オーバーロード <物語の分岐が確認されました>   作:ヒツジ2号

180 / 187
本編で出てこない地域なのでオリジナルキャラが出てしまっています。
ただ、どうしても大陸の外の島国という場所を出す必要があったために、ツアーの腹心の竜王ズがこの辺りに居るという設定にしています。

特に関東は台風がヤバいので、私の稚拙なお話で良ければ家の中で暇潰しに呼んでいただければ幸いです。


第8章 第6話 -深霧の竜王-

 

 

ゴロゴロと横になりながら、彼女は絵本を開く。

 

その仕掛け(・・・)絵本には、様々な登場人物や、様々な道具や、時には山や川や街の絵が描かれていて、彼女が仕掛けを動かすと、それらの絵が、彼女の思い通りに動く。

 

彼女がその絵本で遊んでいると、不意にその登場人物の2人が絵本の端の方に移動していって、その姿は絵本の端っこから姿を消した。

 

 

「あれー?外に行っちゃった……でもこんな時はふろくの出番だね!」

 

 

絵本の最初のページには、ふろくがついていて、そこにはあと2つ、まだ使っていない登場人物の駒があった。

彼女はその2つを引っ張り出すと、今しがた別の2人が姿を消していしまった絵本の端っこの方へ、その新しい2人を置く。

 

するとその2人は、さっき姿を消した別の2人を追うように、やっぱり絵本から姿を消した。

 

 

「行っちゃった……絵本の外は私が何もできないから、ちょっと心配だけど。でもあの2人を放っておくのも心配だから」

 

 

彼女は相変わらずゴロゴロしながら絵本をパラパラめくる。

 

最後の何ページかは、なぜか今は開かない仕様になっていて、でも、もう少ししたら開く予感がある。

 

 

「もうちょっとだね…もうちょっとしたら私も起きよう。起きたらまずは……もふもふして、なにか美味しいものを食べよう」

 

 

彼女はその小さな体をゴロゴロさせながら、不思議なふわふわした、まるで夢の中のような世界でまどろんでいた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「ブレインさんは、なんで武者修行の旅をしてるんだ?」

 

 

ウィードは、列島諸国に渡る定期船の中での暇な時間、無聊を慰めるようにブレインに話しかけた。

 

 

「なんで…か。そうだな。まず始まりは、国の武術大会である男に負けた事だったかな」

 

「国…エナ多種同盟国?」

 

「いや、違う違う。元々の俺の祖国で、エナ多種同盟国よりはるかに北、リ・エスティーゼ王国ってとこだ。そこの御前試合の決勝戦で、後に王国の戦士長になる男と戦い…負けた。俺ァさ、それまでは剣の腕では誰にも負けないと自負していたんだが、そこで鼻っ柱を折られたって訳さ」

 

「成程…リ・エスティーゼ王国か。御前試合なんてある大きな国なんだろうし、いずれ行ってみたいな」

 

「ああ、大きな国だな。だが、どうだろうな。何て言うか古くて、貴族なんかが腐敗しているし、巨大な犯罪組織もある。交易が栄えている街ってのも限られてる。ここ数日見てたがダンナはきれいな(・・・・)商売をしているみたいだが、その犯罪組織は麻薬なんかを流通させていて、俺が出てきた時は国は乱れ始めていたな。それに、隣の国と戦争なんかしているから、もしかしたらある日あっけなく滅んじまうかもしれないぜ」

 

「麻薬か…それはいただけないね。客を破滅させる商売ってのは、結局売る側も破滅させる商売だ。それに外聞も良くない。長く続く商売ってのは売りも買いも世間体もいい、三方良しってやつじゃなきゃ」

 

「はは…違いねぇな。昔の俺に言って聞かせて欲しいぜ…いや、昔の俺はそんな助言、聞かないか」

 

 

自嘲気味に笑うブレインを見遣り、ウィードはそのまま彼が言葉を続けるのを待つ。

話し相手が自ら何かを語り出したとき、その時は相槌なども不要。

ただ待って、その相手の言いたいこと言わせた方がいい。

その方が情報は多く入って来るし、大抵、会話そのものも上手くいく。

 

 

「俺は、その御前試合に負けた後、ただ、その相手を倒すことだけに固執した。自分が強くなるためだったら、犯罪者崩れの集団にも加入した。マジックアイテム欲しさに、その、例の麻薬を売っていた巨大犯罪者集団にも入り込もうとした。強くなること以外、相手の事なんざ、周りの事なんざ、一切考えなかった……だがある日、出会っちまったんだ。本当の強さを持つ人にな」

 

「ほう…」

 

「見ての通り俺は剣士なんだが、その人は、剣を持つ俺の前に素手で対峙した。そして俺は、結局その試合で、剣を抜く事すら叶わなかった。俺は打ちひしがれて、それまでの全てを否定された気がして、そして自分の余りの小ささに、生きていることすら嫌になった…」

 

 

ウィード———弐式は考える。

この男、ブレインはおそらく総合的には30レベル後半の剣士。

彼の話から、彼が何一つ抵抗できず圧倒するとなると、それは50レベル位は必要だ。

そのレベルとなると、この世界に来て最初の方に会ったナイトリッチのヒュエイオーンより強いかもしれない。

 

いや昔の話のようだから、もう少し下かもしれないが。

 

だが結局戦うことは叶わなかったが、慈母の竜王(マザー・ドラゴンロード)などはドランゴンなだけあって、流石にそれぐらいのレベルはあるだろうし、状況からそれを倒した者も居た訳だから、そのレベル帯の存在もいるということは心に留めておいた方がいい。

 

自分が傷つけられることはほぼあり得ないだろうが、ナーベラルについては63レベルだから、クラスがものすごく相性が悪い相手だったりすると、苦戦を強いられるかもしれない。

 

ともかくも“ただの行商人”が、剣士の強さについて深く興味を示すのは不自然なはずなので、ウィードは当たり障りのない言葉を返す。

 

 

「だけど、そのえらい強そうな相手と戦って生き残ったんだから、ブレインさんも中々じゃないかな」

 

「ハハハ……あの人が俺を殺す気ならば簡単に殺されていたさ。その人は言ったんだ。モンスターと、ギリギリ勝てる難度のモンスターと戦い続ければ、俺はまだ強くなれると。そして、俺がもっと強くなったら、稽古をつけてくれると……だから俺は、もう一度あの人と会って、稽古をつけてもらうために、ただただ武者修行をしている。それにな、今は主に強いモンスターを倒して回っているんだが、ダンナの言う通りで、盗賊の真似事をして人やなんかを斬るより、よっぽどいいんだ。強いモンスターは大抵その土地の住人を困らせているから、それを倒せば感謝され、旅を続ける費用も真っ当に受け取れるし、それにそうやって助けた人が、次に倒すべきもっと強いモンスターを教えてくれる。“どこどこの街でこういう噂があるから助けてやってほしい”ってな。なんか柄にもねぇ人助けしてるみたいだが、強くなるためには結果的にその方が良かった。ちょっと違うかもしれないが、真にダンナの言う通り、“三方良し”ってやつだったのさ」

 

「ああ、真に。それにそのおかげで、俺たちもブレインさんに会えて安全な旅が出来ているから、感謝だね」

 

「ははっ、そらよかったぜ」

 

 

弐式が視線をナーベラルにやると、彼女は両手で口を塞ぎながらも、嬉しそうにウンウント頷いている。

恐らくはブレインが、主である弐式の言葉を正しいものだと言ったことが好感触だったのだろう。

弐式もだんだんとナーベラル(NPC)の思考パターンが分かってきたのだった。

 

 

定期船の甲板から、幾つかの島々が見えだした。

もう少しで目的地に着くのかもしれない。

 

ブレインも、その気配を察して椅子から立ち上がろうとしたが、ふと思い出したように言い出した。

 

 

「ああ、そいえばウィードのダンナ。あの、あんたのとこの従業員の嬢ちゃんだが、その、何て言うか、ダンナのイイ人なんだろ。もう俺が護衛をしてるわけだから、今後は無理にあの嬢ちゃんを戦わせる必要はないからな。あの嬢ちゃんに何かあって、そんでダンナが嫌な気持ちになるのは良くねぇだろ。ダンナに雇われてる俺としても、雇い主が嫌な気分になるのは戴けないってやつだぜ」

 

「な……いや。まあ、うん。どうも」

 

 

弐式は、『あの全裸土下座の時に声が漏れたか…』などと考え頭を抱えた。

一方で、弐式炎雷様の“イイ人”と言われたナーベラルは、ブレインの評価を何段飛ばしかで上昇させたのだった。

 

 

 

 

到着した列島諸国の港街は、出発した港とさほど変わらない雰囲気に見えた。だがなんと言うか、出発港の港街に比べると、何となく物静かだ。

港街特有の自由さと粗暴さが混じったような活気が薄い気がする。

 

また明らかに違うのは、住人たちの種族。

 

出発した港は人間種が多く、チラホラと亜人種がいるという感じだったが、この港はその割合が逆転している。

ただ、人間種も居るし、特に差別を受けている風でも無かったから、一行は特に気にせずいつもの調子で宿を探した。

 

 

手ごろそうな宿を見つけ、ウィードが宿の店主に話しかける。

 

 

「あーどうも。宿泊なんだけど部屋は空いてます?3人で、部屋は1人部屋1つ、相部屋1つの2部屋だとありがたいんだけど」

 

 

守護鬼(スプリガン)と思われる店主は、その眼鏡の奥の瞳でじっとウィードたちを見つめた。

 

 

「ああ、旅人さんね。空いとるよ。食事はどうするね?」

 

「食事も一緒にお願いしますわー」

 

「うむ、それじゃあ一泊合計で……銀貨3枚じゃな」

 

「じゃあとりあえず、一泊分だけ。もう少し延長するかもだけどそれはその時でいいですかね?」

 

「ああ、それで構わんよ」

 

「じゃあチップも一緒に」

 

 

そう言ってウィードが5枚の銀貨をテーブルに置くと、守護鬼(スプリガン)の店主は『いや、そういうのは…うーむ……しかし深霧様も…うーむ……』とブツブツ言っている。

 

ウィードは少し疑問に思い尋ねてみる。

 

 

「俺たちは見ての通り行商人でさ、この国で商売とかしたいなと思って来たんだけど、この国のルールとか良く知らないし、どこで商売していいか分からないから教えて欲しいと思ったんだよね。教えてもらう情報料のつもりで多めに出したんだけど、そういうの受取っちゃまずいルールとかあるの?」

 

 

その言葉を聞いて、守護鬼(スプリガン)の店主はさらにウンウン唸った後、ため息をついて2枚の銀貨を戻してきた。

 

 

「難しいところでな…もう受け取ってもいい気がするんじゃが……まだ何とも言えんから一旦返しておく。他の宿の奴らと話してみて、受け取っても良さそうだったら……そうじゃな、サービスが良ければチップとして改めてもらってもいいかの?」

 

「ん?いいけど……どういうことだ?」

 

「ああ……まあ簡単に説明しようかの、旅の商人さんよ。この国はな、数十の島から成る列島諸国者が、概ね4つのエリアに分かれている。いまいるここは、最も西側のナ・オキデン=ジェソイ郡。4つの郡のはそれぞれ独自のルールがあり、ここでは商売で得た利益なんかは税金の計算のために正確に中央に報告するルールがあって、チップのような使途不明な金銭のやり取りは認められておらん。そしてここを治めていて、そのルールを決めているのが深霧の竜王(ディープミスト・ドラゴンロード)様じゃった……だが…」

 

「…だが?」

 

 

店主は少し言い淀んだ後、意を決して言葉をつづけた。

 

 

「どうやら、深霧の竜王(ディープミスト・ドラゴンロード)様は亡くなったらしい。そんで今はそういったルールが曖昧になっとるから、ワシらのような商売人もどうしていいか考えあぐねているところなんじゃ」

 

「おいおいマジかよ」

 

 

話しに割り込んできたのはブレインだった。

 

 

「ああ…どうやらマジな様なんじゃ。少し前じゃったが、やっぱりあんたらと同じように外から旅人が来てな。なんでもどこかの国の貴族か富豪かなんかで、あんたらと同じようにチップとして色々な店でカネをばら撒いていた者が居たんじゃ。そういう場合、中央から役人が派遣されてきて、旅人だろうが何だろうが、深霧様のところへ連れていかれてしまうんじゃ。その人も連れていかれたきり帰ってこなかったのじゃが、どうやら争いになり、その人が深霧様を倒してしまったと噂が流れた。この国には他に3体か4体かの竜王様が居て、それぞれが繋がっておる様なんじゃが、深霧様が倒されたという噂が流れた後、隣の郡の役人がこの街まで来て、その深霧様を倒したらしい旅人のことを聞いて回っていたのじゃ」

 

「竜王を倒す者……まさか、あの山のドラゴンたちをアンデッドに変えた者…か?いや…貴族……まさか……いや……そんな……」

 

 

ブレインも何事かをブツブツ呟きだしてしまったので、再びウィードが会話をする。

 

 

「で、店主さん。その深霧の竜王(ディープミスト・ドラゴンロード)てのが居なくなって、統治もあいまいな状態になってるからチップも受取れないって訳なのね。それじゃあ俺がこの町とか、その、ナ・オキデン=ジェソイ郡?の中で許可なく商売とかはしない方がいいってことかな?」

 

「うむ…少なくとも深霧様が統治されていた時はダメじゃったから、しばらくは止めた方がいいじゃろうな」

 

「成程ね。情報ありがとう。ちなみにだけど、その深霧の竜王(ディープミスト・ドラゴンロード)ってのが住んでいた場所って行くことは出来る?」

 

「なっ深霧の竜王(ディープミスト・ドラゴンロード)様の御城へ行くって言うのかいアンタ!いや…生きておられたころは、許可なく立ち入ることは出来なかったし、今はどうなっているのかも分からんから行かんほうがええぞ。方角としてはここから北の孤島にあるのじゃが、切り立った崖の島なので空を飛べる種族でなければ渡れないし…いややっぱりやめた方がええ。他の竜王様がおいでかもしれないしな」

 

 

 

 

一行は各自の部屋で荷をほどいた後、とりあえず食堂で夕食を食べることにした。

ウィード一行としては、少なくともこの付近では商売が出来なそうだということが分かったし、ブレインにとって腕試しが出来るかもしれないと思っていた竜王は既に死んでいる可能性が高いと分かったので、この先どうするかを話し合う必要もあった。

 

 

「やれやれ…まあ路銀に困るということは無いけど、この街とか付近の島では商売できないみたいだから、別の郡とやらへ行って商売が出来そうな街を探すか。ブレインさんもそれでいいかな?俺も竜王が生きていれば直接竜王と交渉をしたかったけど竜王は死んでそうだし…」

 

 

魚介が豊富なスープを口にしながらウィードがそう言うと、一方でブレインは食事には一切口につけず、何やら考え込んでいた。

 

ナーベラルは相変わらず、一口何かを食べるごとに、自身の手で口を覆っている。

 

 

「……色々考えたんだが」

 

 

すっかり冷めてしまったスープを食べるでもなく、ブレインは切り出す。

 

 

「一度、その死んでしまったかもしれない竜王の城とやらに行くことは出来ないだろうか」

 

「ブレインさん、しかし店主が言うには城の主が居ないから俺は商売ができない、あなたは戦う可能性がある相手も居ない…行ってどうするんだ?」

 

「ああ、なんつーか……これは戦士のカンとしか言いようがないんだが、あの守護鬼(スプリガン)のおやっさんが言ってたみたいに、他の竜王が居る可能性もあるし、それに、申し訳ないが具体的には説明できないんだが、その、竜王を倒した者ってのが、もしかしたら知っている人かもしれん。それを確かめるためにも一度行った方がいい気がするんだ……いや、確かにダンナにとっては商売にもならんし、危険なだけだな……いや、忘れてくれ」

 

「ふーむ……そうだな……いや商人ってのは、商売するための商品を仕入れるのも仕事だ。そのために古代の遺跡や、“聖域”なんて言われている場所に入って行って、調査することもある。これは、ある意味、そういう調査の一環かもしれないな」

 

「いや…俺が提案していたなんだが、それって火事場泥棒じゃねーのか…?」

 

「それは時と場合に寄るでしょ…さっきの店主の表情を見て思ったんだけど、例の竜王ってのは、どうやらただの守り神じゃなくて、なんと言うか住人を力で支配している存在かもしれないって感じたね。竜王が居なくなったことでホッとしている、そんな表情だった。自由な商売を許さない、それって要は為政者が利益を独占しているってことに感じるな。それに商人としては、そういった自由な商売や流通が制限されているってのはどうも気に食わないからね」

 

「はは…ダンナ、さすがは一流の商人だな……だが、それじゃあその孤島ってのにはどうやって上陸する?あの守護鬼(スプリガン)の言いぶりだと、空飛べる種族もいるみたいだが、状況からしても簡単に力を貸してくれるとは思えないぞ」

 

「フフフ…そこは、ウィード印の商品の出番でしょ。まあアレだな。浮遊板(フローティング・ボード)て魔法があるでしょ。あれの巻物を使おうと思う。飛行(フライ)で呼び出した浮遊板を引っ張れば、ちょっとの間飛べるでしょ」

 

「あー、なるほど……いや、確か俺の記憶では浮遊板(フローティング・ボード)の巻物は重量制限があったような。ていうか飛行(フライ)の巻物とか聞いたことねぇし、そもそも俺は魔法の才能は無いぞ。ダンナは巻物使えるのか?」

 

「ああ、そこは大丈夫。うちの従業員は魔法は使えないけど世界との接続は出来ているから巻物は使えるんだよ。それにウィード印の巻物はで仕入れ先は極秘の特別製だからね。飛行(フライ)の巻物も入手してあるし、浮遊板(フローティング・ボード)もブレインさんの体重が100キロ超えてなければいける」

 

「おいマジかよ…どういう原理か分からんが、流石だな。じゃあ明日はその居城がある島の情報集めって感じか」

 

「ああ、そんな感じでー」

 

 

 

翌日、調査により深霧の竜王(ディープミスト・ドラゴンロード)の城がある島の情報は簡単に入手することが出来た。

最寄りの島までは船が出ていて簡単に移動することが出来たが、やはりそこから先は定期船は無く、また島も、聞いていた通り、断崖絶壁の高度が有る島だった。

 

3名は人目につかない夜まで待つと、こっそりと宿を抜け出し、居城の島の見える海岸まで来る。

 

実際のところ、その島に渡る最も簡単な手段は、ナーベラルが飛行(フライ)を使用して、ブレインと二式を持ち上げて移動するものだった。

もっと言えば、二式は本性の状態になれば、忍術で滑空してその島まで行くことは難しくない。

 

だが、それらの方法はブレインに対して開示している情報ではありえないので、今回は消耗品である浮遊板(フローティング・ボード)の巻物を使用することにしたのだ。

 

ただしその魔法は、ブレインが言ったように重量制限があり、本来は1つで50㎏までしか運ぶことが出来ないし、その出現距離もたかが知れている。

 

しかしその制限———アイテムの数値的制約を倍まで伸ばすことが出来るという手段が、ナーベラルには存在した。

 

それは二式炎雷が、サービス終了前の1年の間で見つけたダンジョンの最奥のボスを最速で倒すことで手に入ったワールドアイテム。

 

ナーベラルの両手に嵌められた、炎のようなマークが記された手袋が輝く。

 

ワールドアイテム【宝蓮灯】が発動し、その装備をした者が使用したアイテムの効果はダメージ量関連を除く数値が倍に増加する。

 

 

「それでは…飛行(フライ)、そして浮遊板(フローティング・ボード)×2」

 

ナーベラルが巻物を3つ使用する。一時的に飛行できるようになったナーベラルに引っ張られる形で、2つの輝く板に乗ったブレインとウィードは夜の海を渡るのだった。

 

 




約200年前から存在する極大の運命操作魔法は、5章第15話の通り、大陸のほぼ全てを覆っていますが、厳密には大陸の外にあるこの列島諸国は覆えていません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。