伝説とウマ娘   作:すごむカフェイン

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第一話

星々が煌めく宇宙の片隅で、一つの星が迫り来る彗星によって崩壊しようとしていた。

星全体が大きく揺れ、地表が爆発とともに舞い上がる。

その光景はまるで、巨人が地表に拳を打ち付けたかのよう。

 

崩壊する星を歩いている一人の男の姿があった。

身長は二メートル以上はあるだろう彼の上半身には、何かに抉られたような痕がある。

男は満身創痍の身体を無理やり動かし、崩壊する世界を歩き続ける。

朦朧とする意識の中、男はあることを考えていた。

 

(奴に……カカロットに……オレは、オレはなぜ勝てなかった……!?)

 

男の脳裏に先程の戦いがフラッシュバックする。

 

『雑魚のパワーを吸収したとて、このオレを超えることは出来ぬぅ!!』

 

『そうかな?やってみなきゃわかんねぇ!!』

 

(あの土壇場で何故、カカロットはオレに勝った……)

 

(偶然だったのか?)

 

(……)

 

(何故だ……何故だ、何故だっ!?)

 

答えの出ない問いに男の心はもどかしさを感じ、苛立ちを募らせていく。

 

「くくく……はははは……」

 

男は湧き上がる笑いを抑えきれず、笑い声を高らかに上げる。

 

「ハハハハハハハハハハ!!」

 

狂気じみた笑いが無人の惑星に響く。

 

すると彼の視界の端に一隻の球体型の小型宇宙船が映る。

目の前に転がる宇宙船は自分の父親が元々計画通りにいった後、地球に行くために用意した宇宙船であった。

彼はそちらの方へと歩みを進めその巨躯を押し込んだ。

 

男は宇宙船のシートに身体を預けながら、備わっているコントロールパネルを操作する。

宇宙船のハッチが閉じ、ゆっくりと地表から離れ始めた。

 

「カカロットォ!!」

 

男は自分の中に渦巻く感情に、ただ叫ぶことしか出来なかった。

宇宙船が出発、惑星を離脱したと同時に彼が先程までいた惑星-『新惑星ベジータ』が巨大な青い彗星-『グモリー彗星』によって崩壊する。

 

‥‥‥‥運命という名の歯車はほんの少しの些細な『ズレ』で、正反対の方向へと進む。

彗星によって惑星が崩壊した衝撃波が男の乗る小型宇宙船を襲い、凄まじい勢いで吹き飛ばされていく。

宇宙船が大きく揺れて男は頭を強く打ってしまう。

 

「あ……が……」

 

視界がぼやけ、次第に意識が朦朧としていく。

 

「カカ……ロット」

 

男は最後にそれだけ呟くと、そこで意識を失った。

偶然かはたまた運命の悪戯なのか、彗星によって惑星が崩壊したことで巨大なワームホールが出現して一時的に時空の歪みが作り出され、男の乗った宇宙船は別の宇宙へと飛ばされていったのだった。

 

場所は変わり、トレセン学園。

柔らかい陽射しが射し込む中、学園に通うウマ娘達は今日もそれぞれトレーニングで力を高める為に努力を積み重ねている。

今は昼休みで、カフェテリアはとても賑わっていた。

列はもの凄い有り様で食事が欲しい生徒達が我先にと並んでいた。

そんな時、耳をつんざくような轟音と共に地面が揺れる。

 

「な、何!?」

 

生徒達は突然の事態にパニックになりだす。

すると生徒会から校内放送が入った。

 

『全校生徒に告ぐ、落ち着いて校内中庭に避難してください。繰り返します……』

 

カフェテリアにいた栗東寮の寮長であるフジキセキと美浦寮の寮長のヒシアマゾンは生徒達を避難させるべく誘導した。

そうして皆の避難が終わる頃、生徒会長のシンボリルドルフと副生徒会長のエアグルーヴと生徒会メンバーのナリタブライアンは練習場の奥にクレーターがあるのを見つけた。

 

「なんだこれは……」

 

ルドルフはクレーターの前に集まると、そっと穴を覗き混む。

その中には、球体型の何かが確認できる。

 

「隕石……いや違うな」

 

「えぇ、そのようで……ッ!!」

 

エアグルーヴはある一方向を見つめて茫然とする。

 

「どうした、エアグルーヴ?」

 

ルドルフが訊ねる。

 

「会長、あれを……」

 

ルドルフとブライアンは彼女の指差した方向を見た瞬間、驚愕した。

何故ならそこには、身長が二メートルを優に超えている上半身裸の男が血だらけの状態で倒れていたからだ。

 

「なっ……!?」

 

ルドルフは驚きのあまり声をあげる。

 

「なんだコイツは……」

 

ブライアンが呟く。

彼女達は男の痛々しい姿に驚愕し言葉を失う。

ルドルフ達はその男を見て眉を顰める。

 

(何者だ?)

 

男の格好は明らかに学園の関係者ではない。

そんな人物が学園の敷地内で倒れているのだ、疑問を抱くのは当然だろう。

だが、一体何をしたらこんな姿になるのか。

男は誰が見ても分かる程、瀕死の状態であった。

すると……。

 

「あぁ.....うぐぁ……」

 

男が小さく呻き声を上げる。

 

「生きているのか……?」

 

ブライアンが呟く。

ルドルフ達は倒れている男に近づき、恐る恐る声をかける。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

ルドルフはすぐさまウマホを取り出すと電話をかける。

 

「もしもしたづなさんか?大至急、救急車を頼む!あぁ……兎に角急いでくれ!理事長にも連絡を頼む!」

 

そう言うとルドルフは通話を切った。

数分後、トレセン学園に救急車が到着すると救急隊員達が男を担架に乗せ、サイレンを鳴らしながら学園から近くの病院へと搬送した。

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