朝。俺は目を覚ますと制服に着替え、いつものように朝食を作る。まぁそんなこと言ってもパンと味噌汁作るだけなんですけどね。うん、完成。あとは川内を起こすだけだ。階段を上がって川内の部屋へ入る。
「起きろー朝だぞ…」
「へ?」
着替え中だった。しばらく見つめ合うこと数秒、ようやく事態を理解した川内の口が段々と悲鳴の形に変化していき、顔は赤くなっていく。やばっ、なんとか誤魔化さないと…そう思い、何とか言葉を発する。
「い、意外と着やせするタイプなんだな…」
その瞬間、これでもか、というほどの後ろ回し蹴りが俺の顎に突き刺さった。後ろにぶっ倒れながら鼻血を出し、後から聞こえてくる悲鳴。悲鳴より蹴りが先なのかよ…。まぁあれだ。意外と着やせするタイプだったな…。
登校中。
「わ、悪かったって川内…」
「つーん…」
あれから口を聞いてくれなくなった。まだ恥ずかしがってるのか顔は赤い。頬を膨らませてるあたりがとても可愛らしいと思いました。
「昼飯奢るからさ…」
「そういう問題じゃないもん…(小声)」
「なんか言った?」
「なんでもない!」
あぁ…ノックすればよかった。しかし奢りでダメだとするともうお詫びのしようがないな…。とりあえずなんとか言葉を尽くしてみよう。
「あれだ、晩飯も奢ってやるから」
「いらない」
「飲み物も奢る」
「結構です」
「ポテチとか…」
「なんで全部食べ物なのよ!しかもどんどんグレード落ちてるし!」
やっぱダメか…。と、なるとやっぱあれしかないなぁ…。
「わーったよ。なんでも言うこと一つ聞いてやる。これでどうだ?」
その言葉にピクッと反応する川内名前呼ばれた時の猫の耳か。
「なんでも…?」
「で、できる範囲で…自殺とかなしな」
「あんた、私のことなんだと思ってるわけ?」
「冗談です」
「………」
すると、なにか考えるような仕草をする。有罪か、無罪か。責めて執行猶予くらいは望みたいが…。
「今日、体育あったよね」
「あ?そういえばな」
「HR聞いてないなら知らないと思うけど、うちの学校は女の子三人しかいないから二年生のとあるクラスと合同なんだよね」
そのクラスってまさか…、
「体育の時、二人組とかあったら私と組んで」
「は…?いや無理だろ。他に2人女子いるし…」
「奇数だから問題ないもん」
ぬぅ…なんというロジック。承諾するしかないか…。
「わかったよ」
言うとさっきまでの不機嫌な顔からいつもの笑顔に戻り、右腕に飛びついてきた。
「決定だからね!いくよ!」
「はいはい…」
右腕に当たってる柔らかい感触を感じながら思った。意外と着やせするタイプなんだよなぁ…。