「だぁーくそ!動きずれぇ!」
「普段俊敏に動いてますから普通の人間の状態になるとかなりしんどそうですね」
あの後無事に確保完了出来たってことで警察に引き渡しながら雑談をする、トリガーを使用していたヴィランが持っていたハンドガンを取り上げてマガジンを確認すると弾……というより小型の注射器のようなものが入っていた
「恐らくこれの影響ですね、個性をブーストする違法薬物が出回るどころか個性を消失させる弾が出回ってるだなんて私聞いたことがないですよ」
「我々もそんな物は聞いたことはありません、研究所に回して解析を進めてみます」
「お願いします」
そう言って望は警察にマガジンと一緒にハンドガンを手渡し護送を見届ける、その後3時間は人のまま離脱させられるミルコだったが漸く戻ったことによってハイテンションに戻った
「スルト、悪ぃが先にリューキュウのとこに戻ってくれ……あたしはあの弾についての情報を集めに回る」
「良いんですか?まだ2日しか付いてませんが」
「構わねぇ、流石にこんな状況であたしの我儘を通す訳にゃいかねぇしな……それにこいつぁ一波乱起きそうな気がするしな」
割と脳筋思考に近いが確りとやるときはやるのもまたミルコの魅力の1つなのだろう……しかしながら現在地は青森、リューキュウの拠点でもある静岡に帰るにも数日は掛かる……筈なのだが
「じゃあお先失礼しますね」
「おいちょっと待て」
「なんですか先に帰れって言ったり待てって言ったり発言は一貫してください」
「そうじゃねぇてめぇそれ昨日来やがったあの女と同じやつだろ」
実はしれっと持ってるウェイフェアラー製次元扉、こういう緊急時の帰還に使うようにとヴェルギリウスから渡された物ではあるのだが滅多に使うことは無いので見せることはなかったりする
「緊急時の帰還に使えと言われてるのでいいじゃないですか……それに新幹線やら使うと日を跨ぎかねないので」
「おまえなぁ……まあいい!今回のことはリューキュウに言っておけよ?じゃなきゃ本気でその頭かち割りに行くからな?」
「報連相はしっかりしますから安心してください……ミルコさんもヘマしないでくださいよ?」
そう忠告するとミルコは豪快に「あたしを誰だと思ってやがる!」と胸を張って高らかにそう叫んだのを聞いてご帰還、設定した座標はリューキュウ事務所の中の為特に何もリアクションはしない……筈が真っ暗だった為か気が緩んだからなのか望の身体が大きく跳ねた
「〜っ!?び……くりした……え?何まだ他のみんな帰ってきてないの?」
イーグルアイを外しながら中の電気を付けて割り当てられたデスクに置き上着とファーも外して椅子に掛けて一息つくがその間もなく電話が鳴り響くと画面には普段かけてくることの無い切島からの電話だった
「(そういや万が一の事があったり緊急を要する要件は私にかけてって言ったんだっけ?)もしもし切島くん?」
『おぉー!鬼血!急にかけてきて悪ぃ!なんかやってたか?』
「いや、今しがた事務所に戻ってきて一息つこうと思ったところだけど……他のみんなはまだ出張ってるわ」
『そか……ってそうじゃなくて!』
話を伺ってみると大阪の方でヴィランの個性犯罪が発生して天喰環……もといサンイーターが対処しようとした矢先に注射器のようなものを打ち込まれて個性が消失、その犯人を追い掛けて倒したが当の本人は3時間も個性が使用不可になったという内容だった
「……それ、多分私も見たわ」
『本当か!?何処で!』
「ミルコさんと青森に行ってたんだけどトリガー関係の犯行グループの主犯格2人組を追っかけてた時に片割れがミルコさんに打ち込んだ時に個性が一時的に消えてたのよ」
『マジかよ……いやでもそれって……つまり』
「つまるところ、個性増強をする違法薬物所か所在不明の個性消失を促す薬品が裏で出回ってることになるわ……仮にそれが未完成品だとして完成品が永続的に個性を消せるなら、それはヒーロー社会の終わりを告げるわ」
そう言うと切島は息を飲むような音を立てるが直ぐに望との連絡に戻るようにその個性消失弾についての話を進めていく
『なあ、もし仮にその弾の製造が日本の中でやってたらどうなる?』
「少なくとも出処をさっさと見つけて叩くのが最適でしょうけど……ただでさえオールマイトが引退した今トリガー関係で人手不足に悩まされる羽目になってるのに割ける人員が残ってるのかって話になってくる」
『……俺らで何とか出来ないのか?』
「馬鹿仰い、仮に私ら学生組で何とかしようにもその弾をあちこちから打たれたらどうなると思うのよ?それに組織的な犯罪の可能性もあってあまりにも不透明すぎるから博打がすぎるわ……下手に動くよりも周りの指示を仰いでからやるのが最適よ」
望が切島にそう告げるも神野のことをまだ気にしているのか声のトーンが数段下がったのを理解した、とりあえずフォローを入れつつ混乱になりかねないということで警察やプロヒの指示無く個性消失弾についての話をするのは無しという話で落ち着き電話を切ることになった
「(切島くんとこでもあったってことはそこそこ普及してる可能性がある、けど無闇矢鱈とインターンに行ってる組にそれを伝えれば混乱するのは火を見るよりも明らかだ……一先ずリューキュウさんに連絡入れよう)」
フィクサーでもありプロヒーローの卵の望ちゃんは今日も大忙し、リューキュウへの今回の報告に緊急通報による出動、溜まっていたであろうデスクワークの処理に事務所内の掃除と帰ってくるまでの間に終わらせれるものは片っ端から終わらせることとなった
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あれから数日後、暫くの間はインターンの呼び出しもなく黙々と学校の授業に従事していたのだが突然の朝の呼び出しが掛かった為何時ものスクールカバンを持って寮の外に出ると
「あれ?鬼血さん?」
「おお鬼血!お前もインターンか?」
「いえ、なんか普通に呼び出しされて……麗日さんと梅雨ちゃんも?」
「うん」「ケロ、奇遇ね」
「……全員集合場所言える?」
奇妙な事だと思いながらそう言う望と麗日・梅雨ちゃん・切島・緑谷を含む5人はスマホに届いた集合場所を提示すると全員全く同じ場所だった
「これって……一体」
「……恐らくトリガー関係、それともう一つ」
「……っ!?もしかしてあれか!?」
「可能性は低くは無いでしょう、事態に進展があったから私たちインターン組も呼ばれたんだと思う」
とりあえず行こうと5人で移動を開始、道路には本来配置されている筈のヒーローの人数よりもかなり多く配置されていて厳重に捜査・監視をしているような状況だった
「なんか……今日変じゃない?」
「今回の件はヒーロー側としてはかなり重く捉えてると思うわ、先輩たちもそこに行くみたいだし」
「けどなんでこのメンツなんだ?」
「……死穢八斎會」
「っ!?鬼血さんなんでそれを!?」
「私が前からお世話になってるLCBには情報通のフィクサーがいるからね、それに私たちが関わってないなんて言い切れないわよ?」
そう、緑谷は死穢八斎會の頭との遭遇、切島・望の2人は個性消失弾の目撃……麗日と梅雨ちゃんは望と同じ事務所に居るからということで召集がかけられることとなっていた
目的地の前にはBIG3がいた為合流し中へ入るとファットガムやロックロック、グラントリノに相澤先生等もいた。当然リューキュウもいてかなり物々しい雰囲気だった
「ナイトアイさん、そろそろ始めましょう」
「分かりました、あなた方が提供してくれた情報のお陰で調査が大幅に進みました……死穢八斎會という小さな組織が何をしようとしているのか、知り得た情報と共に共有と協議をさせて頂きます」
そんなこんなでお話開始、元々ナイトアイ事務所は死穢八斎會の足取りを追っており地道な捜査を続けていたもののこれと言った情報は掴めなかった……更にはサイドキックの報告によると強盗団の事故がきっかけで本確調査を開始しセンチピーター曰く各ヴィラン組織との関わりを持とうとしておりあのヴィラン連合とも繋がりを作ろうとしていた程でもある
「ヴィラン連合に関わっているってことで俺や塚内にも声が掛かった……まさかこんな面倒なことに巻き込むことになるとはすまんの小僧」
「いえ、面倒だなんて思ってもいませんよ」
「……そういえばナイトアイ、ミルコさんは?まだ見えてないようですけど」
「彼女は今警察にて鑑定・解析を行っているとされている例の弾の「おぉーっす!解析結果が出たから持って来たぞ!」……そのまま報告を頼む」
相も変わらず空気の読めないミルコにやれやれと言わんばかりに悪態をつくナイトアイだがとりあえず進めるように促すとミルコは淡々と報告を始めた
「わかったんじゃ解析結果の報告だ、先に言っとくが大阪の道頓堀と青森恐山前で回収出来た弾は同一の物ってーことで1箇所に集めて解析を開始、中身と成分を調べた結果……人間の血や細胞片なんかが出てきやがった」
その言葉にその場にいた学生組は顔を青ざめた……それもそうだ人間の血がその弾の中に入っていたのだから当然の反応でもある
「……個性の因子そのものを傷付けるのには個性をね、そうなるとその血の持ち主由来の力を悪用して作られたと見て間違いないと思って良さそうですね」
「それの出処が死穢八斎會だと言う理由はどこにある?こじつけじゃないのか?」
その言葉と共に望は緑谷と通形を見ると明らかに表情が曇りに曇っていた……冷や汗もかなりかいていてまるで自分の悪事をバラされたかのようにも見えた
「緑谷とミリオが遭遇した壊理という少女がいた……治崎の娘であり出生届もない」
「この超人社会だ、そんなこともある」
「要するに壊理って子の身体を刻んでは治してを繰り返して弾を製造して売り捌いているってことでしょ?今はまだ効力が短いから良いけど永続的に個性消失が起きれば」
「それこそ……ヒーロー社会の終わりの時だと思います、1級フィクサーサンチョ、貴方の意見を聞かせて欲しい」
望に問いかけるナイトアイには何か確証があって話かけているのだろう、現に状況の重さと裏組織の悪意を知った学生組は意見その物が言えない状態にまでなっているのにも関わらず望だけが淡々と話に参加出来ているのだから
「……ヒーローとしては素人意見にはなりますが宜しいですか?」
「構わない」
「では遠慮なく……完成品については時間を置いてしまうと出回るというなら速攻を狙って死穢八斎會を一斉検挙して壊理という子を救助するのが妥当だとは思います。然しながらその様子だとまだ本拠地の場所と現在のその子の所在が分からないから下手に動けない……そう踏んでもよろしいでしょうか?」
「その通りです、現在集めた皆様方には我々が把握している死穢八斎會との繋がりのある場所のある県の土地勘を持っている方を集めました……オールマイトが引退した今我々は分析と調査を重ね100%の確率で叩かなければなりません」
怒り心頭なファットガムや学生は置いてった方が良いというロックロックを差し置いて学生でありながら最もキャリアを積んでいる望だからこその意見にナイトアイは肯定し付け足していく……更にそこに相澤先生の予知で観測しようと提案するがナイトアイのトラウマの影響でそれが出来ない状況になり会議室内はかなり重たい空気になった
「……とりあえず助けるべき子がいる、それを目標にしましょう」
「早期発覚出来たのは僥倖です、娘の居場所の到底・保護、可能性な限りの早期解決を目指します……ご協力の程よろしくお願いします」
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夕暮れの空、会議が長引き続けたのかそんな状況の中緑谷は壊理について話を全員にする……あの時に強引にでも連れて行ければと自身の行いの懺悔をするかのように吐露するその姿は見ていてかなり痛々しかった
「……仮に連れてけれたとしても死穢八斎會なら殺人をしてでも奪還に動くでしょう、なにせ自分たちの商売にかかってる子だからね」
「鬼血そんな言い方はねぇだろ!緑谷だって辛い思いをしてその選択をしたんだぞ!」
「何処のヴィラン組織もそんなものよ、自分の利益の為ならば他を犠牲にしてでも価値を取りに行くのだから……貴方にとってそれが最善なら仕方のない事よ」
キャリアを積んだからこそヴィランがどういうものなのかを知っている望は真正面からそうばっさりと言い放つ、正義感だけではどうすることも出来ないということを話しているとエレベーターから相澤先生がやって来た
「お通夜みたいな状況だな」
「お疲れ様ですイレイザーヘッド、大変なことに巻き込まれてしまいましたね?」
「他人事みてぇに言うな鬼血……本来はお前らにインターン中止をいいたかったんだが」
「えぇっ!?今更なんで!?」
「ヴィラン連合が関わっていると聞かされたろ?そうなってくると話が変わってくる……緑谷、お前はまだ信頼を取り戻していない、だから俺が見ておく。するなら正規の活躍をしてみせろ」
相澤先生がそう目線を合わせながら緑谷にそう告げる、勿論ここで止めたらまた飛び出すかもしれないと注意も付け足して緑谷に激励を言い渡す……それに続くように天喰と波動も通形に顔を上げて欲しいと言う
「……気休めを言う、つかみ損ねたその手は壊理ちゃんにとって必ずしも絶望だったとは限らない前向いていこう」
「流石イレイザーヘッド、皆!次の指示が出るまでの間は今回の件は私たちだけの秘密にしましょう……下手にことを荒立てると迷惑になるしね」
その言葉で締めくくり全員は寮へと帰宅する……ある者は決意を、ある者は覚悟を、ある者は何れ訪れるであろう恐怖に備える為に……涙を流す少女の手を今度こそ必ず取れるようにする為に
次回は死穢八斎會への突撃かな?ミルコに望ちゃん居るし実は結構余裕では?と思えてるが果たして
【TIPS】二人のジャンヌ
本作におけるジャンヌは実は2人存在している、一人はシーシュポス百貨店運営者巨人が一人ル・カーキ担当にしてムルソーの恋人ジャンヌ・マリィ・サルトル
もう一人はフランスの田舎にある牧場地帯に拠点を構えている炎の聖女と名高いジャンヌ・ダルクがいる為かなり間違われやすい……とも言い切れない
片や営業者片や脳筋バリツ聖女と外観は似た者同士ではあるが中身がまるっきり違っていたりする為間違われることはまず無い、ヤバい方のジャンヌって言われたらフィクサーの方のジャンヌと言われる位にはちゃんと区別されてたりする