敵軍10万の襲来。
この情報は現在、門を制圧し守りに着いている人形達に驚愕と不安を与えた。
中世レベルの装備しかないとは言え、ドラゴンの存在や尋問で得た魔法らしき力があると言う情報があり、どんな攻撃を仕掛けて来るのかは不明だった。
単純な脅威として数によるごり押しでの攻勢を警戒せざる得ず人形達は銃の手入れや弾薬の有無や兵器の使用方法の再確認が徹底して行われた。
慌ただしく準備が行われる中、遂にその時が来た。
塹壕や更に前線に張られた有刺鉄線の先に無数の人間の群れが現れたのだ。
「各自戦闘用意!敵の数は多い!油断するな!!」
ハヤトの命令を受け、各小隊は塹壕に入って戦闘態勢に入る。
一部の人形は与えられた兵器に着くと何時でも撃てる様に備えた。
静かに待ち構える中、一人の人形が敵影を見て違和感を覚えた。
「……あれ?何かおかしくない?」
そう言ったのはハヤトの事を指揮官ではなく何故か飼育員と呼ぶGr MP7だ。
Gr MP7は目を細めながらジーと敵影を見る中、隣にいたスプリングフィールドが双眼鏡を使って確認する。
「確かに……何処か人数が少ない様に思えますね……」
スプリングフィールドは何があったのかと疑問を抱きつつ、通信を使って報告を飛ばした。
「敵が戦力を割いただと?」
「はい……此方でも何度か確認させましたが明らかに半数の戦力が割かれています……」
リューリクの報告にハヤトは困惑を覚えながら考えると一つの仮説を考えた。
「……まさか背後から回り込んで挟撃と言う訳でもないだろう。此処の地形は前は平原だが後ろは山で囲まれてる。それに数では彼方が圧倒的に有利だ。わざわざ戦力を割いてまで小細工を仕掛ける意味を奴等は考えないだろう。だとしたら……」
「他に戦線を抱えていると?」
「そうだろうな。でないと説明なんて出来やしない。奴等は自分の味方を磨り潰す為に俺達を利用するつもりの様だが戦力を分散させる愚策を取ってくれたんだ……この期を逃さずに撃滅せるぞ」
ハヤトはそう言って不敵に笑った。
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戦闘開始から数時間後。
ハヤト達に差し向けられた5万の軍勢は半数以上が命を落とした。
「どうしてこうなったのだ!?」
軍勢の一角を率いていた者の一人がそう叫ぶと他の者達も恐怖と混乱で叫びだす。
「メール王!アスロメル公!勇猛な王で知られたこの御二方は行方知れず!我らの軍は奴等の魔法で凪払われるとは!」
「帝国軍は?帝国軍は何処に行ったのだ!?我々は帝国の要請を受け、連合諸王国軍を編成して異世界の軍と戦っているのだぞ!何処へ行ったのだ!!」
帝国軍の存在が確認されず何処へ行ったのだと怒りを露にし、項垂れる中、一人の王が悟る様に俯いていた顔を上げた。
「まさか……帝国は既に……」
王の一人が予想を言いかけた時、王達が集まっていた天幕が爆発し、その場にいた王達は戦死した。
その様子を遠くから見ていたAm RFBは大はしゃぎだった。
「イヤッたー!!クリティカルヒット!!」
「うわぁ……本当に当たりましたよ……」
「やってみるものですね……」
王達の天幕が吹き飛ばされた原因はAm RFBと一○○式、G43の側にある野戦砲の砲撃だった。
一方的な戦いによって生じた連合諸王国軍の混乱を終わらせない為にハヤトが夜の内に当たらずとも砲撃する様に命令し、それをAm RFBがゲーム感覚で連合諸王国軍の陣地に向けて僅かな手数で当てられるかと言う遊び染みた事を決行した結果だった。
観測主にG43、装填主に一○○式、砲撃主にAm RFBとチームを組んで行った結果、連合諸王国軍の王達が集まる天幕に一撃がお見舞いされたのだ。
「……彼処って何だか重要そうな所じゃないですか……?」
「確かに明からに警備が厳重でしたもんね……」
「そんなのどうでも良いよ!ほら、まだまだ撃つよ!」
砲弾が一発で当たってテンションの高いAm RFBに二人は溜め息をつきながら次の砲撃の用意をする。
他の野戦砲も次々に砲撃し、連合諸王国軍の陣地に砲弾が大量に撃ち込まれていく。
「うわぁッ!!」
「た、助けてくれぇッ!!」
「あはは……アッハハハ!!」
連合諸王国軍の将兵達は撃ち込まれる砲弾に混乱を引き起こし、吹き飛ばされる者、逃げ惑う者、狂ってしまった者と分かれて大混乱に陥ってしまった。
天幕も馬も飛竜も跡形も無く吹き飛ばし続け、上手く逃げ延びた兵士達は我先にと続々と逃げて行き、後の者達の結果は言うまでもなかった。
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連合諸王国軍との戦闘から一夜明け、ハヤトは硝煙と黒煙の臭いが残る戦場を見渡していた。
連合諸王国軍5万の軍勢は一部の逃走者を除いて戦死。
主要人物らしき人間も確認できずに終わった事でハヤトは溜め息をついた。
「これで少しは懲りてくれると良いが……」
ハヤトはそうボヤいた後、事後処理の為に指令部へと戻って行った。