幼少期の頃に好感度が最大値な美少女たちと色んな約束を交わしている主人公は成長した末に最強に至る。ヤンデレヒロイン、現代異能剣戦ファンタジー   作:三流木青二斎

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八日目の夜・膝枕

一週間が経過した。

何とか大怪我をせずに、俺は祅霊を相手に立ち回る事が出来ている。

それと、毎夜、ユノがごはんを調達してくれているのだが、どうやら俺が一日を通して成長出来たかどうかでその食事の内容が変わって来るらしい。

 

二日目はとにかく、刀を使わず、炎子炉を生産して全体に巡る排気孔に闘猛火を流し込む修行から始めた。

俺を発見して攻撃してくる祅霊は、仲間を呼ぶ傾向があるらしく、先ず、低級の祅霊が俺を見つけ仲間を呼ぶ。

そうする事で、次は少し強い祅霊が出現し、俺を倒せるかどうかを確認して、無理そうならば更に強い仲間を呼ぶ、と言う具合だ。

それを発見した時、俺は逃げるのではなく、先に祅霊を斃す事に専念した。

敵を見つけて、どの様な生態であるのか、洞察力を発揮した事が評価されたのか、二日目の夜の食事は焼魚(塩が撒かれている、これが旨味で嬉しい)が一本。

 

三日目は相変わらず、炎子炉の生産と排気孔を肉体全体に巡らす、これを日課にしていき、自在に闘猛火を扱える様にしていく。

しかしこれが中々に苦戦したものだった、恐らく、小指の欠損により、闘猛火を流し込む排気孔の管が動かなくなっているのだ。

 

排気孔の管には、闘猛火が炎子炉へ逆流しないための弁のような〈焱門(えんもん)〉と呼ばれる機構がある、その〈焱門〉が無ければ、炎子炉から闘猛火を放出する際に、切断した指先から闘猛火を漏出してしまう。

なので、肉体はその漏出を防ぐ為に、〈焱門〉を全て閉じて締まっているのでは無いのか、と考えている。

だから、上手く肉体に循環させる事が出来ないのだろう。

 

だが、刀を握った時に、闘猛火は掌から放出する事が出来た、それは即ち、刀に意識を向ける事で、〈焱門〉を自発的に開く事が出来た為。

ならば、自らの肉体の部位ごとに集中させ、〈焱門〉を開く想像をすれば、再び〈炉心躰火〉が使える筈だ。

 

そうして、三日目は祅霊が来なかったので、兎に角瞑想で、肉体に廻る配線の如き排気孔の〈焱門〉を感覚で探りながら、闘猛火を流し込む。

この行為がユノにとって高評価だったのか、何と獣の肉を与えてくれた(しかも串を刺して炭火焼きでのの提供)、何の肉か分からなかったが、それでも暖かな飯だけで十分に嬉しい。

 

が、四日目、五日目になった頃。

祅霊の出現、刀を使い即座に応戦したが、其処で俺は誤って刀を折ってしまう。

岩場近くでの戦闘で、足場が崩れやすく、刀を上手く振るう事が出来ず、岩に刀の刃を当ててしまい、折ってしまった。

その日の夜の飯は、何やら苦い味のする薬草めいた草だった。

ガムの様に嚙みながら草の味を啜りつつ、ようやく彼女が与えてくれる食事は今日一日、俺が行った行動に対する点数結果である事を理解する。

 

六日目、七日目になると、俺の肉体にある〈焱門〉の半分を、意識的に開放する事が出来る様になった。

具体的に言えば、排気孔は一本の線が体中を巡っているワケでは無く、複数の管が様々な線に繋がれている様な状態だ。

まだ全部の〈焱門〉を開く事は出来ないが、全身に繋がっている一本管の〈焱門〉を意識的に開放する事が出来る様になり、これによって俺は漸く〈炉心躰火〉を使役する状態になった。

 

そして七日目の夜に振舞われた食事はなんと鳥の丸ごと焼きであり、どうやらユノにとっては高評価となった一日であったらしい。

 

「あった」

 

俺は山の中を歩き続け、祠を発見する。

正直に言えば、刃が折れた刀を持って歩き続けるのはかなり精神を摩耗させた。

万全な状態では決して戦う事が出来ないと言う緊張感がこれ程までに動きに影響するとは思わなかったのだ。

祠を開ける、そして其処から刀を手に取る。

鞘から刀を引き抜いて、刀身の状態を確認する。

運が悪い事に刀身は錆び付いていた。

錆によって刃が腐蝕していて、切れ味が悪そうだった。

 

「…まあ、無いよりかは、マシかぁ」

 

俺はそう呟きながら刀をベルトに差し込んだ。

刀身が折れた刀は捨てずにとっておく事にする。

錆び付いて鋭利が悪くなった刀よりかは、幾らか刃折れした刀の方が鋭利さが上だったからだ。

 

「これが俺の命を繋ぐ刀だ…」

 

そう呟きながら俺は歩き出す。

上空を見れば、樹木の木の枝から移動するユノの姿が見える。

着かず離れずの距離で俺の事を見ている様子だった。

 

「さて、次は…」

 

どうするか、当然決まっている。

新しい刀を手に入れても十分とは言えない。

山を探せば、新しい祠があるのだ。

その祠を探して歩き回り、より状態の良い刀を手に入れる。

万全を目指すならそれで良いし、何よりも半年もこの山で過ごす事になる。

だとすれば、出来る限り、目標を持って行動をした方が良いだろう。

 

「…ん」

 

と、俺がそんな事を考えていると。

遠くに祅霊の姿を確認する。

祅霊はまだ俺に気が付いていない様子だが、祅霊の移動する方角からして、何れ俺を発見出来る位置についていた。

 

「丁度良い」

 

俺は片手で刀の柄に手を触れる。

今の俺は意識的に〈焱門〉を開ける事で〈炉心躰火〉を使役する事が出来る。

そして、次に俺が行うべき事は、重力を付加させた闘猛火を上手く扱う事だ。

 

「すぅぅぅ…」

 

息を吸う。

体内に巡る空気。

肺から炎子炉へ酸素が送り込まれて闘猛火を生産する。

 

「はぁぁぁ…良し、行くぞ」

 

その状態で俺は地面を蹴る。

…肉体に闘猛火を流し込んだ際に気が付いた事がある。

それは、俺が今まで闘猛火を肉体へ循環させた時よりも、今の時の方が、疲れが少ない、と言う事である。

恐らくは、〈焱門〉を意識的に開く事が出来た為だろう。

俺が今まで排気孔へと闘猛火を流し込んだ際、全ての排気孔の管に流し込む様にしていた、と言うよりかは、〈焱門〉が自動的にそうあるようにしたのだ。

複数の排気孔へと枝分かれの様に流れる為に、飛躍的に闘猛火の熱量が冷えやすい代わりに、身体能力が急上昇する。

消耗量と持続性を犠牲に、速度と筋力を上昇させる様なものが、今までの俺の遣い方であるのだが。

〈焱門〉を絞る事で、一本の管を循環させ続ける、これにより、熱量が肉体全体に伝わり易くなり、熱量が冷めにくく、肉体に与える刺激が持続する様になるのだ。

その分、速度と筋力の低下は見込めるが、長時間戦い続けるのならば、〈焱門〉を絞った方が良い。

 

俺は祅霊に近付くと共に、腰に携える刀を引き抜く。

猿の様な見た目をした祅霊は俺に勘付き、仲間を呼ぼうとしたが、それよりも早く、俺は刀を振るう。

闘猛火を流し込みながら、刀を振るう際、俺は意識的に右腕の〈焱門〉を閉ざし、闘猛火の量を調整する。

闘猛火が外部へ漏れると、重力が発生し、刀が重たくなるが、片腕で振り下ろせない程では無い。

これにより、俺は重たい刀身で猿の祅霊の首を一太刀で切断して見せた。

 

「ふぅぅ…」

 

即座、〈焱門〉を閉ざし、重力の闘猛火を断ち切る。

これが無意識に出来る様になるまで、かなり時間が掛かるだろうな、と思った。

しかし、着実に俺は成長しているのを実感している、心なしか、樹木の上に立つユノも嬉しそうに思えた。

 

歩き続けた時、俺は、ちょろちょろと音を聞いた。

その音の方へ歩くと、なんと、川が流れつつあった。

 

「川…水だッ!!」

 

俺は喜び、川に近付いて顔を水に突っ伏した。

喉が渇き続けた俺は、その水を喉を鳴らしてのみ続ける。

美味い、山の水は冷たくて喉越しが良い。

 

「ぷはっ…」

 

この一週間、風呂にも入れず汚れていた。

体に纏わり付く汚れに気分を害していたが、これで俺は体の汚れを拭う事が出来る。

が、生憎、俺が川を見つけた時は周囲が暗かった。

暗闇の中、川に入るのは危険だし、祅霊と出会った場合、戦闘を水際でしなければならない。

なので、今日、水風呂を浴びる事を我慢しながら、周辺で寝泊まりする事にする。

 

「…やあ、ユノ」

 

夜になると、ユノが現れる。

今日のご飯は、小鳥の焼き鳥だった。

有難く頂き、明日に備えて眠ろうとしていた際。

 

「…ん?」

 

俺が眠る時。

今日はユノが隣に座っていた。

彼女が隣に居ると、安心感が漂って来る。

同時に、冷たい刀身が常に自らの喉元に添えられる様な緊張感もあった。

それでも、彼女は俺に近付いて来て、小さな手を足にとんとん、と叩いた。

着物を着込んでいるので、彼女は座る時に帯を緩めて裾をおおっぴらに開かせた。

そして白くきめ細やかな肌を晒しながら、俺に頭を乗せる様に促して来た。

まさか、今日は膝枕と言うご褒美も含めてのものなのだろうか。

俺は彼女に甘える様に、頭を太腿に乗せる。

ひんやりとした彼女の細い足は、柔らかくて眠るのに最適だった。

 

「わぁ…」

 

枕よりも柔らかく、心地が良い。

更にそれだけでは無く、ユノは裾を引っ張って、俺の顔を隠す様に、裾の中に俺を入れてくれる。

息を吸い込むと、花の様に気品際立つ匂いが鼻の中を刺激した。

俺と常に一緒に居るのに、俺は風呂にも入れず、異臭を放っているだろうに。

常に共に居る彼女は全然、そんな事が無い、花畑で寝転んでいるかの様な心地良さを感じ、更に、彼女の手が俺の背中を擦ってくれるので、これ以上無い贅沢な休眠となった。

 

ここ一週間の疲れを取るかの様な眠りを貪り、祅霊の事など気に掛ける事無く、安心して眠りに落ちた。

次に目を覚ました時は、ユノの姿は無かったが、その代わり、彼女の真っ黒の着物だけが俺の下に敷かれていた。

 

「…ん、あれ…ユノ?」

 

俺は目を擦りながら周囲にユノが居ない事に気が付く。

ユノが持つ大きな刀が無いので、恐らくは一緒に持ち歩いているだろう。

俺は立ち上がると、ユノの着物を畳みながら、彼女の姿を探す。

着物が此処にあると言う事は、彼女は今、全裸なのだろう。

そして彼女が持つ刀も無いと言う事は、もしかすれば、祅霊と出会い、戦っているのかも知れない。

そう思い、俺は必死になってユノを探そうとした。

しかし、案外ユノは近くに居た。

全裸になった状態で、ユノは浅瀬に足を突っ込んでいたのだ。

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