オーバーロード <物語の分岐が確認されました>   作:ヒツジ2号

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やっとシリアスの辺りまで来ました。
4章だけが長くならない様に頑張って調節していきます。


第4章 第20話 -七色鱗との交戦-

 

 

ロケシュは自身の部族の者と、少数のスラーシュおよび水精霊大鬼(ヴァ・ウン)の部下を連れて、やや北部の城壁要塞をギリギリ目視できる位置に陣取っていた。

 

事の始まりは、偵察に出ていた部下が魔現人(マーギロス)の部族が山羊人(バフォルク)に下ったという情報を持ち帰ったことによる。

調べてみたところ、魔現人(マーギロス)の女王ナスレネはバザーと手を組み、立場としてはバザーが上位に居る様であった。

さらに北部に棲む石喰猿(ストーン・イーター)もバザーに下っており、こちらに至っては王のハリシャはバザーによって殺されている模様であるという事も突き止めた。

 

そして、この情報を得た現在、バザーは3部族を治め部隊や住処を再編成するために、これらの住処を行き来している様子。

 

長らく硬直状態にあったアベリオン丘陵の十傑のバランスが崩れつつあることを、ロケシュはいち早く察知した。

 

ロケシュは、仮に十傑のうちの誰かが統一王となるならば、その資質があるのは自身の他は獣身四足獣(ゾーオスティア)のヴァージュか、山羊人(バフォルク)のバザーであろうと考えていた。

そしてこれらのうち、バザーが最初に動いたという事だ。

 

ロケシュは、この局面で動かぬは無能と判断し、自身の治める沼地周辺部族の統一を速やかに開始。

戦力としての働きが期待できそうで且つ明確な部族王が存在しない、スラーシュと水精霊大鬼(ヴァ・ウン)を速やかに傘下に収める。

 

次に手を広げる部族として悩んだが、すでに丘陵内の力のある部族がバザーの傘下に入り始めているという事実と、自身および傘下の部族にとって有利となる長雨の季節が隣接の人間の国に迫っていることで、人間の国への侵攻を決断。

幾つかの人間の国の都市と可能であればマーマン族の領土を侵攻することとした。

 

これは、ロケシュにはかねてから頭の中に作戦があったのだが、単純に人手が不足していることと、バザーをはじめとした他の有能な十傑に背後を取られる可能性を考慮して実行していなかったのだが、今回バザーが動いたことと配下が増えたことで実行可能になった。

 

 

ロケシュはまず、スラーシュと水精霊大鬼(ヴァ・ウン)の8割を人間の都市に最も近い城壁の砦に攻め入らせた。

夜間で雨が強いタイミングに、各種族の特性を生かした隠密で作戦の成功率を上げさせたが、これは言うなれば囮部隊である。

とはいえ数と質で有利であるこの部隊はある程度は侵略に成功するだろうし、人間どもはこの侵攻に対抗するため、多くの犠牲を払うだろう。

 

しかし本命は、この侵攻で人間どもが、数をこの砦に集めるだろうこと。

 

ロケシュの目論見通り、最も人間の都市に近い砦を責められた人間どもは、この砦に戦力を集中しだした。

攻め始めて6時間ほどが経った頃、現在ロケシュが監視している、2つ北の砦は明らかに人員が手薄になっていく。

 

このタイミングで、ロケシュは動いた。

残り2割のスラーシュと水精霊大鬼(ヴァ・ウン)の隠密能力により、その砦は速やかに門を開けられ、ロケシュ率いる蛇王(ナーガラージャ)の部族は人間国家の領域に迅速に足を踏み入れる。

 

砦に居た人間どもの肉は褒美としてスラーシュと水精霊大鬼(ヴァ・ウン)に与える。

ロケシュの目的はそのような小さなものではなく、まずは一都市の制圧なのだから。

 

蛇王(ナーガラージャ)の部族は国境を越えて西に進み、やがて小都市ロイツへと到達する。

彼らは抜け目なく、都市近くの森で夜を待つ。

そして街から明かりが消え、愚かな人間どもが寝静まったころ、蹂躙は開始された。

 

小都市とは言えロイツの人口は2万程である。

だがこの都市には、法国から派遣された者は駐在しておらず、また、カリンシャの様に常に多数の職業軍人が居る街でもなかった。

 

そのため蛇王(ナーガラージャ)達は速やかに門番を含む玄関口の守りを突破し、無防備な一般国民を貪っていった。

 

彼らが侵入して2時間程してから、やっと衛士が異常を察知。

偶々、この街に滞在していた王族に報告が入り、緊急的な厳戒令が敷かれることとなる。

 

とはいえ、すでに蛇王(ナーガラージャ)達は一般国民民家に押し入り殺戮の限りを尽くしていて、滞在していた王族は、王族専用の衛士に守られた屋敷内に居たため、速やかな都市機能の奪還は叶わない。

 

王族の命令により衛士のうち選りすぐりの者が、少しずつ蛇王(ナーガラージャ)を打倒するが、種族として高い防御力を誇る蛇王(ナーガラージャ)にはなかなか決定打が加えられない状態であった。

蛇王(ナーガラージャ)の背後では一般国民が殺され食われているという状態を考えると、一刻も早く蛇王(ナーガラージャ)を打倒する必要があるのだが、特に蛇王(ナーガラージャ)の王たるロケシュは比類なき力を持っていて、この都市にいる人間には太刀打ちできる者は居なかった。

 

 

 

「カスポンド様!あの蛇王(ナーガラージャ)には我々の一切の攻撃が届いておりません!!おそらくは噂となっている蛇王(ナーガラージャ)の王かと思われます!!」

 

「な…何という事だ…こうしている間にも無辜の国民たちが蹂躙されているというのに…聖騎士団の応援は?!」

 

「すでに早馬を出しましたが、どんなに早くとも明日の昼過ぎになると思われます!!」

 

「くっ…何という事だ…神よ、我々に救いは無いのか…」

 

 

人間たちの様子を見て、ロケシュはその残酷な笑みを一層深め、その司令官らしき人間に渇きの三叉槍(トライデント・オブ・デハイドレーション)を構えた。

 

 

 

「カスポンド様!!」

 

とっさにカスポンドをかばうように前に出た衛士に、その三叉槍から放たれた力の奔流が届く。

すると衛士はみるみるうちに水分を吸われ、ミイラの様になって崩れ落ちる。

三叉槍の力の奔流は行先を失い、そのまま逸れて、戦場となっている広場に飾られた4大神像に当たった。

 

その瞬間、4大神のうち、火の神と伝えられる人型像の目が赤く光り、力を放ったロケシュめがけて飛び出して行く。

 

 

『神と伝えられる我に対する狼藉、決して許されるものではない!これは神罰である!!』

 

とっさのことで、ロケシュもカスポンドも目を丸くして呆然としたが、石像は炎のような赤いオーラを纏いながら、ロケシュをめがけて突進する。

しかしその威力は、ロケシュの魔法鎧と硬い鱗の防御を突破できるほどの力を持っていなかった。

 

『火の神ゴーレム』はマナー違反や攻撃をしてきた者に対し、炎のように見える赤いオーラを纏いながら非殺傷の突進をする仕様となっており、4大神シリーズでは、その特性上、被害者に最も怪我を負わせてしまう可能性が高いため、かなり手加減して作られたゴーレムである。

赤いオーラは“そう見えるだけ”で、実際に火属性の攻撃にはなっていない。

 

強力な火属性の攻撃はロケシュにとって弱点であるため、一瞬怯んだが、実際はそれが見掛け倒しであることが分かると、冷静に渇きの三叉槍(トライデント・オブ・デハイドレーション)を構えて、全力の攻撃を繰り出すと、ゴーレムは砕け散った。

 

 

「…フン、驚かせおって…して、愚かな人間の指揮官よ。お前の手の内はこれでお終いか?であれば、さっさと貴様を倒し、残る人間の悲鳴をじっくりと聞きながら、この街を我が物とさせてもらおうか」

 

「くっ…!」

 

 

ロケシュは、もはや目の前に居る人間の指揮官と思われる者は脆弱で、渇きの三叉槍(トライデント・オブ・デハイドレーション)のスキルを使わずとも簡単に屠れる相手であることを理解した。

 

そして、その者の恐怖を煽るために、槍を構えながらゆっくりと近づいていく。

そして、10メートルほどの距離まで近づいたところで一気に槍を突き出す。

 

「ハッハッハ!!苦痛に藻掻くが良い!!」

 

 

 

カーーーーーン!!!!

 

 

 

ロケシュが想定したよりも近い場所で、渇きの三叉槍(トライデント・オブ・デハイドレーション)に何かが当たった手ごたえがあった。

 

そしてその手ごたえは、心地が良い肉を貫く感覚ではなく、何か巨大な岩山か金属を突いて、弾かれたような感触だった。

 

 

「なっ!!!」

 

 

手に感じる痺れと共に、弾かれた槍の先には、ついさっきまでは居なかった者の姿。

 

子供。

仮面をつけた人間の子供。

 

しかし見た目に反し、その身体は異常に硬く、槍は先ほど子供の顔面付近に当たったが、一切のダメージを与えずに弾かれた。

 

 

 

「なんだ、今のは…どーなってるんだ、この状況は?」

 

 

子供は先ほどの攻撃など居に返さぬ様に呟く。

 

ロケシュは咄嗟に、この子供を先ほどと同じくゴーレムのようなものではないかと考えた。

なぜならば、槍で突いた感触が明らかに生命体のそれではなく、硬さは蛇王(ナーガラージャ)よりも固いと感じたから。

実際は戦士としてのレベル差が20近くあり、物理的なダメージを殆ど与えられていなかったからのだが。

 

 

仮面をつけた子供の顔がゆっくりとロケシュの方を向き、言葉を発する。

 

 

「オレのゴーレムを壊したの、お前か?」

 

 

ロケシュは言いようのない恐怖を覚える。

顔は見えないが、脆弱な人間の子供にしか見えない存在。

だが明らかに異質な硬さと、不気味な気配を持つ者。

その者の意識が、視線が、こちらに向いている。

 

 

「クッ…渇きの三叉槍(トライデント・オブ・デハイドレーション)よ!!」

 

ロケシュは、ともかくも人間の指揮官と思われるものを排除しようとした。

 

無限障壁(インフィニティウォール)

 

仮面の子供が唱えた、おそらく何らかの魔法は、人間の指揮官を光る壁で覆い、渇きの三叉槍(トライデント・オブ・デハイドレーション)の攻撃を無効化した。

 

「人の話聞けよ。お前がやったのか?お前、蛇王(ナーガラージャ―)のロケシュとかいう奴か?何でここに居るんだ?で、どういう状況だ?」

 

 

ここに来てロケシュは、本格的に恐怖を覚える。

有能な指揮官であるロケシュは、作戦を実行するにあたって様々な可能性を考えてから行動を起こす。

しかし、目の前の存在は、想像していたいかなるパターンにもないイレギュラー。

 

その者が見た目通りの人間の子供なのかすら分からず、しかもその者は自分を知っている。

 

渇きの三叉槍(トライデント・オブ・デハイドレーション)を握りしめ、一歩、後退る。

 

 

「助けていただき感謝する!私はカスポンド・ベサーレス。当代の聖王女の兄に当たるものだ!この亜人たちは、ここロイツに攻め入り、多くの国民を殺し、食っている!どうか、亜人を退けるために力を貸していただきたい!!」

 

王族として高い教養と強い意志を持ったカスポンドが、ロケシュより一瞬だけ早く我に返り、おそらくは味方となりうる目の前の存在に声をかけた。

 

ロケシュは「しまった」と思った。

何故かは分からないが、目の前の存在に、これ以上何かを知られては不味いと本能的に感じたのだ。

 

 

「…殺して…食っている?」

 

 

ロケシュは後退し、そのままその子供に背を向けて走り出した。

が、次の瞬間、背中に大きな衝撃が走り、自身が押し倒されていることに気づく。

 

「ガハッ!!!」

 

遅れてくる鋭い痛みと鈍い痛み。

背骨が何本か折れているかもしれない。

自身の背中に乗っている、その存在は言葉を発する。

 

「さっきの、カスポンドとかいう奴が言っていること、本当か?」

 

「グッ…貴様…!!」

 

ブチブチブチィィ!!

 

 

槍を持っている右腕が引きちぎられた。

 

「グアアアァァァァアアア!!!!」

 

「答えろよ」

 

「ガァアアアア!!…弱く愚かな人間など…強き我らに蹂躙される存在にすぎぬ!!!」

 

 

ベリベリベリ!!!

 

身体から魔法の鎧がはがされていく。

そしてその後は体から鱗が乱暴に剝がされていく。

ロケシュは耐えがたき苦痛に叫びとも悲鳴ともつかない声を上げ、それでも振りほどくことも抵抗することもできない状態の中で、その子供が自分ではない誰かと話している声を聴いた。

 

 

「……バザー、聞こえるか?バザー……ああ、オレだ。ロケシュとかいう奴が人間の街に攻め込んで人間を殺しているのを見つけた。こいつ、殺していいか?」

 

 

ロケシュは消え入りそうな意識の中、背中の上に座る悪魔は、どうやら豪王と繋がっている存在だったと理解し、盤面を読み間違えたことを後悔した。

 

そして、そのわずか後、首筋を掴まれた感触の後に、乱暴に首が引き千切られることで、十傑の一人【七色鱗】はその命を終わらせた。

 

 

 

カスポンドはいつの間にか腰を抜かしてその場に座り込んでいた。

藁にも縋る思いで助けを求めた子供は、おそらく十傑の一角である蛇王(ナーガラージャ)を圧倒し、その腕を引き千切り、装備を剥ぎ取り、鱗を毟って、最後は首を引き千切ることでその生命を終わらせた。

 

やっとのことで立ち上がり、生き残っている衛士と共に確認したその蛇王(ナーガラージャ)の亡骸は、全ての装備を剥がれただけでなく、全身の鱗を隈なく剝がれて、薄桃色の肉に幾つもの血の滲みを見せている無残な死体となっている。

 

その子供は殺戮を終えると立ち上がり、『この都市に配置したゴーレムへ、命令一時変更。パトロールモードに移行。人間種を守り、それ以外の種族を攻撃しろ。殺傷許可』と呟いた。

 

瞬間、広場の4大神像の目が光り、その台座から離れて何処かへと走り去っていく。

 

子供はその後、凄まじいスピードで街中を走り回り、おそらくは街に侵入した蛇王(ナーガラージャ)を殺戮していったと思われる。

 

余りの出来事に硬直していた衛士たちも、速やかに意識を取り戻し、街中の蛇王(ナーガラージャ)から国民を守るために行動を開始したが、衛士が見つけたのは、すでに喰われて息絶えた国民の死体と、とてつもない強力な力で攻撃された様な形跡がある、絶命した蛇王(ナーガラージャ)の死体、そしてなぜか服はボロボロながらも無傷の国民たちだった。

 

無傷の国民たちは皆、仮面をつけた子供に回復魔法をかけられたと述べた。

よくよく確認してみると、食い散らかされ、ほとんど瀕死だった者も、『大治癒(ヒール)』という魔法で完全に回復されていたという事が後日分かった。

 

4大神の像をはじめ、街中の動き出した像は、翌日は元の位置に戻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、ネイアが眠っていると胸元のネックレスから声が聞こえた。

 

『……ネイア』

 

「ん…うーん…」

 

『ネイア、起きてるか?』

 

「ん……ショータローくん?」

 

『ああ。ネイア、今家か?』

 

「え…どうしたの?こんな夜中に…」

 

『今家か?』

 

「そうだけど…?」

 

『ホバンスは特に異常無いか?』

 

「え?異常?えっと…」

 

ネイアは窓を開けて外の様子を見た。

ホバンスの一等地にあるバラハ家は、中央通りに面していて、永続光(コンティニュアル・ライト)で等間隔に照らされている。

 

街路には見張りの衛士が時折歩いている。

 

 

「えっと、外見たけど、いつもと変わらないよ。どうかしたの?」

 

『そうか…ならいい。なんかあったらロザリオで連絡しろよ』

 

「え?うん…ごめん、眠いからもう寝るね」

 

『ああ、夜中に悪かった』

 

 

 

「ショータローくんから伝言(メッセージ)が来たの?」

 

ネイア母が問いかける。

 

「うん。なんかホバンスは異常無いかって。何か寝ぼけてるのかも」

 

「そう…それならいいのだけど」

 

ネイアは半分寝ぼけていたのもあって、そのまま眠りにつく。

ショータローとの会話は夢だったのかもしれない。

そう考えながら、再び夢の世界へと落ちていく。

 

ネイアの母は妙な予感がして、ネイアが再び完全に眠ると、念のため護身用の武器を持ち街の様子を確認した。

だが、やはりホバンスはいつも通りだ。

 

ネイアの母は、単身赴任中の夫の無事を祈ると、自身も再びベッドに戻ったのだった。

 

 

 

 

 

 

ショータローはロザリオを握りしめていた左手をネックレスから離した。

 

噎せ返る様な蛇の血煙の中、右手はたった今握りつぶした蛇王(ナーガラージャ)の戦士の血で汚れていた。

この戦士は多少はレベルが高かったようだ。

鱗は何かの素材に使えそうなので既に概ね剥がしてある。

 

目の前には食い散らかされた人間の遺体。

この男は、たしか前にネイアとこの都市に来た時に羊の串焼きを売っていた者だ。

家の前には小さな売り台があったので、人見知りするショータローでも覚えていた。

 

この人間の体では、第6位階の大治癒(ヒール)は使えても、第9位階の真なる蘇生(トゥルー・リザレクション)を使用できない。

この世界の普通の人間はレベルが低すぎて、真なる蘇生(トゥルー・リザレクション)でなければ灰になってしまいそうな気配がする。

 

それをするには、つまり天使の本性に戻る必要がある。

 

また、あまりにも傷ついた人間が多すぎて、まだ息のある人間に回復魔法をかけて回るのがMP的に限界な気がする。

だから、すでに死んだ者は見捨て、息のあるものだけを救っている。

 

ショータローは悩む。

 

そもそもこの行為は正しいのかと。

 

子供の人間の感性として、人間が他種族に食い殺されているという事実に嫌悪感と怒りが湧いた。

そしてそれは、ネイアをはじめとした、親しくなった者の顔が浮かんだからであった。

 

だが今、蛇王(ナーガラージャ)を殺して回っている行為は、そもそも正しいのか。

 

友達になった(とショータローは思っている)バザーにとって、この蛇王(ナーガラージャ)の存在は目障りだったようだ。

だから友達が、アベリオン丘陵を統一するために、この行為は正しいかもしれない。

 

だけどバザーはそもそも亜人種だ。

バザーが言うには彼らは人の肉は好んでは食わないようだが、それは自分に配慮して言っているのかもしれないし、友達なったのがバザーでなく、さっき殺したロケシュだった場合は、自分はどう考えたのだろうか?

 

そして自分は以前、目の前の男から羊の肉を買って、ネイアと一緒に食べた。

ブルプラさんによれば羊と山羊は違う動物らしいけど、羊肉を食べる人間をバザーはどう考えるのだろうか。

 

あるいは、今の自分が人間種だから、人間種の敵となっている者を倒し、それがちょうど友達の目的と利害が一致していたからと、何となく言い訳をすればいいのだろうか。

 

じゃあ自分の本性の天使はどうなるんだろうか。

天使は異形種だ。

人間でも亜人でもない。

天使としての自分は、彼らを、バザーを、ネイアを、どう考えればいいのか。

 

分からない。

 

 

少なくともネイアは無事で、バザーにとって目障りな種族は片付き、この街の者は全てではないが救えた。

何も間違えてはいない。

 

ショータローはやるべきことを終えると、この街のゴーレムを通常のモードに戻し、デボネ近郊の森の中の自宅に戻ると、しばらくはMP回復のために体と心を休めるのだった。

 

 




クソガキとは言え10歳前後の少年の精神性なので、この姿で居ればきっとこういう悩みが出てくると思うのです。
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