厄ネタの集合体   作:覚め

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一つ。
お前を殺す。
一つ。
お前は死なない。
二つ。
矛盾は無視する。




「何してるんですか?」

 

「怯えてる。見ればわかるでしょ華扇ちゃん」

 

「はい??」

 

里を歩いていたところ、仇敵である九尾、八雲藍を見つけた。八雲紫に騙された。買い物はいつも外の世界で買っているとか言っていたのに。あれか。外の住人が稀に愚痴る物価高、というやつか。でもそんなことが起きたからって人里に来るか?華扇ちゃんに頼んで八雲藍がこっちを向かないようにしてもらえないかな。無理かな。無理だろうな。帰りたいけどここで仙界への道は巫女を呼ぶことになる。更に言えば、宗教勧誘の白蓮と豊郷耳が来る。事態が大きくなれば九尾がこちらをみることもあり得る。

 

「そんなに?」

 

「…もしかして、言ってない?」

 

「?」

 

「俺の死体のこと」

 

「…死んでる?」

 

説明したら知らねえよと顔を叩かれた。痛い。文句を言わせてもらうものの、そもそも伝えてない俺が悪いのは事実。何も言い返せずにジッと睨みつけていたところ、後ろに足音。感じる圧。華扇があっと声を出したが、俺に取ってこの圧は不思議なことに燃やした手応えを思い出させる。熱によって歪曲して見える姿、燃えてもなおこちらを掴まんとする手、眼。事前に毒を盛り、足も切り、なのに追ってきたその姿。九尾の圧。振り向くとそこには、火傷痕のある目がこちらをみていた。ちょっと漏れそうになった。

 

「全く。誰かと思えば懐かしい奴だ」

 

「…面識が?」

 

「俺は殺したつもりなんだよマジで…」

 

「あの程度で死ぬものか。呪いのある体であそこまで抵抗されるとは思わなかったがな」

 

「…?」

 

そして攫われ、八雲藍が住む家に来させられた。まあ出会いの経緯というか、燃やした経緯だな。顔の良い女に頼まれたからやっただけだな。その女が当時の貴族か何かで、報酬に金をくれるって言うからやったのだが、一度失敗。その時に死ぬほど呪いをかけられて、その日中に復讐。そんでもってすぐに魂引っこ抜いてなんとか生存、今に至る。だからもう逆恨みがない限りは殺される事がないはずだ。…まあ、俺に金を積んだ女は翌日屋根の上で飾られていたので金は受け取れなかったが。

 

「華扇様はお茶でも?」

 

「はい、問題ないですよ」

 

「お前は?」

 

「呪いを薄めるもの、紛い物なし」

 

「存在しない。紫様は」

 

「私はココア…」

 

「だらしない。」

 

華扇がそう一言発すると、ようやく八雲紫がこちらを向いて客人であることを認めた。威儀を正して紅茶に変更。遅い。俺の前に座るな。華扇ちゃん帰らせて。マジ帰らせて。俺もう帰って寝たい。気分悪くなってきた。ずーっと圧されてる気分。八雲紫は知らんだろうが、俺は知ってるんだ。だから帰らせてよ本当に。もう嫌…。だが。ここで呪いをどうにかしてもらえれば俺は今後かなり楽になる。怖くてもできれば大金星。お願いしますと土下座で頼み込んでみる。八雲紫フル無視である。

 

「…。藍、私のこと無視したから呪い増して」

 

「わかりました」

 

「華扇ちゃん助けて…」

 

「紫、私怨で他人の会話に入らない。…呪いはまあ、自業自得ですが」

 

「華扇ちゃんいつもより冷たくない?」

 

「まあ、当人同士の話ですし」

 

見捨てられた。八雲紫が咳払い。椅子に座り直され話が進む。この間、俺は華扇さえ信じられない状態に。死んだ…少なくとも呪いは減らない。絶望の二字がよく似合う。俺が何したって言うんだ。こうなったら白蓮と華扇、後は嫌々ながら豊郷耳とか…使うしかない、よなぁ。生身に戻れたら桃食べに行こうかな。天界で逃避行してみるか。帰ったらもうすぐにでも白蓮頼るか。あとはパチュリーノーレッジも。豊郷耳はなんとかなるだろ。まあ問題は色々あるけどなんとかなるでしょ。たぶん。

 

「しぬ…」

 

「聞いてないぞ」

 

「失礼、殺します」

 

「華扇ちゃんつめた〜い」

 

「その自販機の言い方やめてくれます?」

 

「…やっぱり呪い増やしましょう。20個くらい」

 

俺の周りに結界を張る。悪いがもう無理。精神が保たない。こんなに精神が死ぬのは、不死の薬手に入れたとか言う老夫婦殺した時以来だわ。精神イカれる。もう嫌。泣いて寝る。ウダウダ言って結界に閉じこもっていたところを華扇に結界をぶち破る形で頭を掴まれる。いつもの癖で侵入不可の対象から華扇が外れていたらしい。…そんな目で俺を見ないでほしい。華扇は気付いていないのだから。そして俺が恥ずかしいのだから。やめて、そんな目で私をみないで。

 

「華扇、少し席を外してもらえる?」

 

「何か?」

 

「ちょっと三人で話したくて」

 

「…まあ、はい。」

 

「あ、華扇ちゃん待っ」

 

無理でした。それから三人で机を囲み、八雲紫のにやけ顔を睨みつける形となった。睨みつけたところでどうにもならないが、まあそこはあれだ。愛嬌的な何か。そうして赤い顔を冷まして八雲床を睨みつける。八雲紫のにやけ顔は変わらず、何だか変な空気に。…誰か喋ってよ。こういう空気が苦手なのはみんな知ってるでしょ。泣くぞ。

 

「柏…貴方、華扇のことが好きでしょう?」

 

「えっ」

 

「そう取るのか」

 

「…え、違うの?」

 

「はい。全然違います」

 

「…嘘だ〜」

 

「九尾は」

 

「華扇様にやられるとは、と言った感じでは?」

 

「正解!後で呪い解かない?」

 

「解かない」

 

「正直言って、今の華扇ちゃんが出来上がるまでは俺が関わってるんだけどさ。師匠とかそこら辺の立ち位置で。華扇ちゃんの性格的に手出さない立場だし。失敗したノウハウ詰め込んだからね、あれでも。」

 

「失敗…あ、作った人外の話ね。」

 

「俺お前に話してないぞそれ」




発覚、無自覚の全知。
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