オーバーロード <物語の分岐が確認されました> 作:ヒツジ2号
探したのですが、かつての分裂前の「リ・エスティーゼ王国+バハルス帝国」の国名が見つからなかったので勝手に捏造しました。
もし情報があれば教えてください。
陽光聖典のイノフェン達が、ル・バルギアナ王国のほぼ中央に位置するランテの街を出発してから3日ほどが経っていた。
目的地である大森林まで、もう町や村は無いので、今日も野宿をすることは決定している。
この辺りは街が無いため当然整備された街道もなく、木こりなどが仕事のために使う荒れた道を通らざるを得ないので、良くモンスターに多く遭遇するが、イノフェンが率いる陽光聖典は対モンスターの戦闘に離れているため、ここまで危なげなく進んできている。
今回の遠征も、第一の目的は調査であって、見境のない戦闘ではない。
もし仮に、彼ら陽光聖典でも簡単に倒せない相手—例えばおよそ50年前に南のとある王国を滅ぼしたとされる
大森林は予てより、何らかの大いなる悪しき存在が封印されていると囁かれている場所である。
その噂の内容から考えると、その何者かは竜王との
そしてもう一つ。
かつて我らをお救い頂いた神、その神と同等かもしれない存在が、まことしやかに囁かれている。
曰く、それは英雄であり、近年出現している魔神を倒す人間。
曰く、それは種族を越えた強者の集まりで、いずれ新たな国を興そうとする者達。
曰く、それは砂漠をも超えた遥か南方の海底に住まう、名状し難き邪神的存在。
いずれにしろ、本国は例の揺り返しにより降臨された御方である可能性ありとの認識している。
それが善神なのか悪神なのかは分からない。
だが少なくとも、南の
強きモンスターや魔神の在るところに現れ、それを倒す者達。
彼らと接触し、見極め、我が国へお迎えする交渉をするのもまた、我らの使命であるのだ。
「それよりも…はぁ…心配事はこの国だ」
イノフェンは一人、馬上でごちる。
この国、ル・バルギアナ王国は当代の王に代替わりし、エスティアナ朝が始まってから、王城内では不穏な空気が漂い始めている。
その理由は言わずもがな、大臣のバハルス・ルロンド・リュー・エル=ニクスだ。
彼は間違いなく優秀な男である。
広大な王国の東側で、最も大きな領地を持ち、領民の信頼も厚い。
意見力も高く、言葉にはカリスマ性がある。
だが彼は王の血族ではなく、祖先は、さらに東に位置する東の十二小国の出身である。
このことで大臣という高い地位にありながらも、国政においては他の者に壁を作られてるきらいがある。
そして賢い彼自身もそのことを理解していて、恐らくは何らかの策—それはもしかしたら内戦の火種となるかもしれない―を目論んでいる。
今、世は荒れ始めている。
それは言わずもがな、魔神たちによるところが大きい。
南のいくつかの国やドワーフ国ではすでに被害が出ているし、このル・バルギアナ王国も辺境の地では被害が出始めている。
この被害が、大きな街や政治の中央で発生した場合、バハルス大臣はそれを好機ととらえ、内戦の火種を撒き散らし、最悪の場合彼の領地は独立などという事態も考えられる。
人類の危機たるこのような時期、かようなことを目論むなど言語道断とイノフェンは思う。
いや、それはおそらくイノフェンだけでなく、陰から人類を守る使命を背負っているスレイン法国の人間であれば同じ思いであろう。
そういった思いから、協力を取り付けるために使者を出したエルフ国やドワーフ国は、もちろん協力はするとの回答が得られた一方、どちらの国も王が不在で、どうやら彼らはいずれも例の英雄と目されている存在と共に旅立ったというのだ。
「…いずれにしろ、今回我々が目指すは北の大森林…魔神や、人に仇成す強大なモンスターを追っていれば、例の英雄とやらにも相まみえる事だろう」
翌々日の朝。
大森林は既に目視の範囲となった。
つい先ほどまでキャンプを行っていた場所から、陽光聖典の一行は出立する。
「それにしてもこの場所は、比較的平らで土地の水はけも良く、キャンプどころか生活拠点としても良い場所であったな…まあ大森林の目と鼻の先だ。森から這い出して来るであろうモンスターの被害を考えればそれも難しいか…」
イノフェンは、そんなことを考えながら、部下たちへ命令を出す。
「よし、お前たち。目的地は目と鼻の先。本日はこれより大森林に侵入する。この森は人類未踏の地。どのようなモンスターが生息しているかは分からん。充分に注意し進むこと。また、祖国南西の大樹海の様に、言葉が通じるエルフ族などの先住の者と遭遇した場合は、まずは交渉し情報を集めることとする。それでは、作戦開始!」
***
「…ん…何でござるか?」
始めに異変に気付いたのはトロペジェンヌであった。
自身の縄張りの南東端の辺りをゆっくりと進む者達がいる。
恐らくは何かの動物。
四足の動物の揃った足音。
数は20ほどだろうか。
この森では聞いたことがない足音で、その足取りはゆっくりだ。
不思議なことに金属音も微かに聞こえる。
この音はかつて住んでいた山脈で、ドワーフや巨人が鎧や剣などを携えている時に聞こえた音。
ドワーフが騎乗していた、大型の蜥蜴とは足音が異なる。
つまり20体ほどの武装した何かが、騎乗動物に乗りこの森に侵入したのだ。
「某の縄張り…それ以上に姫の森に無断で立ち入る者でござるか!」
森の幸をモグモグしていたトロペジェンヌは飛び起きて、音が進む方向に向かっていくことを決めた。
その途中、飼いならされた森狼に乗る若いゴブリンと、林道の整備をしているナーガの若者に出会う。
「あ、そこのお二人、伝言を頼まれてくれないでござるか?」
「トロペジェンヌ様!」
「守護魔獣様!」
シャキッと姿勢を正した2名にトロペジェンヌは説明する。
「あっちの方に、何者かが20名ほど居るでござる。某の知らない足音故、森の外から来たと思われるでござる。本当は姫にもお伝えしてからの方が良いのでござるが、外の者が何も知らずに“禁足地”へ足を踏み入れてしまう可能性がある故、某が先に注意しに行くでござる。姫は今森の反対側のララ殿がいる花畑へ行っている故、お二人には森の者に伝言をして姫にこのことを伝えて欲しいでござる」
「「承知いたしました!」」
若いゴブリンとナーガは真剣な顔になると、それぞれの集落に向かって走り出した。
彼らは森の東回りと西回り、それぞれ別ルートで進んでいくはずなので、アンコへの伝言も行き違いにはならないだろう。
「くれぐれも、侵入者には接触しない様に気を付けるでござるよー!」
走り去る2名の若者の背に向かって言葉を掛けると、トロペジェンヌは急いで、侵入者の方に向かって走り出した。
「隊長、西の方角から何者かが近づいてくる気配があります!」
それは隊の中では数少ない、レンジャー系のスキルを持つ隊員からの進言であった。
「なに?!それはまさか…魔神か…いや…!」
隊長にもその足音が聞こえた。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!
明らかに近付いてくる音と、地鳴り。
魔神かどうかは分からないが、かなりの巨体と思われる重低音の足音。
一直線に向かってくることから、すでに対象は自分たちを捉えている。
「総員、天使を召喚して攻撃に備えよ!!」
イノフェンの言葉に、隊員たちはいっせいに天使を召喚する。
「
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イノフェンも、最も防御に優れた天使を召喚するとともに、周囲に天使にとって有利なフィールドを展開する。
イノフェンや隊員たちが未知の存在との衝突に備え、ゴクリとつばを飲み込むと、その何者かの足音が直前まで迫り、鬱蒼とした森の中から巨大な影が姿を現した。
「や、人間たちでござったか。某はこの森の姫にお仕えするトロペジェンヌという者。この森は外の人間にとっては危険な場所もあるし、ここは某の縄張り。用事がないならば早々に立ち去られることをお勧めするでござる。何もせずに立ち去るのであれば、某の縄張りに無断で立ち入ったことは水に流してやるでござるよ」
「な…白銀の体毛と蛇の尾を持ち、人の言葉を操る魔獣だと…!」
「あー人間たち、悪いことは言わないでござる。この先には本当に危険な者がいる故、それ以上進まないことをお勧めするでござるよ」
「魔神…いや…あのような姿の御方は記録には残っていないはずだが…まさか“危険な者”とは…やはり魔神がこの先に?!」
「おーい、聞いているでござるかー?」
なんか驚愕したような顔で、あまりこちらの話を聞いていない感じがする人間たちと、その横には見たことがないモンスターがフヨフヨと浮いている。
トロペジェンヌ的には、一番前に居る人間以外は自分にはとても敵わないだろうという直感があったが、それにしても数が多いので出来るだけ戦いは避けて、穏便に森の外に出て欲しいと考えた。
しばらくの膠着状態の後、その先頭の人間がこちらを充分に警戒しながら話しかけてきた。
「…白銀の魔獣殿…いや、トロペジェンヌ殿と言ったか…お聞きしたいのだが、この先に危険な者が居るとのことだが、それはどのような者なのだろうか…貴方の縄張りに無断で立ち入ったことは詫びるが、我々は人類にとって危険な存在を野放しにはできないのだ」
「え、アレのことでござるか。某も直接戦ったわけではないでござるが、お前たちでは一瞬で殺されてしまうでござるよ。少なくとも某よりは強くないと話にならないでござる」
「きっ…貴様!」
「待て!お前たちは黙っていろ!!」
言外に、『お前たちは自分より弱い』という魔獣の言葉に、一部のプライドが高い隊員が怒りを露わにしたが、すぐに隊長の言葉により制された。
少なくとも隊長であるイノフェンは気づいている。
この精悍な魔獣は、自分と同等かそれ以上の強さを持っていると。
「トロペジェンヌ殿、部下がすまない。だが、我々も調査故、その危険な存在とやらの確認だけはしたいのだ。どうか…そうだな、私と闘ってもらえないだろうか。そして私が強さを示せたら、どうかその危険な存在の場所まで案内してくれないだろうか」
「む…某との決闘を望むのでござるか…しかし、某は決闘で手加減するほど無礼なことは出来ぬため、万が一死んでしまったり大けがを負ったとしても責任は持てぬ故…」
「構わぬ…こちらは回復手段を持つ者が多数いる……どうか受けてくれないか、森の賢王よ」
「賢王…なんかカッコいい響きでござるな……それでは受けて立つでござるが、森の木や他の生物に危害を加えるようなことはしないで欲しいでござるよ!」
「感謝しよう!」
イノフェンからすると、獣というものは例え人語を理解するほど賢くても、結局は力を示さなければ他者の言葉など聞いてくれないだろうという思いから持ちかけた提案であった。
だが、この魔獣は、獣でありながら、他者の負傷の心配をし、あまつさえ騎士道精神のようなものまで感じられる。
それは真にそこらの魔獣とは一線を画す存在——故に“賢王”。
彼はそういう思いから、トロペジェンヌを森の賢王と呼んだのだった。
一方トロペジェンヌは、この相手とどう戦うべきかかなり悩んでいた。
かつての自分、主君たるアンコ姫と出会う前であれば、縄張りに断りなく踏み込んだ者など問答無用で倒していただろう。
だが今は状況が違う。
確かにこの森の南の領域は自分の縄張りではあるが、同時にこの森の全ては主君たるアンコ姫のもの。
そして当のアンコ姫は、それぞれの種族が棲む場所—縄張り―を持つことは問題ないとしながらも、同じ森の仲間は皆手を取り合って生きるべきで、例えばトロペジェンヌの縄張りにゴブリンの子供が入ったとしても、それはもはやいちいち気にすることではないと考えている。
危ないことをして遊んでいたり、“禁足地”に入ろうとしていたら注意すべきではあるが…
しかし今回のケースは、“森の外から来た人間”が相手である。
一応、“禁足地”に入ることは駄目だと言ったが、あまり聞いていない様子。
しかも決闘を望んでいる。
外から来て、いきなり縄張りに踏み込んできたのは無礼と感じてはいたが、隊長と言われている者はそれなりに礼儀正しそうである。
それに決闘を申し込まれてそれに応じないのも、自身の信念に反するところ。
なので、お互いできるだけ被害が無く、それでいてちゃんと決着がつくように、魔法の力を使って殺さない形で全力で戦おうと考えたのだった。
「それでは行くでござるよ!
白銀の魔獣の腹にある紋様が光り輝いた。
イノフェンは、魔獣が魔法まで行使してきたことに一瞬驚愕したが、すぐに冷静になり魔法に抵抗する。
「
「なんと!」
魔法を無効化された魔獣が驚愕の表情を浮かべた隙をついて、イノフェンは素早く天使へ命令をする。
「天使よ、
油断したトロペジェンヌに氷の範囲魔法が降りそそぐ。
トロペジェンヌの白銀の体毛が一瞬で凍り付く。
「のわー!!寒いでござる!このっ!!」
トロペジェンヌは体表の氷を振り払うため、鞭のように尾を振り回ながら体全体を大きく揺さぶった。
そしてついカッとなって、その勢いのまま尾を人間に向かってしならせた。
ガギン!!
「ぐっ!!」
とっさの判断でイノフェンは剣を抜き、その刃で鋼鉄のような尾から身を守ったが、尾の膂力は想像以上であったため、体が後方へ吹き飛んだ。
「ガハッ!」
「隊長!!」
背後の木に体を強打したイノフェンに、隊員が駆け寄る。
「まっ…待て…これは決闘だ。お前たちは手を出すんじゃない…仕方ない奥の手を使わせてもらう!」
「素晴らしい心構えでござるな!相手にとって不足なし、でござる!!」
イノフェンは自身の<
彼の<
武技を使用するかのように精神力を消費する代わりに、自身の召喚モンスターを倍に増やすことが出来る。
現在イノフェンが同時に召喚できる第4位階天使召喚の上限数は4体。
しかし4体同時召喚は消耗が激しすぎるので、3体を同時召喚する。
それらが<
「行け!6方向から同時に攻撃せよ!!」
イノフェンは先ほどの魔法攻撃は、この魔獣に対してそこまで効果が無かったように見えたので、一旦は物理攻撃を指示することにした。
6体の天使がそれぞれ持つメイスで、魔獣に襲い掛かる。
「のわっ!ちょっ!!このっ!!」
6体の天使と魔獣が一進一退の攻防を見せる。
お互いの攻撃は致命傷とは成らずとも、それなりにダメージが蓄積していっているように見える。
天使のうち最も魔獣からの攻撃を食らっている1体が消滅しそうになっていることに気づいたので、イノフェンは一気に畳みかけることにした。
「よし、天使たちよ。一斉に
イノフェンの指示により、6方向からの火球が魔獣に迫る。
「あっ…これはヤバいでござる!」
逃げ場を失ったトロペジェンヌは迫りくる火球を見て一瞬硬直してしまった。
その瞬間。
「ハイハイ、そこまでー!!もー、何やってんの?!
瞬間、その場にいる者を全て巻き込むほどの広範囲の領域に温水がぶちまけられ、
全身ずぶ濡れになった一同が呆然としている中、突如現れたその小さな妖精は、続けて呪文を唱える。
「【
辺り一帯が緑色の優しいオーラに包まれる。
次の瞬間、トロペジェンヌの身体の傷は瞬く間に治癒していき、召喚された天使たちも同様にダメージが消えて行く。
イノフェンを含む陽光聖典の者達は、ここまで目立った外傷は無かったが、僅かな傷、例えば葉っぱで切ったわずかな切り傷なども瞬時に回復し、まるでゆっくりと体を休めて目覚めた朝の様に、体の疲労も消えて行く。
この魔法は回復だけに特化していて、それなりに回復量も大きく、特殊な呪い等でなければ状態異常もランダムに回復してく。
これを【
まさに作り出された平和空間である。
「はい、もうここで戦闘行為してもほとんど攻撃当たらないし、当たってもすぐに回復しちゃうから戦う意味ないよ!」
「姫!」
「トロちゃん!もーびっくりした!何で戦ってるの?!そっちの人達も、戦う理由ないでしょ?!」
「ごめんなさいでござるー!」
「アッハイ、スミマセン」
何だか大層お怒りの妖精を前に、一同はずぶ濡れになりながら、シュンとして頭を下げた。
巨大ハムスターは守られました。
セーフです。
それと、アンケートご協力ありがとうございました。
そろそろセリフとかに影響が出始めるので、ここで締めきります。
餡ころさんにとってモモンガさんは尊敬できるギルマスです。
アンケートです。餡ころもっちもちさんは、モモンガ(鈴木悟)さんのことをどう考えているか。
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異性として気になっていたことがある人
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あくまで友人として尊敬できるギルマス