スターミー(?)に狙われてる一般ガラル野郎日録   作:メガブリムオン

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この話は原作から凡そ2年前を意識して書いてます。


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□月*日

 

 

 アレから未だにスターミー(?)に見られている。

 だが、人間というのは恐ろしいもんで、ストーカーの正体が分かってからというもの、慣れつつある自分がいるんだよね。

 

 ただあいつって別に攻撃してくるわけでもなく、鳴き声を上げるわけでもなく、ただ存在感だけがやたら強いだけという点と、見られ続けるという点を除けばただ無害なポケモンではあるからなんと言えばいいのかな………手が出しにくいって感じ?我ながらつくづく甘いよなって思うよ。

 

 せめて、見てる理由くらいは把握しておきたいけど。まあ、向こうが何もしてこない以上、俺も何もしないまま様子見するしかないか。

 

 

 

 

□月?日

 

 

 今日、ばったりクエーサー社の社長秘書”マスカット”さんと会った。

 この人って相変わらず見た目だけなら、秘書ってよりボディガードやってそうな感じだけどその実態は子煩悩というおじさんなんだよな。よくお子さんのお話を聞かせてくれるし、ホントいいパパさんだと思う。

 

 で、そんな人が珍しく焦ってる様子なのでさりげなく聞いてみると、最近とある人の進言から謎のエネルギーをミアレで観測したらしく、それの調査に社員総出で駆り出されていると半ば愚痴のようなものを聞かされた。

 

 

 その後、一段落したあたりで、マスカットさんはハッとした顔をして、「……今の話は口外禁止でお願いします」と付け足してきた。

 

 まあ、俺は口は硬いのでその場では「分かりました」と返したけど ……日記に書く分には問題ないだろう。たぶん。

 

 

 

□月□日

 

 

 休憩中にボロ屋の前で困ってそうなお爺さんがいたので声をかけたんだけど、近づいたらめっちゃデカかった。

 この間のスターミー(?)よりもずっと背丈がデカイねあの人。多分三メートルくらいはあったんじゃないか?

 

 お爺さんはどうやら花屋に用があるらしく、評判のいい店を教えてあげたんだけど、あの体格で杖もついているのを見ると、路地を歩かせるのは色々と危なそうだったので、ついでに送っていくことにした。

 

 道中、お爺さんは世界中を渡り歩いてきた旅人のような生活をしていたらしく、実に色々なことを話してくれた。聞いた感じだと、ガラルのワイルドエリアも、イッシュの高層街も、アローラの海も見てきたらしい。

 

 特に驚いたのは、何故かそらとぶタクシーのこともやけに詳しかったことだ。ガラルでの初期運用の話とか、アーマーガアの気性の違いとか、俺でも知らないことを、懐かしそうに語ってた。

 

 で、今はあのボロ屋かと思っていた場所で「ホテルZ」と言う宿を経営しているらしい。正直、完全に廃屋だと思ってました。ごめんなさい。

 

 

 内心申し訳なさから「今度泊まってもいいですか」と聞いてみたら、お爺さんは一瞬だけ、妙に楽しそうな顔をして頷いてくれた。「歓迎しよう。部屋はいくらでも空いている」って言われたんだけど、それはそれで経営難とかになったりしてないのか心配になるんですけど………

 

 勿論帰りも送り届けた。

 にしてもなんであんな大量の花を買ってたんだろうな。ホテルにでも飾るのだろうか?

 

 

 

 

□月☆日

 

 

 今日は久しぶりにカレーを作った。

 ガラルに生まれ、ガラルで育った者は皆カレーが好きなように教育される。

 ガラルの子どもたちに聞いた"なりたい職業ランキング"では、一位チャンピオン、二位にカレー屋が来るくらいにはカレー愛がサイコーの地方だ。

 

 そして俺も例に漏れず、カレー好きとしての矜持をしっかり持っている。

 むしろガラル出身を名乗る以上、カレーに手を抜くことはアイデンティティの否定に等しいと言っていい。これは過言ではない。

 

 まずコンロの火加減。これは絶対に強火にしてはいけない。

 最初は中火、香りが立ってきたら弱めて様子を見る。焦げた瞬間、全てが台無しになるからだ。

 

 次に混ぜ方。これも適当じゃダメで、底からすくい上げるように、ゆっくり円を描く。

 決して急がない。カレーは逃げないし、裏切らない。

 

 そして何より大事なのは、真心(まごころ)

 どれだけ火加減や手順が完璧でも、作ってる本人の気持ちが荒れてたら、味にも出る。

 

 

 そうして出来上がったカレーは、見た目も匂いも文句なし。

 スプーンを入れた瞬間、これはリザードン級だなと分かるやつだった。いやーこの自他共に認めるこの美味さ。本でも出版しようかなマジで。

 

 

 

□月♧日

 

 

 最近、色んなポケモンに見られているんだけど、コレがモテ期ってやつなんだろうか。

 

 

 例えば今日は珍しくスターミー(?)(あいつ)の姿が見当たらなかったが、代わりに四足歩行の謎ポケモンがじっとこっちを見ていたのだ。

 

 今思えば、あれはヘルガーみたいな色合いと見た目だった気がするけど、まあ細かいことはいい。

 

 んで、そん時丁度ランチタイムだったので腹が減ってんだろうと察した俺は、食べてた昨日の残りのカレーを全部そいつにあげた。

 ポケモンといえどやはり一度寝かしたカレーの美味さが分かるなんて中々デキるポケモンだ。

 

 そのヘルガー(?)は最初は不思議そうに俺を見ていたが、やがてカレーを美味そうにがっついてた。ガラル人はカレーを求めるものを拒むことは出来ないからな。

 

 

 なお、いい食いっぷりだなぁって眺めてたら皿ごと持ってかれた。お気に入りだったのに…………まあ、いっか。

 

 

 

 

 

□月€日

 

 

 この間からずっとスターミー(?)が見当たらなくなった。

 ストーカーがいなくなってやったぜみたいな気持ちにもなれず、結局なんで見られていたのか分からなくてモヤモヤしている。

 

 こういう気持ちになるんなら、俺のカレーでも食べさせればよかったな。

 

 

 

 

 

 

 

□月〒日

 

 

 帰ってきたら、無くしたはずの皿が綺麗になって玄関前に置かれていた。なんでぇ?

 

 

 

 

 

 





メモ

主人公:だいぶテキトーに生きてる。ガラルにいた頃の主食はカレー。今は一週間に一回。カレー屋で働いてたこともあり、カレーのことになるとキャラが変わる。カレーこそジャスティス。

謎の四足歩行ポケモン:ヘルガーとはあんまり似てない。10%わんこ。ある目的があって、主人公に接近したが何故かカレーを食べさせられた。美味しかった。
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