第1話迷宮都市へようこそ
その日の出来事を、ベル・クラネルは生涯忘れることはないだろう。
当初、それは何の変哲もない日常的なダンジョン探索になるはずだった。
しかし、ここ最近の順調な進捗が、少年の心に微かな慢心を生んでしまったのかもしれない。ほんの少しの好奇心と、「見るだけなら」という甘い見積もり。
アドバイザーであるエイナからの厳命を破り、ベルは未踏の領域――第5階層へと足を踏み入れた。
だが、そこで待っていたのは残酷な不運だった。
本来ならばその階層に徘徊しているはずのない規格外の怪物――ミノタウロスと、遭遇してしまったのだ。
『ヴヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
「ほあああああああああああああああああああああああああああっ!」
ベルは必死に走り、叫びながらミノタウロスから逃げた。
どれくらい走ったのかはわからなかったが、しかし、運が悪いことに、ベルは行き止まりに追い込まれてしまった。
ベルは振り返るとミノタウロスが睨んでいた。
(あぁ、死んじゃ・・・・・・)
ベルは恐怖を感じながら、ミノタウロスが咆哮を上げながら振り上げた攻撃にただ死を覚悟するしかなかった。
その瞬間、ミノタウロスは切り刻まれ、切り刻まれた先には金髪の美しいアイズ・ヴァレンシュタインがそこにいた。
切り刻まれ、その頭部が血でトマトのように真っ赤になりエイナに自身を助けてくれた存在がなにものなのか聞くべく走る。
しかし辺りをあまり見えていなかったのかベルはぶつかってしまう。
「いてっ、ご、ごめんなさ…」
ベルはぶつかった相手に謝罪をしようとするが相手が振り返るとベルは絶句した。
ベルがぶつかった相手は人ではなくモンスターであった。
「………」
「……ぎゃぁああああぁああ!?」
ベルは再び全力で走る。
ベルの声に反応したモンスター基ハートレス、サテュロスはバイザーを下げてベルを全力で追いかける。
そうしてベルとサテュロスの追いかけっこが始まり時間が少々経った頃。
「あれ、あの子は…」
ベルは走っている内にアイズに助けられた場所へと戻ってきた。
ベルが戻ってきたことに疑問が浮かぶアイズだったがベルの後ろに迫ってくるサテュロスを見た瞬間目の色が変化する。
「モンスター…!」
初めてみるモンスターにアイズは少し驚くがそんなことは関係ないとばかりにサテュロスに攻撃をしようとした瞬間。
「……!?」
アイズの横で風が靡きアイズが気づいた時にはサテュロスは消えており代わりに誰かがそこにいた。
「誰?」
アイズはてっきり自身を追ってきたベートかと思ったがその人物は茶髪で髪がツンツンしていた。
・・・・・
「君、大丈夫かい?」
ベルはただ自身を救ってくれた存在に目をパチクリさせた。
彼はとてもとがった茶色の髪をしていていた。
服装も目立っていた。彼は白い縁取りのある黒いVネックTシャツに、灰色のポケットが付いた黒いショートパンツを履いている。ショートパンツはふくらはぎにぴったりとフィットしている。彼は赤い縁取りのある長い黒いフード付きジャケットを着ており、灰色のポケットに白い縁取りがあり、赤いフランネルのフラップが黄色いボタンで留められている。靴はサイズが少し大きすぎるように見えた。灰色のフィンガーレスグローブは、手のひらでV字になり、肘のすぐ下まである。グローブには赤い縁取り、手首に黄色のストラップ、手の甲に銀色の円盤が付いている。そして彼は銀の王冠のネックレスをつけていた。
そして彼の手にあったのは、ベルがこれまでに見たことのない奇妙な武器だった。それは言うなれば巨大な鍵のようなものだった。鋭くさえ見えないのに、サテュロスをまるで何もないかのように切り裂いた。
少年は、ベルに心配そうな表情を浮かべ近づく。
「大丈夫かい?」
少年に差し出された手を見てベルは数回まばたきしてから我に返る。
「あ、はい。大丈夫です」
ベルは慌てて答えながら、差し出された手を握る。
「あの、助けていただきありがとうございます。あなたがいなかったらどうなってたことか…」
「いや、気にすんな。君が無事でよかったよ」
ベルは少年に向かって頭を下げて感謝した。
「助けてくれてありがとうございます。僕、ベル・クラネルって言います。あなたの名前は?」
「俺はソラ!よろしくなベル!」
ベルの言葉にソラは元気よく笑顔で自己紹介をするのだった。
・
ベルの案内の下ダンジョンから出たソラは目をパチクリとさせていた。
街の住人はソラと同じような人もいれば耳が長い人や頭の上に動物の耳が生えた住人がいる。
この耳が生えた住人は数多くの世界を見てきたソラにとっては初めてのことだ。
一方でその反応を見たベルは初めてオラリオに到着した時のことを思い出させた。
ソラは街を見回しながらベルの隣を歩き街を見ているとベルに話しかける。
「ところで、ここはどこなんだ?」
「えーっ?僕たちがいる場所を知らないのですか!?」
ソラは緊張した笑みを浮かべながら出た言葉にベルは驚愕する。
「あ、いやぁ、俺、本当にこのあたりが初めてなんだ。…それで迷って、気づいたらさっきのところまでさまよってきたんだ」
ベルはソラの答えに目をパチクリさせた。
いくら目の前の少年が方向オンチだとしてもダンジョンに迷い込むなど信じられない事態なのだ。
ソラの言葉にベルは訝しんだが恩人をあまり疑いたくないベルはそのことをひとまず脇に置いているとギルドが見えてきたことに気付いたベルは立ち止まる。
「あっ、ソラさん、ギルドに着きました!」
「ギルド?」
ベルが指を刺した建物にソラは困惑したように尋ねるとベルは再びもう一度目をパチクリさせた。
「ギ、ギルドも知らないのですか?」
通常であればダンジョンを探索したり、魔石を交換するためにはギルドに登録が必要である。だというのにソラはギルドについて一切知らないのは異常だ。
「いやー、あははははぁ」
(ギルドを知らないなんて…この人は一体…?)
ベルは困惑しながら思ったがその考えを脇に押しやり、目の前のことに集中した。
「えっと、ここはギルドという場所で、冒険者や魔石を管理するところで、僕たちが魔石をヴァリスと交換してくれる場所なんです」
「ヴァリス…この世界の通貨か、1マニーだとどれくらいかな…」
二人が建物に入ると、そこには様々な冒険者がお互いに話したり、アドバイザーと話をしたり、魔石を交換するために並んだりして、活気のある様子だった。
「エ、エイナさん、ただいま戻りました!」
ベルは元気よく挨拶しながら、アドバイザーのエイナ・チュールの元へ向かって走る、一方ソラは好奇心のままに建物を中を見回してから、エイナだと推測される人物に目を向けた。
「おかえりベル君。今日は早かったわね」
「いえ、ダンジョンで…大変な事態になってしまいまして」
「大変な事態?」
ベルは、エイナを心配させないように、さっき起きたことを説明した。
「上層にミノタウロスなんて…」
ベルの言葉にエイナは頭が痛そうに額をこする。
「それはさておきベル君、何回も言ったでしょ。冒険者は冒険しちゃいけないのよ。もっとダンジョンを探検したいのはわかるけど、君はまだ5階層に行くには準備が必要なのよ」
「は、はい。ごめんなさい…エイナさん」
「あはは、どんまいベル…」
エイナは叱責に少し顔をしかめるベルをソラは慰めるように肩を叩きながら、小さな笑い声を出すしかなかった。
「ところで、彼は?」
エイナはようやくソラの方を向いた。
「ああ、この人はソラさん。僕をモンスターから助けてくれたんです」
「は、はじめまして、俺はソラと言います」
「ソラ氏ですね。ベルくんを助けて頂きありがとうございます。それで良かったらだけど、君はどのファミリアにいるのか教えてもらえないかしら?」
「…ごめんけど、ファミリアって何?」
ソラはエイナの質問に目をパチクリさせて困惑した。
「「…え?」」
ソラの言葉にエイナとベルは同時に声を上げるのだった。
・
ソラがたどり着いた世界はヘラクレスの世界を強く彷彿とさせた。しかしこの世界は天上にいるオリンポスの神々と違い地上に降り立ち、人類とダンジョンのモンスターと戦いの手伝いとして
(この世界は神々がそこら辺にいるのか。じゃあアリエルのお父さんみたいに外の世界を知っててこの世界から出る方法を知っている神様はいるのかな…?)
ソラは、最近の出来事を思い出しながら考える。
2度目のキーブレード戦争の時、ソラはみんなを救うために、目覚めの力を使い時間を逆行した。しかしそれは目覚めの力本来の使い方ではなくさらには代償を支払わなければならないのだ。
『目覚めの力とは本来は心を介して世界に入る力であって実在の世界で心を追って飛び回る力ではない力の使い方を誤れば大きな代償を払うことになる』
これは、ヤングゼアノートがソラに告げた言葉だった。
ソラはチリシィからも同様の警告を受けていたが、ソラはカイリやリク、他のみんなを救うために躊躇することなく実行した。
結果として言えばソラは世界から消えた。しかし気づけばソラは澄んだ夜空の下で目を覚ました。奇妙なことにその世界はかつてソラがトイ・ボックスで見たビデオゲームのキャラクターであるヨゾラに遭遇したのだ。
ソラはヨゾラと少し話をしたが、ヨゾラは自分がソラを「救う」ためにここにいると話した途端、夜空が広がっていた世界はかつてソラが訪れたサンフランソウキョウの街並みへと変化しヨゾラは左手にはシグバールが持つガンアローのような形状をした武器と右手には一本のブレードを構えてきた。
突然のことで驚くソラをよそにヨゾラは武器を構え突然消えたかと思えばソラの斜め上にテレポートしてきて右手の武器でレーザーを放出してきた。
とっさにガードしたソラは瞬時にヨゾラに近づきキーブレードを叩きつける。そこからは多くのフェイント、様々な角度からのドローン攻撃、剣からの強力なレーザー攻撃、空に奇妙な衛星装置を召喚して周囲と重力を変え、巨大なロボットを彼に突撃させ、さらには短時間ではあるがソラのキーブレードを盗むこともしてきた。
ソラも負けじと魔法やキーブレードを変形させヨゾラに対抗した。
ソラが戦ってきた中でヨゾラはかつて戦ってゼアノート達とは別の意味で厄介な相手だった。
それでもソラはヨゾラの攻撃に冷静に対処して詰めていき、ついにはヨゾラを辛うじて膝をつかせたのだ。
膝をついたヨゾラからは光のかけらがあふれ出す。
『そうか、まだ俺の力は必要じゃないんだな』
笑みを浮かべ光のかけらとなり消えたヨゾラと同時に周囲も変化し街並みは消え青空が広がる空に変化していた。
さらに驚くことに少し目をつぶったとたん今度は暗い洞窟の中にいたのだ。ソラはなにが起きたのかよくわからいことだらけで困惑するばかりだ。
しかし、ソラはヨゾラとの戦いで消耗した体力を回復するためにケアルガを唱えた後、ソラは自身がどこにいるのかを突き止めるために歩みを始めた。そうして探索している中、叫び声を聞いた。
それがソラをベルと出会わせ、エイナを通じてこの世界について学ぶきっかけとなった。
・
「信じられません!?恩恵もなしでダンジョンに潜るなんて!?」
別室に連れて行かれベルたちの言葉を聞いてエイナは激怒した。
それこそ普段から冒険者への怒りを見ている他の職員からしたら彼女がここまで激怒するなど見たことなく。あまりの怖さに本来なら規約違反をしているソラに憐れみ抱くほどに。
さらにはベルが彼女の忠告を無視をして5階層に潜ったことに対してはソラへの激昂も重なり恐ろしく激怒された。
ベルは涙目になりながら彼女に対して土下座をすることで彼女から赦しを得た。
しかし幸いなことにソラが恩恵なしでダンジョン5階層以降に潜っていたことへの激怒でダンジョンに新種のモンスター基ハートレスが出現したことを今の彼女が知ることはなかった。
そこからエイナはソラに冒険者について、神々について、ダンジョンについてを含めた長い時間にも及ぶ講義を行い。彼に罰金を払う話になった時ソラの顔が青ざめる。
最初、ソラはマニーで支払うつもりであった。しかしこの世界でマニーには一切の価値がなくソラのマニーは受けとられなかった。
どうしようか悩むソラにエイナは価値のある物品はないかと話になった時ソラはサテュロスを倒した時にドロップした力の魔石を換金することで罰金を支払うのだった。
「はあ、やっと終わった」
ギルドから出たソラは大きなため息をつく。
(当面のお金はどうにかなりそうだけど、これからどうしよう…)
そう思案しているところにベルがソラに声をかける。
「おーい、ソラさん」
「あ!ベルじゃないか」
ギルドから出たところでソラはベルと再会する。
そうして二人は他愛もない会話をしているうちにベルはソラに聞く。
「ソラさんはこの後はどうするんですか」
「幸い、さっき手に入れた魔石のおかげでお金は手に入ったからどこか宿を取ろうかな…」
「それなら助けて貰ったお礼も兼ねて僕の
ベルはソラに助けてくれたお礼としてヘスティアファミリアの
「え、いいのか、ベル?」
・
オラリオを八等分するメインストリートの、北西と西の中間地点にある廃教会に到着したベルはソラを地下へと案内する。
「神様、ただいま戻りました!」
ベルは階段を降りて部屋に入り大きな挨拶をした。
ヘスティアはベルの声を聞いてぴんと立ち上がり、ソファから起き上がった。ソラが神を見たとき、彼は驚いた。
それは、ツインテールで、胸のあたりに青いリボンをつけた白いドレスを着た、背の低い少女だった。
(…変だな。前にオリンポスで見たゼウスは輝いていたのにこの
ソラがヘスティアにそのように感じているとヘスティアはベルに抱き着く。
「ベル君、おかえり!」
抱き着いてきたベルは女神の頭を優しく撫でながら、弱々しく笑う。
「はい、ただいま戻りました。それとお客さんを連れてきました。ソラさんこの
「初めまして、俺はソラと言います」
ソラは最大限の敬意を示し笑顔で挨拶した。
ヘスティアはソラの出現に目をパチクリさせる。
「あ、こちらこそ初めまして。ところで何で
ヘスティアは好奇心旺盛にソラに尋ねる。
「ソラさんは今、行く場所がないのでここに来てもらったんです。それに、ミノタウロスから僕を救ってくれたことへのお礼も兼ねて」
ベルは説明にヘスティアはこれを凍りつく、次の瞬間ヘスティアはベルの肩にしがみ付く。
「ミ、ミノタウロスだって!?べ、ベルくん、ミノタウロスに襲われたのかい!?そこからさらに別のモンスターに追いかけられたって!? 大丈夫!?怪我はないよね!?」
「だ、大丈夫ですよ、神様。ミノタウロスはロキファミリアのアイズ・ヴァレンシュタインさんにその後のモンスターもソラさんが助けてくれたおかげで、幸い怪我はなかったんです」
ヘスティアの心配にベルは落ち着かせるべく慌てて説明した。ヘスティアは怪我がないことを確認するためにベルの体をもう一度見たり触ったりなどして、怪我がないことを確認ができ安堵のため息をつきソラのほうに目を向ける。
「ああ、よかったよ~!ベルくんが無事でほんっとによかったよ~!君が助けてくれたおかげだよね、ありがとうソラ君!君はボクのベル君を救ってくれた恩人だ。オラリオにいる間はうちに泊まってっていいからねっ!遠慮なんかいらないよ!……でもさ、君は本当に泊まるとことがないのかい?ダンジョンのモンスターを倒せるぐらい強いならどこかに所属しているファミリアがあるだろ?」
「ああ、それについては…俺、実はファミリアには所属していないんだ」
ソラは答えにヘスティアは驚き目をパチクリさせた。
「な、ない? 待ってくれ。
その質問を聞いて、ソラの顔に少し硬い表情が浮かんだ。
「う、まあ、俺は最近ここに来たんで、それで都市の観光がてらにダンジョンを探検してみたんだ。それで1階層から4階層まで通り抜けている時にベルの叫び声を聞いて、ベルを助けたんだ」
ソラは世界の秩序を守るべくエイナに話した同じ内容で説明した。
「それは嘘だね」
しかしソラの言葉にヘスティア目は凍り付き即座に嘘だと断言した。
ヘスティアの言葉にソラは凍りつき動揺する。
「な、何を言っているんだ?」
「知らないのかい?
ヘスティアは指摘に、ソラはただ打ちのめされてため息をつきながら、頭を掻く。
(神様に嘘が通じないとなると秘密にしておくのは難しいよな…)
「だけど、君はどう言うわけか他の
ヘスティアは眉を上げてソラに尋ねる。
「う、まあ…」
ソラは今から自分が言うことは最善の策なのかどうかを考える。
現在のソラにはこの世界から出るための手段がない。しかし、もしかしたら神々はこの世界から出る方法を知っているかもしれないかもしれないと考えるとソラの事情を説明するのも大丈夫ではないかと考える。
しかし一方で秩序として、他の世界の人々に他の世界が存在することを知るべきではないのだが、トリトン王のこともあり共有してもあまり害はないかもしれないと考えたソラは(ドナルドが聞いたら怒るだろうな)と考え。ソラは内心でため息をつきながら言う。
「言うしかないのか」
「何を言うんだい?」
言葉に眉を上げて尋ねるヘスティアにソラは決意を固めるために少しの間沈黙した後にソラは口を動かす。
「…俺はこことは違う外の世界から来たんだ」
この小説でダンまち世界はキングダムハーツで言えば裏側に存在する世界です
ちなみにソラ等の外の世界から来た住人はキングダムハーツ2のパイレーツオブカリビアンで出てくる呪いの金貨ように神々の神威や魅了への効果がそんなにありません