戦術人形彼の地にて斯く、戦えり   作:謎多き作家

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深部偵察

ファルマート大陸の中央部に位置する帝国とエルベ藩王国の国境付近。

 

そこにハヤトの命を受けて編成された偵察小隊が赴いていた。

 

「定時報告。此方、グリズリー。目標地点に到達。現時点で鉄血との接触は無し。送れ」

 

《了解した。油断しないでくれよグリズリー。その付近を最後に鉄血が目撃されて以降、行方は知れない。鉄血もそうだが気を付けなければならないのはもう一つある。ブリーフィングで言った通りそこは帝国とエルベ藩王国の国境の近くだ。国境を越える様な行為は許されない。もし万が一にでも鉄血が越境していた場合は報告次第、速やかに徹底する。分かってるな?》

 

「分かってるよ指揮官。国境なんて越えたら大事だしね。慎重に事を進めるよ。それじゃまた定時報告で」

 

グリズリーはそう言って通信を切ると一息つくとRFBがやって来た。

 

「う~ん……早く帰ってゲームしたいよ~……」

 

「そんな事を言ってる場合?」

 

グリズリーはそう言ってRFBに呆れつつその隣を見れば何を考えているのか分からないARのベオウルフがいる。

 

「……獲物が待っている」

 

「いや、戦闘は極力しないから。偵察だから」

 

「獲物は見定めるものだ」

 

「はぁ……もう良い……」

 

グリズリーはそう言って溜め息をつくとすぐに気を取り直して今回の偵察目標を言う。

 

「良い?今回の偵察任務は厄介よ。鉄血は私達の偵察ドローンに気付いて破壊。痕跡がこの付近で途絶えた。私達は痕跡の途絶えた鉄血を見つけ出して奴等の主目的であるジュピターの設置場所を発見する事。だけどもし、エルベ藩王国へ入り込む様な事態なら」

 

「分かってるよ。偵察はその時は中止でしょ?」

 

「手繰り寄せた縄を一度離すしかないか……」

 

ブゥブゥ言うRFBとベオウルフにグリズリーは頭を抱える中、待機地点の奥から気配を感じ取り、三人は視線を向けるとそこには数人の帝国兵が巡回に来ていた。

 

「姿勢を低くして。行くわよ」

 

グリズリーはそう言って姿勢を低くして進むとRFBとベオウルフも続く。

 

「ひぇ~見つかったら間違いなく追いかけられるし。捕まったら間違いなくエロ同人だよ~!」

 

「エロ同人?」

 

「いらん事を言うな」

 

RFBの言葉にベオウルフは首を傾げグリズリーはツッコミを入れると前進する様にハンドサインを出す。

 

三人は帝国兵に見つからない様に警戒しながら進み、時より巡回している帝国兵を見つけては潜伏してやり過ごした。

 

「ねぇねぇ、本当に鉄血はこんな所にいるの?見つけるのは帝国兵ばっかだし、そもそもこんな所を呑気に巡回してるならいないんじゃない?」

 

「鉄血は此処で姿を消したのよ。せめて新しい情報を手入れないと……」

 

グリズリーはそう言って歩いて辺りを見渡した後、数台の馬車が帝国兵に近付いているのを目撃した。

 

商隊か何かしらの輸送部隊かとグリズリーは気にせずに去ろうとした時、ベオウルフが立ち止まっているのに気付く。

 

「どうしたの?」

 

「……感じる。奴らだ」

 

「いやいや、あれはどっから見ても馬車の隊列じゃん。鉄血がそんなのに乗る訳ないじゃん」

 

RFBはそう言って否定していると帝国兵が馬車の隊列に気付いて前に出て止めた。

 

「止まれ!此処から先はエルベ藩王国へ続く道だ!何の目的あって通ろうとする!」

 

帝国の士官がそう言って返答を待つが馬車側は何も言わない。

 

御者も降りる所か動きもせず、帝国兵達は苛立っている。

 

「答えろ!何の理由あって」

 

帝国の士官が言い掛けた時、頭を撃ち抜かれて死んだ。

 

グリズリー達は唖然とした時、馬車側から発砲され、帝国兵は次々に死んでいく。

 

「まさか本当に関係があるなんて……」

 

グリズリーはそう呟いた時、馬車の中から数人の小銃を手にした男達が現れ、帝国兵を道の影に隠していく。

 

「ね、ねぇ……特地って銃なんてあったっけ?」

 

「そんな訳ないでしょ……!でも、何処であんな物を……」

 

グリズリーは明らかに特地で作られた銃ではないと思考を巡らせていると馬車側から出てきた者に驚愕した。

 

「あれは……イントゥールーダー……!」

 

「嘘でしょ……!?何で鉄血が人間とつるんでるの……!?」

 

RFBのその疑問にグリズリーも分からなかった。

 

鉄血は元の世界において容赦の無い攻撃と殺戮で知られている。

 

人間とそれに与する人形例外なく攻撃する鉄血の前例の中に人間に混じって行動するなど存在しなかった。

 

グリズリー達はイントゥールーダーを見ていると男達と何やら話しており、そしてそのまま辺りを見渡した所で。

 

「ッ!?全員、撤退!見つかったわ!」

 

イントゥールーダーがグリズリー達のいる場所に指を指したのだ。

 

イントゥールーダーの指示を聞いたのか男達はグリズリー達のいる場所へ発砲。

 

グリズリーは駆け出しながら通信を開いた。

 

「指揮官!至急、報告します!」

 

《どうした?何があった?》

 

「イントゥールーダーの姿を目撃!偵察した所、人間の男達と行動を共にしておりました!その男達は銃を所持している模様!詳しい情報を集めようとしましたが発見された為、撤退しています!」

 

《鉄血と人間が?……分かった。今は戦闘を避けろ。詳しい話しはそれからだ。ヘリの座標を送った。急げ》

 

ハヤトの指示を聞いたグリズリーは送られた座標へと急いで向かう中、後ろから発砲された。

 

「もう追い付いてきたよ!?本当に人間なの!?」

 

「牽制しながら後退!とにかく撤退を優先して!」

 

グリズリーはそう指示して後ろに発砲、追い掛けてきた男に当たって倒すも他の追っ手は怯まず進んでくる。

 

RFBやベオウルフも交戦しつつ後退し、逃げては撃ち、撃っては逃げるを繰り返しながら漸く座標付近へと到達した。

 

そこにはヘリが一騎、地面スレスレで飛んでおり、グリズリー達は急いで走った。

 

《急げ!》

 

ハヤトのその言葉と同時にグリズリー達は乗り込むとヘリはすぐに飛び立つ。

 

男達は飛び立ったヘリに発砲し、何度かヘリに被弾したがダメージになる事はなく何とか窮地を脱した。

 

その様子を後からやって来たイントゥールーダーは見た後、通信を入れた。

 

「私です。どうやらグリフィンの鼠達が勘づいたみたいですわ」

 

《問題ありません。既に計画は進んでいますし、何よりグリフィンも自衛隊も他国までには手が出せませんから》

 

「そうでしょうか?後先考えずに先手を打ってくる可能性も否めませんが?」

 

《……そうですね。ですがその為にあの男に多少の武器を融通してやったのです。……少しは抵抗を見せてくれるでしょう》

 

通信相手のその言葉にイントゥールーダーは何も言わず溜め息をつく。

 

《グリフィンの偵察部隊など捨て置いて戻ってください。我々は多忙の身なのですから》

 

「分かりましたわ。では……後程……」

 

イントゥールーダーはそう言って通信を切ると興味を無くした様にその場から去り、男達も続いていく。

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