オーバーロード <物語の分岐が確認されました> 作:ヒツジ2号
ゲヘナの炎は原作で魔法なのかスキルなのか明言されていませんが、この二次創作では第8位階の魔法としました。
人間形態で使える第8位階魔法はコレです。
その異変は、王都騒乱の過程で破壊された一角から始まった。
瓦礫の隙間から、白い影が無数に漏れだして、それらは一度空へ昇る。
そして、それらは王都の空に一定数溜まったところで、下降と暴虐を始めた。
最初にそれを見つけたのは、裏路地のゴロツキ達だった。
彼らが暴れたことで王都の元々の住人は家屋の中に入っている者が多数だったから。
ゴロツキは空中に浮く無数の天使を見た。
「天使…?」
その呟きが最期の言葉だった。
天使たちは無機質に、無感情に、そのゴロツキに剣を振った。
途端に壊乱するゴロツキの一味。
しかし天使は時に魔法を、時に剣を振って、動く者に襲い掛かる。
ゴロツキの多くは、その天使は冒険者か神殿の何者かが召喚し、自分たちを襲うよう仕向けているのだと思った。
だがそれは違った。
天使たちは、ゴロツキだけでなく、動く人間には見境なく襲い掛かった。
逃げ遅れていた善良な住民の老人が襲われた。
自分の店をゴロツキから守っていた店主の男が剣を突き立てられた。
スラムに暮らすことを余儀なくされていた貧しい者に魔法の雨が降った。
その天使は誰の味方でもなく、人間たちの敵であるモンスターだと理解したとき、王都の人間は善も悪も男も女も老人も子供も皆逃げ出した。
それに立ち向かうのは、戦士団と冒険者達のみ。
それなりに戦闘技術がある彼らは、即席のチームを組み、魔法を使えない者や魔力を込めた攻撃手段がない者は主に逃げる住人を守り、そうでない者は天使に対峙する。
倒せる天使もいるが、倒せない、明らかに強い天使もいる。
『これは戦士長やアダマンタイトでないと厳しい』
戦っている者がそう感じた天使は、主にゴロツキの対処を終えた『蒼の薔薇』や『漆黒の剣』が対峙する。
しかし、天使の数が多すぎる。
そして空を飛べる天使は、冒険者たちの包囲網を破り、王都中を蹂躙していく。
誰が見てもジリ貧。
唯一、空にいたイビルアイは、目に付く天使を片っ端から魔法で攻撃し撃ち落としているが、やはり数が多すぎる。
最初に天使たちが現れたあたりから、無尽蔵に天使たちが生まれ、凄まじいスピードで王都中に増殖していく。
「くそがぁ!!八本指どものアジトは潰しきったっていうのに、これじゃあ天使に滅ぼされちまう!おい童貞!!お前はこの状況を王女さんに伝えて援軍を出してもらうように頼んできてくれ!!」
「ですがっ、ガガーラン様!!」
「行けっ!!奴ら上から攻めてくるから屋根があるところで隠れながら行けば何とかなる!!」
「……はいっ!必ず戻ります!!」
***
『…なんだと?!やはり天使が?!場所は?』
王城での断罪を終えたパルメーラは、街に放っている悪魔たちから情報を受け取った。
予感はあった。なぜならば左手の紋章が痛みを感じ始めていて、それはつまり聖なる存在が迫っている証だったから。
さらに言うと、種族特性からか、街に潜んでいる悪魔たちが優先的に狙われている状態で、悪魔たちは人間に見つからないように潜んでいろと命令を受けているため表立って戦えないでいる状態だ。
天使たちの中には30レベル程度の存在もいる様で、一部の低レベルの悪魔は引きずり出され、消滅させられた者もいるようだ。
住民たちは、天使という存在が人間を襲うだけでなく、なぜか街中で悪魔とも戦っている状態を目撃していて、いよいよこの天使たちの目的が分からなく混乱している。
パルメーラは最初に神殿を疑ったが、天使たちは神殿から出現しているようではなく、なんならニグンなどはいち早くこの天使群を敵と認識し、自身が召喚した天使で戦いを開始している。
これを目撃している住人は、天使と天使が戦っているのを見ているので、もはや何が敵で何が味方かも分からない。
パルメーラは悩む。
この天使がどこから来た者かは分からないが、以前、エ・アナセルで対峙した熾天使たちと同様の敵対する者だとは理解した。
だが、これほどの数ともなると、街に放った悪魔だけでは対処が難しいし、そもそも“悪魔”という存在を住民、戦士団、冒険者、神殿と言ったあらゆる者に目撃されることになる。
パルメーラは目を閉じ、腰に差した悪剣・
そして先ほど、ランポッサに宣言したことを反芻する。
『強く、絶対的な悪。情けを捨て、非情になり、罪人に等しく罰を与える悪』
悪剣・
これと、あのアイテムを使う事で、この事態を収め、王都の民を守る可能性が出る。
だが、その判断をすると言う事は、本当に本当の意味で、自分は悪として、悪魔を操る悪魔の末裔として、あるいは悪魔そのものとして認知されるだろう。
この世界で心を許した者達が居る。
仲良くなった冒険者の者達、ガゼフ、ニグンといった、『偽善』ではない者達。
とりわけ『漆黒の剣』の4人は、パルメーラにとって“真のチームメイト”だ。
彼らから、特にニニャから習ったいくつかの事。
“悪魔”はおそらく現在のこの国では受け入れられない。
冒険者の討伐対象だ。
『漆黒の剣』はそれでも受け入れてくれるかもしれない。
だが、冒険者組合は難しいかもしれない。
だからチームメイトに迷惑が掛からないように、ケジメはつけなければならない。
パルメーラは懐から、ニニャに預かった『冒険者離脱届』を取り出し、その一番下のニニャのサインを乱暴に消すと、仲間に教えてもらったこの国の文字で自分の名を書いた。
「
「畏まりました」
命令をした
そしてパルメーラの姿で行使できる最高位階の魔法を行使する。
「…
王都の中心付近、ヴァランシア宮殿の近くから、赤く燃える火柱のようなものが上がった。
その火柱は速やかに範囲を拡大していき、やがて王都の全てを包み込んだ。
王都の住民が、冒険者が、戦士団が、そして王城のバルコニーからはラナーがその様子を見上げていた。
続けてパルメーラは、アイテムボックスから3つの宝珠を持つ悪魔像を取り出す。
これはユグドラシル時代にウルベルトが作成したアイテムで、使用すると
本当はこれは試作品で、完成した六重発動の悪魔像はデミウルゴスに持たせてしまったから、手元にはいくつかの試作品しかない。
だが、天使数およびそのレベルを考えるとこれで十分だ。
パルメーラがアイテムを発動すると、像は砕け散り、周囲に闇が現れて黒い泡と共に大量の悪魔が召喚されていく。
そして悪魔たちは空へ舞い上がっていき、その邪悪なオーラを解き放つ。
悪魔の種類は様々。
中には60レベルを超える者もいる。
最初に気が付いたのはイビルアイだった。
明らかに魔神クラスが混じった悪魔の群れ。
既に天使の撃退で手いっぱいだったイビルアイは絶望的な気持ちになった。
「なんなんだ…天使に続き、悪魔まで…しかも明らかに天使より強い個体が居る…クソッ!!」
だが次の瞬間、イビルアイを含めた『蒼の薔薇』と『漆黒の剣』の脳内に聞き覚えのある声が響き渡った。
『皆、聞いてくれ。悪魔は俺が召喚した味方だ。こいつらには天使を討つように指示をする。だから、お前たちは住人を守ってくれ。それとガゼフに
その声を聞いた『蒼の薔薇』と『漆黒の剣』のメンバーはすぐに理解した。
仲間が、最も頼もしい我らの仲間が、行動を開始した。
この炎のヴェールのようなものが何なのかは分からない。
だが、パルメーラが作り出しただろうこれは、恐らくは安全なものだ。
イビルアイだけは引き続き天使の撃破を続け、それ以外の者は素早く行動を開始する。
住人を守りながら、目についた冒険者や戦士団の者には、悪魔が味方であることや、この王都を覆うヴェールは仲間が作り出したもので安全であることを伝える。
ちょうど王城近くまで来ていたクライムは、その瞬間を目撃した。
アダマンタイト級冒険者チーム『漆黒の剣』の剣士、パルメーラがその腰の漆黒の長剣をすらりと抜いたのだ。
『あっ、危ない!』
パルメーラの真上には例の敵対的な天使が急降下して、彼を襲おうとしていたのが見えた。
一方で剣を抜いたというのに、パルメーラは全く反応していない。
それゆえにクライムは叫んでしまったのだが、それは間違いだったとすぐに分かった。
急降下してきた天使は、真っ二つになり、パルメーラの左右に落下して消滅したのだ。
剣線すら…見えなかった…。
改めて『アダマンタイト級』の実力を見たクライムはその様子に一瞬見惚れてしまったのだが、パルメーラの目的は、天使の討伐ですらなかった。
「悪剣・
その瞬間、パルメーラを中心として漆黒の風が駆け抜けていった気がした。
クライムはハッとして空を見る。
そこには無数の黒い存在。
目を凝らすとそれは悪魔。
御伽噺で聞いていた悪魔そのものだった。
その悪魔が、上空で六芒星の形に並び、パルメーラに対して首を垂れている。
「悪魔像召喚のよる悪魔並びに、人の影に隠れている者を除く、この街に隠れ潜んでいる全ての悪魔よ。これよりお前たちは敵対的な天使たちを滅ぼすとともに、街の人間を守るのだ!!」
パルメーラがその漆黒の長剣を掲げながら宣言した。
漆黒の長剣は、もう一度漆黒の波動を放ち、それに呼応して悪魔たちが行動を開始した。
悪剣・
通常、
しかし〈ゲヘナの炎〉で範囲指定された悪魔強化領域において、例外的に悪魔たちはパルメーラの命令に従う。
この
そうでなくても、数百体の召喚された悪魔が、召喚者の命令に従って攻撃してくるというのは非常に厄介である。
今まさに天使が持つメイスによりその頭を割られそうになっていた王都の民が居た。
格上の天使たちに囲まれ、傷だらけの身体に鞭打って戦いを続けていた戦士団員が居た。
自身の妻と娘を守るため、血だらけになりながら門戸の前で仁王立ちになり、棒で必死に天使を追い払う男が居た。
自然に祈りを捧げながら、召喚した岩巨人で天使の魔法を防ぐ
悪魔の召喚と支配という御伽噺の伝承のような力をメッセージで聞いて、鼻血を押さえながら大興奮する女が居た。
天使たちに苦戦する全ての者の前に無数の黒い影が立ちはだかり、天使たちを引き裂いていった。
その黒い影は悪魔。
邪悪で、恐ろしい、“悪”そのものだった。
その“悪”は人を守り、天使を屠っていった。
空から見ていたイビルアイは、魔法を放つために構えていた両手を降ろした。
「“天魔の戦い”…か…まるで神話だな」
そう呟くと彼女は、もう私が魔法を放つ必要はないかもしれないな、と感じた。
眼下には天使と悪魔の戦いが繰り広げられている。
神聖なはずの天使は人を攻撃し、邪悪なはずの悪魔が人を守っている。
神殿のニグンは既に状況を理解し、自身が召喚した天使は神殿を守る事と近くの住人を守る事のみに使用している。
ニグンは思わず悪魔たち向かって手を合わせていた。
ちょうどその折、神殿からは、ハプソティ大司教が姿を現わした。
「ニグン殿」
「ハプソティ様!」
「…我らの神の教えの通りという事ですね。姿は重要ではない…人間も、亜人も、異形も、時に敵対し、時に味方ともなり得る…この“天魔の戦い”、天使が人を襲い、悪魔が人を守る…これは少し前にローブル聖王国で起きた大災厄と同様の大きな変化の兆し…このリ・エスティーゼ王国にも“その時”が近づいているのかもしれません」
「はい、ハプソティ様のアンデッド召喚術をご拝謁させていただきましたので、もはや私も種族が善悪を決めるわけではないと理解しております」
「ハハハ、そうでしたね。始めての時は、あなたは大層驚かれておられた」
「いやいや、お恥ずかしい限りです…ですがお話になったローブル聖王国の件、私は詳細を聞かされておりません…機密事項であることは重々承知しておりますが、かの国、それに隣接する亜人群などに被害が出ているようでしたら、このニグン、微力ながらも力になりたいと考えているのですが…」
「そうですね…ローブル聖王国ならびにアベリオン丘陵の大災厄の件…確かにまだあなたに詳細を説明することは出来ませんが、決して悲惨なだけの事象ではありませんでした。そしてこのリ・エスティーゼ王国の人を護りし悪魔たちの戦い……あなたや、法国民の皆へ、何が起きていたのかを伝える日が近いと私は考えています。そしてその内容は…おそらく喜ばしきことになるでしょう」
「ハプソティ様…」
「さて、私たちは私たちの出来ることをしましょう。私は『漆黒の剣』の方々に託されたご遺体を守ることに全力を注ぎます…私の考えが正しければ、それはとても重要な意味を持つでしょう」
悪魔たちは順調に天使たちを消滅させていった。
パルメーラもそれらと共に、目についた天使を剣で切り捨てていく。
レベル差もあってか、天使の群れは徐々に減少していったのだが、何時まで経っても、その数はゼロにはならない。
おかしいと思ったパルメーラは、『漆黒の剣』並びに『蒼の薔薇』面々に
すると、イビルアイおよびラキュースから、天使が発生していると思われる場所の報告があった。
それはどうやらガゼフが気絶している付近の様である。
パルメーラは、影に潜ませている
だが、上空のイビルアイ、およびガゼフと共にゼロと戦ったラキュースによれば、ガゼフとゼロが衝突し破壊された一角から天使たちが飛び立っている気がすると言うのだ。
『ガゼフは命に別状はないが、気を失っているようだ。どうやらその周囲から天使が出現しているらしいから俺が見に行く。皆は引き続き天使の残党狩りと、住民の救助をしていてくれ』
近付くと、明らかにその付近は異様な状態だった。
瓦礫の山の向こうから天使が出現しては、召喚した悪魔がそれを捕捉して戦いを挑んでいると言った状態である。
パルメーラは速やかに瓦礫を飛び越えると、そこには幾人かの悪魔に守られた状態で気絶しているガゼフが居り、さらにその20メートルほど先に、白色の人間が座り込んだような形をした像のようなものがあった。
そしてその像の上部から天使が一定の間隔で飛び出して行く。
「なんだアレは…」
少なくともユグドラシルでの記憶には無いアイテム。
いやアイテムだろうか?
ともかくこんなイベントや敵は見た事が無いので、恐らくはこの世界由来の何かだろうと理解するとともに、エ・アナセルでの熾天使の件もあるから慎重に対応すべきと考えたが、少しの時間観察していたところ、吐き出される天使はどれも精々レベル30程度以下といったところであることが見てとれた。
危険は少なそうだが、このまま放置しておくわけにもいかないので、なんとかして破壊しようか…
そう考えた折、頭の中に声が響いた。
『…ラさん……聞こ…ますか?パル………さん』
その声はニニャのものであると分かったパルメーラは、すぐさまパルメーラ側からニニャに
『ニニャか?体調はどうだ?』
『あっ、パルメーラさん。はい、ありがとうございます。もうずいぶんいいです。それで今、エ・ランテルの神殿にいるんですが、僕もそっちに行って手伝いたいので、リ・エスティーゼまで転移してもいいですか?』
『ん?まあ体調が問題ないならば構わないが、今この街は結構混乱状態だし、俺もスキル使用中はこの街を離れられないから……そうだな王都の中に転移できる地点登録した場所はあるか?』
『はい、えっと…泊っていた宿と、神殿と、冒険者組合は登録しています』
『その中だと冒険者組合が近いな。じゃあイビルアイに迎えに行ってもらう様に言っておこう』
『あ、何かすみません』
『いや、大丈夫だろ。それよりも現在この街には悪魔が大量に居るが、それは俺が召喚した者だから気にしないでいい。逆に天使は基本、敵だ』
『へっ?!……なんか良く分からないですけど、急いで向かいます!』
パルメーラからの
「カジット大司教様、本当にありがとうございました。僕は再びリ・エスティーゼに戻ります」
「ニニャ殿、お気になさらず。そしてくれぐれもお気を付けください」
「ありがとうございます!それでは。
この街を拠点とする『漆黒の剣』の
それから少し後、聖堂の扉が開かれ、茶色を基調とした聖衣を着た15名ほどの者が室内に入ってきた。
「御疲れ様です。『土塵聖典』の皆様。まずは簡単にですが私から治癒を施させていただきます。
カジットの魔法により、『土塵聖典』と呼ばれた者達のわずかな傷は回復し、疲労も薄れていったのが分かった。
代表して、聖典隊長が礼を言う。
「感謝いたします。カジット様」
「いえ、礼など不要です。私も、ハプソティ様も、『占星千里』の言葉とは関係なく、神より託された御仕事を担う貴方たちをサポートすることも勤めです。ハプソティ様は例により、先にリ・エスティーゼへ戻られました。しかし、今回は重傷者も居らず安心いたしました」
「はい、実は今回は、エ・ランテル近くのアンデッドの出現率が極端に低かったのでございます」
「成程、そうでしたね。実はこの街の新たなアダマンタイト級冒者チームの皆様が結果的にカッツェ平野を清めてくれたのですよ。ちなみに“聖域”に至る道はどうでしたか?」
「はい…それが、“聖域”付近でもアンデッドの数は多くありませんでした…信じられないことに、2名の人間が魔法と剣技でアンデッドを討伐しておりました」
「な…何ですって…“聖域”への影響は無かったのですか?!」
「はい、それは問題ないかと。彼らは“聖域”への扉付近までは赴いていませんでしたし、“聖域”への侵入を目的としているわけではなく、ただ、武者修行のためにモンスターを討伐している様でした」
「そうですか…まあハプソティ様が御一緒でしたでしょうし、かの御方が問題ないと判断されたのならば大丈夫でしょうね…ちなみにその2名の人間というのは冒険者か何かでしたか?」
「いえ…2名は冒険者やワーカーといった類のものでは無かったです。
「フールーダ翁ですか?!いや……聞き及んでいるかの方の性格からすれば、そう言ったことをなさることも、あり得るかもしれませんね…して、もう一人の青年とは?」
「はい…アンデッドの霧ではっきりと顔を確認できなかったのですが、青髪のがっしりした剣士で、南方の刀を武器としていました。実力は非常に高く、
「なんと…すると推定でも難度100以上ですか。いやはや、英雄というのはまだまだ見えない所に隠れ居ているものですね……とにかく皆、年に一度のお務めで御疲れでしょう。今日はゆっくりお休みください」
***
リ・エスティーゼの街の混乱は終息に向かっているかに見えた。
八本指の幹部および六腕は悉く倒され、あるいは拿捕され、ゴロツキ達も冒険者や戦士団に討伐されつつある。
暫定新王のザナックによって結成された治安維持のための即席の騎士隊が王城から現れ、民を守るための支援を始める。
治安維持隊は何故か悪魔にトラウマを持つ者が多いため、それらに近づくことが出来ずにいて、その悪魔たちが味方であるという事も完全には理解できてはいないが。
突如現れた敵対的な天使たちは、パルメーラの働きにより、その数はかなり減っている。
残るはその天使を生み出している存在、ゼロのなれの果て。
しかしそれさえも、すでにパルメーラに捕捉され、元凶はすぐにでも絶たれるかに見えた。
———ニニャとの
———そしてその存在は、件のニニャという者が王都に現れ、仲間たちと合流するところを見届ける。
遥か上空にその巨体を泳がせていた存在———
そしてゆっくりと、その高度を下げていく。
王都の、いや、リ・エスティーゼ王国の上空を覆う、一つの島ほどの大きさを持つ竜王が、たった一人のユグドラシルプレイヤーに狙いを定めた。
2章、6章のラスボスが出ました。
6章はもうすぐ終わります。