帝国や連合諸王国軍との戦いから数日後。
門周辺はハヤト達、グリフィンの完全な制圧下に置かれ、着実に基地へと変貌しつつあった。
人形達が慌ただしく働く中、ハヤトは数人の人形達を呼び出していた。
「各小隊長到着しました。指揮官」
第四小隊、AK74M。
第五小隊、VSK-94。
第六小隊、64式自。
AK74Mが集まった隊長を代表して言うとハヤトは軽く手を挙げて楽にする様に促した後で本題に入る。
「忙しい中集まって貰ってすまない。世間話はまたの機会にして本題に入ろう。お前達に門周辺……フォルトゥーナ近郊の集落や地理を詳しく調べて来て欲しいんだ」
「集落や地理をですか?」
VSK-94の言葉にハヤトは頷く。
「帝国との今後の付き合いを持つ事になるのなら相手の文化や思想、価値観、宗教。あらゆる分野を調べておかなければならない。ほんの少しの行き違いや価値観の違いで対立してしまう事を考えれば今の内にトラブルの火種になる前に内情を知り対策しておくに越した事はないからな」
「成る程……確かに理にかなってますね……」
「それに御上から此方での新しい情報はまだかまだかと煩くてね……すまないが頼めるか?」
ハヤトはそう言って優しい笑みを浮かべながら言うと三人は笑顔で返した。
「分かりました。貴方の決定ならば従います」
「此方も問題ありません」
「私の隊もです。一度、この世界を見て回ってみたいと思っていた所です」
三人の返答にハヤトは頷くとテーブルの上に置かれていたドローンで撮影され、作成された大まかな地図の回りに三人を集めた。
「三小隊を動かす以上は各々の隊で別ルートでの調査を行う事になる。第四小隊はこのルートを頼む。第五小隊はこの方角に進んでくれ。そして第六小隊はこのルートを頼む。地図は大まかで具体的な情報少ないが……第六小隊の進む先には村らしき場所が写っていた。もし、そこに人が住んでいたのなら友好的な姿勢を保って可能ならば協力を得られる様にしてくれ」
「分かりました。必ず信頼を勝ち取ってみせます」
64式自の言葉にハヤトは頷いたのだった。
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任務を与えられた64式自は準備を整えて自身の隊の元へとそこには指揮下にある人形達がいた。
ARの89式。
SMGのPM-9と一○○式。
そしてRFの四式。
日本の銃を手にする人形を中心に編成された第六小隊は出撃の準備を整えて車両前に待機していた。
「全員いますね?」
「勿論!この世界から出られる唯一の機会だよ!遅刻なんて出来ないよ!あぁ、こんな貴重な機会が与えられるなんて……お米の神様ありがとう!」
89式はそう言って興奮気味に言うと今度はPM-9が拳を手の平に当てて不敵に笑う。
「へへ、この世界で私の格闘技が通用するか試す機会だな」
PM-9はそう言うと一○○式は目をキラキラさせている。
「色々な所を見てみたいですね。汚染もないこんなに綺麗な場所なんてホワイトエリアでも見られませんからね」
一○○式はそう言って四式も興味深げに雑誌を手にしている。
「異世界と言えばファンタジーでありますが人間以外の方々もいるのか興味があるのであります。あ、前回遭遇したゴブリンやらオークとは別での話しであります」
四式はそう言ってむふーと笑うと一○○式と89式も興味津々とばかりに異世界語りを始めてしまいどんどん収拾が着かなくなった所でパンパンも64式自が手を叩いて止めた。
「そこまでです。そう言った私語は任務を終えてからです。今回は調査が目的になるからもし、現地の民間人がいたら威圧的な行動は控えるように。特にPM-9」
「何で名指しなんだよ!?」
「そりゃそうだよ……この隊一番の短気じゃないですか……」
「挨拶早々にパンチしてこいなんて言われましたしね……」
「正直、心配であります……」
「ンだとテメェら!!」
PM-9がキレて三人に追い掛け回し始めそうになった所で64式自が咳払いすると四人はすぐに騒ぎを止めた。
「はぁ……もう良いわ……とにかく、これ以上は任務が遅れてしまうわ。車両に乗り込んで。出発するわよ」
64式自の命令を四人は聞いて車両に乗り込んで行くと64式自も乗り込むとフォルトゥーナから出発するのだった。
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その頃、グリフィンが相手取る敵国、帝国では帝国の皇帝であるモルト・ソル・アウグスタスは帝国皇城で頭を悩ませていた。
「皇帝陛下。諸王国軍の損害は死者、行方不明者を合わせて10万に達する見込みです。敗残の兵は統率を失い散々に帰途に着いた様です」
「うむ……諸王国軍の件は予想通りだな……だが……」
「如何せん敵が多すぎまするな……」
モルトの前に立ち、報告を行うモルトの腹心であるマルクス伯はそう言うとモルトは眉間を押さえる。
「アヌルスの軍、フォルトゥーナの戦乙女達そして黒紫の魔女……何れも帝国の軍を壊滅に追いやっておりまする……アヌルスとフォルトゥーナの敵の同行も気になりますルが黒紫の魔女の動きは活発で帝国の民や亜人を無差別に殺しているとか……」
「……致し方あるまい。敵の周辺の街、村を焼き払い井戸には毒を。食料、家畜を運び出せ。さすれば如何なる軍勢でも立ち往生し、付け入る隙が現れる筈だ」
「焦土作戦ですか……暫し、税収が低下しそうですな……」
「致し方あるまい。園遊会を幾つか取り止め、離宮の建設を延期すれば良かろう」
モルトはそう言って今後の対策は出来たと考えた時、玉座の間の扉が開かれた。
「陛下!!」
入って来たのは鎧に身を包んだ女性でモルトの前まで来た所で跪いた。
「ピニャ・コ・ラーダ。どうしたのだ?」
「無論、アルヌスやフォルトゥーナ、黒紫の魔女共の事です」
ピニャの言葉にマルクスは眉間の皺を上げてピニャを見つめ、モルトは沈黙を貫く中、ピニャは勢いに任せて発言する。
「アルヌスやフォルトゥーナの門は奪われ、そこに敵が居座っていると聞きました。そして帝国を脅かす黒紫の魔女共は未だに討伐も成し遂げられてもおりません。陛下は我が国が危機的状況にある今、何を成されているのか?耄碌なされたか!?」
「わ、我々はこの期間に兵を集め、必ずや門を……」
「悠長な!そんな事では敵の侵入を防ぐ事は出来ぬ!!」
ピニャの滅茶苦茶な発言にでは、どうしろと言うのかとマルクスは頭を悩ませる中、モルトがそれを制す。
「ピニャよ。そなたの言葉の通りだ……悠長に構えてはおれぬ………丁度良い。そなたの騎士団。それと共に偵察に行ってまいれ」
「わらわが騎士団と共に?」
「そうだ。そなたのやってい事が兵隊ごっこでなければの話だがな?」
モルトは肯定する様に見せながらピニャをあしらった。
ピニャがこの場に来たのはピニャ自身がピニャが創設した女性が中心の騎士団を儀礼ではなく、実戦で使わせようと言う魂胆があるからだとモルトは考え、滅茶苦茶な発言で場を掻き回されるよりも遠くにやって尚且つ、現実を見て来いと言う意思を持ったものだった。
モルトの挑発的な言葉にピニャは悔しげに唇を噛み締めると頭を深く下げた。
「確かに承りました……では、行って参ります……父上」
「うむ、成果を期待しておるぞ?」
モルトはそう言ってようやく落ち着けると思いながら玉座に座り続けるのだった。