戦術人形彼の地にて斯く、戦えり   作:謎多き作家

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ゴスロリ少女

コダ村から発ってから一日が過ぎた。

 

第三偵察隊と第六小隊の護衛の元、コダ村の馬車の隊列は行き先も定まらないまま移動を続けており、トラブルも多発した。

 

「此方で馬車が泥濘に嵌まっています!」

 

『水ですよ。元気を出してください。きっと大丈夫ですから』

 

『無理すんな。あたしたらがいるんだから我慢しないで頼りな。そこ!喧嘩すんな!』

 

コダ村のトラブルは第三偵察隊も対応しているがその中で第六小隊の助力に大きく助けられた。

 

トラブルにすぐに気付き、弱っている避難民を瞬時に見極め、励まし、仲裁する。

 

足りない所を瞬時に埋めていってくれる第六小隊の働きは第三偵察隊も頼りにしていた。

 

「行くであります!」

 

「気合いを入れろ!1、2、3!」

 

四式が桑原達と共にメリザ達の馬車を押し出して四式は一息つくとメリザ達の子供が駆け寄ってきた。

 

『ありがとうお姉ちゃん達!』

 

『いえいえ。困ったら何時でも頼って欲しいであります』

 

四式はそう言って子供の頭を撫でた後、すぐに桑原達の共に次のトラブルが起きた馬車へと駆け出してく。

 

『あの人ら良い人達だねぇ。何処の兵隊だい?それにあの娘達も?』

 

『さぁ……異国の人達みたいだけど……緑の兵隊さん達は分かるけど周りにいる娘達はあの兵隊さん達の連れかな……』

 

『何はともあれ人が良すぎる様な気もするが……』

 

コダ村の村人達は避難支援を行う第三偵察隊と第六小隊にそう口々に言う中、64式自はトラブルや村人達を助けてつつ辺りを常に警戒し続けた。

 

「周囲に怪しい影無し。油断しないでコダ村の人達に危害を加えそうな存在を決して見逃さない様に」

 

《了解!64式自も気をつけてね!》

 

《黒紫の魔女だが何だか知らねぇが迷惑極まりねぇぜ。おかげで髪が傷んで仕方ねぇよ……》

 

《我慢するでありますよ。村の人達に何かあったら我輩達はきっと後悔するでありますよ》

 

四式の言葉にPM-9は言葉にせず沈黙する。

 

避難する村人の中にはまだ子供がおり、PM-9も何人か交流して遊んだ子供も含まれている。

 

もし、子供達が黒紫の魔女の攻撃で亡くなったり、親を亡くしたりしたらと思うとPM-9としても浮かばれないと思えるくらいには情があった。

 

《自衛隊の人達もいますし何とかなりますよ。それよりも流石に落ち着きませんね……あまり民間人をグリフィンの乗り物に乗せた事がないので……》

 

「我慢して一○○式。自衛隊の方々だけに負担を掛けられないわ」

 

現在、第三偵察隊と第六小隊の車両には疲れきった村人……主に怪我人や子供、妊婦、病人と言った者を中心に乗せていた。

 

一日中、逃避行を行い続けるコダ村の村人達の体力も限界が近い事もあってせめて少しでも負担を減らす為の策だった。

 

《そう言えば指揮官はこの事を聞いているのか?》

 

「えぇ、勿論報告済み。指揮官としても見過ごせない事態だけど此処は残念ながらフロントラインを超えてしまってるから……」

 

《増援は送り辛いって訳か……》

 

「きっと自衛隊の方も同じよ。今は現状の戦力で何とか……万が一に備えてヘリでの急行の準備は整えているそうだけど……」

 

64式自は苦悩を強いられる中、89式からの通信が入った。

 

《64式自!避難民の通行ルートの前に人が!え、えーと……》

 

「何ですか89式?はっきり言って」

 

《……ゴ》

 

「ご?」

 

《ゴスロリの女の子がいて……でかい斧みたいな奴を持って屈みながら此方見てる!》

 

「……は?」

 

64式自は86式のその報告に唖然としてしていると車列は止まってしまった。

 

64式自が先頭まで駆けてくるとそこには89式の言う通り、ボロボロながらゴスロリの服を着た少女がおり、とても大きなハルバードを手にしていた。

 

そしてその周りを村人達が集まって祈りを捧げている姿があった。

 

64式自は近くにいる村人の所へ聞くと訳を聞いた。

 

『あの方は?』

 

『神官様です。服からしてエムロイ神殿の者かと』

 

『エムロイ神殿?』

 

64式自は首を傾げているといつの間にか64式自こ目の前にゴスロリの少女がおり、64式自は驚いて目を見開きつつ銃の引き金に指を置いていた。

 

『な、何か?』

 

『ふふ、あなたぁ。面白いわねぇ』

 

『え?面白い?』

 

『そう。まるでお人形の様だけど生きていてぇ。でも魂が込もってないのよぉ』

 

ゴスロリの少女のその言葉に64式自は何処か得たいのしれなさを感じているとゴスロリの少女から驚くべき言葉が出た。

 

『わたしぃ。黒紫の魔女達と戦ったのだけどぉ。負けちゃったのねぇ~』

 

『黒紫の魔女と戦ったと!?』

 

「え?なになに?どうしたの?」

 

64式自がゴスロリの少女の会話から黒紫の魔女と戦ったと聞いて驚いていると伊丹がやって来て64式自達の間に入った。

 

「伊丹さん!この人、黒紫の魔女と戦ったと!」

 

「え、マジで?」

 

64式自の言葉に伊丹は予想外の所からの情報に驚いているとゴスロリの少女は64式自から興味を無くしたのか今度は伊丹をジロジロと見ている。

 

『聞きなれない言葉ねぇ。この人達はぁ?』

 

『はい。黒紫の魔女から逃げる道中、助けてくださった方々で……』

 

『そこの娘ら達にも何度も手を貸して頂きました』

 

『ふーん……嫌々連れて行かれる訳ではないのねぇ?』

 

ゴスロリの少女はそう言って妖艶な笑みを浮かべて伊丹達を見た後、今度は車両を観察して来る。

 

『これ、どうやって動いているのかしらぁ?』

 

『そこのお姉ちゃん達に聞いたけどよく分かんない!けど、乗り心地は馬車よりもずっと良いよ!』

 

避難民の子供が無邪気にそう言うとそれを聞いたゴスロリの少女は悪戯ぽく笑う。

 

『へぇ……乗り心地が良いのぉ?』

 

「……へ?お、俺?」

 

その後、伊丹が座る助手席もとい伊丹の上にゴスロリの少女が乗り込んで座ると言うトラブルが起き、一悶着の末、伊丹と助手席を分けると言う形で決着が着いた。

________

______

___

 

ゴスロリの少女、ロゥリィとの出会いから数時間が経過。

 

未だに安全な場所に行き着く事が出来ず避難民達の消耗が深刻になる中、64式自は打開できない逃避行に頭を悩ます。

 

「(このままではいずれ支援にも限界が来る……早く安全な場所に辿り着ければ良いのだけど……)」

 

64式自は焦りと不安を抱く中で周囲を警戒していた時だった。

 

高速で飛んで来る光弾が64式自のダミーの頭を破壊し、倒れたのだ。

 

『ッ!?敵襲!!地面に降りて頭を伏せて!!馬車でも何でも良いから遮蔽物に隠れて!!』

 

64式自はそう叫んで敵襲を知らせ、避難民達に伏せる様に促した瞬間、四方から光弾が飛び、第三偵察隊や第六小隊、コダ村の避難民達を襲ったのだ。

 

避難民達の悲鳴が挙がる中、第三偵察隊と第六小隊は避難民達を出来る限り庇いながら交戦を開始した。

 

「クソ!魔法と言うよりもまるで銃で撃たれてる様だぞ!」

 

「何なんッスかこれ!?うわッ!?」

 

「倉田!頭を下げろ!狙撃されているぞ!」

 

第三偵察隊は突然の攻撃で多少は混乱しているがすぐに応戦し、撃たれている場所に向かって牽制射撃を行う。

 

64式自達も応戦し、牽制を行いつつ敵の位置を探りながらハヤトに連絡を入れた。

 

「此方、第六小隊!敵と接敵!繰り返します!敵と接敵!現在、敵の位置不明の中で応戦中!指揮官、指示を!」

 

《敵の規模と攻撃方法は?》

 

「敵の規模不明!攻撃方法はプラズマ弾の様な光弾が飛んで来ています!魔法とは思えません!」

 

《……分かった。現状の戦力で出来る限り持ち堪えてくれ。すぐに援軍を送る。出来るか?》

 

「……やって見せます指揮官」

 

64式自はハヤトとの連絡を終えると小隊に通信を繋げた。

 

「指揮官が援軍を送ってくれるわ!それまで何としても持ち堪えるのよ!」

 

《も、持ち堪えるっていても相手の数は多そうですよ!?》

 

《馬鹿野郎!!弱音なんて吐くな89式!!根性で耐えれば良いんだよ!!》

 

《根性でどうにか出来れば御の字でありますね!》

 

《そうですね。……グリフィンの意地を見せてあげましょう!》

 

各々の反応が帰って来た後、銃火が飛び交う戦場と化した避難民の車列に迫る影を四式が捉え、銃口を向けた時、唖然とした。

 

「な、何で此処に……」

 

《四式!どうしたのですか!?》

 

四式の反応がおかしい事に気付いて通信で声を掛けると四式は恐る恐るに声に出した。

 

「て、鉄血が……鉄血工造のリッパーとヴェスピドが撃ちながら迫って来ております!」

 

四式のその知らせに第六小隊は驚く中、鉄血の軍勢は容赦なく避難民を守る第三偵察隊と第六小隊へ攻撃を加えつつ迫るのだった。

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