俺の部屋。弥生が目を輝かせて本棚を見る。あぁ…かわいい…ぎゅーってしたいな。あー長門は帰った。
「すごいね、司令官…」
「ん?まぁな。俺に抱き付いてもいいんだぜ?」
「ぎゅーっ」
「はわわわわっ」
か、可愛い!この子飼いたい!なんて思ってたら後ろからゲシッと蹴られる。
「…なにすんだよハゲ」
「ハゲてないし。提督なんかキモいし」
ひでぇ言われ様。
「うるせぇ。じゃ、弥生。決まったら勝手に持ってっていいから。俺はアレだ、飯作ってくる」
「ご飯?司令官が、ですか?」
「や、俺はご飯じゃねぇよ?悟空の息子でもないし」
「いえ、そうではなくて提督が作るんですか?」
「うん」
「とても美味しいんだよ提督のご飯」
川内が言うと、目を輝かせる弥生。いや一般レベルだと思うぞ。
「まぁ待ってろよ」
それだけ言って、いざ料理タイム。今日は腕によりをかけちゃうぞ!
飯食って、弥生も本を決めたみたいだし(機動戦士ガンダム逆襲のシャア〜ベルトーチカチルドレン〜)、あとは送ってあげないとな。
「川内、悪いんだけどさ。弥生のこと送ってあげられる?」
「あーうん。提督は行かないの?」
「割とマジで学校の課題が終わってねぇ」
「りょーかーい」
それだけ言うと川内は弥生を連れて玄関へ。
「またね司令官」
「おう、いつでも来ていいぞ!」
川内が俺をゴミで見る目をしながら出発。ふん、貴様には分かるまい。
川内と弥生が一緒に帰る。色々と雑談したり途中でスプライト買ってあげたりで、すぐに睦月型の家に着いた。
「またね弥生ちゃん」
「うん。ご馳走様でした」
それだけ言うと弥生は自分の家に入る。ふぅ…と、川内は息を付いた。弥生の話は学校のことで、勉強が楽しいだの文月と望月が毎回寝て怒られてるだの色んなことを聞いた。おかげでまた少し学校に行きたくなってしまった。
「帰ったら、べんきょーしよっかなぁ」
にしても、と川内は思う。提督と弥生ちゃんが話してる時に感じた胸の痛みはなんだったんだろうと。なんとなく、チクリとするものがあった。ブラと胸の間にゴミでも挟まってるのかな。や、そんな物理的な感覚じゃなくて…なんて考えながら歩いてると、ガッと誰かと肩がぶつかった。
「あ、すいませ…」
「おい。どこに目ぇ付けてんだよ」
遅い。や、もう夜の12:00回ってんだけど。なに、どういうことなの?なにやってんの川内。まさか夜戦とかいってどっかのバカに喧嘩売ってんじゃないだろうな。あーあ面倒臭ぇ、とりあえずLINEするか。
『夜戦バカ、お前どこでなにしてんの?』
送って数分。帰ってきた。や、LINEな?
『提督くん?夜戦バカさんならしばらく帰らないよー』
あーね。誘拐ね。
『てめ誰だ。3/4殺しにされたくなかったらどこにいるか言え』
『その代わり、お金用意して。10万』
少ねぇな…俺も一緒にボコるつもりか。もしくは川内を返すつもりがない。それと多分学生だろうな。
『わーったよ。で、どこで待ち合わせ?』
『待ち合わせってお前デートかこのヤロー。場所はー』
ふーん、さて行くか。
私(川内)は元鎮守府跡地。や、提督の鎮守府じゃないけど。私はここで半分洋服を裂かれ、両手を上に上げさせられ、その手には縄が巻き付けられていた。
「よぉ、たった今あんたのボーイフレンド呼び出したぜ」
「!?」
それって、提督のこと?
「や、やめて!それだけは…」
「なんだよ。さっきまで黙りだった癖によ」
「あの人は関係ないの!」
「や、もう呼んじゃったし」
「………ッ!」
しまった…まさか提督まで巻き込んじゃうなんて…昔は深海棲艦相手に戦ってたのに、今は他人を巻き込んで足引っ張ってるなんて…情けない。悔しさから涙が出てくる。
「そうそう、そういう顔が見たかったんだよ」
言われて顔を俯かせようとするが、顎を摘ままれて顔を上げさせられる。
「やっと泣いてくれたなぁ。まぁこれからお前はもっと恥ずかしい目に合うことになるんだけどよ」
「………?」
「てめぇのあの提督とかいう奴の前でお前をアレだ。なんだって言葉が出て来ない…とりあえずあれするから!」
アレ、がなにを示してるのかすぐに分かった。嫌だよ…助けてよ…と思ってたら私を閉じ込めてる部屋のドアが吹き飛び、誰かが入ってきた。
「!?」
「あぁ!?なんだ!?」
その吹き飛ばされたドアから入ってきた奴に私を監禁した奴の三人くらいが殴りかかる。が、なにをされたか分からないまま三人ともボロ鎮守府の壁を突き抜けて吹っ飛んだ。
「てめぇ…!」
「提督……」
なんでか分からないけど、さっきとは別の涙が目から流れた。
「ちわー。三河屋でーす」
俺はそんなテキトーな挨拶しながら執務室っぽいところに突入。中では川内があの、あれ…フェアリダンスん時の頬舐められたりしてるアスナみたいな感じ?甘い!甘いぞ!
「な、なんだてめぇ!」
「提督」
「……遅かったな。LINEしてから30分経ってるぞ」
「悪い悪い。10万集めろなんていうから大変だったんだよ」
「本当に10万あるのか?」
「あぁ、これ見ろお前」
俺は誇らしげにポケットから紙を出す。
「肩叩き券10万枚だ」
「いらねぇよそんなもん!まさかそれ作るのに時間掛けてたんじゃねぇだろうな!」
「なわけねぇだろ!これを10万枚コピーすんのに時間掛かったんだよ!」
「同じじゃねぇか!ってか無駄にクオリティ高ぇな!なんで半券まで用意してんだよ!」
「てへぺろ」
「腹立つわお前!」
こんのぉ〜…と完全に頭に来てる様子。まぁそりゃそうか。
「お前、ぶっ殺すわ」
言いながらその頭っぽい奴はポケットから四つナイフを取り出し、指と指の間に挟んで握る。
「少し俺らを舐め過ぎだ。お前は俺が直接殺す」
「やって見ろよ。だけどな、俺の友達に手を出した時点でお前がどれだけ強かろうと、俺はお前をぶっ飛ばすまで永遠に立ち上がり続ける。それだけは覚えとけ」
「じゃあやってみろコラァッ!」
ダッと走り込んでくる…そういや名前知らねぇや。リーゼントがすごいから大根くんでいいな。大根くんが斬りかかって、いや刺しかかって?まぁなんでもいいや、とりあえず突撃してくる。
「ゴムゴムのぉっ!」
俺も特攻した。
「死ねやぁっ!」
「ブレットォッ!」
俺の頬にナイフが掠めるが関係ない。俺の拳はしっかり大根くんの顔面にめり込んだ。そのまま腕を振り切り、大根くんは一度地面に叩きつけられると、バウンドして天井突き破って空中にフル回転しながら舞い上がってそのまま海に落下した。
今の俺、多分漫画なら「ドンッ!」って効果音が付いてる。
「あー疲れた…」
言いながら川内を降ろした。で、上着を羽織らせる。よかった、まだ5月で。夏だったら俺、上着着てないから全裸になってた。
「あー…大丈夫?」
と、言いかけた俺に抱き付いてくる川内。
「なんだよ…」
「遅いよ…」
「悪かったよ。近くのセブンのコピー機が壊れてたんだよ」
「いやそういう問題じゃないと思うんだけど…」
で、グズっとしゃくりあげる。
「でも、ありがと…」
「はいはい……」
その夜、川内をおんぶして帰宅。安心しきったのか、後ろで寝息をたてていた。まぁ、なんだ?ドンマイっていうの?