呪いが得意なやつと、呪いに強いやつが混在してるだろ。
「どうしたんだお前ら」
「魔法がわからん…」
「ですって」
訳のわからんやつだ。霧雨と博麗が向かっていたから、年頃だし恋話も出来るだろうと期待したのだが、どうも違った。魔導書だった。変なものだ。どれどれと魔導書を読んでみる。…どうしようか。ぶっちゃけ分かるんだけど、それでも迷う。これは俺にかけられた呪いの一つ…に、よく似た魔法だ。対象の温度を引き上げ、肉体が気化していく魔法。懐かしいな、俺が最後の方に喰らった呪いだ。こいつのせいで温度を下げるマジックアイテムが必要になった。忌々しい呪い筆頭だ。
「…この呪いを使って何がしたいんだ」
「分かるのか?」
「そういえば華扇は?」
「華扇ちゃんには振られたなぁ」
「何やってんのよ」
「で、温度を上げるだけの魔法が呪いってのはなんでだ?肉を炙る魔法だろ?」
…話が同時進行してめんどくさい。そしてその魔法は多分そう言う使い方はしない。まあでも、よくよく考えたら普通そうだわ。かけられた時代はまだ肉を燃やすためのあれこれがめんどかったからな。言うことがあるとすれば、傾国の美女許さんとだけ。あの時に喰らった呪いがなければ死なずに仙人出来たのに。あの狐。噂じゃ幻想郷にいるらしいが。まあそれは置いておき。…いや待てよ、違う。そうだ。この魔法、確か尋問目的に使われてたわ。…肉を食うために使わねえじゃん。
「どうしたんだ?」
「…何も。華扇ちゃんの集中することってなんだろ」
「何それ?」
「それが理由で話しかけるな近寄るな臭いって」
「胡散臭さだな」
「あの華扇が人と関わらずに…それ、多分だけど口実じゃない?」
「青蛾も知らないからそれは事実。と言うかぶっちゃけ華扇ちゃんはストレートに言うでしょ」
「確かに」
人望。そして話はあれよあれよと何故か俺が霧雨の全力を耐える話へ。俺が風見幽香から逃げる姿を写した天狗は死ね。是非とも首を吊れ。吸収のマジックアイテムを取り出し、能力を確認する。不備はない。霧雨を見ると、マジックアイテム。嫌になる。やめてほしい。互いにマジックアイテムを構えるが、博麗が何も合図を出さない。話の流れでは博麗が合図するはずだった気がするが、気のせいか?…俺か?わからない。まあでも、多分なんとかはなるだろう。人生も何もかもはそう言うものだと習え。
「恋符『マスタースパーク』!」
「うおっ」
「神社、壊さないでよ」
全力で弾き、溢れた魔力を吸収、その魔力でまた弾く。風見幽香の妖力の放出もこれで済ませた。というか、そうしないと本当に死ぬ。しかしまあ、なんと言うか。長く喰らいたくない。力のゴリ押しのせいで肌が少し焼けている。風見幽香かよこいつ。マジックアイテム使えばどんな火力出しても許されるとでも思ってんの?そんな訳ねえだろ。お前本人にそこまでの出力はないくせに。マジックアイテムってのは何かを便利にするためにあるんだ。それ自体に依存してはいけない。俺?俺はなんとかなる。吸収は俺も出来るからな。
「うげ、耐えやがった」
「加減なしでやりやがったなこの野郎」
「そう言う話だろ」
「…はぁ。あんまりこれやると青蛾のパクリみたいに言われて傷つくんだけどな」
「…は?」
「何、してんのっ!」
失敗。何って、土塊で霧雨を作ろうとしてただけだ。もしかしてお前も土塊と死体は違うとか言うのか?イカれた癖だな。まあそれは間違いで、普通に暴れるなよ、と言うことだった。霧雨は少し腰を抜かしていた。やっぱお前向いてないよ、幻想郷。少し疲れたので腰を落として地面に座る。正直言って、納得行かない。せっかく作った土塊も崩されてしまった。恐るべき巫女ということらしい。華扇が人里でビビっていた理由がよく分かる。ヒリヒリと痛む。痛めることが目的のお祓い棒め。
「いった」
「今のはなんだ?」
「俺の仙術。今のはお前をそっくりに作って身の丈を解らせてやろうかと」
「ええ…?」
やることがなくなったので、霧雨相手に仙術の一部を紹介。少し基本的な式神術だが、面倒なのでこれに騙されて欲しい。巫女もいるので難しいだろうか。木製の札を取り出し、角で頭に傷をつける。そこから滴る血で文字を描き、治して地面に刺す。先ほどやろうとしたものと同じ土塊が出来た。この式神に出来ることは主に二つ。歩くと座る。これだけ。それ以外は随時俺が指示を出さなければならない。喋るわけではない。喋ることにしてる青蛾がおかしいのだ。ほぼ自我のない奴の言葉なんて自分の生き写しだし。
「ほー…」
「ただの式神術よね。なんなら藍の方が上手いでしょ」
「だよなぁ」
「…その藍って奴、ここに顔を出すのか」
「んー、たまに。妖怪よ。狐の。…ここまで言ったら怒られるから、これから先は言わないけど」
「大丈夫だ。俺もそいつ知ってるから。しかしまあ、生きてるってのがなぁ」
大した実力ではないが、それでも妖怪を殺すことだったり人を殺すことだったりはそこいらの妖怪なんぞよりも詳しい。というか得意だ。だから、俺自身の認識ではあいつは俺のおかげで死なずとも瀕死ではあって、その後に死ぬはずなのだが。…強い妖怪ってのはすごいよね。どんだけ殴っても死なない奴がいるし、どんだけ弱らせても強い奴がいる。ただ、名前って藍だっけ?式神が上手い女っぽい名前ってだけで絞り込んでみたのだが、当たってしまった。俺嫌いだよ、あいつのこと。
「藍には何したんだ?」
「まず毒を盛ってだな。次に火でその時住んでた所ごと燃やすだろ。」
「鬼畜かよ」
「ていうかあいつそれで死なないのおかしくない?」
「…そんで、顔を出したところを魔力で叩きのめしたんだ。最後には酒もぶっかけたし、それで…」
「いやもういい、聞きたくない」
原作での八雲藍は、狐の妖怪に八雲藍という式を貼っているらしいのですが、この作品では八雲藍を名乗る前のバケモン狐がいたということで、何卒。
火傷跡のあるお姉さんになってるということも、併せて何卒…