戦術人形彼の地にて斯く、戦えり   作:謎多き作家

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異世界編
始まり


2061年、S13地区の都市にて異常が発生した。  

 

「何だ……アレ……?」   

 

誰かが呟いたその一言を差す場所には何処か古いローマの様な建築を思わせる建物が建っていた。

 

仕事や用事で歩いていた通行人達が足を止め、その門を見守る中、突如として門から何かが飛ぶ様に飛び出してきた。

 

「え……ドラゴン……?」

 

通行人の一人が信じられないとばかりに呟いた時、そのドラゴンによって食い千切られた。

 

それを皮切りに通行人達に恐怖が走り、逃げ出し、そこへ更に追い討ちを掛ける様に門から明らかに時代錯誤と言わんばかりの鉄の鎧と兜を身に纏った兵士達や化物が現れて侵攻を開始する。

 

兵士や化物達が次々と逃げ惑う人々を手に掛ける中、死体をかき集めて旗を突き立てる暴挙まで起こした後、叫んだ。

 

『蛮族共よ良く聞くがよい!我が帝国は皇帝モルト・ソル・アウグスタスの名に置いてこの地の征服と領有を宣言する!!』

 

逃げ惑う人々には分からないそんな言葉が叫ばれる中、逃げようとした女性を兵士達が捕まえて押さえ付けると服を掴んだ所で頭を撃ち抜かれた。

 

周りにいた兵士達は唖然とした時、その兵士達も一斉に撃たれて死んだ。

 

女性が唖然とする中、そこへ警戒する様に陣形を保ちながら現れたのは銃を手にした少女達だった。

 

「大丈夫ですか!我々はグリフィンの部隊です!貴女を保護します!」

 

女性の元に現れたのはS13地区の都市を守るグリフィン&クルーガーの戦術人形と呼ばれるアンドロイドの部隊だった。

 

彼女達の登場を皮切りにグリフィンの部隊がへリで素早く輸送されると素早く展開され、次々と兵士達を射殺していく。

 

火力が高く、掃射に優れたMGを中心に発砲され中には手榴弾を投げる人形達もおり、兵士や化物達が次々に撃ち倒されていく。

 

『ひ、怯むな!数で押せ!』

 

馬に誇る兵士達の指揮官が叫んだ時、指揮官の頭が人形の狙撃で撃ち抜かれると兵士達は堪らずに逃げ出し、門の中へと一斉に逃げ込もうとするがそこへ今度は上空から支援の為に現れた正規軍のガンシップ部隊が現れて纏めて吹き飛ばされてしまった。

 

激しい戦闘……もとい虐殺劇は徐々に沈静化されていくと遂に決着が着いた。

 

夥しい死体の山と戦意を喪失した兵士達だけが残された都市の光景を映像越しから見ていたグリフィンの指揮官は溜め息をついた。

__________

_______

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突然の戦闘から数日後、S13地区の都市には民間人は兼並み避難し、グリフィンの戦術人形と僅かな正規軍の将校と兵士そしてあらゆる分野に精通する科学者と溢れていた。

 

門を取り囲む様にドーム型の門が建設され、侵入を確実に食い止める形で止め、その周りをグリフィンの各小隊が油断無く守りを固めている状態だった。

 

そんな緊迫感のある場所へグリフィンの赤い制服とベレー帽を被った男がやって来ると人形の一人がやって来きた。

 

「指揮官。お疲れ様です」

 

「そっちも警備おつかれさんステン。もう少し楽にしてくれないか?俺としてはあまりビシッとされると落ち着かないんだよ」

 

「此処が基地なら良いんですが今は駄目ですよ?此処には今、私達以外にクルーガー社長やへリアンさん。それに正規軍の将校の方々が来訪されてますから」

 

「はぁ……すげぇ面子だ……面倒な事にならないと良いけどなぁ……」

 

指揮官と呼ばれた男はそうボヤキながらステンに案内されるままに一つのテントの前へとやって来た。

 

「此処です。すみません……私は任務を続けないといけんから」

 

「いや、大丈夫だ。また後でな」

 

指揮官はそう言うとステンは笑顔で手を振ってからその場を後にした。

 

指揮官はステンを見送った後、軽く溜め息をついてから身形を確認すると声を挙げた。

 

「ハヤト・イズミです。召喚に応じて参りました」

 

「……入れ」

 

「失礼致します」

 

ハヤトはそう言ってテントの中に入ると物々しい面々がそこにいた。

 

グリフィン&クルーガーの社長、ベレゾヴィッチ・クルーガー。

 

グリフィン&クルーガーの上級代行官、へリアントス。

 

正規軍の将軍、カーター。

 

正規軍の大尉、エゴールそして……。

 

「よう!久しぶりだなハヤト」

 

「お久しぶりです。ヴァシリー大尉」

 

「連れないな……もっと気を楽にしても良いんだぞ?それよりもお前んとこの可愛い子とか俺に紹介とか」

 

「ヴァシリー大尉。口を慎め。会議が始まらん」

 

「はいはい……お堅いエゴール大尉殿。お望み通りに口を閉じますよ」

 

ヴァシリーはそう言って口をチャックする様な仕草をエゴールに見せつけ、エゴールは体勢も顔を変えてはいないが眉間に皺がよっているのがよく分かった。

 

嫌な緊迫感が流れる中、カーターは気にせずに会議を始めた。

 

「人は揃った。始めるとしよう。今回の議題は無論、あの門だ」

 

「都市の真ん中にありながら別の場所へと通じると言う門の事ですな?」

 

クルーガーは捕捉気味にそう言うとカーターは頷く。

 

「別の場所以前に……もはや別の世界に通じていると言うのが君達、グリフィンの人形が行った軽い先行調査の末に判明した。汚染も何も無い世界。恐らくは天然資源も手つかずに残された世界だ。この意味は分かるかね?」

 

「それは……世界の情勢を引っくり返しかねません……例えるなら地球がもう一つあってそのまま繋がった様なものかと……」

 

へリアンはそう言うとカーターはニヤリと笑うもすぐに表情を無くした。

 

「確かにな……だが、だからと言ってすぐにその世界を手中には納められん。それ以前に我々の立場としては君達も分かる様に我々は動けない。政治的にもこの門についての対応は既に世界的な国際問題となりつつもある。つまりは彼の世界についての……強いては向こうの帝国とやらのテロ組織の処遇も決まっておらん」

 

門の向こうの世界……そこにある未知で且つ魅力的な世界を牛耳る帝国と呼ばれる国家。

 

それが今回攻めて来た相手だった。

 

文明レベルとしても現段階では中世レベルであり、新ソ連にとっては鉄を手にしたばかりの原始人が茶々を入れて喧嘩を吹っ掛けてきた様なものだった。

 

はっきり言えばカーターを含めた正規軍や政治屋達は嘲笑した。

 

まさかそんなレベルの国家がわざわざ真新しい世界を丸ごと提供して来てくれたのだ。

 

外交的な摩擦やE.L.I.Dの問題さえ無ければこの気に乗じて帝国諸とも向こうの世界を奪い取る腹だったのだ。

 

「我々としては鉄血を相手に戦うグリフィンには申し訳ないが……君達に向こうの世界を調査及び門の防衛を行って貰いたい」

 

「あの……カーター将軍……」

 

「何だねハヤト君?」

 

カーターの提案にハヤトが声を挙げるとカーターと周りの視線がハヤトに全て向いた。

 

緊張がハヤトを襲う中、話しを始める

 

「……グリフィンは現状、鉄血との戦闘で手一杯かと。他の基地の指揮官達が奮闘しているとは言え、これ以上に戦線を伸ばすのは……」

 

「無論承知だ。だからせめてもの詫びとして更なる支援を我々が約束しよう。物資も人員も人形も多く投入出来る様にな」

 

「ですが……」

 

「もう良いハヤト。私が責任を持つ」

 

食い下がるハヤトにクルーガーがそう言うとハヤトも黙る事を決めた。

 

グリフィンのトップが決めたのならハヤトにこれ以上、言う事は無いからだ。

 

「これで決まったな……門の向こう側での門の調査や防衛とは言え、裁量はそちらに任せよう。して、そこにいるハヤト君が指揮を取るのかね?」

 

「はい。ハヤトに任せるつもりです。その為に呼びました」

 

クルーガーのその言葉にカーターは何も言わず頷く。

 

「ならばこの話しは此処までとしよう……後は頼むぞ?」

 

「えぇ、お任せを……」

 

カーターの言葉にクルーガーはそう言うとカーターはテントから去り、エゴールもそれに続く。

 

ヴァシリーも二人に続く前にハヤトの肩に手を置くとサムズアップしてから去った。

 

「さて……面倒事を引き受けてくれるか?」

 

「……言われるからには。それで?取り敢えず門を潜って周辺の制圧をせよと?」

 

「そうなるな。指揮はお前に一任する。新造の人形もお前に優先して回る様にしておく」

 

「あまり自分に贔屓し過ぎないでくださいよ?変な反感を抱かれたくありませんからね。まぁ、特別に回すとなれば……あの期待の新人にすべきかと」

 

ハヤトはそう言って笑って見せるとクルーガーも笑う。

 

「彼奴を買っているのだな?」

 

「間違いなく歴史を変えますよ。賭けたって良いです。では、自分は出撃の準備に行きますのでこれで」

 

ハヤトはそう言ってその場から去って行き、クルーガーはその背中を見つめるのだった。

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