戦術人形彼の地にて斯く、戦えり   作:謎多き作家

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異世界への帰還

ルミナス・インフィニティの襲撃は終わり、警察やグリフィン、正規軍の調査が徹底的に行われた。

 

ルミナスの戦闘員達の殆どがこの襲撃で死に、暴動もルミナスが外部から集まっていた者達を先導したもので強い繋がりはなかった。

 

だが、グリフィン側の人形や正規軍の兵士は少なくない被害を出しており、また要人が多数集まる場を襲撃された事でルミナスへの捜査やロクサット主義に対する弾圧が強まる事は決まったも同然だった。

 

「と言う事で安全上の都合で本来の予定を大幅に切り上げて帰る事になりました」

 

「やっぱり……?」

 

ハヤトは怪我した右腕を擦りながら言い、伊丹は予想していたとばかりに返す。

 

「仕方ありませんよ。今回ばかりは派手にやり過ぎましたから」

 

「アレを派手にやり過ぎましたからで済むものなの?」

 

修復されすっかり直ったステンのその言葉に栗林はそう言うとステンは笑いながら目を反らした。

 

「まともに……交渉の話をする機会すら……」

 

「で、殿下!まだ次があります!諦めてはそこで終わってしまうのですよ!」

 

ピニャは新ソ連政府との会談兼交渉の予定が吹き飛んだ事でかなり落ち込んでおり、ポーゼスが慰めている。

 

「新ソ連。日本とはまた違って興味深かった。ハーヴェルが機会があればペルシカと言う人物に会わせてくれると言う」

 

「ペルシカって誰?」

 

「わからないわぁ」

 

レレイはハヤト達の世界にとってとんでもない人物と会う機会を得た事をサラッと言い、テュカとロゥリィはペルシカとは誰なのかと首を傾げる。

 

各々の反応を見てハヤトとステンは襲撃の事は約一名除いてあまり気にしていない様だと考えて安堵する。

 

ワイワイ騒ぐ中、それをハヤトは微笑みながら見守るのだった。

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ハヤト達は門の前まで来るとそこになクルーガーとへリアン、ヴァシリーが待っていた。

 

「クルーガーさん」

 

「うむ。腕の怪我は大丈夫か?」

 

「えぇ、大丈夫ですよ。こんな傷でへこたれていたら戦場では生きてられませんから」

 

ハヤトはそう言うとクルーガーは笑うと伊丹達に視線を向けられた。

 

「今回はすまなかった。我々としても厳重に警戒していたが奴等をみすみす見逃してしまった。最高責任者として謝罪させてくれ」

 

クルーガーはそう言って頭を下げ、へリアンも続く。

 

それを伊丹、冨田、栗林は大慌てで止めた。

 

「いえいえ!此方も日本ではハヤト指揮官達を危険に去らしましたので頭を下げなくても!」

 

伊丹が代表して言うとクルーガーとへリアンは頭を上げたのを見て伊丹、冨田、栗林は安堵の溜め息をついた。

 

ハヤトはその光景に苦笑いで見ているとヴァシリーがハヤトの前にやって来た。

 

「暫くはお別れだな」

 

「あぁ、そうだな。お前とは特地では会いたくないものだ」

 

「おいおい……嫌われたもんだな……」

 

「勘違いするな。お前が今度特地に来るときは……」

 

「軍事侵攻……だな……」

 

ヴァシリーのその言葉にハヤトは顔を険しくするとヴァシリーは笑う。

 

「そんな顔をするな。覚悟はしておくものだぞ?」

 

「そうだな……皮肉なものだな。奪われた側が奪う側に回る。これ程の皮肉は世界中探しても滅多に御目にかかれないぞ」

 

ハヤトはそう言うとヴァシリーは笑う。

 

「そうかもしれないな。だが、先に仕掛けたのは奴等だ。分かるだろ?自分達の力を過信して身の丈に合わない相手に喧嘩を仕掛ける。そんな奴等にはお灸を据えてやらないとならない。じゃないと何時かは勝てるやら今は雌伏の時やら何で火種を抱え続ける事になる。中東みたいにな。だったら……叩き潰してやった方が良い。今後の小さな火種で大火事になる様な事にしない為にもな」

 

ヴァシリーのその言葉にハヤトは険しい顔のまま沈黙し、ヴァシリーを見つめた後、ヴァシリーが手を差し出し、ハヤトはその手を掴むと拍手した。

 

「しっかりしろよ。お前は重要なポジションに着いてるんだ。今後のやり方次第では俺達の世界の人間の多くは希望を得られる。例え多少のリスクはあってもコーラップス汚染のある世界よりもマシだからな」

 

「分かっている。だが、だからと言って俺はこの世界の為に向こうの世界の人々の全てを奪う事には絶対に荷担しない。絶対にだ」

 

「ふん……頑固者め……まぁ、良い。その考えが成就する事を願うよ」

 

ヴァシリーはそう言って立ち去るとハヤトはその後ろ姿を見つめるのだった。

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クルーガー達の見送りを受けてハヤト達は特地に帰還するとそこでは人形達が出迎えがあった。

 

「指揮官!お帰りなさい!コーラ飲む?」

 

「そっちでも大変だったと聞いたぞボス?大丈夫なのか?」

 

「あらら。腕怪我してるじゃない。向こうでどんな刺激的な事があったの?」

 

人形各々の反応を見せてハヤトを取り囲んだ騒ぎハヤトは苦笑いする中、ステンは人形達を押し退けていく。

 

「はいはい。指揮官はお疲れなので後にしてくださいね」

 

ステンの登場にハヤトを取り囲んでいた人形達は離れると伊丹達はステンの正妻感の強さに苦笑いする。

 

「一瞬で離れたな」

 

「やっぱりハヤト指揮官の本命が相手では分が悪いのだと判断してかと」

 

「私には分かる。他の子達、殆どが捕食者の目だ。それとステンの雰囲気が歴戦の戦士の様みたいなオーラが見える。これって何度も一人の男を巡って戦ってきたって言う証なの?」

 

伊丹、冨田、栗林はステン達、人形(乙女)による仁義無きハヤト(愛する者)を巡る戦いの光景に引き気味になる中、そこへ。

 

「隊長!お久しぶりっス!」

 

「倉田?何で此処に?」

 

「何って今回の当番は俺達っスよ!」

 

「あ……交換連絡員のか……」

 

伊丹は自衛隊とグリフィンの連絡要員の交換で派遣し合っている事を思い出し、今回は第三偵察隊が当番だったのかと考えると倉田は感激しているとばかりに笑っている。

 

「此処、凄いんスよ!基地は広いし!皆可愛いし!とにかく来て良かったス!我が生涯に一変の悔い無しっス!……あ、いや悔いはまだあるっスね……ペルシアさんとか……」

 

「あはは……分かった分かった」

 

伊丹は笑っているが内心、倉田に嫉妬した。

 

自分達は大変な目に何度も合ってるのにこいつは休みでもないのに普通にエンジョイしてやがったと。

 

こればかりは冨田、栗林も倉田に嫉妬気味になり、理不尽な怒りが倉田を襲うのだった。

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その頃、特地の鉄血の基地ではヘアツァークは司令部で各地に派遣している部隊の状況を確認している中、スケアクロウがやって来た。

 

「ヘアツァーク。例の計画を進める時が来ました」

 

「分かりました……して、アーキテクトはどうなりましたか?降伏したと聞きましたが?」

 

「アレはもう忘れましょう。しかし、痛手であるのは変わりません。ジュピターが破壊され、多くの戦力を削られたのは事実なのですから」

 

「そうですか……それなのにこの世界にまたハイエンドを送り込むつもりですかエージェントは?」

 

ヘアツァークはそう言って送られてきた指示書を見ると新たにハイエンドモデルの投入する事を決めた趣旨の内容が書かれていた。

 

エクスキューショナー、ハンター、イントゥールーダー。

 

ハイエンド三名の大盤振る舞いな戦力投入にヘアツァークは困惑を覚えた。

 

「それ程までにこの世界の制圧は重要な任務です。有り余る資源、魔法と言う未知の技術、そして多種多様な種族。使い道を考えれば鉄血に莫大な利をもたらすの明白。グリフィンと自衛隊が手を組んだ以上は我々も戦力を強化するしかありません」

 

スケアクロウのその言葉にヘアツァークは溜め息を吐く。

 

「目先の事ばかり囚われては戦いには勝てない。だが、あまり無い無いばかりでも駄目ですね。基盤を固めきるまではと思ったのですが……仕方ありません。此方も一手、動かしましょう」

 

ヘアツァークはそう言って駒を手に取る様な素振りを見せて次の行動を決めたのだった。

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