「何やってるんですか」
「華扇…」
「砂崩し」
起き上がり、華扇ちゃんを見る。なぜ来たのか、何故このタイミングなのかがわからない。何かやったっけ。仙界への道を開いたおかげなのか?だとしても、華扇ちゃんが感じ取れるなら青蛾だって…もしかして、青蛾が華扇を焚き付けてくれたのか?…やっぱ繋がりって社会性のある世界に住む上では重要事項だと思う。あとで青蛾にガキの腕でもプレゼントしてやろうかな。星熊勇儀も華扇ちゃんがいるから手を出せないし、これはもう勝ち確。帰って介抱してもらおう。
「…華扇、この際だから聞いておきたい。なんで柏と行動を共にしてるんだ」
「一応は師ですから。無碍にしすぎるのもあんまりかと」
「お前のツノを折るように仕向けた奴だぞ」
「策略にハマる私が悪いと思えますね」
「お前の腕だってそうだ、そいつが」
「勇儀。私は今の私に満足しています。鬼に未練はありません。では」
助かった。聞けば、仙界の異常を感じ取って俺の動向を特定したらしい。華扇のストーカー化。問題として捉えるべきだな。ともあれ感謝。青蛾には何もない。体で失った部位を丁寧に直し、力を通してこれにて完治。誰だよマジで殴りかかって来た奴。星熊勇儀か。側から見れば面白いのだが、どうも俺は側から見れないらしい。つまらなくなったものだ。と、華扇はどこに行ってるのかわからない。仕方がないので、俺と華扇の目の前に仙界への道を開く。
「流石に今回は助かった」
「流石に?私が柏を助けた回数は数え切れませんが」
「あと一回は確実に助けてもらうから」
「…はい?」
「いやぁ〜…星熊勇儀ってどうしたら死ぬんだろ」
博麗神社でも訪れるか?と思案を巡らせていると、何か気分を害されましたと言っているような顔の華扇が目に入る。あと一回が嫌なのだろうか。やはり、0回でも仕方はないか。そうなると頼る先は博麗神社だなぁ…あそこの巫女、下手したら八雲紫が因縁付けてくる可能性あるから嫌なんだよね。…藍とかいう名前の狐に立ち会ってもらえれば良いけど。自分の過去でやらかしたことなんて何一つないのに、何故呪いを理由に生身の身体を捨ててるのやら。紅魔館には魔法に精通したやつがいるとは聞くが…
「決めた、紅魔館行くわ」
「そうですか。それでは私も」
「俺一人じゃないと済まされない用事があるから、華扇ちゃんは修行してて良いよ」
「…はいそうですかっ」
なんだか不貞腐れてしまった。仙界の外に出て紅魔館に赴く。と、なんだかよくわからんやつに絡まれた。妖精ではない。…絡むなら妖精の方がいい。扱い易い。妖怪でも別にいいのだけれども。なんだかよくわからないやつなので、少し時間をずらすかどうか迷っているとなんか正体を明かして来た。本当に見覚えないんですかとも主張して来た。…そもそも、前来た時にはお前はいなかっただろ。見覚えも何も…んー…ないと思う。萃香なら何か知っているんじゃなかろうか?
「なんで覚えてないんですか!?柏さん、私ですよ!?」
「誰だよ」
「紅美鈴!わかります!?大陸で一緒に過ごしたじゃないですか!ほら、あの時の!」
「…は?」
「は?じゃなくて!紅美鈴ですよ!?」
思い出した。と思う。多分だけど、武道家として中々に名前が広まっていた…これが違うなら多分思い出せない。そうだよね?…微妙な反応。そして、何故か久しぶりに手合わせをと言われた。やりたくないので土塊を出して一人でやってろと言う。門番でもいつもサボってんだろ。萃香とここに来た時はいなかったわけだし。悠々と館の中へ。…あの門番を案内役に使えばよかったか。紅美鈴、紅美鈴ね。青蛾が知らなければ多分俺も知らんだろう。しかし、大陸か。忌々しい土地のことなんかほとんど覚えとらん。
「誰?」
「誰でも」
「何を言ってるのかしら。」
「魔法使いがどこにいるか知ってる?」
「…知ってたとして、そこに案内する理由は?」
「…んー、あっちか」
ちょうど良く黙ってくれたので手を叩く。音の反響からでかい空洞を探す。…これは勘だが、魔法使いの住処というのは大概でかいものだ。魔導書を納めるためにデカくするのが多分一般的だろう。その空洞に向かって足を進めたところ、その足にナイフが刺さる。案内する理由はなくても俺を殺す理由はあるらしい。この女面倒だぞ。まあ無視していくけど。体の至る所にナイフが刺さると言うことは、身体を脆くすればそのまま貫通していく話だ。なんなら脆い分すぐに直る。土塊最高。
「ここか」
「それ以上は許さない。良い?」
無視。まあもしここの魔法使いに無理だと断られたらまた温泉にでも行くか。今度は帰り道も仙界直通で。悟り妖怪にはまだ巻き込んだ謝罪ができてないからな。…ナイフが鬱陶しい。何がそんなに楽しいんだ。冬はまだ先だろう。扉を押し開けてまず来た出迎えは、巨大な魔力砲。吸収のマジックアイテムを即座に構え、土塊の強度を上げつつ魔力で魔力砲を少しではあるものの弾く。なんで幻想郷には風見幽香みたいな奴しかいないんだ。頭がおかしいんじゃないのか。ほんと。あ、炎の魔法はやめろ。陶器になるだろ。
「…大丈夫か」
「心配されるような間柄じゃないでしょ」
「咲夜、下がりなさい」
「パチュリー様のガチ戦闘ですよ〜!今日は調子もいいので、私も下がります!」
「小悪魔は私の残機代わりでしょ、どこ行くのよ」
Q.紅美鈴と柏の関係
A.見るからに人外な姿の奴は弱いと思っていた紅美鈴が初めて見つけた、人間みたいな人外なので殴りかかったところ相手にされなかったため無理やりついて歩いただけの関係。