余命僅かなTS悪役令嬢は、生きる為に吐血魔法で聖女と勘違いされる 作:実験体G
王立魔法学院には、生徒たちだけがアクセスできる魔導ネットワーク上の掲示板が存在する。
普段は授業の情報交換や教師への愚痴、恋の相談などが書き込まれる平和な場所だが、今年の春は様子が違っていた。
ある一人の特待生に関するスレッドが、異様な盛り上がりを見せていたのだ。
【1年A組】特待生のシル君について語るスレ Part3【至宝】
1 :名無しの生徒:20XX/XX/XX(水) 18:00:00
今年の特待生、シル・ル・ブラン君(偽名)について語るスレです。
荒らし、アンチは即刻退場。
彼の体調を気遣う書き込み推奨。
2 :名無しの女子生徒:20XX/XX/XX(水) 18:02:15
今日もシル君、廊下を歩いてるだけで尊かった……。
あの透き通るような白い肌、折れそうなほど細い手足。
歩くだけでフラフラしてて、今にも倒れそうで見ていられない!
3 :名無しの男子生徒:20XX/XX/XX(水) 18:05:30
わかる。
俺、男だけどシル君なら抱ける……じゃなくて、守ってあげたいって本気で思うわ。
今日の食堂で、パンを小さく千切って食べてる姿とか小動物みたいだったぞ。
(※注:シルヴィアは単にポーションの副作用で食欲がないだけです)
4 :A組の守護者:20XX/XX/XX(水) 18:08:45
お前ら、遠くから見てるだけかよ。
俺たちA組は、既に「シル君見守り隊」を結成済みだ。
移動教室の時は彼の荷物を持ち、階段では転ばないように前後をガードしている。
5 :名無しの女子生徒:20XX/XX/XX(水) 18:10:00
>>4
A組うらやましい!
ていうか、先日の実技の授業で吐血して倒れたって本当?
保健室前がパニックになってたけど。
6 :A組の守護者:20XX/XX/XX(水) 18:12:20
本当だ。
ギルバート先生の無茶振りに応えて、空間魔法で極大魔法を防ぎきったんだ。
その代償として……大量の血を吐いて倒れられた。
真っ白なシャツが真っ赤に染まって……俺たち、何もできなくて泣いたよ。
7 :名無しの先輩:20XX/XX/XX(水) 18:15:10
マジかよ……。
噂には聞いてたけど、「命を削って魔法を使う」ってガチだったのか。
才能があるのに体がついていかないとか、悲劇のヒーローすぎるだろ。
8 :名無しの魔導科生:20XX/XX/XX(水) 18:18:00
ギルバート先生が興奮してたらしいぞ。
「彼の魔力回路は常人の逆だ。生命そのものを燃やしている!」って。
そんな状態で学園に通ってるとか、覚悟が決まりすぎてる。
9 :名無しの女子生徒:20XX/XX/XX(水) 18:20:45
ねえ、隣の部屋のリリィちゃんとの関係も気にならない?
二人、よく一緒にいるよね?
リリィちゃん、シル君のことを見る目が完全に「崇拝」入ってるんだけど。
10 :A組の守護者:20XX/XX/XX(水) 18:23:30
ああ、リリィはA組の中でもシル君への過保護レベルがトップクラスだ。
「私が彼の剣になります」とか言ってる。
あと、シル君の口元が汚れたらハンカチで拭いてあげてるし、なんかもう付き合ってるんじゃないか?
11 :名無しの腐女子:20XX/XX/XX(水) 18:25:00
いや待って。
シル君って、実は女の子なんじゃない?
あの華奢な骨格、喉仏のなさ、そしてあの可憐な仕草。
男装の麗人説、あると思います。
12 :名無しの男子生徒:20XX/XX/XX(水) 18:28:00
>>11
それな。俺もそう思ってた。
もし女の子なら、全男子生徒が命がけで求婚するレベル。
でも男の子でも、それはそれでアリ(錯乱)。
13 :名無しの先輩:20XX/XX/XX(水) 18:32:00
お前ら盛り上がってるけど、明日は他国の視察団が来る日だぞ。
グラン・マギカ王国の第二王子、アルフレッド殿下が来るらしい。
14 :名無しの情報通:20XX/XX/XX(水) 18:35:45
アルフレッド殿下って、あの「血染めの聖女」の元婚約者だろ?
最近、聖女様を探して目の色がヤバいって噂の。
シル君と聖女様、なんか雰囲気が似てるって話もあるし……鉢合わせたらマズくないか?
15 :A組の守護者:20XX/XX/XX(水) 18:38:00
……全力で隠すわ。
シル君を他国のイザコザに巻き込ませるわけにはいかない。
明日はクラス総出でシル君をガードする。
16 :名無しの生徒:20XX/XX/XX(水) 18:40:00
了解。他クラスも協力する。
視察団が来たら、シル君を女子更衣室……じゃなくて、空き教室に隔離しよう。
17 :名無しの女子生徒:20XX/XX/XX(水) 18:42:00
>>16
今さらっと女子更衣室って言わなかった?
でも確かに、シル君なら女子の制服着せても違和感ないかも……。
一度でいいから見てみたい。
18 :ギルバート:20XX/XX/XX(水) 18:45:00
君たち、掲示板で遊んでないで課題をやりなさい。
ちなみにシル君のデータだが、昨日の検査で面白いことが分かった。
彼の血液には、特殊な「魔力耐性」が含まれている可能性がある。
もっと血を採らせてくれないかなぁ。
19 :A組の守護者:20XX/XX/XX(水) 18:47:00
>>18
先生、シル君に近づかないでください。
これ以上血を抜いたら、俺たちが先生を研究材料にしますよ?(殺気)
20 :ギルバート:20XX/XX/XX(水) 18:49:00
おやおや、怖い怖い。
まあいい、明日の視察団対応は私も協力しよう。
私の可愛い検体を、他国に取られてはたまらないからね。
「……くしゅんっ!」
学生寮の自室。
ポーション鍋をかき混ぜながら、俺は三度目のクシャミをした。
「なんだろう、今日はやけに悪寒がする」
窓の外を見る。
学園都市の夜景は平和そのものだ。
だが、なぜか背筋がゾクゾクする。
まるで、巨大な何かに包囲されているような……。
「気のせいか。明日は他国の視察団が来る日だし、授業も午前中で終わりだ。さっさと終わらせて、ダンジョンの下見に行こう」
俺は能天気にスケジュールを確認する。
明日の視察団に、あの元婚約者アルフレッドがいることなど、まだ知る由もなかった。
そして、クラスメイトたちが俺を隠すために、「シル女装作戦」まで画策していることなど、想像もしていなかったのである。
掲示板の生徒たち「シル君は俺たちの嫁(または姫)」
シルヴィア「(なんか視線が熱い……風邪かな?)」
シルヴィアの性別疑惑が浮上しつつも、「儚い美少年」というポジションが確立されました。
そして次回、ついに元婚約者アルフレッドとのニアミスイベントが発生します。
面白い、続きが気になる! と思っていただけたら、
下の【お気に入り登録】と【評価(★)】をポチッとしていただけると、シル親衛隊の人数が増えます!
(作者のやる気も上がります!)