オーバーロード <物語の分岐が確認されました>   作:ヒツジ2号

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次のお友達は茸生物です。


第5章 第7話 -茸生物をさがして-

 

 

「オカシイ…」

 

 

洞窟に入り100メートルほど進むと広い空間に出た。

しかし、ここまで案内をしている茸蟻人(グリエイク)は、その空間をぐるりと見て、一言呟いた。

その呟きに対して、餡ころもっちもちが尋ねる。

 

 

「どうしたの?」

 

「ハイ…以前ハコノ場所ニモ、カナリノ数ノ茸生物(マイコニド)ガイタノデス…」

 

「うーん…もしかしたらトンネルが通れなくなって君たちに会えなくなっちゃったから、違う場所に移住しちゃったんじゃないの?」

 

「ソウカモシレマセン…ココハ、以前ハ俺タチガ運ンデキタ小動物ノ死骸ナドヲ置イテオク場所デシタ。ココハ出口カラ近ク、光モワズカニトドクノデ、死骸ガ発酵シテ、彼ラハエイヨウヲ使用シヤスカッタヨウデス。デスガ地震ノアトハ俺タチガハイレナクナッタノデ、死骸ノ供給ハデキテイナカッタシ、コノ場所モ光ガトドカズニ発酵モウマクイカナカッタノカモシレマセン…スデニ運ンダ死骸トトモニ、別ノ場所ヘ移動シタ可能性ガタカイデス」

 

「確かにそうかもね…ちなみに君たち茸蟻人(グリエイク)ちゃん達以外で、森で死んだ動物の身体を茸生物(マイコニド)ちゃん達の集落に運んでいた種族はいる?」

 

「俺タチノヨウナ種族ハイナイト思イマス」

 

「そっか…じゃあ茸生物(マイコニド)ちゃん達もお腹すいてるかもね…急いで探してあげよう!えっと…この洞窟、ダンジョンっぽい雰囲気あるし、【妖精女王の祝福(ブレス・オブ・ティターニア)】がいいかな…それともやっぱり【究極の幸運(アルティメット・ラック)】のがいいかな…ねえ、聞きたいんだけど、茸生物(マイコニド)ちゃん達って妖精とか他の種族見たら攻撃とかしてくる?」

 

「イエ、彼ラハ争イハ好マナイノデ、ソレハナイカトオモイマス」

 

「そっかぁ…じゃあ敵判定じゃないから【妖精女王の祝福(ブレス・オブ・ティターニア)】で弾かれることは無いかな…?よし、両方かけよう!」

 

 

そう言うと、餡ころもっちもちは【究極の幸運(アルティメット・ラック)】を発動したうえで、【妖精女王の祝福(ブレス・オブ・ティターニア)】を唱えた。

 

現れた極小の案内妖精は、いつもよりテンションが高そうに『こっちこっち』と手招きする。

 

その様子に、誇らしげなペストーニャを除く2名は少々驚いたが、これもまた大妖精様の配下だと理解して、餡ころもっちもちの後についていく。

光が届かなくなり、暗視が十分ではない巨大ハムスターが騒ぎ、大妖精様が彼女へ【闇視(ダーク・ヴィジョン)】の魔法をかけるなどのハプニングはあったが、一行は順調に洞窟の中を進んでいった。

 

 

道は何となく下っている感覚があったが、やがて明らかに道は下降していき、おそらくかなり深い領域に到達する。

道の途中には時々、古くなって自然に落ちた茸生物(マイコニド)の体の一部――茸蟻人(グリエイク)のご飯、が落ちていたため、道は間違っていないと思われた。

 

そして何時間か歩いた後、一行は辺りの気温が上昇してきていることに気づいた。

 

餡ころもっちもちは本能的に、これはマグマか何かが近くにあるのかもしれないと考えたが、その考えはどうやら間違っていたようだ。

 

到着した地下の大空洞には、多くの茸生物(マイコニド)が犇めき合い、その壁には熱を発してわずかに光る鉱石の結晶が無数に見られる。

妖精女王の祝福(ブレス・オブ・ティターニア)】で呼び出された極小妖精は、サムズアップしてニコッと笑うと消えていった。

ダンジョン的にもここがゴールらしい。

 

 

「うわっ、すごい綺麗!」

 

「そうでござるなー」

 

 

魔法で視覚が強化されているとはいえ、先ほどまで周りが寒い暗黒空間であるという事実に少し怯えていたトロペジェンヌも、明るく暖かい空間に安心して暢気な声が漏れる。

 

 

「ヨカッタ…ソレデハ俺カラ彼ラヘ、ナニガアッタカヲツタエテキマス」

 

 

案内係の茸蟻人(グリエイク)が、茸生物(マイコニド)達と何やら会話を始めた。

茸生物(マイコニド)達は発音をしておらず、意志疎通はテレパシーのような形で行なっていた。

 

なので触角を用いてそれが行える茸蟻人(グリエイク)は会話できるが、ペストーニャやトロペジェンヌには、彼らが何を言っているのか分からなかった。

 

一方で不思議なことに、餡ころもっちもちは茸生物(マイコニド)達の言いたいことが分かり、何となく彼らに自身の意思を伝えることもできた。

本人も何故それが出来るのか分からないが、ユグドラシルのルールに縛られた存在になっている妖精:コㇿポックㇽを含めた一部の妖精の種族説明に“森の生物たちと心を通わす”といったテキストがあったためである。

 

そういう訳で最終的には、餡ころもっちもちは茸生物(マイコニド)達と直接話すことにした。

 

 

 

「…$&#*##&……&&#$%$$*+###&…」

 

「そっか、じゃあ君たちは茸蟻人(グリエイク)ちゃん達が来なくなった後、栄養確保のために既にあった動物の死骸を発酵させようとしたけど、うまくいかなかったから、暖かいここまで死骸を持ってきて発酵をさせていて、でもその貯えもなくなってきたから困ってたんだね」

 

「…**$&%#&%$…」

 

「うん、大丈夫。もう入り口は通れるようになったし、元の場所で発酵させられるよ」

 

「+*%%**……$#&%#&&…」

 

「え、水が足りないの?あ、そっか。ここ水脈とか無さそうだもんね。じゃあとりあえず私が出してあげるね。【上位水作成(グレーター・ウォーター・クリエイト)】!」

 

 

妖精の周囲に清浄な水が溢れ出し、水は壁面の光る鉱石に当たると、その熱でゆっくりと蒸発を始める。

やがて空間は、菌種にとって快適な高湿度空間へと変わった。

 

それまで乾燥気味で弱っていた茸生物(マイコニド)達は、嬉しそうに傘を光らせた。

 

 

その後、餡ころもっちもちは、茸生物(マイコニド)達と茸蟻人(グリエイク)と話し、茸生物(マイコニド)が長く繁栄していくために何が必要なのかを考える。

 

洞窟の入り口が復活したことで、茸蟻人(グリエイク)達との共生が再開され、彼らが運び入れる水分や小動物の死骸により栄養はある程度確保できるだろう。

トードマン集落周辺の森での分解能力を超える、動物の死骸の運び込みが起きた場合は、今後は茸蟻人(グリエイク)がその余剰分を茸生物(マイコニド)の洞窟へ運ぶことも言っておいた方がよさそうだ。

 

だが今回のように、地震など何らかの災害で茸蟻人(グリエイク)との交流が途絶えてしまった時に、栄養を得る手段が絶たれてしまうとまた問題となる。

 

茸蟻人(グリエイク)は、今後は茸生物(マイコニド)の他にも、南の森からも食料を得ることが出来るので危険性は低下しているが、茸生物(マイコニド)の交易手段は依然茸蟻人(グリエイク)のみなのだ。

 

 

そこで餡ころもっちもちは、茸生物(マイコニド)達へ『他に栄養を得る手段は無いの?』と聞いてみた。

すると、茸蟻人(グリエイク)の集落に続く洞窟とは別の場所に、外界へ続く道がいくつかあり、稀にその場所に動物が入り込んで息絶え、死骸を栄養として利用することがあるという。

 

もしかしたらその道は、例のリリュートゥラちゃんを攻撃した存在から、かつて逃げたという闇妖精(ダークエルフ)が利用した道かもしれないと考え、またその道の外に何らかの種族がいれば、その種族に栄養を運ぶ手伝いをお願いできるかもしれないと考えた。

 

 

そういう訳で、今度は茸生物(マイコニド)にその『別の入り口』へ案内してもらう手筈となり、茸蟻人(グリエイク)の案内人とは一旦別れることとなった。

 

 

「それじゃあ茸蟻人(グリエイク)の君、ここまで案内ありがとう!また遊びに行くけど、ビュフミーちゃんやララちゃんによろしくね!」

 

「ハイ、ココマデアナタサマヲ案内スルコトガデキ、大変コウエイデシタ。女王ニハ交易ノ件ヲ伝言イタシマス」

 

 

 

 

餡ころもっちもち一行は、今度は茸生物(マイコニド)の案内人に連れられて別のルートを歩いていく。

 

餡ころもっちもちが、先ほどまでいた広大な地下空間をちらっと振り返る。

 

『それにしても、あの暖かくて光る鉱石は何だったんだろう…ダンジョンのゴール設定だったみたいだし…私は無生物の鑑定スキルはないから分からないなぁ…でも何だかあの場所は暖かそうだったから、茸生物(マイコニド)ちゃん達の休憩スポットだったのかもね!』

 

 

そこからさらに数時間、今度は上り坂で、何度かへばりそうだったトロペジェンヌのために休憩をし、一行はついに地上からの光が漏れる場所まで辿り着いた。

 

そこは茸蟻人(グリエイク)達の集落側の入り口付近にある、少し広い場所となっていたが、その光景は異常だったと言える。

 

そこには十数体の死体—全て外傷により命を落としたゴブリンと思われる者達、が横たわっていた。

 

 

 

「…$#&&%$*+$&…」

 

「え、前はこんなことは無かったの?」

 

 

 

茸生物(マイコニド)の話では、ここには誤って落ちてきた小動物などが動けなくなり命を落としたもの、それも毎日ではなくたまに発見される程度だったとのことで、そもそもゴブリンがこんなにも居るのは見たことがないとのことだった。

 

餡ころもっちもちの知識では、それはゴブリン達が死体を打ち捨てた場所、言うなれば墓場のように見えた。

 

 

 

茸生物(マイコニド)ちゃん、この子達、もしかしたら何かの事故とかで死んじゃった子たちかもしれない。君たちの栄養を奪っちゃって悪いんだけど、この子達はもしかしたらまだ死ぬべきじゃなかった子たちかもしれないから、生き返らせてあげてもいいかな?」

 

「…%*##&%+*#&…%%#++*&%*##…」

 

「ありがとう!それじゃペス、お願いできるかな?MPは大丈夫そう?」

 

「正直かなり数が多いので一度では難しいです、わん」

 

「あ、そうだペス。ペスに持たせてるワールドアイテム【ヒュギエイアの杯】を使っていいよ。それ、クールタイム挟めばノーリスクで蘇生できるから、MPの節約になるよ!」

 

「これは…まさかそのような貴重なものだったのですか…わん…私にこれ程のアイテムをお預けいただいていただのですね…畏まりました、わん」

 

 

驚き恐縮するペストーニャであったが、本来賢く慈悲深い彼女は、自分に与えられた使命を光栄に感じ、クールタイムを挟みながら、その複数のゴブリン達を復活させていった。

 

 

 

盃からあふれる水が、死体の身体に注がれると、その身体は光り輝き、ゆっくりと蘇生を始める。

 

ワールドアイテム:ヒュギエイアの杯は、デスペナルティが無い状態で蘇生を掛けることが出来る超絶アイテムである。

ただし、その効果は、使用回数が無制限である一方、使用は10分に1回かつ、蘇生時間は通常の魔法よりも長くかかる。

 

これはつまり、実際の戦闘中に使用するのは精々1~ 2回程度が限界であり、しかも使用中は使用者がかかりきりになって狙われやすくなるので使いどころは難しい。

ただ転移後のこの世界では、無制限に真なる蘇生(トゥルー・リザレクション)を使用できる神のアイテムである。

 

だが、イメージに合っているという理由で、これを最終日にペストーニャに持たせてしまったのは完全に失敗だったかもしれない。

彼女は同名の回復呪文が使えるので、餡ころもっちもちの言う通りMPの節約にしかならないのだ。

 

 

「餡ころもっちもち様、このアイテムで蘇生する際、死んだ者の魂のような存在と対話することが出来ます、わん」

 

「え、どういうこと?」

 

「はい、盃の水をかけますと、まず、この者の死の前後の記憶を見ることが出来ます。そして、その後、死んだ者との対話が出来、蘇生することを告げた後、その者を肉体に呼び戻して初めて、肉体の回復と蘇生が開始されます」

 

「ええ!ユグドラシルではそんなことなかったけど、ここではそういう効果あるんだねーあ、でも、ペス、死の瞬間の記憶って見ても大丈夫?痛みとか感覚がペスに伝わったりしない?」

 

「はい、それは大丈夫です。客観的に何が起きたかを見ている感覚です、わん。この者達は皆、植物の根か枝のようなモンスターに襲われて殺されたと考えられます。そして、死体を発見したこの者の同胞と思われる者が死体を集めて弔い、この場所へ投げ入れたようです、わん」

 

「…それってやっぱり、リリュートゥラちゃんを攻撃したモンスターだよね…てことはこの出口は森の東側なのかな?」

 

 

 

餡ころもっちもち達がそんな会話をしていると、意識の混濁から覚め始めたゴブリン達が、辺りをキョロキョロと見まわし、そしてペストーニャの方を見ると驚いた顔になり、頭を下げて平伏した。

 

 

「お…俺を復活させた御方…!」

「か…神…いや、神の御遣い!」

「本当に…生きている…!」

「ありがとうごぜぇます!!」

 

 




だんだんとクルシミマスツリーが近づいています。

あんころさんはピッキーが動いてバーテンしてる姿は見ていないので、マイコニドはこんなもんかなぁ?と思っています。

アンケートです。餡ころもっちもちさんは、モモンガ(鈴木悟)さんのことをどう考えているか。

  • 異性として気になっていたことがある人
  • あくまで友人として尊敬できるギルマス
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