スターミー(?)に狙われてる一般ガラル野郎日録 作:メガブリムオン
zaアーマーガア内定記念に見せかけたアニポケメガスターミー内定記念
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〇月✕日
この日記も四冊目に移行したことで気づいたが、どうやら俺がガラルからカロスのミアレシティに来て一年が経過したらしい。
確か環境が変わると、人は案外簡単に自分を見失うと聞いたことがあって、なら何か形に残しておいた方がいいと書き始めたのだったが……改めて見返してみたけど、内容が愚痴しかないのは我ながら酷いと思う。
これでもちゃんと書き始めた頃は、やたら丁寧に書かれているんだよな。
多分慣れない街、慣れない言葉、知らない空気、知らないポケモン、どれも記録しておかなければ………みたいなモチベーションがあったからで二冊目、三冊目と進むにつれて、文字は減ってる。
昨日なんて「頑張った」と書いてあっただけだし、このままだとまた見返した時に面白みが無さすぎるから、新しい趣味でも探した方がいいのかもしれない。ほぼ週六の社畜にそんな時間があるといいが。
〇月△日
昨日は早く寝すぎた。そのせいか、今日は少し頭が冴えている。
そして四冊目まで来て、ふと気づいたことがある。
この日記には、俺がなぜミアレにいるのかが、きちんと書かれていない。
多分どっかのページに仕事だから、で済ませてきた気がする。
実際、毎日はそれで回っていたし、改めて理由を掘り返す必要も感じなかった。
けれど、ミアレでの生活に慣れすぎてしまった今、きっかけくらいはキチンと書き残しておいた方がいい気がしてきた。
それに今日は書くこともないので、ここには少し昔の話を書く。
始まりはガラル交通がクエーサー社と提携する、という社内通知だった。
朝のミーティングでその話を聞いた瞬間、正直話が大きすぎて実感が湧かなかったのは今でも鮮明に覚えている。
そもそも我が会社"ガラル交通"は主に“そらとぶタクシー”という事業で有名である。
地上の渋滞とは無縁、ゴンドラに客を乗せ、それを"カラスポケモン"アーマーガアの力を借りて、空をひとっ飛び。
観光客にも地元民にも便利なガラル名物のサービス……そのノウハウをミアレの都市再開発に活かしたい、というのがクエーサー社の狙い……だったはず多分。
そして、そのミアレ向け事業の立ち上げメンバーの一人に、何故か俺の名前があったってだけなのだが、生まれも育ちもガラルだった俺にとって正直行きたくなかった。
まあ、結局は断らなかったからココにいるわけなんだが。
正確に言えば、断れなかった、の方が近い。
理由はいくつもあった気がするが、今となっては曖昧だ。
期待していると言われたとか、人手が足りないとか、行けるのはお前しかいないとか。そういう言葉を並べられたような気がする。
今思えば、我ながら本当にちょろい。
少し持ち上げられて、少し頼られて、それだけで流される。昔から変わっていないなホント。
この判断が正しかったのかどうかは、一年経ってもまだ分からない。
多分、分かる日が来るとしても、もっと先なんだろう。
考えても答えは出ないし、今日はここまでにしておく。
〇月〇日
久しぶりにアーマーガアのお手入れをしたけど、やっぱこいつデカイなって改めて思った。
ココガラの頃はよく肩に止まってて可愛かったが、今やられると体重75キロのボディープレスになるので全力で断るけど。
後、最近またワイルドゾーンが増えてた。
アレのせいで地元住民と観光客がタクシー頼り出すから仕事量が増えて辛いんだよな。最近はもう俺を含めた何人かがヌマクローみたいな目になっている。
以前、クエーサー社の社長さんとお話する機会があったが、あん時は人間とポケモンが共存する街を目指している的なことを言ってたけど、流石をにやりすぎではと思う。
まあ、給料はガラルの頃とは考えれないくらいよくなったからまだ我慢してる。
〇月□日
今日はやたら朝から晩まで謎の視線を感じて不愉快だった。
仕事柄、視線を感じること自体は珍しくない。
点検中にお客から見られることもあれば、物珍しさからそらとぶタクシー目当ての観光客に写真を撮られることもある。まあ、付け狙われそうな理由は他にもあるけど
だが、今日に限っては振り返っても誰もいないし、気のせいだと言えばそれまでなんだが、どうにも落ち着かない。
ミアレは人もポケモンも多い。見られている理由なんて、他にもいくらでも思いつくはずなのに、胸の奥に残る違和感が消えない。
疲労から少し神経質になってるだけかもしれないので、とりあえず今日は早めに帰って、家の鍵を確認してから寝る。
〇月?日
やっぱり今日も視線を感じる。
ここんとこ四六時中見られているようで気分が非常に悪いが、それでも仕事に行かないといけないのはサラリーマンの辛いところだ。
真剣に警察とか頼った方がいいのだろうか。
で、前に同僚からミアレ1の探偵事務所がルージュ広場にあると聞きいたことがあったので、相談してみようかと割と悩んだ。てか今も悩んでる。
ただ、探偵って、お金がかかりそうなんだよな。今の給料でも払いたくないくらいに。
相談料とかでも高い金を請求されたみたいなネット記事をどっかで見た記憶があるし……しかも、これでストーカーなんていません。自意識過剰でしたってオチならお金も無駄になるし、恥ずかしい。
もうちょい様子見。
〇月◇日
うん、ストーカーいたわ。
しかも、人じゃなくてポケモンだったし。
今日はいつも以上に疲れているけど、きちんと記しておく。
きっかけは、本当に些細なことだった。
向けられ続ける視線に耐えれなくなった俺はヤケクソ気味に正体を掴んでやろうとして帰り道、いつも通らない裏道を選んだ。それだけだ。
この間も同じことを書いた気がするけど、人もポケモンも多いミアレで、いつも通り生活してたら、向けられる人の気配なんて分かるわけがないのだ。なら、わざと選択肢を減らすしかない。
そう考えて、視線を感じながら一本しか抜け道のない路地へ入った。逃げ場がない分、追う側も隠れようがない。単純だし、効率的だ。
で、正体を掴んだ瞬間、ストーカーの目の前でアーマーガアの強面顔を見せつけて追い払う寸法だったのだ。
そう、ここまでは良かった。問題なのが、これが完全に人間を想定していた行動だったってこと。
勢いよく振り返って、モンスターボールを構えた瞬間、そこにいたのは二メートル越えの巨大星型生物………"なぞのポケモン"スターミーだった。
で。
完全に予想外の事態に、俺は自分でも聞いたことのない変な声を出した。悲鳴とも呻きともつかない、心の底からパニックになった時に出る喉の奥がひっくり返ったみたいなやつ。
だって、まさかポケモンにストーキングされてたなんて思うわけがないし、そもそも目の前にいたスターミーの姿がこう……上手く書けないがとにかく変なのだ。
俺の記憶しているスターミーは、もっとこう、そう、あの星型の脚部が短くて、硬質で、何考えてんだかわかんないポケモン筆頭的な感じだったはずなのに、目の前のそれは違うというか更にヘンテコって言えばいいのか?
特に星型の脚部が、妙に長かったんだよな。あの某イッシュのスーパーモデルばりに、すらっとしている。
で、向こうも向こうで俺の情けない変な声が、よほど怖かったのか。スターミー(?)は『ヘアッ!』と、俺に負けず劣らずの奇声を発して綺麗なフォームでどっかに行ってしまった。
今思えば写真のひとつでも撮ってやればよかったなって思えるが、見た目の衝撃がホントに凄くて、ボールから飛び出したアーマーガアに声をかけてもらうまで放心してたのでしょうがない。
まあ、とにかくこれでスターミー(?)も俺にビビっただろうし、もう近寄ってこないだろう。
結果オーライってことで今日はぐっすり寝れそうだ。
□月✕日
ねえ、何でまたスターミー(?)いんの?
メモ
主人公:相棒はアーマーガア。
スターミー(?):常時メガシンカという異端存在。