余命僅かなTS悪役令嬢は、生きる為に吐血魔法で聖女と勘違いされる 作:実験体G
王立魔法学院の地下迷宮で発生した「変異種キメラ討伐戦」。
その壮絶な戦いから一週間が経過し、学院内の魔導ネットワーク掲示板では、あるスレッドが異常な盛り上がりを見せていた。
【緊急】聖女シルヴィア様ファンクラブ「白銀の誓い」会員募集中【倍率50倍】
1 :A組の守護者:20XX/XX/XX(金) 19:00:00
先日発足した聖女シルヴィア様公認(?)ファンクラブ「白銀の誓い」。
第一次会員募集を開始する。
入会条件は以下の通り。
シルヴィア様の尊さを理解し、命を懸けて守れる者。
シルヴィア様が吐血された際、即座にハンカチとポーションを差し出せる者。
アルフレッド殿下の接近を全力で阻止できる者。
以上を満たす者は、明日の昼休みにA組教室まで来られたし。
2 :名無しの魔導師:20XX/XX/XX(金) 19:02:15
待ってましたァァァ!
俺、魔法科2年だけど入会希望!
あのキメラを一撃で消し炭にした「深紅の葬送(クリムゾン・エンド)」を見て以来、夜も眠れません。
あんな細い体で、あんな破壊力……ギャップ萌えで死ぬ。
3 :名無しの騎士科生:20XX/XX/XX(金) 19:05:30
俺も入る!
先日、食堂でシルヴィア様がパンの袋を開けられなくて困ってるのを見たんだ。
その時の「むぅ……」って顔が可愛すぎて、俺の中の何かが目覚めた。
一生パンの袋を開ける係になりたい。
4 :A組の守護者:20XX/XX/XX(金) 19:08:00
>>3
甘いな。
シルヴィア様はパンの袋くらい魔法(空間切断)で開けられる。
あえて手で開けようとされたのは、庶民の暮らしを尊重されているからだ。
その高潔さに気づけない奴は不合格だ。
(※注:シルヴィアは単に握力が弱っていただけです)
5 :名無しの商会:20XX/XX/XX(金) 19:10:20
おい、アルフレッド殿下が転入してきたってマジか?
さっき廊下ですれ違ったけど、目が完全に据わってたぞ。
「シルヴィアはどこだ……私の愛しいシルヴィア……」ってブツブツ言ってた。
6 :リリィ(筆頭従者):20XX/XX/XX(金) 19:12:45
殿下の動向は私が監視しています。
現在、シルヴィア様は寮の自室で「精神統一(お昼寝)」中です。
殿下が寮に近づいたら、私が光魔法『聖なる鉄槌(フィジカル・ハンマー)』で迎撃しますのでご安心を。
7 :名無しの先輩:20XX/XX/XX(金) 19:15:10
リリィちゃん強すぎて草。
原作ヒロインが闇落ちして狂信者になってるの、新しい扉が開いた気がする。
ていうか、「精神統一」ってポーション作りのことだろ?
最近、寮の周辺ですごい異臭がするって通報がいってるぞ。
8 :リリィ(筆頭従者):20XX/XX/XX(金) 19:18:00
>>7
言葉を慎みなさい。
あれは「聖香」です。
聖女様が自らの血と薬草を調合し、世界を癒やすために作られている秘薬の香りです。
嗅ぐだけで寿命が延びると言われています。
9 :名無しの錬金術師:20XX/XX/XX(金) 19:20:30
マジレスすると、あの臭いはマンドラゴラとオークの肝を煮込んだ臭いだな。
滋養強壮には効くが、人間が飲むもんじゃねえぞ。
それを涼しい顔で飲み干すシルヴィア様……やはり人間を超越している。
10 :帝国の留学生:20XX/XX/XX(金) 19:23:45
我が帝国の皇太子殿下も、シルヴィア様に興味を持たれているようだ。
「面白い女だ。俺の妃にしてやろうか」と仰っていた。
これは……戦争の予感か?
11 :A組の守護者:20XX/XX/XX(金) 19:26:00
>>10
は? 調子に乗るなよ。
シルヴィア様は渡さん。
グラン・マギカの王子だろうが、帝国の皇太子だろうが、シルヴィア様の平穏を乱す奴は全員敵だ。
我々「白銀の誓い」が全力で排除する。
12 :ギルバート:20XX/XX/XX(金) 19:29:15
おやおや、盛り上がっているね。
ちなみに私が開発した「シルヴィア様専用・負担軽減杖」だが、非常に良いデータを取れているよ。
彼女のHP消費が約15%削減された。
これでまた一つ、彼女は長生きできるわけだ。感謝したまえ。
13 :名無しのヒーラー:20XX/XX/XX(金) 19:32:00
>>12
先生、珍しく良い仕事したな!
でも、先生がシルヴィア様の髪の毛を採取しようとして、リリィちゃんに杖で殴られてたの見たぞ。
自重しろ。
14 :ココル村の村長:20XX/XX/XX(金) 19:35:30
おお、ここが聖女様のスレか!
村を代表して書き込ませてもらうぞ。
聖女様から頂いた「空き瓶」だが、毎日拝んでいたら腰痛が治った!
畑の作物の育ちも良くなった!
これぞ聖女様の奇跡じゃ!
15 :名無しの商会:20XX/XX/XX(金) 19:38:00
>>14
プラシーボ効果乙。
……と言いたいところだが、あの方の魔力ならあり得るかもしれん。
おい、その空き瓶、金貨100枚で売ってくれ。
16 :ココル村の村長:20XX/XX/XX(金) 19:40:00
断る!
これは家宝だ!
村の中央に銅像を建てる計画も進行中だぞ!
17 :名無しの冒険者:20XX/XX/XX(金) 19:43:15
銅像ワロタ。
でも実際、北の森の魔物が減って治安が良くなってるのは事実なんだよな。
シルヴィア様が散歩ついでに殲滅してるから。
「素材が欲しいだけ」って仰ってたけど、照れ隠しに決まってる。
あの方は、言葉ではなく行動で語るタイプなんだ。
18 :名無しの生徒:20XX/XX/XX(金) 19:46:00
まとめると、
・王子のストーカー化
・帝国の皇太子の求婚
・マッドサイエンティストの執着
・村人たちの神格化
・全校生徒のファンクラブ化
……シルヴィア様の周り、濃すぎない?
ご本人は「静かに暮らしたい」って言ってるのに、世界がそれを許さない感じ。
19 :A組の守護者:20XX/XX/XX(金) 19:49:30
だからこそ、俺たちが必要なんだ。
シルヴィア様が昼寝できる場所を、俺たちが守る。
それが「推し活」ってもんだろ。
20 :シル(本人):20XX/XX/XX(金) 19:52:00
……あの、このスレ、削除依頼出してもいいですか?
恥ずかしくて死にそうなんですけど。
21 :名無しの生徒:20XX/XX/XX(金) 19:53:00
>>20
うわあああ! ご本人降臨!?
偽物か!? いや、このIDは特待生権限の……本物だ!
聖女様、見てらしたんですか!?
22 :シル(本人):20XX/XX/XX(金) 19:55:00
見てますよ。
あと、ガストン君。
明日の昼休み、屋上に来てくれないかな?
ちょっと「お話」があります。
(※注:威圧スキル発動中)
23 :A組の守護者:20XX/XX/XX(金) 19:57:00
ひっ……!
は、はい! 喜んで参ります!
(ご褒美だ……聖女様に叱られるなんて、俺はなんて果報者なんだ……!)
24 :名無しの生徒:20XX/XX/XX(金) 20:00:00
解散!
聖女様が睨んでおられるぞ!
でも、我々の愛は不滅だーッ!!
その夜。
学生寮の最上階。
シルヴィアはPC(魔導端末)の画面をそっと閉じ、深い深いため息をついた。
「……どうしてこうなった」
窓の外には、二つの月が輝いている。
彼女の手には、ギルバート先生から貰った白い杖。
そしてテーブルの上には、作りたてのポーション(ドブ色)が湯気を立てている。
「静かに暮らしたいだけなのに。……まあ、退屈はしなさそうだけど」
シルヴィアは苦笑し、ポーションを一気飲みした。
不味い。
けれど、以前よりは少しだけ、飲みやすくなっている気がした。
それはきっと、杖のおかげでHP消費が減ったからか、あるいは――この騒がしくも温かい学園生活に、少しだけ慣れてしまったからかもしれない。
こうして、波乱万丈の第1章は幕を閉じる。
だが、物語はまだ終わらない。
次なる舞台は、夏休み。
リリィの実家への里帰りと、そこで待ち受ける古代遺跡の謎。
そして、新たなトラブルメーカー「ポチ(フェンリル)」との出会いが、彼女を待ち受けているのである。
シルヴィアの受難(と勘違い)の日々は、まだまだ続く――。
読者諸君「第1章完結おめでとうございます!」
シルヴィア「(やっと一息つける……と思ったら大間違いだった)」
これにて第1章「断罪と逃亡編」は完結です。
皆様の熱い応援のおかげで、シルヴィアは無事に(?)学園のアイドル兼聖女として定着しました。
次回からは**第2章「夏休みと古代遺跡編」**がスタートします。
舞台を変え、魔獣フェンリルや帝国の皇太子など、新キャラも続々登場予定。
もちろん、吐血と勘違いは通常運転でお届けします。
面白い、第2章も楽しみ! と思っていただけたら、
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引き続き、応援よろしくお願いいたします!