ソラの言葉を聞いて部屋中に沈黙が支配した。ベルはフクロウのように瞬きし、ヘスティアが口を開く。
「…な、何を言ってるんだいソラ君…?」
「俺はこの世界の人間じゃないんだ。色々あって偶然ここに来てしまったんだ」
ソラはさっきと同じ言葉を繰り出した。
ヘスティアとベルはただショックを受けた表情でソラをじっと見つめ。
「「ええっ!?!?」」
「まあ、そういう反応するよね…」
二人の叫びにソラは緊張した笑みを浮かべながら頬を掻く。
「今君が言ったことに嘘はない…嘘はないはずなんだよね?、ということは君は…」
「この世界の人間じゃないって、もしかしてソラさんは神様たちのように天界から来たのですか?」
「いや、俺はベルと同じ普通の人だよ。ただ、ベルと違うのはこことはまったく別の世界から来たんだ」
ベルは言葉にソラは笑みを浮かべて答えるとヘスティアは信じられないというようにソファに少し沈み込んだ。
「信じられないよ……」
ヘスティアは、目の前に立つソラを呆然と見つめた。まさか、この世界の外から来た人間がいるなんて、夢にも思わなかった。
「ソラ君が言っているのは……僕らが知っている世界以外にも、たくさんの世界が存在するってことなのかい?」
震える声で尋ねると、ソラは静かに頷いた。ソラの言葉は、まるで固く閉ざされていた扉をこじ開けるかのように、ヘスティアの世界観を大きく揺さぶり始めた。
「うん。世界はたくさん存在していて、そういう力だったりグミシップがあれば、実際に移動することができるんだ」
ソラの言葉にヘスティアはさらに青ざめる。
「…そ、そんなにたくさんの世界が…そして僕たちはその中にいる。どうして
ヘスティアとベルは、しばらくの間、ただ沈黙して立ち尽くしていた。ソラの言葉が意味する途方もない真実に、思考が追いつかないようだった。
やがて、ヘスティアが驚愕に満ちた表情でソラを見上げた。
「…ソラ君、君は一体、何者なんだい? どうやって僕たちの世界に来たんだい?」
その問いかけに、ベルもまた、強い好奇心を宿した瞳でソラを見つめた。目の前に立つ異世界人について、もっと深く知りたいという感情が目に現れていた。
「その話をすると結構長い話になるから、この世界にどうやって来たのかだけ頑張ってまとめるよ」
「助かるよ、ソラ君」
ヘスティアは深い溜め息をつきながら要約すれば想像するほど衝撃的ではないだろうと思ったのだが、ソラの言葉にその望みは打ち砕かれた。
・
「まさか……そんなことが」
ヘスティアは呻きながらソファにもたれかかる。
「ああ、ベル君……ソラ君は今までの
ヘスティアはベルに愚痴るような言葉を出すがヘスティアの心は、ソラが語った要約された内容をの衝撃で処理能力の限界を迎えてしまった。
ソラはデスティニーアイランドと呼ばれる世界出身だという。ある日ソラの世界が闇に飲み込まれた時にキーブレードという武器に選ばれたのだという。そこからソラはドナルドとグーフィーという仲間と一緒に消えた友達を探すべく複数の世界を巡ったというのだ。
ソラの持つキーブレードは闇の化身であるハートレスを倒し、心を闇から解放することできさらにはハートレスというモンスターが世界に侵入を防ぐために世界に鍵を掛けることができる代物だという。その時点でキーブレードは世界に干渉することができるとんでもない武器だと言っても過言ではない。
さらにソラは旅の途中で、闇を自身の悪意ある目的のために利用したいと考える多くの敵に出会ったという。最も顕著なのは、ゼアノートを始めとした真
世界の創造なんてものは神々ですら容易にできるものではないのだ。ソラの話を聞く限りではゼアノートは神ではない。一介の人間が神々よりも強大な力を手に入れ、世界全体を再構成するなど、全く別の次元の話だ。
そしてヘスティアがソラに聞いた主目的であるどうやってこの世界に来たのかについてヘスティアは言葉を失った。
ソラの犯した禁忌は歴史そのものを書き換えたというのだ。
そして、ソラの世界では本来の歴史から大きくを変えることは禁忌で、その代償に彼は世界から追放され、気づけばこの世界に流れ着いたというのだ。
「…てな感じで俺はこの世界に来たんだけど、ヘスティアはこの世界から出る方法って知らない?」
「……」
「正直色々ツッコミたいところがあるんだけど、ソラ君が話した目覚めの力って眠った相手の心を目覚めさせるもので、応用で他の世界に入り込むものなんだよね…なんでそれが時間を遡って歴史の改変ができるんだよ!?」
ヘスティアはそう言って頭を抱えた。もしそのような禁じられた行為を行なえば神々は全力でその力を行使する前に捕らえ、ソラは間違いなく生命と死の法則を破ったことへの神罰を与えられるだろう。もっとも、ソラはこの世界で禁忌を犯したわけではないから考えるだけ無駄なのだが。
ヘスティアの頭が押し寄せてきた情報で痛んでいた間、ベルはまったく別のことに集中していた。
ベルは、憧れと畏敬の念に満ちた目でソラを見つめていた。異なる世界を旅をしている。ソラは、世界を闇に陥れるような力を利用して、数多くの悪党やモンスターと戦っているのだ。
ベルは、まるで目の前に生きた伝説がいるかのように、ソラから目を離すことができなかった。
一方、ソラは、頭を抱えるヘスティアとベルの熱い視線に恥ずかしそうな表情を浮かべるしかなかった。
「ま、まあ、かなり衝撃的だよね?」
「控えめに言ってね」
ソラの言葉にヘスティアはため息をつきながら言う。
「ソラ君聞いてくれ、君ががこれまでしてきたすべてのことを考慮すると、君を家に連れ戻すのを手伝いたいと思うけど、たとえ僕が
ヘスティアはソラが元の世界に帰るのを助けたいと思っていた。しかし、ヘスティアのが
「そっかぁ。まあ、聞いてみてよかったよ」
ソラは少し失望した様子でそう言ったが、すぐにそれを肩で払った。
「まあ、どうにか別の方法を見つければいいさ」
「でも、どうやって?」
「グミシップが作れたらいいんだけど……?」
「グミシップ?」
ヘスティアはソラの言葉に首をかしげながら繰り返した。
「グミシップは俺がドナルド、グーフィーと一緒に他の世界を旅する時に使った乗り物なんだ。この世界には、グミ素材みたいなのってないのか?」
「僕が知っているのは、ダンジョンから来る素材だけだよ。グミ素材なんて聞いたことがないよ」
「そっかぁ…」
「もしかしたら、ヘファイストスならなんとかしてくれるかもしれないよ。彼女は鍛冶の女神だからね。もしかしたら君のその乗り物を作り出すこともできるかもしれない」
「本当かヘスティア!?ありがとう!」
落ち込むソラを慰めるべくヘスティアは咄嗟に神友であるヘファイストスの名前を出すとソラはヘスティアの言葉に、弾けるような笑顔で歓声を上げた。
「うまくいけば、ヘファイストスがグミシップとやらを作ってくれるかもしれないけど…君はこれからどうするつもりだい?」
「そうだな、この街を探索するのもいいかもしれないし、ダンジョン探検とかもしてみようと思うんだ」
「そうなのかい?まあ、オラリオを見て回るのはいいけど、今のままじゃダンジョンに入るのはお勧めしないぜソラ君」
「どういうことなんだヘスティア?」
ヘスティアの言葉にソラは困惑した表情で聞き返した。
「誤解しないでほしいんだけど、多分だけど君は
ヘスティアは言葉に、ソラは眉をひそめつ。
「残念だけど、神々は自分たちを楽しませるものを求めるのが多いんだ」
ソラの反応にヘスティアはため息をついて答える。
「とにかく、君の正体がバレることは絶対に避けなきゃいけないんだ。他の世界が存在することも、ましてや君がこの世界出身じゃないなんて、他の誰かが知るべきじゃないんだ。それこそ、僕やベル君に話していい内容じゃないんだよソラくん!」
「そうだけど、俺はヘスティアとベルが秘密にしてくれると信じてるし君たちは信頼できるから話したんだ」
ヘスティアの言葉にソラはにっこり笑って言った。
「ソラさん……」
ベルはソラがたった一日も経たないうちに自分たちを信頼してくれていることに感動していた。ヘスティアも笑顔を浮かべた。
「それは嬉しいよソラ君。話を戻すと、僕は君の秘密を守るためにはこの世界に溶け込む必要があると思うんだ。そのためには、ファミリアに加入して
「ファミリアに加入か。だったら俺はヘスティア達のところに入るよ」
ソラの言葉にベルは希望に満ちた目で輝き、ヘスティアは驚いた。
「ほ、本当に!?本当に入ってくれるのかいソラ君!?」
「ファミリアに加入することは、友達と一緒にいるようなものなんだろ。だったらそれはそんなに悩むようなことじゃないし」
ヘスティアの言葉にソラはにっこり笑って答えた。
「そういう考えもあるけど…ファミリアに加入することは、お互いの間に家族のような絆を形成することを意味するんだ」
ヘスティアはソファから立ち上がりながら説明した。
「さて、君が僕たちのファミリアに加わるなら、まずはシャツを脱いでくれ!」
ヘスティアの言葉にソラは驚いたような目で女神を見た。
「え? なんだって?」
「
ヘスティアの言葉に納得したソラはシャツを脱ぎ、ベッドに横たわる。ヘスティアは指を刺し、自分の
彼女が書き終えると、彼女は慎重に
ソラ
Lv.1
力:I 0
耐久:I 0
器用:I 0
敏捷:I 0
魔力:I 0
《魔法》
【ふしぎな力】
・速攻、単射、範囲、付与魔法
・ファイア系、ブリザ系、サンダ系、ケアル系、グラビデ系、ストップ系、エアロ系、召喚等を使用可能
【アトラクションフロー】
・召喚魔法
・一定条件を達成することでアトラクションを召喚することができる
【シュートロック】
・範囲魔法
・キーブレードによって種類が変化する。
《スキル》
【キーブレード】
・あらゆる鍵の開閉
・心を解放する
・斬撃・打撃の変更
・闇の魔物に対して高い攻撃補正
・手元に召喚可能
・資格のある者に一時的に貸し出し可能
・キーチェーンを変更すると形、性能、アビリティが変化する
【フォームチェンジ】
・服装とキーブレードが変化する。
・一時的に発展アビリティ、スキルが発現
【フリーフロー】
・機動高補正
・対象に向かって一直線で向かう
【リンクコネクト】
・一定条件の達成時味方にスキルや魔法が発現、変化する。
「はあああぁああ!?」
ソラのステータスを見てヘスティアは驚愕する。
「あっ、また力がなくなってる!?」
ソラは自身の
「また…?」
ソラの言葉にベルは困惑する。
「いや、ボクたちの
ヘスティアの言葉に、ソラは安堵のため息をついた。
数度も能力を失っていたソラからしたらまた能力を失うなど勘弁なのだ。
「そんなことよりも!なんだいこれは!? 魔法が最初から3つあるし、一つの魔法で複数の魔法が使えるし、しかも詠唱が無いなんて!? 」
頭を悩ませるヘスティアはソラのスキルに書かれた説明に頭を混乱させてまた叫ぶ。
「なんだよこのキーブレードってスキルは!?あらゆる鍵の開閉に心の解放とかやばいことができるし、しかも他の人に貸せるし、リンクコネクトとか頭おかしいよ他者に魔法とスキルを発現させるとかなんなんだよ!?」
ヘスティアのツッコミの嵐にベルは思わず尻込んでしまう。
「そんなおかしいのかな?」
ステイタスが記された羊皮紙と、キョトンとしているソラの顔。
その二つを交互に見比べるヘスティアの表情は、まさに百面相と呼ぶにふさわしいものだった。
目を見開いて驚愕したかと思えば、眉間に皺を寄せて苦悩し、次は頬を引きつらせて戦慄する。神としての知識と常識が、目の前の少年の存在によってガラガラと崩されていく音さえ聞こえてきそうだ。
あまりに目まぐるしいヘスティアの様子に、ソラは思わず首を傾げる。
なんでそこまで慌てるんだろう? そんな疑問が顔に出ていたのか、ヘスティアはプルプルと震える指でソラを指差した。
「……こんなスキルに魔法なんて、前代未聞なんだよ。君はもっと自分の異常性を自覚するんだ!」
悲鳴にも似た説教。けれど、ソラは困ったように眉尻を下げるだけで、ピンときていない様子だ。それどころか、彼は「買いかぶりすぎだ」とでも言うように、さらりととんでもないことを口にし始めた。
「いや、でもキーブレードは『継承』して使い手を増やすものだけど、俺はまだキーブレードマスターじゃないからそんなことできないし」
ソラの言葉は軽い口調だったが、続く言葉はさらにヘスティアの度肝を抜く。
「それに魔法だって、俺なんかより王様やジーニー、それにマーリン様やイェンシッド様とかのがずっとすごいし。……うん、たぶんベルだって頑張れば、俺ぐらい使えるようになるって」
「――――」
ヘスティアの思考が一瞬、停止した。 今、この子はなんと言った? 自分より上がいる? それは百歩譲っていいとしよう。だが、その前の単語はなんだ。
「……ねぇ、待って」
ヘスティアは引きつった笑顔のまま、恐る恐る尋ねた。
「『継承』ってなに!? キーブレードって使い手を増やせるの!?」
この下界において、
「それに、君以上の魔法が使える人がゴロゴロいるとか……外の世界って魔境すぎない!?」
頭を抱えて絶叫するヘスティア。
ソラの以上の魔法使いが闊歩し、あまつさえ力を「継承」して増殖する世界。そんな場所から来た規格外の迷い人に加え、彼はこともあろうか、まだ駆け出しのベルがそこまでいけると言うのだ。
ヘスティアは天を仰いだ。
とんでもない爆弾が来てしまったと思い、彼女の胃はキリキリと痛み始めるのだった。
もっともソラがあげた人物たちも他の世界で比べれば上澄なのだが今のヘスティアには知る由はないのであった。
「すごい…これが英雄…!」
ベルはソラの
「はあ、はぁ、これ以上ツッコンでいたら僕の気が持たないよ。ベル君!次は君の番だ!」
「ああ、はい!」
ベルはヘスティアの言葉にすぐにシャツを脱いでベッドに向かい、ヘスティアは
ベル・クラネル
Lv.1
力:I 77 → I 82
耐久力:I 13
器用さ:I 93 → I 96
敏捷性:H 148 → H 172
魔力:I 0
【スキル】
【魔法】
「わぁ!敏捷性が大幅に上がってます!」
ベルは自身の変化に嬉しそうに言った。
ソラはベルのステータスを見てつぶやく。
「ということは、24は多いということなのか?俺はてっきり100ぐらいだと思っていたんだけど」
「大体冒険者の平均的な成長はもっと低いね。それ以上の
「そうなのか?Lv.のこれは強くなるとLv.アップするのか?」
「うん。Lv.アップは強くなるためもので。Lv.が高いほど、強くなる。だけど、高いLv.に到達することは困難なんだ。一部の冒険者はLv.|2(ツー)に到達せずに冒険者を引退することもあるんだとか」
ソラの疑問にベルは説明した。
「そうなんだ。じゃあ、ここにはLv.99みたいなものはないのか?」
ソラは言葉に、ヘスティアは信じられないという表情でソラを見た。
ソラから大したことを聞いたつもりはなかった。ただ単にトイボックスで見たゲームの最大Lv.が99だったからだ。
「Lv.99?どんなLv.を考えているんだい?今、最も高いLv.を持つ冒険者は、フレイヤ・ファミリアの団長でLv.7なんだぜ」
「Lv.7?それが到達できる最高Lv.なのか?」
ヘスティアの説明にソラは好奇心旺盛に尋ねた。ヘスティアは腕を組みながらうなずく。
「いや、ボクが知っている中でそれ以上だとLv.8に到達したゼウス・ファミリアの団長とヘラ・ファミリアの団長がLv.9がいたと思う」
ソラはヘスティアが上げた名前を聞いて驚きで目を大きく見開いた。
「ま、待ってよ、ゼウス!?ヘスティアはゼウスを知っているのか!?」
ソラの尋ねに、ヘスティアは顔をしかめた。
「うん、まあ、ボクとゼウスは古い知り合いだからね。なんでゼウスの名前を聞いて衝撃を受けているんだいソラ君?」
ゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアは、彼がこの世界出身ではないことを考えると、ソラを除いて誰でも知っている伝説的なファミリアだ。しかし、ソラの反応は別のものであり、それは彼女の好奇心をそそった。
「俺、前にオリンポスでゼウスと会ったことがあるんだ」
「な、なんだってぇ!?」
ヘスティアはソラの言葉に驚きのあまりに叫んだ。
「ど、どうやって会ったんだい!?聞いた話じゃ君はこの世界に来たのは初めてなんだろ!?それにオリュンポスは天界にあるだよ!死んでいない限り、天界に入ることはできない!いったいどうやってに入ることができたんだ!?」
「わあ、ソラさんはすごいですね」
「ベル君、今感心している場合じゃないんだよ!」
ヘスティアは叫びに。ソラは少し混乱した表情を浮かべるだけだった。
「待って、オリンポスに入るには死ななければいけないのか?俺はドナルドとグーフィーと一緒に生きて入ったんだ。一緒に入ったヘラクレスも生きていたんだよ」
ソラはオリンポスのテーベの都市を思い出して説明する。
「ま、待ってよ、オリンポスの入り口に
「お、落ち着いてください、神様」
ベルは必死にヘスティアをなだめようとする。
「あの、ソラさん、もう少し詳しく説明してもらえますか?」
ソラはベルに説明を促され自分が知っているオリンポスのことやヘラクレスについて説明するがソラの説明にヘスティアは額をこすりながらうめく。
「待って、待ってくれ。これは、僕たちが知っていることに似ているけどいくつかは僕らの世界じゃありえないんだよ」
ヘスティアは手を広げてソラに向かって言った。
「もう一度最初から話そう。ボクはゼウスを知っているけど、君の言うゼウスとは別神だよね」
ヘスティアは眉をひそめながら要約し、これを解明しようと頭を悩ませていた。
「外の世界には同じ名前の神様もいるんですね」
「しかし、まさかヘラクレスのお父さんと同じ名前の神様がいるなんてなぁ。もしかしてハデスとかヘラクレスもいるのか?」
「ヘラクレス?」
ソラの言葉にヘスティアは眉を上げて尋ねた。
「ああ、ヘラクレスはゼウスの息子で
ソラの言葉にヘスティアはまともや驚愕の声を上げる。
「えっ!?他の世界の神って子供を作れるの!?
「え、あぁ、ヘラクレスがゼウスのことを父さんって言ってたし…」
「はぁああ!?」
「あの、ソラさん。他の世界のゼウス様とヘラクレス様ってどのような神なのですか?」
神々を子を成せる世界のことを知りヘスティアが叫んでいると、さっきまで黙って聞いていたベルがソラに質問する。
「うーん、そうだなぁ…そうだ!」
ソラは何を言うべきか頭をうねらせていると何かを思いついたのかモバイルポータルを取り出した。ソラはモバイルポータルでとある写真を探し始める。
「ソラさんそれは?」
「話すよりも実際に見せる方が早いと思ってな、これ俺が会ったゼウスとヘラクレスだ」
ベルの困惑したような質問にソラはモバイルポータルのアルバムからヘラクレスとゼウスの2ショット写真を二人に見せる。
「ほら、これがヘラクレスとゼウスだ」
「待ってくれ…それはゼウスなのか?」
ヘスティアは眉を上げて尋ねた。ソラはうなずいた。
「…どう見てもボクが知ってるゼウスじゃないはずなのに僕の中の何かがゼウスだって判断している…これは一体?」
ヘスティアはつぶき、彼女の頭はもう一度痛くなった。
「これが外の世界のゼウス様…」
ヘスティアが頭を痛める一方でベルは興味津々でモバイルポータルに映る二人の写真を眺めていた。
「アーッ、もういい!二人のゼウスについては後でいい!ボクは頭が痛いからもう寝る!!おやすみ!」
ヘスティアは叫びながら、疲れ果ててソファに顔を向けて倒れた。
「俺、ドナルドが他の世界についての教えちゃいけない理由がよくわかったよ」
ヘスティアの反応にソラは弱々しく笑うのだった。
「あの、ソラさん。神様が寝込んだところ悪いんですけどさっきのヘラクレスさんってどんな人物なのですか」
「ソラでいいよベル。そうだなヘラクレスの話をするならあんまり眠れなくなるけどいいか?」
「はい。お願いします!!」
そこからソラはドナルドとグーフィーと一緒にケルベロスやヒュドラと戦ったこと、ヘラクレスやアーロンについて話をするのだった。
外の世界の話を聞くベルは目を輝かせていた。
・
一晩休んで休息を取って頭痛が収まったヘスティアは、ゼウスが二人いることについては後日改めて話すことにしたのだった。
ソラはベルと一緒にダンジョンに潜るべくギルドに登録しに
「おはようございます、エイナさん!」
「あら、おはようベルくんと、ソラ氏もおはようございます」
元気に挨拶したベルにエイナも元気に挨拶を返す。
「ソラ氏は登録にいらしたんですね?」
「はい!ヘスティア・ファミリアの新しい
ソラはベルの言葉ににやりと笑って、親指で自分を指差した。
「そうですか、それでしたら、こちらが登録用紙になります。
「
そう言ってエイナはソラに登録用紙を渡すが
「わかりました。代わりに書きますので種族等をお願いします……」
エイナにそう言われソラは聞かれたことに淡々と答えるのだった。
「問題ないようです。ただ今をもちましてあなたを冒険者と認めます。改めまして迷宮都市オラリオへようこそ、ソラ氏。私達はあなたを歓迎します」
「おう、よろしくなエイナ!」
「それでは引き続き冒険者として活動する上での契約内容、諸注意に移らせていただきます」
「いや、それはいいよ」
ソラの言葉にエイナは笑顔のままひくりと口端を引きつらせる。
その光景を見てベルの顔が真っ青になるのだった。
「ソラ氏?私の勘違いなら良いのですが、もしかしてダンジョンを侮ってはいませんか?」
「いや、そういうことじゃなくて冒険者の心得とかはベルに聞けばいいと思うし、それにほら、いつまでもベルを
ソラはエイナの笑顔に引きつりつつエイナが納得する言葉を投げかける。
実際ソラの言葉は彼がこれまでの旅の中で実感してきたものであり、友達のベルを一人にしたくないのはソラの本心であるのだ。
「確かにそれは一理あります……」
「だろ、じゃあ俺たちはダンジョンに…」
ソラの言葉に納得しかけたエイナを尻目にさっそくとばかりにソラはベルとダンジョンへ向かうのだった。
・
二人はギルドを出て、ダンジョンの入り口があるバベルと呼ばれる塔へと向かった。
その中でソラはオラリオをまじまじと見まわっていた。
他の世界と比べるとオラリオはもの珍しいものが多く、ソラはいつかリクたちと再会したときの思い出語りのためにモバイルポータルで写真を撮る。
そんな光景に近隣住人に訝しく見られている中、ベルはかつてオラリオに来た事を思い出し微笑ましくソラを見ていた。
「あはは、ソラ…早く…?」
ベルはソラに声を掛けようとした瞬間に背筋に冷たいものが走るのを感じて凍りつく。ベルはすぐさま振り返って、辺りを見渡すが誰もいない。
「どうかしたのか、ベル?」
ソラはそんなにベルの様子に心配そうに尋ねた。
「な、なんでもない…」
「あの…すみません…」
「ひぇっ!?」
ベルは驚いて叫び声を上げた。振り返ると、誰かが自分の後ろに立っていた。ソラも突然現れた少女に少し驚いた。
少女は白いブラウスに薄い緑色の膝丈スカートを身に着けていた。その上にエプロンをしている。シンプルな青灰色の髪は頭の後ろでしっかりとまとめられているが、その中心からポニーテールが飛び出している。彼女の目は髪と同じ色をしていた。
「あ、あの、すみません、何かご用ですか?」
「あ…はい。これ、落としましたよ」
少女はベルに魔石を差し出した。
「魔石?え?」
ベルは腰に結び付けられたポーチを見返しながら言った。
「わざわざありがとうございます!」
「いえいえ、どういたしまして。この時間にダンジョンに向かうのですか?」
少女は尋ねているとベルのお腹がくうと鳴るとベルはすぐに恥ずかしさで顔を赤らめた。ソラは頬を掻きながら笑った。
少女はくすくす笑い、少し待っててくださいと言って、後ろの建物の中に走っていった。しばらくすると、彼女は小さな籠を持ってベルのところに戻ってきた。
「もしよかったら…私の朝食しかないのですが…」
「え? いやいやいや、そんな悪いですよ初対面の人にお弁当なんて」
ベルは少女のためにと、差し出された食べ物を必死に断ろうとしたが少女はふくれっ面をして、彼に籠を押し付けた。
「お腹を空かせたままにはしておけません。そんなことをしたら、人として悲しくなってしまいます。だからお願いです、冒険者さん、私のために受け取ってください」
少女は懇願にベルは目の前の籠を見て少し萎縮した。
「そ、そうですね…そこまで言うなら、断れませんね…」
ベルは彼女から籠を受け取ると少女の顔にいたずらっぽい笑みが浮かび、ベルの顔に数センチまで近づいた。
「冒険者さん、私の朝食を差し上げます。だからその代わりに、今夜の夕食は是非当店で…約束ですよ」
少女は明るい笑顔で言い、ベルは少し口をあんぐりとした。
「…わ、わかりました」
「ふふ、ありがとうございます」
少女は楽しそう笑顔にベルは萎縮するのだった。
「おーい、二人とも…」
二人のやり取りを黙って見ていたソラが口を開いた。
「店に着いたら声かけれるように君の名前を教えてくれない?俺はソラ」
「僕はベル・クラネルと言います」
「シルです。シル・フローヴァ。お待ちしていますよソラさん、ベルさん!」
シルは自己紹介をしてから、自分が働いている店へと走って戻っていくのだった。
二人は少女が建物の中に駆け込んでいくのを見送り、自分たちも目的地へと向かうことにした。二人がバベルに向かって歩いていると、ソラはにやりと笑ってからかうようにベルにふざけて肘鉄を食らわせた。
「やるじゃん、ベル。女の子が待っててくれるなんて」
「そ、そんなんじゃないよ!」
ソラの言葉にベルは顔を赤らめて叫ぶのだった。
・
バベルにたどり着き、ダンジョンの入り口まで降りるたソラ達は1階層を探索していた。
「で、いつモンスターが出てくるんだ?」
ソラは探索している中でベルに尋ねた。
彼がそう尋ねるとすぐに、壁が崩れ始め、ゴブリンが壁から這い出てきた。ソラはダンジョンにモンスターが出現する現象に驚いた。
「ダンジョンでは、モンスターはこうやって生まれるのか?」
「うん。ダンジョンで生まれるモンスターは成長した状態なんだ。来るよソラ!!」
ベルはゴブリンが自分たちの方に向かって走り始めたので、身構えながら叫んだ。ソラはゴブリンを見て、キーブレード【キングダムチェーン】を出現させ、ゴブリンに対してソラは片腕でキーブレードを横に振るだけで、ゴブリンを壁際に叩きつけ、床に倒れ伏させた。ゴブリンは一撃で死んだ。
沈黙の後、ソラはベルの方を向いた。
「…え、それだけ?」
ソラの言葉にベルは弱々しく笑いながら頬を掻いた。
「うん、一階層モンスターはこんな感じだけど、ソラの経験を考えれば、問題ないね」
「ううん、シャドウの方がまだ手応えがあったな」
ベルの説明にソラはダンジョンでの最初の敵との遭遇に少しがっかりした様子で言うのだった。
「シャドウ? ウォーシャドウのこと?」
「ウォーシャドウ?」
ベルの尋ねるのような言葉にソラは困惑した顔で尋ねた。
「6階層に出現するモンスターで、体が影でできているらしく、とても柔軟性があって物理攻撃はあまり効かなくて新米の冒険者に強敵だとか…」
「ハートレスのシャドウみたいな感じかな?」
ベルの言葉にソラは、ウォーシャドウがどんな姿をしているのか興味を持った。
「じゃあ、ここでぐずぐずしててもしょうがない!よし、ベル、できるだけ早く階層を進もう!」
ソラはそう言って走り出した。
「あ、待ってよ、ソラ!」
ソラを追いかけていると、あっという間に4階層の終わりに到達しようとしていた。行く手を阻むモンスターは、ソラのおかげですべて瞬殺されていた。そして、より多くのモンスターが現れ始めると、ベルも戦闘に参加するようになった。とはいえ、ほとんどの場合、ソラに注意を払っていないモンスターと戦っていた。
「すごい…モンスターをいとも簡単に…」
階層を進む間、ソラは剣術と、目の前の敵を圧倒する力とスピードで、モンスターを次々と倒していったようすにソラは感嘆の声を上げる。
そうしているとベル達は、すぐに廊下の先に5階層への入り口を見つけた。
「あ、この階層の終わりに着いたようだな…」
ソラはそれを見て頷き、先へ進み始めた。
「よし、もっと探検しよう!」
ソラは前へ進みながら言い、ベルは驚いてソラの方を向いた。
「え!? 待って、本当に? ソラは大丈夫だとは思うけど僕には…!」
ベルはソラの行動に難儀の声を出すが、ソラはゆったりとした笑顔でベルの方を向く。
「エイナの言葉の通りなら危険だ。だけど今は俺がそばにいるし、さっきモンスターと戦うベルの姿を見たけど、ベルはうまくやっているように見えるよ。それに、ヘスティアから聞いたんだけど、強い敵と戦うことでたくさんの
「確かにそうだけど…」
ソラの言葉にベルは少し躊躇しながら昨日の記憶がフラッシュバックする。
「ああ、ミノタウロスのこと? まあ、あれはただの不運なケースで、普通はあんなところにいるはずがないんだろ。それに、もし万が一またそうなっても、俺が助けるよ」
ソラは安心させるような笑顔で言った。
「ソラ…」
ベルは、ソラが自分のためにいて、守ってくれると聞いて嬉しかった。しかし、危険な状況から救い出してもらうためにソラに頼らなければならないのは、ベルにとって心地よいものではなかった。
ベルはそんな考えをしていた自分に反省して拳を握りしめた。
「わかった。じゃあ、行こう!」
「その意気だ!行こう!」
「うん!」
ソラの言葉を皮切りに二人は5階層へと向かった。
5階層ではベルが以前の階層で戦っていたものよりも強く、出現率も高かった。そこでソラはベルにスリースターズ、プロテガネックレス、ソルジャーピアスを装備させたソラはベルに
最後のコボルトは苦痛の叫び声を上げ、そして生気なく床に倒れた。ベルは軽く息を吐き、袖で額の汗を拭った。
「やったなベル!これでこの階層のモンスターには十分対応できてるじゃないか」
ソラは笑顔でベルを褒めた。それを聞いてベルは笑顔になる。
「そうかな?ソラみたいに楽に倒せるわけじゃないし」
ベルは、モンスターの集団に囲まれた時にソラがどのように自分の背後を守ってくれたのか、そしてソラがいかに簡単にそれらを倒したのかを思い出しながら言った。
「でもこれは俺の話じゃなくて、ベルの話だ。それに、ベルには必要な冒険だろ?」
「そうかな」
ソラの言葉にベルは小さく笑い、5階層を見回す。
「うーん…この階でかなり長い間戦ったな。今日はもう終わりにしよう…」
「え、でも、ソラはウォーシャドウを見たいんじゃ…?」
「見る機会なんて次でもいいさ。それにこの後はシルのところに行くんだろ?疲れた状態じゃご飯は喉に入らないぞ…」
「そうだね…」
「よし、今日はもう終わりにしよう。次はもっと下の階まで行こう」
ソラの言葉にベルは頷き、ソラと一緒に振り返って戻り始めた。歩きながら、ベルはソラに話しかける。
「ねえ、ソラ?」
「なんだ?」
「ソラが戦ってきたハートレスやノーバディってはダンジョンのモンスターと比べてどれくらい強いの?」
ベルは興味津々な疑問にソラは瞬きをし、腕を組んで考えながら唸った。
「そうだな……」
ソラが何かを言う前に、彼らの周りに闇が形成され始め、ソラ達の眼前でシャドウ、ソルジャー、フーカバー、ラージボディが埋め尽くし始めた。ソラ達の目の前には、たくさんのハートレスが出現した。
「ハートレス!」
ソラは驚いて叫んだ。
「え!?ソラがいろんな世界で戦ってきたモンスターのことだよね!?」
ベルは驚きながらナイフを掴んで戦闘態勢に入った。彼はハートレスを驚いた顔でハートレスたちを観察する。
「ああ!気をつけろベル!こいつらはさっきのモンスターよりもずっと手強いぞ!」
「わ、わかった!」
ベルの心臓は不安と恐怖でドキドキしていた。これがソラが自分の世界で相手にしてきたモンスターなのか。そして、どれもベルが普段相手にするモンスターに比べて、かなり暗くて恐ろしい姿をしている!
しかも、その数はベルが今まで相手にしてきたどのモンスター集団よりもはるかに多かった。まるでエイナが話していた
だがベルは彼は目を大きく見開いてハートレス達と相対する。するとソラが対峙している方ほど多くはないが背後にもハートレスが数体現れる。
ソラは前に突進し、自分に向かってくるハートレスの大群を切り裂き始めた。そのため、ベルは一人で戦うことになり、数体のシャドウが彼に向かって飛びかかり、斬りつけようとした。しかし、ベルはすぐに横に移動し、ナイフで斬りつける。斬られたシャドウは壁に向かって飛んでいったが、すぐに地面に溶け込み、再び彼に突進と同時にソルジャーがベルを蹴ろうとしたので、ベルは攻撃を避けるために再び横にジャンプしソルジャーの側面にきれいな切り傷をつけた。
少しよろめいたソルジャーにベルが追撃を放とうとソルジャーに狙いを定める。
「っ!?」
しかし突如右足に痛みを感じ、顔をしかめたベルは足下を見ると、シャドウが地面から立ち上がってベルの右足に攻撃していた。
ベルはすぐにナイフをシャドウの頭に突き付けシャドウを消滅させる。
これでシャドウ一体を倒すことができたが、他にもまだいた。
ベルは彼は歯を食いしばり、ナイフを構える。
一方、ソラはキーブレードの一撃ごとに多数のハートレスを切り裂き、ラージボディに向けてファイガを放ち、ハートレスに命中させて消滅させながら思考する。
(なんでハートレスがこの世界に?それに、このハートレスの数と強さは異常だ。今までこんなに大量に現れたことはなかった…誰かがここでハートレスを操っているか、引き寄せているとしか考えられない。でも、一体誰が…?)
ソラは困惑した顔で考え、そして空中へ飛び上がり、ラージボディの背中に斬りつけながら戦闘に集中し直した。
そしてソラは、自分とベルを取り囲む多数のハートレスを排除するべく、2ndフォームに切り替える。
「へいっ!やっ!」
ソラは目の前で連続斬りを繰り出し、ハートレスを倒し、そしてキーブレードを振り下ろしてエクスプロージョンを放つ。ソラの周りに光の渦が現れ、周囲のシャドウ、ソルジャー、ラージボディは光の渦によって消滅した。さらにソラはハートレスの群れの中を突き進み、リップルドライブを放って周囲のハートレスを撃破し、数体のラージボディを空中に打ち上がり、ソラは空中に飛び上がり、多数の空中浮遊するフーカバーを斬り落とし、マグネットバーストでそれらすべてを引き寄せ、爆発させてハートレスを撃退する。
ソラが地面に降り立つと、さらに多くのハートレスが埋め尽くし、彼に向かってきた。
「この世界で何かが起きているのか?…」
ソラは顔をしかめながら、目の前の多数のハートレスと戦うために飛び立った。
・
ソラが自分の戦いに集中している間、ベルはまさに命がけの戦いに直面していた。
ベルは最後のソルジャーを胸に突き刺して倒した後、激しく息を切らしていた。体にはソルジャーによる複数の引っ掻き傷ができていた。幸いなことにフーカバーとラージボディはすべてソラの戦闘側にいたので、シャドウとソルジャーだけを相手にすることができて幸運だった。
彼は後ろを振り返り、ソラがやすやすとハートレスの大群を切り裂いているのを見て目を丸くした。ソラは少しも疲れているようには見えなかった。
「…これがソラの強さ…」
ソラの光景にベルは畏敬の念を抱いて呟く。
「強いことは知っていたけど、ここまで強いなんて」
それでも、ソラへの尊敬と畏敬の念を抱きながらも、ベルはすぐに周りを見渡すと地面に衝撃を感じ、ナイフを構えるとラージボディが出現する。
ベルはラージボディを見て顔をしかめたがすぐにナイフをしっかりと握りしめラージボディに腹を刺すが、彼の刃はラージボディの体に跳ね返されてしまう。
ラージボディは体を振り回し、ベルを手のひらで払いのけベルは地面に叩きつけられる。
「ぐがぁあああ!!?」
ベルは痛みで叫ぶが歯を食いしばり再び立ち上がる。
(考えろ!どうすれば
ベルがラージボディの撃退方法を考えている内に、ラージボディはベルに向かって突進する。ベルは目を大きく見開き、転がって避ける。ラージボディはベルの後ろの壁に激突し、背中を天井に向けて倒れる。
ベルはラージボディの無防備な背中を見て、チャンスとばかりにラージボディの背中にナイフ突き付ける。
幸いなことに、ナイフはラージボディの背中に突き刺さり、ベルはこのチャンスを活かすべく何度も刺す。しかし刺している最中にラージボディは立ち上がり、地面を踏み鳴らした。ベルはその衝撃波を感じて後ろに転倒する。
「こんなに切りつけても、まだ動けるの…!?」
ラージボディはベルに振り返り、再び走り始める。今度は地面に飛び乗って滑ってきた。ベルはこれを見て目を大きく見開き、突進を避けるために横に避けるがラージボディは軌道を変え、ベルに突進する。これをベルはもう一度横に避ける。
「どうやって、倒せばいいんだ…?」
ベルは少々思考した後、危険な賭けを行うことにした。
ラージボディがベルに迫ってきた時、ベルは横に避けると同時にナイフを横に振り、ラージボディの背中に突き刺しラージボディの背中に乗る。
ラージボディはベルを振り落とそうと暴れたが、ベルは頑固にしがみついていた。そうしているうちに、ベルは顔を上げると、ハートレスと戦うソラの後ろ姿が見えた。
「危ない!」
ソラはベルの声を聞いて振り返ると、ベルが滑ってくるラージボディの背中に乗っているのが見えた。彼はすぐに横に飛びのき、ベルとハートレスを通り過ぎさせた。そして、ソラは自分が見たものに驚いて瞬きをした。
ベルとラージボディはハートレスの大群の中を突き進み、ハートレスたちは吹き飛ばされる。
「ああああぁあああぁぁああ!?」
ベルが叫び続けている中、ラージボディはハートレスの大群を吹き飛ばし、そのまま壁に激突。その衝撃で、ベルは跳ね返される。
「うぅ……」
ベルは地面に倒れこんでうめき声を上げたが、なんとか立ち上がりラージボディに視線を集中していると、ラージボディがよろめきながら弱々しく立ち上がろうとするがすぐに床に崩れ落ち、消滅するのだった。
ベルは少し息切れをし、心臓がドキドキしているのを感じたがすぐさま用心深く周囲を見回し、他にハートレスが現れないか確認した。振り返るとソラが最後のハートレスを倒し、彼に向かって走ってくるのが見えた。
「ベル! 大丈夫か!?」
ソラはベルに呼びかけた。
「だ、大丈夫!…」
ベルは答えたが、ハートレスから受けた傷で顔をしかめた。
「待ってろ、すぐに治す。癒しよ!」
ソラはベルの前でキーブレードをかざし、緑色の光がベルを包み込んだ。ベルはすぐに傷が消えていくのを感じ、気分が良くなった。
「ありがとう…ソラ! 」
ソラの回復魔法がこれまで使っていたポーションよりもはるかに強力だったことにベルはソラに畏敬の念を抱いてお礼を言う。
ベルは立ち上がると、心配そうに周囲を見回した。
「でも…どうしてハートレスがダンジョンに?ボクはダンジョンにいる間、一度も見たことがなかったのに」
「いや、ベルはハートレスと会ってはいるよ。俺とベルが出会った時に倒したのもハートレスだったし、それにキーブレードがハートレスを引き寄せるんだけど……」
「だけど?」
「普通、ハートレスはこんなに大量に現れないんだ。俺自身過去に大量のハートレスと戦ったことはあるんだけど、それは真
「モンスター以外にもハートレスがダンジョンをうろついているなんて…」
ダンジョンにハートレスが出現することにベルは不安の言葉が溢れる。
「ソラはすごいよ。モンスターパレードに匹敵するものを一人で相手にするなんて。僕はなんて少数のハートレスにも苦労しているのに…まだまだだな…」
ベルは自分の今の強さに苦々しさを感じながら、憂鬱な顔をして静かに言った。
「ベルは一人じゃない、俺やヘスティアがいる!それに誰だって最初は弱いんだ」
ソラはベルの手を取り、力強く握り返した。ベルはソラの力強い握手に驚きながらも、その温かさに勇気づけられた。
「うん!」
二人は握手を交わし、互いに力強い視線を交わした。その瞬間、ベルの心には新たな決意が芽生えた。彼はソラと共に、この世界を守り、そして自分自身の限界を超えていくことを誓ったのだ。
・
ギルドに戻り魔石を交換した際に5階層を探索したことを知ったエイナに軽く叱られた二人は
「はぁあ!? ハートレスがダンジョンに!?なんで!?」
ベル達の報告にヘスティアは驚愕の声を上げる。
「それは俺にはわからない。だけどハートレスが現れたなら鍵穴を見つければなんとかなるかも…」
「これはまずいよ。僕たちの世界はダンジョンのモンスターだけでも手一杯なのに。今度はハートレスにも対処しなければならないの?勘弁してよ…」
ベル達の報告にヘスティアはうめき声を上げた。
「心配しないでくれヘスティア。ハートレスがこれ以上被害を出さないように俺頑張るから」
「頑張ってくれるのは良いけど、用心するに越したことはないよ!ソラ君は一人でハートレスを相手にすることができるかもしれないけど、ベル君はまだLv.が低いし、ハートレスから身を守るためには、力が必要だから。さっそくステータスを更新しようベル君!」
「はい!」
すぐに、ヘスティアはベルの背中に乗って、彼の
ベルは更新されたステータスを見て、ヘスティア同様に受けて目を丸くした。
「…え? 神様?こ、これ、本当に合ってますか?」
ソラは身を乗り出して羊皮紙を見た。
ベル・クラネル
Lv.1
力:I 82 → G 282
耐久:I 13 → H 153
器用:I 96 → H 195
敏捷:H 172 → F 307
魔力:I0
スキル:
魔法:
「400を超えてる!」
ステータスに書かれたことを見てベルは驚いて叫んだ。
「君とベル君がダンジョンでモンスターやハートレスと戦ったていても、こんなに上がるなんて、ソラ君なにか心当たりはないかい?」
「ええと、多分だけどベルがラージボディに乗って、ハートレスの大群の中を突き進んでいったのが
「あれは二度としたくないな…」
ベルは呟き、ハートレスの大群の中を移動した経験に身震いした。
「そうか?ハートレスに乗るのは、戦闘で役に立つよ」
ソラはベルの苦言にザ・カリビアンでヴェイパーフライに乗ってハートレスを撃ち落とした経験から有効だとベルに伝えるがその言葉にベルの顔は縮こまるしかなかった。
「とにかく、ソラ君のステータスも更新しよう」
「おう!」
ヘスティアはシャツを脱いだソラのステータスを更新しソラに羊皮紙を渡す。
ソラ
Lv.1
力:I0→I3
耐久:I0→I1
器用:I0→I1
敏捷:I0→I4
魔力:I0→I2
《魔法》
【ふしぎな力】
・速攻、単射、範囲、付与魔法
・ファイア系、ブリザ系、サンダ系、ケアル系、グラビデ系、ストップ系、エアロ系、召喚等を使用可能
【アトラクションフロー】
・召喚魔法
・一定条件を達成することでアトラクション召喚を可能
【シュートロック】
・範囲魔法
・キーブレードによって種類が変化する。
《スキル》
【キーブレード】
・あらゆる鍵の開閉
・心を解放する
・斬撃・打撃の変更
・闇の魔物に対して高い攻撃補正
・手元に召喚可能
・資格のある者に一時的に貸し出し可能
・キーチェーンを変更すると形、性能、発展アビリティが変化する
【フォームチェンジ】
・服装とキーブレードが変化する。
・一時的に発展アビリティ、スキルが発現
【フリーフロー】
・機動高補正
・対象に向かって一直線で向かう
【リンクコネクト】
・一定条件の達成時自身或いは味方にスキルや魔法が発現する。
「あれ? ベルほど上がってないな…」
「ソラが
「そ、そうだね、そうかもしれないね」
ヘスティアは少しどもり、咳払いをした。
「とにかく、この成長は祝うべきだ!ベル君!確か夕飯に招待されたんだよね?今日はそこで豪華なディナーと行こうじゃないか!」
「は、はい!」
ヘスティアの言葉にベルは頷く。
「いいね!俺もお腹が空いたし、どんな料理があるのか気になる」
ソラの言葉を皮切りにベルはソラと一緒に
ヘスティアはソラ達が部屋を出ていくのを確認するために、さらに数秒間注意深く待つ。そして、彼らが確かに
【
・早熟する。
・懸想が続く限り効果持続。
・懸想の丈により効果向上。
このスキルがベルに発現した時ヘスティアは強い衝撃が受けた。
他人の手で愛しのベルが変わってしまったこともあるしこのスキルを教えたくもないとヘスティアは思ってしまう。
しかしそんなベルよりも遥かに異常であることがありヘスティアは酷く冷静でいた。
そうして
外の世界という神々すらも知らない世界からやってきた少年。その少年が現れると同時に出現したハートレス。これらのことは彼女の数億という
他の神々であれば新たな未知の出現で大喜びするところだがヘスティアはそうはいかない。
ハートレスが出現した世界は放っておけば世界を闇に沈めるという事実に彼女は戦慄した。
ありがたいことに、ソラはハートレスを倒す経験が豊富だというのだ。うまくいけば、ソラが動いて他の神々に外の世界なんてことは目立たず、解決ができるかもしれない。だが、そのためにはベルも協力しなくてはいけないだろう。
ベルがソラと一緒に戦う。
ヘスティアはくしゃくしゃになった羊皮紙を取り出し、それを広げ始めた。そうしながら、彼女は自分が何度も瞬きし
それがベルに発現したスキルにあからさまな態度で取り乱さなかった理由である。
【リンクコネクト】
・一定条件の達成時味方にスキルや魔法が発現する。
このスキルの効果だけでもソラがばかげていることなど100人の神が見れば、ほぼ全員はヘスティアに同意するだろう。しかもこのスキルの対象は同じ派閥ではなく味方。ソラの味方の定義しだいだが下手をしたらソラと一緒に戦うと、他の人々に新しいスキルと魔法が発現するなど前代未聞のことだ。
そしてただでさえこの効果で頭を悩ませるヘスティアを発狂寸前まで追い込む項目がある。
だがベルとソラは、ヘスティアが実際にはソラのスキルのさらに重要な詳細をいくつか省略していたことを知らなかった。
・味方の成長を促進する
・効果は、味方との絆の強さに基づく。
これを見たヘスティアが発狂しなかったことは彼女の偉業と言ってもいい。ベルの
もしソラがこのことを知ったらと考えるとヘスティアは身震いする。ソラは純粋なところが大きい。口止めすれば他の人にペラペラ喋ってしまうことはないだろう、だがソラは隠すのは苦手なところがある。なによりもしソラを他の神々が勘付いてしまえば、ソラは他の神々に追いかけられることになるだろう。
それに、ソラがベルとの絆がベルにとっての増幅になると知ってしまえば効果が薄れてしまう疑念が出てしまうかもしれない。
だから彼女は秘密にしていたのだ。そうすれば、神々がソラに質問してきた時に、ソラは知らないことを話すことはできない。だが彼と味方の間で発現するということは、ソラの【リンクコネクト】は最終的に明らかになる可能性が高い、ヘスティアができることは黙っとくぐらいしかできない、できることならソラが他派閥とパーティーを組むのを最小限にするためにミアハやタケミカヅチ等といった神友を頼るのがいいのだがベルから聞いたハートレスの事を考えればヘスティアはその考えを実行するのは難しい。ソラが歩く
ヘスティアはソラとベルのステータス羊皮紙を暖炉に放り込み、炎で灰になるまで燃やしてから、ソラとベルの後を追って外に出るのだった。