あれは厄神様だから元々違うんだけどね。
「さて、華扇ちゃんと縁を切るか」
「えっ」
今日は神霊廟に来ている。まあ布都関連で色々やってるって言えばわかるだろ。何だかよくわからないが、どうやら俺は華扇とそんなにも親密な仲だと誤解されていたようだ。なんだかな。とりあえず、記憶消すことからだよなぁ。あいつ、あれでいて重い所あるからな。あーめんどくせ。まあ会わないようにすれば縁は切れるんだが、もし仮に会いに来た時が面倒だからな。青蛾と仲良くした後は大抵何をしてたのか聞いてくるし。どこからともなく現れるんだから怖いよな。はーめんど。
「…食え」
「これなに?」
「毒」
「俺の周り皆んな毒勧めてくるよな。まあ因果応報だけど。」
毒を濾過しながら食べ続け、どうやって記憶を消すか、どうやって縁を切るかを考える。結論、ほぼ無理に近い気がしているのだがまあ何とかなるだろう。毒を進んで食べる俺に神霊廟の皆々が驚いているのを横目に、食器を片付ける。まじでどうしよっかな。記憶だけ消すのはそれこそ見知らぬ仲から始めることになるだけで。まあそれでも良いんだけど、それこそ勇儀が許さんだろう。萃香もそろそろ重い腰を上げて殺しに来るかもしれない。故に縁も切らなければならない。
「お前、飯作るの上手いな」
「褒めても殺意しかないが」
「俺じゃなかったら男の胃袋はだいたい掴めるだろ。身固めろ」
「太子様」
「殺そう」
「お前既婚者だろ」
布都の行動を豊郷耳が抑えている状況なのに、何故こうなるのか。地雷を踏んだわけでもない。あの時代の女なら嫁ぎ家の勢力拡大をすることが常だろう。…それは華扇も同じことか。いや、あいつは鬼か。鬼に結婚なんてあるのかわからんが。話を戻すか。…ぶっちゃけ一番早いのは青蛾に頼むことなんだが、見返りが一切ないんだよな。俺の死体とかどうだろ。多分無理だな。というかあいつにそういうことができるかどうかもわからない。縁切りは悪縁を断つことに使われることが主なはずで。邪仙に出来るの?
「…いや、違う俺がやれば良いんだった」
「この、くっ!」
「都合のいい男見繕ってやろうか」
「要らん!」
「単身の仙人というのはあまりいない。青蛾でさえ芳香がいる。考えろ。この先豊郷耳が離れた時のお前を。」
足で地面を削りながら移動し続ける。対象は華扇だな。記憶を消すのと縁を切ること。布都の足跡が術の邪魔になるから少し浮かせるか。踏ん張りは効くからな。まずは外縁、次に中身。豊郷耳は気付いただろうが…いや普通避け方が一方向のやつとかいるわけねえんだからさ。やっぱり布都は落ち着いて話す時は面白いのにな。教養も感じられるし、気品もある。格があった。だと言うのに、今の布都は。馬鹿がよ…まあええわ。体力馬鹿なのは良い点だよ。
「出来た」
「は?」
「後は血だな…俺と華扇の血…」
「うわ気持ち悪い」
「布都、こちらに」
青蛾を呼び出し、持ってるだろと詰め寄ってみると持っているとのこと。使用用途は伝えない。代わりに集めた方法も聞かない。これで経血とか言われたら吐くからな。流石にあり得ない。とりあえず華扇の血と俺の血を混ぜて、描かれた術式の上にばら撒く。…今更だけど、他人の血とかだったらどうしよう。ちとまずいか…いやまあ嘘つく方が悪いわな。術式を起動、なんとかなれという思いで力を注ぐと、割と上手くいった。心配なのは、起動したのが仙界なこと。まずいかなこれ。
「術式上間違いがあるようには見えなかった。が…君は一つ忘れてる」
「?」
「布都は泣いてたよ」
「…?」
「涙と血は同じ成分。此処まで聞けばわかるだろう。」
「お主は誰じゃ!?」
かーっぺ。わざとらしい展開だ。もしや豊郷耳はこの状況を読んで何もしなかったとか。あ、にやけやがった。多分そうだわ。はーむかつく。投げ出して、とりあえず効果を確認できたので安心。ちゃんと三人分発動しただけだ。多分。…さて、誰について思い出すんだっけな。もう俺も忘れてる。帰って寝るとした方がいい。というかそうした方がいい。…ちなみに、先ほど俺を誰だと騒いできた奴は布都と言うらしい。豊郷耳の言い分からして恐らくはこいつが三人分のうち一人だ。多分。
「で、誰お前」
「我は布都!お主は?」
「柏。じゃあ帰るわ」
「わかった」
仙界への道を開く。マジックアイテムの隔離場となっていた仙界はやはり瘴気が漂う気持ちの悪いものが蔓延っていた。正味気持ち悪い。結界ごとどっかに放ってしまうか、それともこのままに…やめだ、何で俺が関わらないといけないんだ。解散。仙界を開き、ただの空間にする。もう一つの仙界に住むか。その前に…どっか寄るところあったかな。地底の温泉とか。後は…まあ、多分何もないな。紅魔館に行って読書でもするか。あそこは確か普通の本もあったはずだし。
「やっほー」
「うわ来た」
「殺せ殺せ」
「やっておしまいフランドール」
「ウロボロス」
「やめて」
何これ。博麗の巫女と霧雨にフランドールやらレミリアやらなんやらやら。ノーレッジも騒いでいる。その中に一人、知らん奴。名前は華扇というらしい。知らんな。そういうと何故か巫女がグチグチと言って来て、霧雨は異変だ何だと騒ぐ始末。面倒だ。疲れる。やっぱ帰って寝るべきだったな。そうすれば今のこれはなかったわけだ。華扇も俺とは初対面のはずで、やはり俺のことを知らない。…もしかして、神霊廟の術式か。対象のうち一人というわけだな。これで三人わかった。…縁切りもしたはずだよな?
「二人が…異変だな!」
「動かないわよ」
「当然だな。俺がやったんだし」
「えっ」
「まあこれから宜しくってことで。」
「あ、はい。わかりました。」
縁切りとは言ったが、完全に断ち切るとは言ってない。悪縁を良縁に繋ぎ直すものである。
終わりだよ!!!