何か知らない内に俺の黒歴史が異世界に流出してるんだけど 作:ああ
俺の父は勇者だ。母親はその幼馴染で、勇者パーティーに入っていた某国の姫らしい。まぁ、今は存在しないらしい国らしいけど。そんな二人の子供として生まれた俺は良い歳してダラダラしていた。
「働かねえのか?」
近所の原っぱで子供達が無邪気に遊んでいるところを眺めていると、顔見知りの爺ちゃんが話しかけて来た。
『やりたい事も無いし』
「冒険者とかは?」
『痛いのも怖いのも、グロいのも無理。生き物を殺すなんて可哀想じゃん』
「……変わった奴だな。生きる上で、誰も殺さないなんて無理だろう」
『まぁね』
「少しぐらい働かないと、困るのはお前だぞ」
そんな事は分かってる。それでも、俺は働きたく無い。前世の時は働かなきゃいけない状況で、死に物狂いで働いて死んだんだから。少しぐらい休憩させてくれてもバチは当たらないと思う。あ、後二十年ぐらい休みたいでーす。いえ〜いっニート最高!
『まぁ、分かってますよ』
「本当に分かってるのかコイツ」
適当に返したのかバレた様で爺ちゃんに呆れられたが、俺は知ったこっちゃない。俺はそんな平穏なヒキニートな日常がずっと続くんだと思っていた。
その翌日、俗に言うフラグは爆速で回収され俺達の村に魔王軍が現れた。
『こ、ココが元勇者がいる村か。勇者なんて、ボク達が勝てるかな?』
『所詮は元勇者だろ?俺達、
その中でも、態度と独り言がデカい二人が幹部の様で。父さんが姿を見せるとニヤニヤ笑っていた。
『おいおい、これが元勇者かァ?ヒョロヒョロじゃねえか。おっさん、ちゃんと飯食ってんの?』
『ありがとう。こんなんなら、ボクでも勝てそうだ。魔王様に怒られなくて済むよ』
……何だ?何かずっと引っ掛かるんだよな。アイツらが出てきた時から悪寒がすると言うか。何だ?この嫌な予感は。何なんだ?
「最近の子供は元気だな」
そんな違和感を他所に。父さんは、そう言って腕を幹部に向けて突き出して呟く。
「
そして父さんは白い刀身の剣を召喚し、魔王軍の幹部と戦い始めた。
あの二人は、伊達に魔王の幹部を名乗っていなかった。平和ボケしている元勇者の父さんでは抑えるのがギリギリだった。そんな事言ってるんだったら、お前もなんかしろよって思われるかもしれないが。悪いけど、俺は生まれてこの方戦ったことなんか無い。剣なんか持った事すら無いんだぞ?そんな俺が言ったところで足手纏いにしかならないだろうな。
それよりも、気になるのは終焉の堕天使だ。なんか、聞いた事のある様な……何だ?でも思い出そうとすると頭が痛むんだよな。
『シャラ臭えなァ!おい、弟。
『え、嘘でしょアレやるの?』
『二度聞くな。やるったらやるんだよ』
『──分かったよ。《親愛なる王よ。その尊大なる力で黒き衣装を纏わせ、我らに力を。そして反抗する者には天罰を。我らは終焉の堕天使。世界の全ては我が王の手に》』
《黒装展開》
『ッ!!』
それを聞いた瞬間。思わず、息をする事を忘れてしまった。嘘であってくれと耳が否定したくても、目と記憶がそれが現実だと肯定してくる。
『何で……』
声が漏れる。あり得ない。なのに確かに存在する。それは。
『俺が中学。いや、厨学生だった時に書いた"堕天の黙示録"のアイデアだ……』
前世の中学生時代、俺はいわゆる厨二病だった。凄い簡単に言えば悪目立ちがカッコイイと思ってしまう、凄いイタい人間だった。そんな時に書いたのが、"堕天の黙示録"だ。当時は他にも仲間がいて、全くイタいなんて思って無かったが。高校生になって読み返したら死にたくなったから速攻処分した筈だ。だから、世界の何処にも現物は存在しない筈。
なのに!何で、異世界でそれをチラつかせられなきゃいけないんだ?誰だ!俺の黒歴史を過去に流出させた奴。殺してやる!
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