第六小隊と第三偵察隊は集落の生き残りであるエルフの女性を連れてコダ村へと戻った。
だが、コダ村は自棄に騒がしく、第六小隊と第三偵察隊の面々は唖然としているとそこへ村長が現れた。
『おぉ、お前達!無事だったのか!』
「えぇ……と……何だって?」
「無事だったのかと言ってます」
異世界の言葉にまだ疎い伊丹に64式自が村長の言葉を翻訳するとすぐに村が慌ただしい理由を聞いた。
『村長さん。どうしたのですか?無事だったとは?』
『黒紫の魔女だ。奴等が現れたと隣村の者が使いを送ってくれたのじゃ。……その隣村は既に奴等の手に落ちたようじゃがな……』
『黒紫の魔女……?』
『奴等は恐ろしい魔法を使いおると聞く……光る天球の魔法や天を走る黒鳥、群れを成す魔犬……何れも恐ろしく、そして討伐を試みた帝国軍を生きて帰さなかったともっぱらの噂じゃ。しかも奴等は人も亜人も見境がなく殺して回っているそうじゃ。奴等が近くに現れた以上、逃げねばならない』
村長のその言葉に64式は言われた説明の光景を想像するもいまいち掴めない内容に困惑を覚える中、村長から驚く言葉が飛び出た。
『奴等が最後に向かった先がお前達が向かった森じゃ。奴等は恐らくエルフを襲いに行ったのだと分かったがお主らよく無事じゃったな?』
『何ですって!だとしたらエルフの集落が焼けていた理由は……』
64式自はようやく森が焼かれていて生存者が一人しかいなかった理由を理解した。
エルフの集落はやはり襲われて壊滅させられており、死体に外傷があったのも襲われて傷ついたからと説明が付けれた。
64式自が呆然としていると伊丹が64式自の肩に手を置いた所で64式自は我に帰った。
「えーと……何だって?」
「……黒紫の魔女と呼ばれる勢力が現れた為に避難するそうです。此処の隣村は既にやられていて……エルフの集落が焼かれていた原因がその黒紫の魔女だろうと言う事です……」
「な、何だって!?あれはやっぱり事故じゃなかったのか……」
64式自の手に入れた情報に伊丹はそう呟くとすぐに他の隊員達と情報を共有すると部隊の中で一番のベテランである桑原が伊丹に具申した。
「伊丹隊長。恐らくその黒紫の魔女と呼ばれる勢力はこの近辺で襲撃を仕掛けてくる可能性があると予想します。村人達がせめて安全な場所に避難出来る様に支援すべきかと」
「私達も手伝います。このまま黙って帰るなんて出来ませんから」
桑原の具申と64式自の言葉に伊丹は頷くとすぐに指示を出した。
「なら、俺は村長から救援要請を引き出してくる。桑原さん達は皆が避難しやすいに誘導を頼む。」
「私達は自衛隊の方々が迅速に避難を誘導出来る様に通訳や周辺に警戒を行います。それと念の為にダミー人形も展開させます」
「ダミー人形?」
64式自のダミー人形と言う言葉に栗林は首を傾げていると89式が手を振って駆けてきた。
「ダミー人形を持ってきたよ!」
89式がそう言って持ってきたのは大量のケースで64式自達はケースに集まるとケースを開け放った。
するとケースの中から人形の物体が現れるとその姿を64式自達に変えた。
あっという間に数を増やした64式自達に第三偵察隊の面々は驚愕、次いでに村長達もびっくりしていた。
「何ッスかそれ!?」
「ダミー人形です。我々、戦術人形はダミー人形とリンクする事で編成の人数を増やす事が出来ます。一人、五体までですがこれだけの数が揃えば作業効率を上げられる筈です」
「だから小隊なのか……」
冨田は何故、五人しかいない第六小隊が小隊と名乗っているのかた疑問だった。
小隊は最低でも三十人集まってようやく呼ばれる規模の部隊で五人だけの部隊では分隊となるのだ。
それが彼女達の場合では本体五人×ダミー五体となると二十五人の編成となり、小隊の最低人数に届く編成数になるのだ。
グリフィンの戦術人形と自ら名乗る彼女達に第三偵察隊はますます謎が深まっていく中、64式自達はテキパキと動き始めた。
「89式と一○○式は私と一緒に第三偵察隊の支援を!PM-9と四式は周辺の警戒を!怪しい存在を見つけたらすぐに知らせて!」
「「「「了解!」」」」
64式自の指示を聞いた面々は各々の役割に動き、散っていく。
「……さて。俺達も動こうか」
伊丹の言葉で第三偵察隊も行動を開始した。
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第三偵察隊と第六小隊による避難誘導が始まってから暫くしてコダ村の外れに住んでいたカトーとレレイが馬車を引いて現れた。
黒紫の魔女が現れたと聞いたカトーとレレイは巻き込まれて襲われては堪らないと限界まで荷造りして漸くコダ村までやって来たのだ。
『な、なんじゃあこれは?』
カトーが見たものは同じ姿、同じ顔を持つ少女達、第六小隊が村人達の避難を助け、まだ現地語に慣れていない第三偵察隊とコダ村の住民達の言葉を取り持つ姿があった。
「これを積めば良いんですね!」
「これ以上は無理ですよ!一部は諦めてください!」
「彼はこう言ってまして」
各々が各々の役を持つ様に動く姿にカトーとレレイは唖然としていると89式が駆けてきた。
『そこの馬車の人!止まってたら通行の邪魔になっちゃうから進んで!』
『お、おう……すまん……レレイ……』
『分かった』
カトーに促されて馬車を進めたレレイは村のあちこちで動く第六小隊と第三偵察隊の面々を観察している中、馬車の列の先が騒がしくなった。
『どうしたのじゃ?』
『これはカトー先生!レレイも大変な事になって。この先で荷を詰め過ぎて車軸を折った馬車が道を塞いでしまって……』
コダ村の男が困り果てた様子で言った時、横を駆けていく者達がいた。
「89式来て!すぐに馬車を退かすわよ!一○○式は怪我人の確認を!急いで」
「分かりました!」
「黒川は一○○式さんと一緒に怪我人がいないか確認!」
「了解!」
64式自が89式をダミー達と共に連れて壊れた馬車に駆けて行き、黒川と一○○式が怪我人がいないか確認しに行く姿を見たレレイは手綱を放して馬車から降りた。
『師匠。様子を見てくる』
『あ、レレイ!?』
カトーの制止を聞かずにレレイは駆け出して行き、馬車の列の一番前まで辿り着くと壊れた馬車と倒れて鳴き声を挙げる馬があった。
周りには到着した伊丹や桑原、64式自、89式が対応しており、黒川と一○○式が怪我人の確認を急いでいた。
「これくらいならダミー達を使えばすぐに退かせれます」
「え?重くない?大丈夫?」
「ご存知ないでしょうが戦術人形は普通の人間よりも力がありますから。89式、此方は私がやるからダミー達を使って周りの瓦礫や荷物を退かして!」
「はい!」
64式自の指示を飛ばして馬車に近付こうとした時、馬が突如として起き上がり、蹄を上げたのだ。
蹄を上げた先にはいつの間にか怪我をした少女の近くにいたレレイがおり、64式自は危険が及んでいる事に気付いて叫んだ。
「危ない!」
64式自はレレイを庇おうと動こうとした時、少し離れた場所から発砲音が鳴り響くと同時に馬は血を流して倒れた。
64式自は発砲された音源の方を見ると89式が硝煙が昇る銃口を構えて安堵の顔をしていた。
「あ、危なかった……」
89式はそう言って銃口を下ろして額の汗を拭う素振りを見せた所でようやく安心が戻ってきた。
「やりますねぇ。89式」
「助かりました……ありがとうございます」
一○○式と64式自は上手く馬に当てた89式に言うと89式は照れる。
「凄いな……本当によく当てたものだ」
「おやっさんもそう思う?」
「はい。突然の馬の暴走で正確に構えている時間が無い中で正確に撃ち抜いていました。私でもまぐれで当てれば良い方でしょうが89式さんは馬の暴走に気付いてから正確に狙って撃っている素振りがありました。並みの洞察力や反射神経ではありません」
桑原の言葉に伊丹はやはり彼女達は只者ではないと思いつつ場所の方を向けば。
「ふう……退かせれました……」
『凄い……』
「本当に退かしてしまったわ……」
64式自がダミーを使っていたとは言え、簡単に馬車を退かして道を開ける姿に黒川とレレイが唖然としている姿があり、伊丹も唖然とした。
「本当に怪力なんだ……」
「そこですか隊長?」
伊丹のその言葉に桑原は呆れるのだった。
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コダ村が避難を始めてから数時間が経過。
日が沈み、辺りが暗くなる頃にはアルヌスやフォルトゥーナへ遠征に行き、帰らなくなった貴族や騎士の様な治安を維持する者がいなくなった隙を突いた盗賊が跳梁に走っていた。
盗賊は黒紫の魔女の影響で逃げ出していた一台の馬車を追い詰め、馬車の持ち主である男を殺し、その妻と娘に凌辱を加えていた。
『助けて……助けて……!』
娘は盗賊に弄ばれる中、必死に枯れた声を出す中で盗賊達の興奮を呼んだ時、娘を犯していた盗賊の首が飛び、血が娘に飛び散る中、盗賊達の悲鳴が響く。
『うわぁッ!?』
盗賊の一人が悲鳴を挙げるとそこから一斉に光弾が盗賊達を襲った。
『こ、この魔法……な、何でこんな所に黒紫の魔女共がいるんだよ!?』
盗賊達は逃げ惑う中、取り囲む様な形で光弾が飛び、盗賊達を撃ち抜く中、その中に剣と銃が一体化された様な武器と大型の盾を手に長い白のポニーテイルの女が盗賊の一人に近付くと切り裂き、逃げ様とする盗賊の背中を撃ち抜き、血を吐きながら這いずる盗賊の頭を文字通り踏み潰した。
女は盗賊を誰一人と逃がさず次々に殺して回った後、乱暴を受けていた娘の元へと来ると。
『グハヘァッ!?』
女は娘の胸を武器の刃で貫き、その命を奪った。
女は武器を抜くと軽く振って血糊を払った所で周りに紫を強調とした服装や髪色を持つ銃を手にした女達が現れた。
「……つまらない。もう少しまともな奴はいないの?」
女はそう言ってつまらなそうに盗賊の死体を眺めていた時、女は生態反応を感じ取り、視線を向けるとそこには黒いフリルの沢山付いた所謂、ゴスロリの服やリボンを身に付けた少女らしき者が現れた。
少女は若く可憐で細身ではあるがその手には似つかわしくない程の大きな刃を持つハルバードが握られていた。
『……誰?』
『そっちこそぉ。何方なのかしらぁ?噂の黒紫の魔女なのかしらぁ?それと……私がやる筈だったおじ様方を殺しちゃったのあなたぁ?』
ゴスロリの少女の質問攻めに女は不愉快そうな表情を浮かべると答え始める。
『見かけたから殺した。何ともつまらない……つまらな過ぎる……向こうでは腕を振るう機会に恵まれた同胞がいるのに……私はこんなゴミしかいない世界で掃除するしかないだけなんて……』
女はそう言って盗賊の死体に何の戸惑いもなく刃を突き立てるとゴスロリの少女に向かって突き立てた死体を思いっきり投げ飛ばした。
ゴスロリの少女はそれを軽く避けると女は武器の刃先を向けてゴスロリの少女に冷たい視線を向ける。
『構えろ。お前も同じ様に骸に変えてやる』
『……面白いわぁ』
ゴスロリの少女は舌舐りをするとハルバードを握り締め、凄まじい速さで女に迫り、女は盾を前にし、ゴスロリの少女に目掛けて武器を振り下ろした。