよ…やべっ」
「逃がさない!この天子が捕まえて生け捕りよ!」
天界の生捕りとは。
飯を与えて三分間の筋肉断裂。