オーバーロード <物語の分岐が確認されました>   作:ヒツジ2号

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ちょっと短いですがキリが良かったので


第4章 第15話 -ギルマスの気持ち-

 

 

バザーとショータローは、一旦山羊人(バフォルク)の集落まで戻ってきた。

既に10日以上帰っていなかったことと、ナスレネを含む魔現人(マーギロス)の一部が、今後のことを話し合うために集落まで来るという話になっていたからだ。

 

さらに、実際に集落に戻ってみると、石喰猿(ストーン・イーター)達も20名ほど到着しており、彼らは今後バザーに従うという事を正式に表明するために訪れた一団だった。

 

バザーは王として政務を行う必要が出たため、さすがにしばらくは集落を離れないという決断をした。

 

 

「ショータロー、しばらく俺はこの2種族と今後のことについて話し合いをする必要がある。これら以外の種族の元へ訪問するのはしばらく後にしようと思う」

 

「じゃーオレが一人でこっそり行っていい?」

 

「ダメに決まっているだろうが」

 

「なんだよケチ」

 

「いやだって貴様、透明化で忍び込んでアイテムとか盗んだうえで、万が一透明化見破られでもしたら大暴れするだろ」

 

「…」

 

「いや図星か貴様!…まあとにかく、今後友好に接することが出来るかもしれん部族にはそういう接触をされると困るのだ」

 

「しょーがねーな。でも次の部族のとこ行くときは、お前一人で勝手に行くなよ」

 

「分かった分かった。それは約束しよう」

 

「じゃーオレは一回ドゥエルの様子見て、その後はしばらく聖王国で遊んでるわ」

 

「ん?人間の国に戻るのか?」

 

「うん、なんか友達から何回か呼び掛け有ったんだけど、ちょうどナスレネのとこ侵入してる時だったんで返事できてないんだ」

 

「呼び掛け…貴様の人間の友人もそのようなことが出来るのか…いや、待て。戻る前に頼みたいことがあるのだが良いか?」

 

「ん?なんだ?」

 

「ドゥエルのところへ行くのだろう?あちらの人手が足りているならば、貴様が鉱山で作った俺にそっくりのゴーレムを何体か貸してくれないか?」

 

「なんに使うんだ?」

 

「簡単に言うと、護衛だ。これからこの山羊人(バフォルク)の集落には、様々な他種族の者が滞在するようになるかもしれん。そのようなことは無いと信じたい気持ちはあるが、例えば魔現人(マーギロス)が集団で魔法攻撃をしてきた場合、山羊人(バフォルク)の中には身を守る手段が無い者もいる。また、俺たちが攻撃をされないとしても、他種族間で争いが発生するのはまずい。それを止められるだけの力がある者が必要だと考えたのだ」

 

「ふーん…確かにそうだな。お前、やっぱギルマス感あるな。おーけー、じゃあドゥエルのとこ行って、あっちの手が足りてたら回収してくるよ。ちょっと待ってて」

 

 

そう言って、ショータローは瞬時に姿を消した。

 

 

 

 

***

 

 

ショータローがドゥエルの居た鉱山の入り口まで転移すると、入り口に20体ほどのフェイク・バザーズと、フェイク・ウルさんが整列していた。

 

 

「さテ、フェイク・バザー31から50ヨ。次なる坑道の採掘を始めようではないカ!より深部に繋がる道を作ることデ、より貴重な鉱石を見つけることが出来るであろウ!」

 

「おー、フェイク・ウルさん、頑張ってんなー」

 

「あア、友ヨ、戻ったカ。我は既に新たな坑道を2つ掘り当てたゾ。資源を集メ、世界征服の礎にしようではないカ!」

 

「いーじゃん、いーじゃん!ドゥエルは中に居るの?」

 

「あア、あの闇小人(ダークドワーフ)なラ、フェイク・ネイアと共に金属インゴット作成をしていル」

 

「おっけー。じゃあフェイク・ウルさんも一緒にいこーぜ」

 

「了解しタ。友ヨ。フェイク・バザー31から50よ!いったん休憩ダ!」

 

「畏まりましタ。フェイク・ウル様」×20

 

 

最初の坑道に作られた横道に入っていくと、そこは溶岩の熱を利用した金属精製場があった。

そこには声を上げるドゥエルと黙々と作業をするフェイク・ネイアがいた。

 

 

「なんという飲み込みの早さじゃ…!もう圧延過程まで進んだのか…お嬢ちゃん!儂と共に最高のインゴット作成を目指さんか!!」

 

「おじいちゃン、それはショータローに聞いテ」

 

「そう言わずに…ってアンタ!!戻ったのか?!いや、この嬢ちゃん、とんでもない才能じゃ!!どうじゃ、このままこの子はここで働くようアンタから説得してもらえんか?!!」

 

「いや何言ってんの?フェイク・ネイアは器用だけど、これ専用じゃないぞ。まあそのうち専用のゴーレム創ってもいいけどさ」

 

「こ…この嬢ちゃん以上の才能の者がおるのか?!!」

 

「話進まねー…ああ、じゃあそのうち専用のゴーレム創るからそしたら出来上がったインゴット多めに譲ってくれよな」

 

「わ、わかった!任せとけ!!」

 

「あ、そうだ。今日来たのはさ、フェイク・バザーを何体か連れてってもいいかって聞きに来たんだけど、アイツら余ってない?」

 

「はっ…そういえばそうじゃった。それは儂からも頼みたかったんじゃ…その、そっちの悪魔の者がバザーのゴーレムを何体か連れて、どんどん坑道を増やしとるんじゃ。鉱石の採掘量は増えるんじゃが、正直精製が追いつかん。精製前の鉱石がどんどん増えていくだけじゃから、一旦坑道を掘るのはやめて欲しかったのじゃが…」

 

「え、そうなのか。じゃあフェイク・ウルさんにそう言えばよかったのに」

 

闇小人(ダークドワーフ)ヨ、我の活動は過剰であったカ?」

 

「ひっ…いやだって…その者、怖いんじゃ…」

 

「いや、お前を攻撃する命令はしてないから大丈夫だっての。じゃあフェイク・ウルさんが連れてた20体は持ってっていい?」

 

「ああ構わん。というか残りの30体でも採掘量は充分過剰なんじゃが…」

 

「じゃあ、30体のうち10体は新しい精製場作らせるか?」

 

「そっ…そんなことも可能なのか?!」

 

「たぶん行けるだろ。フェイク・ウルさん、外に居る20体はオレが使うから、残ってる30体のうち、10体に精製場作らせるように指示して。そんでフェイクウルさんは、時間が空いたらこの山の地質調査してレア金属がありそうなところ探しといて」

 

「分かっタ」

 

「じゃあ、フェイク・ネイアも引き続きよろしくねー。あ、ドゥエル、ちなみにもう出来てるインゴット貰ってもいい?えっと、人間の国の通貨をいくつか持ってるんだけど」

 

「何、人間の通貨じゃと?それは珍しいモンじゃな。よかろう、交換しようかの」

 

 

ショータローはかなりの量の金属インゴットとフェイク・バザーを20体連れ、また山羊人(バフォルク)の集落に戻っていった。

 

 

 

***

 

 

 

「バザー」

 

「ん、戻ったか…って何人連れてきたんだ!」

 

「20体。あっちは30体も居れば十分ぽかったから連れてきたぞ。こいつらの命令書き換えるからちょっと待って」

 

「20…俺が20人という事か…とんでもないな…」

 

 

「よし、じゃあこいつ等には、お前の命令を聞くようにすることと、喧嘩になったら殺さない力で止めに入るように書き込んだから、あとはよろしくな」

 

「あ、ああ。なんか自分に命令する様で気持ちが悪いな」

 

「お前も背中に数字書いて混ざれば気づかれないぞ。悪戯するとき、やってみ」

 

「アホか!王が悪戯などせんわ!!」

 

「なんだよ、ぜってー楽しいのに。まあいいや。それじゃオレは聖王国戻るけど、何日くらいしたら来ればいい?」

 

「そうだな…新たな者の生活の安定などを考えると…少なくとも100日程は必要だ。何度か集落を行き来することにもなるだろうしな」

 

「結構かかるんだな。そんじゃ100日くらいしたらまた一旦来るわ。もしなんか緊急連絡あったら、フェイク・バザー50に命令してくれ。そいつだけ伝言(メッセージ)使える特別製にしたから」

 

「貴様、本当に何でもありだな…まあ兎に角分かった。それでは100日後に」

 

 

ショータローはバイバイと手を振って転移していった。

 

 

「ふん…過保護な奴め」

 

バザーは、相変わらずハチャメチャな行動をする、本当に人間の子供かもわからない新しい友人に心地よさを感じていた。

王として君臨するというのは孤独なこと。

王との関係など、“恭順”か“敵対”しかない。

勿論、妻と子供は居るし、その点は満たされていたのだが、純粋な友人と言った関係の者など、遥か昔にしか居なかったのだから。

 

 

バザーは、少々柄にもないことを考えてしまったと少し笑った。

ちょうどその時、外から部下が呼ぶ声がする。

 

「バ、バザー様!」

 

「どうした、今行く」

 

 

外に出ると、側近を含め20名ほどの戦士職の者たちが並んでいる。

皆、一様に顔色が悪く見える。

 

バザーは、これは他種族が山羊人(バフォルク)の集落に増えた事で心配をかけているのだな、と感じた。

 

 

「皆の者よ。これから正式に説明をするが、魔現人(マーギロス)石喰猿(ストーン・イーター)の者たちとは同盟を結んだ。全て俺の部下となる。だから心配しなくともよい」

 

バザーの言葉に、部下たちは目を見開き、改めて我らの王の偉大さに敬服する。

だが、今回部下たちがバザーに声をかけたのは、そのことではない。

 

彼らはバザーに断罪されるために覚悟を決めて訪れたのだ。

 

 

「偉大なる我らの王、バザー様。貴方様のご手腕、誠に敬服の限りでございます。ですが、本日我らがバザー様にお声掛けしたのは謝罪のため…我らいかなる罰であっても受ける覚悟であります!」

 

「謝罪…?何かあったのか。構わん、まずは何があったか説明するが良い」

 

「はっ!…我ら、バザー様から下賜された武具を………」

 

 

 

 

 

「あんの野郎!!!」

 

バザーは、新たな友人に大層ブチ切れたが、自身が持ち出した契約でこの件は無効になっていること、また、結果的にアベリオン丘陵統一に向かって歩き出すことが出来ていることを考え、フェイク・バザー50をさっそく使う事はしなかった。

 

ただ、せめてこのバザーそっくりゴーレム群は、統一後も自由に使わせてもらわないと割に合わんと考えたのだった。

 

 




★と関わった常識枠の人は結局こうなると思いました。

次回は一旦聖王国に戻って悪戯などをします。
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