オーバーロード <物語の分岐が確認されました> 作:ヒツジ2号
「ふむ、ケンタウロス型ゴーレムか、成程……」
曰く数十年前に大規模な戦争が有り、そこから関係性は頗る悪く睨み合いの状態が続いているが、その他の周辺の大国から攻め込まれないように注意をする必要もあり、膠着状態が続いている。
また、ビーストマン連邦との戦争の時には互いにかなりの数の国民に被害が出ているので、国民感情的にも和解は難しい一方で、新たに戦争をするとなると先の周辺国との関係性もそうだし、国民に負担を強いることになるので悩ましい。
これらの問題解決の糸口は無いかというもの。
当初の予定では、このような話に進んだところで、協力するからゴーレムの材料を提供してくれと話を持っていく予定であった。
だが、先の戦争でビーストマンたちが使用した巨大ケンタウロス型ゴーレムとやらの存在が分かったところで、タブラによる、るし★ふぁーの制御が怪しくなってきた。
『るし★ふぁーさん…るし★ふぁーさーん!』
『……あ、めんごめんご。いやちょっと気になっちゃってさ』
『でしょうね…はぁ、ではそのケンタウロスゴーレムとやらに対抗できる形で作戦練り直しますから、私が言う通りに話進めてください』
『マジで!さすがタブラさん!!』
その顔と体には、黄色の衣を纏っているので、天使がどのような表情をしているかは読めない。
「…では、そのケンタウロス型ゴーレムを倒したという、わが友の遺した斧というのを見せてくれないだろうか。どの程度の強さの対抗戦力が必要か知りたいのだ」
「承知いたしました。おい、賢者様の斧をこちらに!」
宝物庫とやらから持ち出されたその斧を、天使が遠巻きに見る。
正確に言うと、透明化したタブラが近づいて鑑定魔法をかけている。
『これは等級は
『おっけー。じゃあ50レベル位のゴーレム創ればいいわけね。レベル的に、ギリ希少金属はいらないけど、それなりの量の金属は必要だなーやっぱドゥエルのとこ行ってくる必要あるかもなー』
『まあここで彼らのために作るゴーレムの形状についてはお任せします。ただ、情報として、ビーストマンの国ではかつて
『
『では、その3体は
『おっけー』
斧を見ながら、またしばらくフリーズしていた天使が、再び喋り出した。
「成程…ビーストマン連邦の戦力はおおよそ予想が出来た。私はその戦力に対抗しつつ、国を守るためのゴーレムを創造することも吝かではない。だが、ゴーレムを創造するためには素材が必要である。この国には素材として使用できる金属やアイテムなどはあるだろうか」
「なんと…天使殿はゴーレムクラフトまで行使することが可能なのですか…!いやしかし、素材となると…まとまった量の金属などは中々…」
「友が遺した、“ラビリントス”にそのようなものは無いか?」
るし★ふぁーがその言葉を発した瞬間、空気が変わった。
いや、正確に言えば、驚愕の表情を浮かべるのは王とその横に控える
「…やはり、賢者様の友…そこまでご存じとは………皆!ここから先は余と天使殿だけで話さなければならない!この玉座の間から退出するのだ!!」
「…しかし、王!」
「良い。もはや、ここまでの事実を知る天使殿を疑う余地はない…兵士長は外で待機し、何者もこの部屋に近づかぬ様扉を見張るのだ」
「…承知いたしました!」
あっという間に人払いが済み、玉座に残されたのは、天使と王と、その側近のみ。
正確にはあと4名ほど透明の者が居るが。
るし★ふぁーはかなりドキドキしている。
『え、なんかオレやっちゃった?』と、タブラにどこかの主人公のような
人払いが済んだ部屋で、王は改めて真剣な面持ちで言葉を発した。
「天使殿、失礼した。“ラビリントス”のことは、代々の王と、業務上知る必要があるごく一部の者だけに伝えられていること……確かに賢者様は御言葉を遺されています。『“ラビリントス”の名前を知る強き訪問者にそのことを伝えよ』と…ついに…この時が来たという事ですね」
『その通りである。“ラビリントス”とは我ら同郷の者のみが知る伝説の迷宮の名。そしてアステリオこそ、その守護者。友が遺した言葉が私をその迷宮に立ち入ることを拒絶していなかったのであれば、是非そこへ案内してほしい』
「その通りである。“ラビリントス”とは我ら同郷の者のみが知る伝説の迷宮の名。そしてアステリオこそ、その守護者。友が遺した言葉が私をその迷宮に立ち入ることを拒絶していなかったのであれば、是非そこへ案内してほしい」
「おお…やはり…はい、賢者様は拒絶しておりません。それどころか、その名を知る御方を導くようにと仰っていたと伺っています。ついにその日が来たのですね…まさか余の代でこの御役目を果たせるとは……入り口はこちらでございます」
すると玉座は静かに前にスライドし、そこにはぽっかりと開く地下への階段が口を開けた。
『ここがラビリントスの入り口で間違いないな。ヨシツネ殿はこの先に足を踏み入れたことが有るのだろうか?』
「ここがラビリントスの入り口で間違いないな。ヨシツネ殿はこの先に足を踏み入れたことが有るのだろうか?」
「はい、御役目のために余は側近と共に360日に一度、このラビリントスの入り口の部屋まで足を運んでおります。伝承では、かつて賢者様がお年を召されてご自身の死期を悟った際、このラビリントスの中で眠ると仰いました。当時の国民たちは悲しみ、多くの者が賢者様と死者の国への旅路を共にしたいと懇願しました。ですが賢者様はそれを拒み、代わりに360日に一度、亡くなった者のうち最も国に貢献した雄7名、雌7名の遺骨をラビリントスの入り口の部屋に弔う事をお許しになり、賢者様自ら祝福すると仰ったそうなのです。なのでこのラビリントスの存在を知ることを許された代々の王とその側近がその役目を担い、360日ごとに遺骨を運び入れているのです。国民はラビリントスのことを知らないので、王だけが知る賢者様の墓所に共に埋葬すると伝えています」
『成程。では、その入り口の部屋まで私を案内してくれるだろうか』
「成程。では、その入り口の部屋まで私を案内してくれるだろうか」
「畏まりました」
王の案内で、透明化した4名と、タブラの言葉を繰り返す人形となりつつある天使様が階段を下りて行った。
「それでは、私どもは地上へ戻らせていただきます。この場所の存在は秘密ゆえ、天使殿が戻られるまでは、玉座の間へは人を通さぬようにしておきます」
側近の
彼らが言うには、賢者様は、『“ラビリントス”の名を知る来訪者はこの場所まで連れてくれば何をすべきか分かるので、その者だけを残し地上へ戻れ』と言い残したという。
それは正しい。
なぜならば、入り口の部屋と呼ばれたその簡易埋葬場所のような部屋の壁には、やはり日本語の落書きがあったのだ。
———やあ、ユグドラシルプレイヤー。アステリオはこの迷宮の最奥で待っているから、存分に攻略してくれ。ちなみにちゃんとシステム:アリアドネに従っているし、階層は1階だけだから難しくないよ。探索のため魔法使用もOK。でも一応ユグドラシル式の罠はあるから気を付けてね。迷宮の入り口はこの扉。扉が開く合言葉は、ラビリントスの作成者の名前だ———
「さてさて、これは想像以上に面白いことになってきましたね」
「いやタブラさん、色々と、良く分かったね?!」
「ええ、上の部屋の落書きの中に“ラビリントスを王に聞け”ってあったでしょ?“ラビリントス”は明らかにリアルの世界にあったミノタウロスの伝説に関係する言葉だったので、かなり気になっていたのですよ。まあ、それに今の私たちはとても運が良かったみたいで、王様も色々と教えてくれましたしね」
「いやーさすがだわー。で、この合言葉みたいのも分かる?」
「ええ、おそらく…“ダイダロス”」
その言葉で、日本語の落書きの矢印の先にあった扉が開いた。
「いや、ちゃんと機能していてよかった。さて、ここに入る前に情報共有と作戦会議をしておきましょう」
「おっけー」
「お前たちも聞いていて、質問や意見があれば発言してください」
「はーい、父様」
「はい、お父様」
「畏まりました」
「まず、これはるし★ふぁーさんの意見を聞きたいのですが、この場所はズバリ、ギルドホームだと思いますか?」
「えっ、オレ?…うーん……多分違うんじゃない?」
「私も同意見です。ちなみに何でそう思いました?」
「だってさ、ここがギルドホームだった場合、ギルド長はアステリオさんっていう
「…なるほど…いや、それは私も気づきませんでした。さすがるし★ふぁーさんですね…私がここがギルドホームじゃないと思った理由はいくつかありますが、まず、恐らくは100年以上放置されているこの場所がギルドホームだった場合、どうやって維持費を賄ってるんだって話ですよ。ここから北の方の砂漠に“エリュエンティウ”という名前のギルドホームっぽい場所があるのですが、そこはNPCらしき住民が生産をしていて、おそらく税を納めているっぽいんですよね。ですがここにはそれらしき存在は居なそうですし、外から入れるのも年一の遺骨だけ。それに、あの落書きが正しければ階層は1階だけという事なので、そんなに浅いギルドホーム創るってちょっと考えづらいというのもあります」
「あーなるほどー確かにそうだね」
「お父様、よろしいでしょうか」
アルベドの言葉に、タブラは『どうぞ』のジェスチャーをする。
「では、質問なのですが、ここにはナザリックのようなモンスターも居ないという事でしょうか?」
「ふむ…居ないか、居たとしてもアンデッド系ではないでしょうか。罠はあると書いてあります。ですがギルドホームの様に金貨消費で複雑な罠を作ることは出来ないので、永遠に存在できて食料等もいらないアンデッドくらいは配置されてるかもですが、それ以外をここに100年以上閉じ込めておくのは難しいでしょう。それに、上にはアステリオさんが居た国があるわけで、その地下に溢れてきそうなモンスターを配置する可能性は低いと思います…ニグレド、あなたは常に探知をして、罠が無いか、また、転移阻害等の魔法がかけられていないか注意していてください」
「畏まりました」
「父様!」
ルベドが元気よく手を挙げた。
タブラは「はい、ルベド」というと、彼女は手を挙げたまま元気よく喋り出す。
「私が先頭で進んでいくのがいいと思います!」
「そうですね…では、
「おっけー!」
「はーい!」
「はい!」
「畏まりました」
こうして一行はラビリントスに足を踏み入れた。
大陸中央のお話はもう少し続きます。
ちなみにヘロヘロさんは転移してきて帝国でやらかし始めています。
ウルベルトさんは漆黒の剣メンバーのレベリングをしています。