呪術廻戦〜蒼風を纏う者   作:腹黒薩摩

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本日3話目の投稿です。


第14話

ーー東京都郊外。

 

 夜の帳を切り裂くように、低く唸るエンジン音が路地へと流れ込んだ。

 

 次の瞬間、黒い大型バイクが滑り込む。

艶を抑えた車体は闇そのものを形にしたかのようで、重厚な金属の塊が静止しただけで、周囲の空気がわずかに沈み込んだ。

 

 バイクを駆っていた女性は、片足で地面を踏みしめ、慣れた仕草で車体を支える。

 

 アイドリングの振動が止み、一拍の静寂が訪れる。

その僅かな間でさえ、彼女の存在は場を支配していた。

 

 顎紐に指をかけ、軽く引く。

 

 ヘルメットが外された瞬間、束ねられていた金色の髪が解き放たれ、夜風を受けてさらりと広がる。

 

 街灯の光を受けてきらめくその髪は、まるで呪力の余波のように揺れ、見る者の視線を否応なく奪った。

 

「ふぅ……」

 

 小さく息を吐き、金髪の女性――

 特級術師・九十九由基は、ヘルメットを腰に抱えたままバイクから降り立つ。

 

 その動作は雑で、どこか気怠げだ。

 それでも、地面に足が着いた瞬間、確かな重みが伝わってきた。

 

――重い。

 

 目に見えないはずの“質量”が、彼女の周囲に確かに存在している。

 

 涼しげな瞳が前方を捉える。

 興味深そうでありながら、深入りする気はない――そんな意思を宿した視線。

 口元には、皮肉とも退屈とも取れる微笑が浮かんでいた。

 

 九十九は、自身を呼び出した神凪颯真の姿を、面白そうに眺める。

 

 

「君が噂の神凪颯真君? どんな女が好み(タイプ)だい?」

 

「あ?」

 

 唐突で意味不明な質問に、颯真は怪訝そうに眉をひそめる。

 

「答えてくれないのかな?」

 

「答える必要あるか?」

 

 質問で返された言葉に、九十九は肩を竦めた。

 

「急な呼び出しに応じてあげたんだから、それくらい答えてくれてもいいんじゃないかなー」

 

 不満げに漏らす九十九に、颯真は小さくため息をつく。

 

「……特級術師ってのは変わり者しかいないのかよ?」

 

「君も同類じゃないか。

 今回の一件で、君も特級の仲間入りするのは間違いない。

 なんたって、あの五条悟と呪霊操術の夏油傑を同時に相手取って、逃げ遂せたのだから」

 

 九十九は心底楽しそうに笑った。

 

「無駄に干渉しない女。自分の力と判断に責任を持てるなら言うことはない」

 

本音を語りながらも、深くは踏み込まない颯真。

その態度に、九十九は唇を尖らせる。

 

「つまんないなー」

 

颯真は仕方ないとばかりに、少しだけ言葉を付け足した。

 

「……強い女は嫌いじゃない。

 ただ、感情で人を振り回す(タイプ)はごめんだ」

 

 

 その言葉を聞いた瞬間、九十九は満面の笑みを浮かべる。

 

「じゃあ、私みたいなのは?」

 

 茶目っ気たっぷりの笑顔で問いかけられ、颯真は心底嫌そうな顔をした。

 

「面倒くさそうだから、却下」

 

「うっわぁ、辛辣ぅー」

 

 たはぁ、と大げさに息を吐きながら笑う九十九に、颯真は付き合いきれないとばかりに頭を振る。

 

「……本題にはいるぞ。

 コイツらの面倒、任せていいか?」

 

 颯真は背後に控える天内と黒井を、親指で示した。

 

「この子が星漿体かい?」

 

 九十九は二人へと視線を移す。

 短い観察の後、安心させるように柔らかな笑みを向けた。

 

「安心していいよ。

 ……私も元星漿体でね、天元には思うところも多い。

 君たちを匿うくらいはしてあげられる」

 

 そう言ってから、九十九は颯真を横目で見る。

 

「前金も貰ってるしね」

 

「……お嬢様を助けて頂き、本当にありがとうございます」

 

「気にすんな。

 生け贄ってのが嫌いなだけだ」

 

 颯真は何でもないように、手のひらをひらひらと振った。

 

 天内と黒井が、九十九の用意した車へと乗り込むのを見届けると、颯真は踵を返し、その場を去ろうとする。

 

「これからどうする気だい? 呪術総監部はカンカンのようだよ」

 

 

「別にどうも? あんな棺桶に片足突っ込んでるような老いぼれが怒ったってどーなるもんでもねぇだろ。

 

 本来なら、あいつらに直接来いって言いたいところだが、まぁ、俺も言いたいことあるから会いに行ってやろうかね?」

 

 肩を竦め、不敵に笑う颯真。

 だが、その瞳は微塵も笑っていなかった。

 

「成る程、君を敵に回すのは私でも遠慮したいね」

 

 底知れぬ呪力の一端と、敵と見定めた相手には容赦のない冷酷さ。

 それを垣間見て、九十九は苦笑いを浮かべていた。

 




いつの間にか、日間ランキング(12月20日)が36位になっていました。
皆様のお陰です。
本当にありがとうございます。


今後とも、仕事の合間でのマイペース更新となりますが、良ければ閲覧お願い致します。

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夏油傑は救済されるべき

  • このまま救済されるべき
  • 羂索は夏油の頭でメロンパンしないと
  • 虎杖ママメロンパンが見たい!
  • サマーオイル教師は見たくない
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