オーバーロード <物語の分岐が確認されました> 作:ヒツジ2号
なんかまた風邪っぽいです…
皆さまも気を付けてください
現在、『漆黒の剣』と『朱の雫』はフェオ・ライゾの旧市街でキャンプを張っている。
『朱の雫』のメンバーが『漆黒の剣』に
今起きているのは『朱の雫』の2名、そして『漆黒の剣』側はパルメーラのみだ。
『朱の雫』の方は単にローテーションで見張りをしているが、『漆黒の剣』側は他の4名は精神的疲労で起きない方がいいと判断されたためである。
4名は現在、絶賛、悪夢上映会に参加中である。
『朱の雫』の『アズス』と名乗った男がパルメーラに話しかける。
「パルメーラ殿、さっきも言ったがこのクアゴアの死体の山、どうにかして処理をした方がいい。このまま放っておくとアンデット化する可能性が高い」
パルメーラは『そう言う事もあるのか、この世界は…』と驚いた。
精神の回復後『漆黒の剣』メンバーが『朱の雫』を見て大変恐縮していて理由を聞いたら高名なアダマンタイト級のチームだと教えてくれた。
現地の最高(笑)戦力がそう言うならそうなんだろうな、と納得し、隠れている悪魔たちに見つからないように少しずつ処理するように命令済みだ。
なので、遠い位置にいるクアゴアの死体は順次消えて行っているのだが。
「そうだな、では俺は多少魔法が使えるので死体を焼却してまわる」
「な…貴殿は剣士に見えるが魔法を使えるのか?!」
もう一人の男、『ルイセンベルグ』と名乗った男が驚愕の表情で聞いてきた。
パルメーラは少しニヤッとして答える。
「ああ…俺は『暗黒剣士』でな。この職業を収めるものは多少だが魔法も使える」
「なんという…いや先ほど『漆黒の剣』は
「確かに。俺はその辺の感知は疎いんだが、この数の亜人をたった5人で屠ったとなるととんでもないと言わざるを得んな」
アズスも賛同しながら、パルメーラを見遣る。
その漆黒の装い、漆黒の鞘に収まったロングソード、そして漆黒の髪と瞳。
先ほどの他の4名も黒を基調とした装備を纏っていたことから考えると、チーム名の由来はこれか、と一人納得する。
「ところでだ…パルメーラ殿、うちのチームのレンジャーが目撃したという、山を爆発して出てきたという話だが…これについてはどういうことか教えてもらえるかい?」
「あー…」
パルメーラはどう説明したものかと考える。
基本的に『幾億の刃』のことを初対面の者に詳細に説明するわけにはいかないし、
パルメーラが悩んでいると、アズスは『ふっ』と口角を上げて笑った。
「いや…すまん。そんなこといきなり会った相手に言えるもんでもないわな。ただ、このことは俺のチームから外に漏らすことはしないから、これだけは教えてくれ。アレはお前さんがやった、と言うことは合ってるかい?」
パルメーラは、アズスの砕けた口調と、深く詮索しないという度量の大きさにちょっと感心した。
「いや、すまないな…あんたの言う通りこのことは秘密にしてもらえると助かる。そうだ、確かに俺がやった。この剣の特性を使ってな」
アズスは一瞬、パルメーラの剣に目を遣ると、すぐにニヤッと笑い、『そうか』とだけ答えた。
「じゃあ俺は、死体の処理をしてくる」
そう言って、パルメーラは暗闇に消えて行った。
「アズス。思ったんだが、
「ああ、正確には
二人が話をしていると、パルメーラが消えた闇の方から赤色の光がほとばしった。
何事だ?と思った二人がそちらへ向かうと、恐ろしく険しい顔をしたパルメーラが歩いてきた。
「死体はおおむね片づけた…俺も疲れたから寝る」
そう言ってムスッとした怒り顔のままキャンプへ消えて行った。
余りの迫力にアズスもルイセンベルグも何も言えずに頷くしかなかったが、赤い光が差した方に確認に行くと、見渡す限りの亜人の死体がまさに燃え尽き、その炎も消えつつある状態だった。
二人は言葉を失い、『漆黒の剣』を必ず作戦に参加させなければと心を一つにするのだった。
キャンプに戻ったパルメーラは怒り顔のまま、ドカッと横になり大きくため息をついて眠りについた。
アズスたちから遠ざかったところで、ブルムラシュー侯爵とやらにくっつけていた
昨日の今日で、ブチ切れるのは充分な報告を聞いて、ウルベルトの怒りは頂点に達していた。
山羊の悪魔になり、おおむね用事が終わったこの地にいる悪魔と、新たに召喚した悪魔、そして、せっせと作っている新しい
そしてパルメーラに戻ると、可能な限り怒りを隠しながらテントに入ったのである。
***
翌日。
一晩明けてそれなりに回復した『漆黒の剣』は『朱の雫』の面々にお礼を言っていた。
その中で、『朱の雫』のリーダー、アズス・アインドラが真面目な顔をして、ペテルに申し出た。
「ペテル殿、実は我々はこのアゼルリシア山脈で活発化しているモンスターどうしの覇権争いをどうにかするためにここにいるのだ。ただ、我々だけでは対処が難しいため、もう一つのアダマンタイトチーム『蒼の薔薇』と共に作戦に当たる予定だ。現在はその『蒼の薔薇』の到着を待っている状況でおそらく到着まではあと数日かかる予定なのだが」
「はい、存じています。『漆黒の剣』もそれに関連して冒険者組合から出ていた依頼を受けるためリ・ウロヴァールまで来ました」
「そうか…では話が早いな。単刀直入に言おう。『漆黒の剣』のメンバーは我々と共にモンスター…具体的に言うと
「なっ…俺たちが…」
突然のことに言葉を失うペテルだった。
振り返ると他のメンバーも同じ表情だ…パルメーラを除いて。
そしてパルメーラは小さく手招きしている…
「えっと…『朱の雫』の皆様にそのように言っていただいてとても光栄です…ただ、一度チームで話させていただけますか?」
「もちろんだとも」
そう言う訳で、『漆黒の剣』の緊急チーム会議が始まった。
まずペテルが喋る。
「そう言う訳で、聞いてたと思うが『朱の雫』のアズス様から
「いや、ドラゴンにジャイアントって…普通にオレらじゃ足手まといだろ?」
「で、あるな。私もルクルットに同意見である」
「そもそも
ここでパルメーラが手を上げた。
一同、ちょっと嫌な予感がした。
「巨人のほうは分からんが、ドラゴンの難度は分かるぜ。確認できたのは全部で20体。難度70くらいから105くらいのが16体、難度120くらいのが3体、王っぽい1体が140くらいだった」
一同呆れ顔だが、一応ニニャが聞いた。
「…なんでそんな正確に知ってるんですか?」
「いや、昨日ここに下見に来た時に確認したからだが」
「「「……」」」
「それと、皆でドラゴンを倒せるかって話だが、弱い方の16体はいけるぞ。こいつらはそれぞれ別の場所に一人でいるから、それぞれ一体ずつ狙えばまず勝てるだろう。問題は残りの4体だが、こいつらは一緒にいて、ちょっと作戦を立てる必要がある」
「いや、なに勝手に僕たちが戦う方向でシミュレーションしてるんですか?!弱い方って言っても難度105ですよね?!」
「いや、だって皆の難度もそれくらいにはなってるぞ?」
「……は?」
そこからパルメーラは現在の『漆黒の剣』の推定難度を説明しだした。
まず、ほぼ正確にわかる戦士職のペテルとルクルットだが、ペテルが108、ルクルットが96。同じ感じで成長しているならばダインも90以上には到達しているだろうとのこと。
付け加えてダインは第4位階は確実に使えるし、“ショクギョウセンタク”?によっては第5位階使えてもおかしくないから試してみろとのこと。
全員が目を丸くして口をパクパクしていた。
そして最後にパルメーラはニニャに向き直り真剣な眼差しで見つめる。
「え…何ですか…なんで僕だけそんなタメるんですか…何ですかその眼差しは…」
一拍おいてパルメーラは少し言いづらそうに話し出す。
「その…俺も自身の力はある程度隠しているし、チームメンバーに対しても切り札的なものは言えないのも分かる…だからその…今ここで言っていいか分からないんだが……ニニャお前、なんか魔法に関して隠してる力とかないか?」
そこまで言われてニニャはハッとする。
そう言えばこの人との出会いと、その後のドタバタがアレ過ぎて、僕の
パルメーラさんはきっとそのことを言っている。
そう気づいたニニャは〈魔法適性〉について初めてパルメーラに説明した。
「あー…その、そのことは言っても良かったのか?」
「も…もちろんです!他のメンバーは知っていますし、パルメーラさんには言うのを忘れていました!」
「そ、そうか。ならよかった。そして納得した。おそらくニニャはその
ニニャは一瞬“?”を浮かべたが、意を決した表情になり、天井に向かって魔法を放つ。
天に向けて7本の矢が飛んで行った。
「そうだな…正確には分からないが、ニニャの難度は最低でも129だ」
ウルベルト式パワーレベリングの結果、大陸に5人目の逸脱者が誕生した。
一人当たり一万匹弱のレベリングで、漆黒の剣はほぼ成長上限に達しました。