オーバーロード <物語の分岐が確認されました> 作:ヒツジ2号
常闇を倒した彼らが、トブの大森林に到着するまでのお話から始まります。
ニグレド・アルベド・ルベドの3姉妹と、タブラおよびるし★ふぁーの合計5人は、ひとまず
「さて、るし★ふぁーさん、それにお前たち。私たちはこれから、ここより遥か北にあるリ・エスティーゼ王国という人間の国の中にある、トブの大森林という場所へ向かおうと思います。森林の奥地にある荒野にも直接転移は出来ますが、念のため一度森林外の街道まで飛んで、森林に最も近いカルネ村というところで一度休憩をしようと思います。るし★ふぁーさんはご存じないと思うので共有しておきますが、私たちは一度、薬草採集目的という名目でその村へ訪れているので、比較的スムーズに入れるでしょう。その後はるし★ふぁーさんのゴーレムを用いて、森林内の
「はいはい、タブラさん。あのさー60レベルのゴーレムが必要って話だったけど、オレが聖王国で作った60レベルのゴーレムは、今国の復興作業で使ってるみたいなんだよね。だから、別に作った方がいいと思うんだけどどうかな?(単純にたっちさんに捕まる可能性がある聖王国に行きたくないし)」
「なるほど…まあ正直な話、モモンガさんとかウルベルトさんとかの形のゴーレムが森で暴れまわるのは如何なものかと思うので、それについては賛成ですね。それで、素材はあるんですか?」
「そこなんだよなー…正直ボディの方は、ドゥエルの鉱山にいって人間世界の金貨(盗品)で買えばいいんだけど、コアになるレアリティが高い素材がないんだよなー…タブラさん、良いの持ってない?」
「ふむ…まず私はそういった素材は持っていません。また、この周囲で探すとなると、お話したように、この洞窟の周りには亜人の国がいくつかあります。中でも大きな国は、トロール国、ビーストマン連邦、
「なんか
「いやいや、るし★ふぁーさん、良く考えてくださいよ。冷蔵庫とか扇風機って、明らかに我々の世界の文化ですよね?ということは、それらを提唱した通称“口だけの賢者”は私たちと同じユグドラシルプレイヤーだった可能性大です。ですがどうやらその方は既に亡くなっていて、私たちが何日か街に滞在して色々と話を聞いてみましたが、それ以降プレイヤーらしき人は居ない可能性が高いです。これってどういう状況だかわかりますか?」
「え…どういう状況って、そのまんまじゃないの?」
「いや、まあそのまんまですが、要はユグドラシルプレイヤーはいないのに、ユグドラシル産武器やアイテムが存在しているという状態ですよ。説得できそうなプレイヤーが居ない状態で、何らかのきっかけで敵対したら、ユグドラシルの未知のアイテムでダメージ受けるかもってことですからね。用がないならば関わらない方が良いと思われますが?」
「うーん…」
るし★ふぁーが悩みだしたところで、ルベドが手を挙げた。
「父さま、質問です!」
「ん?どうしました、ルベド?」
「はい、えっと、父さまや姉さまたちは、その
「ああ、なるほど。いえ、あの国に滞在していた時はニグレドの幻術で、
「え、タブラさん。ちなみにそのトロール国とビーストマン連邦は?」
「ああ、あれらの国は人間は完全に食料なので人間の姿での入国は無理ですね。というかトロール国の住人に至っては幻術かけても、ベースが人間状態でかけると匂いで反応してきて非常に面倒でした。それにこの2か国の者は気質が荒く、同種に見える旅人であっても喧嘩をふっかけてきたりするので、価値もあまりないと判断し大した調査はしていません…娘たちも大層お怒りでしたしね」
タブラの少し遠い目を見るに、創造主を侮辱されたニグレドやアルベドのご様子はとても激しいものだったのだろう。
タブラは小さな声で「まあ、証拠は残していませんし、大丈夫ですが」と呟いた。
本当に大丈夫だったのだろうか…
アルベドの笑顔が深くなった気がするのが何だか怖いと、るし★ふぁーは感じた。
「で、話は戻りますが、この6か国は覇権を争っているとは言いますが、実際にバチバチなのは
「なータブラさん。やっぱりさーオレ的には
「
「うーん…そのさ、奴隷の人間種はどこから来た人なのかな?」
「可能性として高そうなのが、
「例えばさ、幻術で
「いやいや、だからそこまで私たちが深くかかわるのはリスク有りますって。ていうか、るし★ふぁーさん、あなた、アベリオン丘陵いたときは亜人の方々と仲良くやってたんでしょ?なのにそんな簡単に滅ぼすとか、それってどうなんですか?」
「何だろう…アベリオン丘陵にもさ、人間を食料にする亜人はいたんだけど、バザーは聖王国と同盟結ぶために、配下の亜人に人間を食べるのは止めろって命令したんだよね。最初はそれって、オレに配慮してんのかなって思ったんだけど、その後バザーと話したときにアイツは、『別に対人間だけという訳でなく、同盟内の知能ある隣人を食す種族は仲間に入れられないし、その種族を温情で残してもいずれ戦いが起きてより多くの同胞が死ぬことになるから、早い段階で決断をした方がお互いのためだ』って言ってたんだよ。オレも、正直、初めて人間を食う他種族と戦った時は人間の姿だったから、何て言うんだろ?嫌悪感?みたいのがあって、頭に血が上っちゃったんだけど、後で冷静になった後、バザーからその話聞いて、たぶんバザーが言ってることは正しくて、境界線はそこに引くべきなのかなって思うんだ」
「る…るし★ふぁーさん…あなた…!…いえ、まずは色々とやるべきことが終わったらそのバザーさんという方を是非お招きしましょう!」
「え…何急に?まあでもバザー呼ぶのは全然オッケーだよ」
「はっ…いけない、いけない…そうではなく、いやバザーさん招く件は前向きに検討するとして、るし★ふぁーさん、あなた忘れているかもしれませんが、私たちの仲間の中にも人間を食する者が居ること、分かっていますか?」
「えっ…ベルリバーさんもさすがに人は食わないんじゃない?」
「いえいえ、私たちではないですよNPCです。この娘たちがこうして生きているのです。もしナザリック地下大墳墓がこの世界に来たら、ナザリックのNPC達も生きているのですよ。その中には明確に人を食うと設定されている子たちもいるでしょう?プレアデスのソリュシャン・イプシロンやエントマ・ヴァシリッサ・ゼータはどうですか?餓食弧蟲王は人の身体を巣にしますよ。我々が遊びで設定した者達の中には確かに人食いが居るのです。彼ら彼女らに我慢をしろというのですか?それに……貴方が言ったように、種族として人食いが出来る種族設定のプレイヤー…ベルリバーさんとかヘロヘロさんが、人間の姿でないとき、人間を食いたいという衝動に駆られたらどうするのですか?」
「そっか…確かにそうだね…それはモモンガさんとも相談してギルド会議かな…いやでもプレイヤーもそういう感情になっちゃうのかな?オレ、実はこっち来てから天使の状態になってる時間てあんましなかったから、異形種の感情って言うのがまだ良く分かってないんだよね」
「私はその時その時で使い分けているので、何となく感じているのですが、異形種の時は考え方や価値観が、その異形種に引っ張られている可能性が非常に高いです。“
「いやタブラさん、人間の時も非情で効率的でしょ…」
「…まあ否定はしませんが傾向が強くなるのは明らかです。それに、“口だけの賢者”にはこういう逸話があります。『ある時、口だけの賢者は、牧場で非常に美味しい肉をご馳走になった。彼は余りの美味しさに感動したが、その肉のことを聞いた後は、食べたい食べたいと転げ回りながらもその後は決して口にしなかった。そして後年、彼は食料だった人間を奴隷の地位まで高めることに尽力した』…この話から考えると、“口だけの賢者”はとても理性的な方だったのでしょう。ですが、そうであったからこそ、
「うわー…そんななんだ…オレ達は
「えーっと…餡ころさん…は、あ、結局人間種になれたんでしたね…あとは…人間ではないですけど、人間種にはなれますね。確か
そこまで話が進んだ時、ニグレドが声を上げた。
「タブラ・スマラグディナ様、るし★ふぁー様、お話し中のところ申し訳ありませんが、ここより10㎞ほど南西の方角に、こちらへ向かって来るものが20名ほど居ります。覗いてもよろしいでしょうか?」
「ん…
「畏まりました………彼らは
「…なるほど…」
「…タブラさーん」
「…何ですか?」
「チャンスじゃね?」
「…うーん…」
「やっちゃおうよー」
「…うーん……………では、全面的に前に出るのは、るし★ふぁーさんで、私は後ろで隠れて指示するんで良ければ」
「えー?!ずるくない?!!」
「…だって、るし★ふぁーさんがやりたいって言ったんじゃないですか」
「そこはAOGのギミック担当同士、仲良くさー」
「…では、あなたが
「おっけー!それじゃあさっそく作戦立ててよ!!」
「交渉成立ですね。それじゃちょっと考えます。ニグレド、その兵士団が着くまでの時間を教えてください」
「はい、タブラ・スマラグディナ様、今のペースですとおよそ2時間ですが、明らかに足取りが重く、少しずつペースが落ちています。ですのでもう少しかかるかと」
「わかりました。それでは作戦を説明しますから、皆聞いてください」
ギミック担当の2人が悪だくみを始めました。