戦術人形彼の地にて斯く、戦えり   作:謎多き作家

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遭遇

64式自達、第六小隊は道なりを進んで周辺の地理を調べつつ最初の目的地となる村を目指していた。

 

「うわぁ~。空が蒼いですね~」

 

「おいおい、戦場で散々見ただろ?こんなのヘリでちょっと行けば嫌でも見られたぜ?」

 

「うちの田舎とは違うんですよ~。ほら、私達の世界は汚染が酷いですし……鉄血との戦闘もありましたし……」

 

89式はそう言って目をキラキラさせ、PM-9は呆れながら窓の外を見て帝国軍がいないか警戒する。

 

「たく……異世界だの何だの知らねぇが……本当になーんにもねぇな……」

 

「仕方ありませんよ……文明的には中世……下手したら古代ローマくらいなんですから……」 

 

PM-9の愚痴に一○○式は運転しながら苦笑いで言うと地図を見ていた四式が方角の指示を出す。

 

「このまま直進すれば予定の村であります」

 

「分かりました」

 

四式の指示に従って一○○式はアクセルを踏んでスピードを上げた。

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第六小隊は目的地の村、コダ村の近くまでやって来ると車両を降りた。

 

「よし!さっさとぐぇッ!?」

 

「待ちなさい」

 

さっさと行こうとするPM-9の首根っこを64式自が掴んで止めるとPM-9は軽く咳き込みながら64式自に抗議する。

 

「何すんだよ!?ゴホゴホッ!」

 

「そんな急に接触しても警戒されるだけよ。私の見た目や武器を見たら間違いなく警戒するわ。此処は先ず、相手の警戒を解く所から始めます。89式は私と共に。他は周囲の警戒を」

 

64式自はそう言って89式を連れてコダ村へと近付いていく。

 

二人が慎重に物陰に隠れながら様子を伺いながら様子を見ると流石に音か何かで気付いたのか村人達は家の中に入ってしまい警戒する素振りを見せている。

 

「思いっきり警戒されてますね……」

 

「もしかしたら閉鎖的な村なのかもしれないわね……」

 

64式自はアプローチはどうするか考えていると89式が自信満々に64式自に言う。

 

「こう言う時は素直に姿を現して用件を言えば良いんですよ。私に任せてください」

 

「あ、いやちょっと!」

 

64式自の制止も聞かずに89式は村の出入口辺りまで出てくると一息吸って現地の言葉で声を出した。

 

『すみませーん!私達、この周辺の事を聞きに来たのですが良いですかー!』

 

89式の元気の良いそんな声が村に響く。

 

暫く静粛が支配する中、家の一つが開かれた。

 

『ほ、本当に周辺の事を聞きに来ただけなのか?盗賊じゃないのか?』

 

現れたのは老齢の帽子を被った男で89式は頷くと64式自のいる方向に向くとブイサインを笑顔で決めた。

 

89式の活躍?もあって第六小隊の面々は交流と言う名の調査に成功した。

 

帽子を被った男はコダ村の村長で64式自が代表で村長の知る限りの情報を収集していた。

 

残った者達は各々、話を聞いたり、村の子供達と遊んでいた。

 

『よーし!私が鬼だから全員逃げな!』

 

PM-9が子供達を相手に鬼ごっこを教えて一緒に遊んでおり、それを近くで見守る四式の姿があった。

 

「頼みますから怪我だけはさせない様にするでありますよ!」

 

「私を何だと思ってんだよ四式!」

 

四式はPM-9が力加減を誤って子供に怪我をさせないかと不安な中、一○○式は村の女性達に滅茶可愛がられていた。

 

『あらあら、本当に可愛らしいお嬢さんね!』

 

『本当だよ!この頬なんてついつい突っつきたくなっちまうよ』

 

『あ、あの……この辺でご勘弁を……』

 

一○○式は突っつかれ続ける頬の感触を受けながら無下にしきれない感覚に陥っていた。

 

各々が分かれて行動する中、64式自が情報を纏め直し終えた。

 

『この先の森にエルフの集落があるのですね?』

 

『そうだ。この道の先にある森の中だ。小川があるからそれを目印に進むと良い』

 

『ありがとうございます。それでは私達はそろそろ出発致します。……ん?』

 

64式自はそろそろ出発しようかと判断した時、微かに音が聞こえた。

 

異世界……中世の文化圏には似つかわしくない音。

 

エンジンの音だった。

 

「(他の小隊が近くに来た?……いや、違う……この音は明らかに数が多い!)」

 

「64式自!此方に私達が使ってる車両じゃない車が来ているであります!」

 

四式が走ってきてそう言い、それを聞いた64式自の行動は早かった。

 

『村長さん!村の人達を中に!』

 

『は、はい!皆!家の中に隠れるんだ!』

 

64式自の警告を聞いた村長はそう叫んで村人達を家の中に避難させると64式自は通信で小隊全体に命令を出す。

 

「全員警戒!未確認の車両を確認!物陰に隠れて!」

 

64式自の指示を聞いた第六小隊は草影や建物の物陰に隠れて銃のセーフティーを解錠して様子を伺う。

 

静かな時間が流れる中、エンジンの音が聞こえなくなって暫く経った後でコダ村の様子を伺う人影が見えた。

 

緑の迷彩服を着た兵士らしき集団で、64式自の警戒度は高まった。

 

「全員、警戒を緩めないで。私が接触して目的を聞く」

 

64式自はそう言って村の中央の広場辺りまで恐る恐るとやって来た兵士二人の元に静かに後ろに近付くと警告した。

 

「動かないで。貴方方は包囲されています。武器を地面に置いて両手を挙げてください」

 

「ッ!?隊長……!」

 

「慌てるな……取り敢えず両手を挙げようか……」

 

64式自の言葉を聞いた兵士二人は武器を地面に置いて両手を挙げる。

 

それを確認した64式自は置かれた銃を見て驚きと困惑を覚えた。

 

64式7.62mm小銃。

 

64式自の半身であり、使用しているアサルトライフルと同じ物だった。

 

「……貴方達は何者ですか?何処の所属で?」

 

「お、俺達は日本国自衛隊……えーと……君、日本語分かるの……?」

 

「そんな……あり得ない……!」

 

64式自は目の前のあり得ない事態に驚いていると後ろから足音を複数聞き、銃口を向ければそこには数人の兵士達が64式小銃を構えていた。

 

「隊長!黒川!」

 

「無事っすか!?て言うか何で銃を取られてるンすか!?」

 

「隊長!何してるんですか!全く!」

 

「いや、俺!?」

 

三人の兵士に銃口を向けられた64式自。

 

それを見た89式達も堪らず出てきた。

 

「64式自!」

 

「テメェら!何もンだ!!」

 

「えッ!?89式小銃!?それとPM-9!?何で持ってんだ!?」

 

隊長と呼ばれた男の視線には89式小銃とPM-9を構えた89式とPM-9の二人がおり、三人の兵士の左右には一○○式と四式が銃口を向けて半包囲で警戒する。

 

「くッ!今度は一○○式と四式か!」

 

「いや、何でそんなマイナーな銃まで持ってるンすか!?」

 

「うるさいよ!そんな事よりどうすんのこれ!?」

 

兵士の三人は半包囲に晒され、一触即発の状況の中、何時撃ち合いになってもおかしくない状況の中で兵士達の隊長が64式自に声を掛けた。

 

「取り敢えず……全員、銃を下ろさない?」

 

「敵か味方か分からない貴方達の目の前でですか?」

 

「いや……俺達は敵対するつもりはないから……ね?」

 

兵士達の隊長のその言葉に64式自は迷っていると四式から通信が入った。

 

《64式自殿!他にも生態反応を検知したであります!数は我々よりも多く、此方が逆に包囲されかねないであります!》

 

四式のその言葉に64式自は仕方ないと考え銃口を下ろすと指示を出す。

 

「全員、銃口を下ろして。警戒を解かず集まって」

 

64式自のその言葉を聞いた兵士達は安堵して全員、溜め息をついた。

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第六小隊と未知の武装勢力との接触から暫くして現状を把握してきた64式自は頭を抱えた。

 

「つまり……貴方方は日本の自衛隊の偵察部隊だと?」

 

「まぁ……そうだけど……君達はグリフィン&クルーガーって言うPMCの傭兵って事で良いの?」

 

何処かヘラヘラした自衛官で部隊の隊長である伊丹に64式自はジト目になる中、89式が元気良く答える。

 

「あ、正確には戦術人形ね!」

 

「その戦術人形って奴が分からないんすけど……」

 

89式の戦術人形と言う意味に自衛官の倉田は何の事なのかと首を傾げる中、PM-9は頭を掻きむしって苛立ちを見せる。

 

「面倒くせぇなぁ!戦術人形って言ったら戦術人形なんだよ!いちいち言わせんなよ!」

 

「PM-9!そんな怒鳴らなくてもいいじゃないですか!」

 

苛立ちを覚えるPM-9に一○○式が嗜めると四式が唸った後で自身の仮説を言う。

 

「もしや……戦術人形と言う存在事態ないものではありませんか?そもそも我輩達が知る日本は今……」

 

「……存在しない筈です」

 

「え?……はぁ!?」

 

64式自のその言葉に伊丹は驚くと周りの自衛官達も動揺し始めた。

 

「……すみませんが伊丹……さん。貴方方の今の年数は?」

 

「に、20××年だけど……?」

 

「やっぱり……伊丹さん。皆さん。落ち着いて聞いてください。私達の来た世界での年数は2061年。貴方方の年代とはかなり掛け離れた年代から私達は来ました。私達の世界、2030年に起きた北蘭島事件と呼ばれる大規模汚染で国土の半分以上を汚染され、更に追い討ちを掛ける形で第三次世界大戦に巻き込まれて……」

 

64式自の残酷な言葉に自衛官達に動揺が走る中、伊丹が手をパンッ!と叩いて注目を集める。

 

「今、そんなの考えても仕方ないでしょ?俺達には俺達の目の前の事をするだけだろ?」

 

「ッ!?……そうですね……」

 

伊丹のその言葉に冨田は頷くと周りの自衛官達も徐々に落ち着きを取り戻した。

 

「一先ず……一緒に行動する?どのみち、俺達も目的は同じだし」

 

「……分かりました。貴方方と一時的に行動を共にします。先に言っておきますが此方の指揮官に報告は入れますので(指揮官に連絡を入れてこの事態を知って貰わないと……!)」

 

「此方も上に報告しますんで問題ありません(これ、報告したら凄い反応しそうだなぁ……)」

 

一悶着あった末にグリフィンの第六小隊と自衛隊の第三偵察隊は一時的に行動を共にする事となった。

 

 

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