「…」
「…」
「…」
三人ともども黙り。小悪魔、パチュリーノーレッジ、俺。…まあそれもそのはず、三人とも本を読んでいるからだ。俺が読んでる本はもちろん解呪のもの。それ以外に当面の目標なんてないし。もっとも書いてあることのほとんどが読んだことあることだし、俺の出来ない範囲の解呪とかないのか知りたいが沈黙の中動くほどの勇気もない。…誰か、この沈黙をへし折ってこんにちは出来る奴いないのか。いないように思える。全員読書に集中してるっていうのがな。
「あ、私も行きます」
「じゃあまだ読んでないもの3冊」
「分かりました」
「…お前も大変そうだな」
「そういう召喚悪魔ですから」
何言ってんだ。解呪関係のものを探している途中に、変な奴が横を通った。まあ関係ないけど。空を飛べるから関係はないんだけども、空を飛ばなきゃ本を取れないというのはどうなのか。初心者には勧められない図書館です。星1。さて取り出した魔導書が知ってるものではないことを確認し、もう一冊取ってパチュリーノーレッジのところに戻る。すると俺が座っていた席に誰かいる。独特な羽、金髪、イメージカラーは赤と言っていいだろう服。…さっき横を通った奴だ。即席で椅子を作り、館主の横に失礼する。
「…いいけど、近い」
「だから失礼している。親愛なる館主様の邪魔はしない」
「小悪魔の席に座れば?」
「そこの吸血鬼よりかは他人を慮れる」
「今馬鹿にされた?」
そう呟くと同時になんか魔力を向けられる。馬鹿にはしていないし、何なら妖怪ならそれが正しいとも思っている。思っているだけだが。しかしこの図書館凄いね。ここなら華扇が来ても静かだろうし、なんならとびっきりのバカ以外は騒がないだろう。まあそもそも俺がバカであることは置いておく。向けられる魔力を無視するために吸血鬼と俺の間に壁を作る。壊される。割とうるさいからやめて欲しいんだけどそのような思考はないように見えるのでもう無視。知りません。
「表出てくれる?」
「…」
「聞いてる?」
「…」
「おい」
「ちょっと、暴れるなら外でやって」
「そうだそうだ」
「お前だよ」
…沈黙。目線を本に落とし、吸血鬼を無視。していると今度はまた別の吸血鬼が来た。もう完全に無視を決め込むので本に集中する。解呪に関する新しい視点からの考察が主な内容の魔導書。その視点から生まれた新しい解呪の仕方。普通は一つずつ紐解いていくように解呪するのだが、この魔導書ではどうやら呪いを呪いで打ち消すことで解呪するようだ。呪いと相性の悪い呪いをぶち込んで相殺。都合の悪いマジックアイテムを消すときによく似ている。
「こいつ誰」
「前入ってきた侵入者。今回は私が許可した」
「ああ、そう…フランは何をしているの?」
「何も。」
「…ところで、前回は咲夜をどうやって乗り越えてきたのよ」
知らん。誰だ咲夜って。ちなみに紅美鈴は今日も絡んできた。埋めた。しかしこの魔導書に書いてあることはやる難易度が高い。相性の悪い呪いなんて見つかるわけないだろ。変に突いて呪いの進行が進んだら俺は死ぬんだぞ。丁度良いバランスで何とか保っているのに。やはり八雲紫に言って八雲藍とやらについて知るしかないか。あまり関わりたくないというのはあるが、向き合わなければもし次に生身で出会ったらそれこそ致死の呪いをぶちこまれかねん。そうなりゃ死ぬ。
「…無駄足か」
「今この図書館が無駄だとか言った?」
「今から来る奴がだ」
「は?」
窓が割れる。迫るは箒。振り向いた赤い吸血鬼の頭に箒が当たり、ノーレッジが目を見開くと同時に机の上にある魔導書が素早く収納される。素晴らしい手腕。まあ普通に許さんからあいつの飛ぶ力をマジックアイテムで吸収。落ちた姿をよく見たところ、霧雨だった。帽子を取ってその中から魔導書を取り出して全部並べる。…ノーレッジが帽子をジッと見るので渡してみると、容赦なく中に手を突っ込んで中身を取り出していく。マジックアイテムやら魔導書やら、出てくる度にノーレッジの顔が険しくなる。
「…小悪魔」
「はーい!」
「吸血鬼、今なら出るが」
「待たせないで。」
仙界への道を開き、招く。吸血鬼であることを考慮し、ちゃんと出たところは家の中だ。座布団を持ち寄り座れと示す。…さて、俺の考えが合っていればおそらくこいつが全部ぶち壊すクラッシャー吸血鬼のはずだ。多分。オールクラッシャー吸血鬼ことフランドールは俺の家を見て少し固まっていた。茶などはないのでもてなすことはできないが、取り敢えず座らせる。初めて他の人の家に来た人間のような挙動を見せてきた。人外でもそこらへんは変わらないのか。青蛾とかは全然我が物顔だったのに。
「…で、用事は」
「喧嘩」
「じゃあ無理だな」
「じゃあなんで呼んだのよ」
「…呪いとかって壊せる?」
「無理。魔法陣を壊すことはできても魔法は壊せないもの。じゃあ殺すね」
「断る」
一言出して、突き出された手のひらを避ける。危ねえ。…そうだ、紅美鈴出してやろう。空間を繋ぎ、落下させる形で呼び寄せる。俺とフランドールの間に。すると紅美鈴は寝ていたのか、腹に拳が刺さってしまった。顔からしてかなり痛そう。そんで持って一撃で終わりか。大陸で名を馳せたのも偶然か何かだったのかな。少し期待はずれだ。門番やってる奴が殴られて気絶とは情けない。俺を守って見せろよ門番だろ。俺のじゃないけど。
「っ…な、なんで…?」
「邪魔」
「俺を守れ」
「なぜ…?」
俺は覚えてます。紅美鈴の扱いが一時期、紅魔館になんか知らんけどいる奴という扱いだったことを。