戦術人形彼の地にて斯く、戦えり   作:謎多き作家

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束の間の日本観光

ハヤトが目を覚ましてから暫くして伊丹達も起き出した。

 

太陽が昇り始めた中、ロゥリィが神官らしく祈りを始めたり、伊丹が朝食を作ったりとする中、ハヤトは身なりをグリフィンの制服から一般の何処にでもいる様な私服に着替えてテレビを見ていた

 

テレビでは昨日の参考人招致の話題が挙がっており、特にハヤトの話題が盛んに話されていた。

 

《ハヤト・イズミ参考人の過激な発言には大変驚かされました。もし、彼の言葉が事実なら近い内に侵略的な行動が始まると考えるべきでしょう》

 

《それにしても……日本が滅んだと聞きましたが本当なのでしょうか?》

 

《何とも言いがたい事ですが信憑性はあるでしょう。ですが我々は忘れてはならない。平和の尊さを知る者として。断固として侵略は許すべきはないのです。日本政府には断固たる姿勢を持って蛮行を阻止して貰いたいと私は心より訴えます》

 

テレビのアナウンサーや専門家らしき者が好き勝手に言い合う中、ハヤトは静かにテレビを見ている中、夢の内容を思い出す。

 

忘れたくても忘れられない今も続く悪夢。

 

戦争の記憶が今もハヤトを支配する中、ハヤトの元に伊丹が来た。

 

「大丈夫です?顔、凄いですよ?」

 

「大丈夫だ。少し夢見が悪くてね……それより早く朝食を済ませよう。工作員と言うものは本当にしつこいからな。何時かは見つかるぞ?」

 

ハヤトはそう言って伊丹から朝食を受け取ると食べ始めた。

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朝食を終え、各自で移動の準備が行われる中。

 

「おーし!今日は遊ぶぞ!」

 

工作員に追いかけ回されているとは思えない発言を全員にしたのだ。

 

全員がきょとんとする中、冨田が切り出した。

 

「それ所じゃないと思うんですが?」

 

「それとこれとは別だ。俺のモットーは食う、寝る、遊ぶ!その合間のちょっとの人生!第一なぁ、敵が俺達の居場所を知ってんなら何処だって危険だ。人目の多い所の方がよっぽど安全だぜ。そうだろ?」

 

伊丹の言葉にロゥリィやUMP45、UMP9が笑っている事を除いて沈黙する中、梨沙が挙手した。

 

「はいはい!原宿!渋谷!」

 

「何でお前が……?」

 

「私だけ仲間外れ?泊めてあげたのにぃ。いぢめかな?これっていぢめ?皆も買い物したいでしょ?」

 

「まぁ、せっかく此方に来ましたし……」

 

栗林も梨沙の言葉に少し乗り気味になるとレレイとテュカものり始めた。

 

「私は別にぃ……」

 

「黒ゴス……良い店、知ってんだけどなー」

 

梨沙のその言葉でロゥリィも陥落した。

 

「ポーゼスさんがこの世界の資料をピニャ殿下と見たいそうなので近場の図書館にでも」

 

冨田がそう言ってピニャとポーゼスの三人で動く事になった。

 

「私は指揮官を守らないと……」

 

「あら〜?デートでもするのかしら〜?」

 

「UMP45!」

 

ステンはUMP45にからかわれて怒ると栗林と梨沙がステンに詰め寄って来た。

 

「そう言えば愛してる人がいるって聞いたわよ!」

 

「やっぱりハヤト指揮官の事じゃなの?せっかくだし二人も来て楽しみなよ!」

 

「え、えぇ……」

 

ステンは照れながら迷う中、64式自が言う。

 

「なら、私達は梨沙さん達と行動しましょう。404小隊の方々は?」

 

「私達?うーん……そうね……」

 

「HK416とG11はピニャ皇女とポーゼスさんに着いてやってくれ。念の為だ。UMPの二人は栗林達と同行するんだ。動く人数は栗林さん達の方が多いからな。護衛出来る人数も多い方が良い」

 

「分かりました」

 

「りょうかーい」

 

HK416とUMP45が返事をするとUMP9は喜んだ。

 

「なら、一緒に行こうか!お買い物、楽しみだね!」

 

「ふん。遊びじゃないのよ。分かってるわよね?」

 

「息抜きも必要よHK416。それに大丈夫よ。……暫くは動けない様にしてやったしね」

 

UMP45はそう言ってケラケラと笑いながら携帯を見せ、ハヤトは本当に何したんだとばかりに見つめる。

 

「俺はちょっと用事があるから単独行動で。十四時に新宿駅アルタ前広場な。それから箱根で温泉だ」

 

伊丹の言葉を最後に方針が決まると各自、各々の予定で動き始めた。

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ハヤトは栗林達、女性陣達と共に原宿の街へと訪れた。

 

人が多く賑わう原宿の街にレレイ、テュカ、ロゥリィは戸惑いを感じる中、梨沙の案内で服屋へと辿り着いた。

 

「いらっしゃいませー」

 

店員の挨拶が聞こえる中、梨沙は我慢できずにレレイの服を脱がせていく。

 

「テュカも好きなの選んでねぇ〜」

 

梨沙はそう言ってレレイの服を脱がす次々に試着させていく。

 

レレイの体格にあったフリルのある可愛らしい服装に加え、テュカも試着し、スリムな身体つきにあった服を着こなしてみせた。

 

店員もノリノリで試着する衣服を選び、遂にステンや64式自にまで魔の手が伸びた。

 

「ほらほら〜遠慮しないで来なよ!」

 

「わ、私は良いですよ!」

 

「ふ、服はありますし……」

 

ステンと64式自は遠慮する中、レレイとテュカにも捕まった。

 

「私達だけ着せ変えさせられるなんてズルい」 

 

「貴方達も着て見てよ!」

 

レレイとテュカに言われるがままに試着室に押し込められるとステンと64式自は渋々、試着するといつもの服装から一転、可愛らしい女の子らしい服装へと変わった。

 

「わぁ!凄く良いわよ!」

 

「可愛い!整ってるだけはあるわ!」

 

栗林と梨沙の褒め言葉にステンと64式自は照れる中、ハヤトも褒めた。

 

「とても似合うぞ。二人とも」

 

「ッ!?もう指揮官たら!」

 

「ほ、褒めても何もありませんよ!」

 

ハヤト達がそんなやり取りをする中、遠目から見ていたUMP45とUMP9にも梨沙の魔の手が伸びた。

 

「ほらほら〜。貴方達も来なよ!」

 

「あら私も?似合う服なんてあるのかしら?」

 

「45姉は何でも似合うよ!行こう!」

 

梨沙に連れられたUMP姉妹は試着室に入り暫くして出てくるとまさに姉妹と呼べる服装で再び出てきた。

 

「少し照れるわね〜」

 

「どう?似合う?」

 

姉妹が並んで言うと梨沙達は褒めた。

 

「似合う!似合う!」

 

「姉妹ってだけはあるわね!並ぶと更に良いわ!」

 

「綺麗」

 

「すっごく似合うよ!」

 

各々の感想が言われる中、女性陣の買い物をハヤトは見守りながら微笑む。

 

その頃、冨田達は図書館へとやって来ていた。

 

「なんと……これだけの本を自由に読めると言うのか?しかも一般人が?」

 

「写本を作るのに何れだけの労力が掛かっているのか……」

 

ピニャとポーゼスが図書館の本に関心を寄せる中、HK416はG11を無理矢理歩かせつつ辺りを見渡す。

 

「資料なんて読んで何になるのやら」

 

「分かんない。少しでも日本の情報を得たいんじゃないの?」

 

HK416の呟きにG11はそう言うと冨田がピニャとポーゼスの二人に振り向いた。

 

「どの様な資料をお探しで?」

 

冨田のその言葉にピニャとポーゼスは互いに視線を交わすと口を揃えて言う。

 

「「芸術」」

 

「……は?」

 

二人の芸術と言う言葉にHK416は唖然とするのだった。

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各々の予定を過ごす中、遂に十四時となった。

 

集合場所へと集まってきた面々、特に栗林達は満足げにしている。

 

「此方のこんぱうんどぼうって弓凄いのよ!よく当たるし威力もあるし!」

 

「まぁ、それはスポーツ用の弓なんだけだね〜」

 

テュカは買ったコンパウンドボウを見せ、UMP45の補足が入る。

 

「本は……必要な物……」

 

「パソコンも買ってるんだけどどうするんだろうね〜」

 

レレイは本の他にパソコンも買っており、UMP9は苦笑いでどうするのか気にしてる様子だった。

 

「あっちじゃ誂えるのも大変なのよぉ」

 

「よく似合ってますよロゥリィさん」

 

ロゥリィは網タイツを購入して着用し、ステンがそれを見て褒めるとロゥリィは胸を張って見せる。

 

「一先ずは何事も無かったよ。皆、楽しめていた」

 

「はい。敵らしき人物の影もなく、無事に合流出来て良かったです」

 

ハヤトと64式自は伊丹に報告すると伊丹は苦笑いして返事を返した後で冨田達を見る。

 

ピニャとポーゼスは栗林達の成果を見て羨ましそうにし、冨田とHK416は暗く、G11はくたびれた様子だった。

 

「ギリシャかローマの彫刻の資料を探していると思ったのですが……」

 

「くッ……もう二度とあんな物は探したりしないから!」

 

「最終的に注文は分かったけどギリギリ間に合わなかったんだよね〜……疲れたよ〜……」

 

冨田、HK416そしてG11はそれはもう酷い目にあったとばかりの雰囲気に伊丹は何とも言えなかった。

 

「ま、まぁ……気を取り直して……温泉に行くぞ!」

 

伊丹の号令で一同は地下鉄へと降りていく最中、UMP45は振り向く。

 

「どうしたの45姉?」

 

「……何でもないわ」

 

UMP45はそう言って地下鉄を降りた。

 

その様子を見ていた者がおり、携帯を取り出して連絡した。

 

「スノーボールよりシックス。レッドトラウトはスローターハウスへ向かった。途中、此方の存在を感知され掛けた。警戒を現にしつつ追跡を続行する」

 

「了解。監視を続行し、ハコネで合流せよ」

 

男は携帯を着ると地下鉄へと降りていき伊丹達を追跡するのだった。

 

その追跡は既にUMP45に悟られているとは気が付かずに。

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